今回はVarious(オムニバス)ものの
アルバム

「Children Of Jah: The Chantells &
Friends 1977-79」です。
まずは今回のアルバムに参加している
アーティストの履歴を、簡単に書いて行き
たいと思います。
The Chantellsは70年代のルーツ・
レゲエの時代に活躍した、Lloyd Forest
とSamuel Bramwell、Tommy Thomasから
なる3人組のコーラス・グループのです。
ネットのDiscogsによると、78年に
「Waiting In The Park」という1枚の
アルバムを残しているほか、39枚ぐらい
のシングル盤を残しています。

The Chantells – Waiting In The Park (1978)
The Chantells - Wikipedia
U Brown(本名:Huford Brown)は70年
代のルーツ・レゲエの時代から活躍した
ディージェイです。
U Royのフォロワーとして登場した彼は、
70~80年代にかけて様々なサウンド・
システムを渡り歩き、活躍した事で知られ
ています。
英語のWikipediaのページには彼の経歴と
して、次のような文章が書かれています。
Huford Brown (born 8 June 1956, Kingston, Jamaica), better known by the stage name U Brown,
is a reggae deejay who released eleven albums between 1976 and 1984.
(Huford Brown《1956年6月8日
ジャマイカ、キングストン生まれ》は、
1976年から84年にかけて11枚の
アルバムを残したレゲエ・ディージェイの
U-Brownとして知られています。)
この記述からも彼U-Brownが、70年代
後半のルーツ・レゲエの時代から80年代
前半のアーリー・ダンスホールの時代に
活躍したディージェイである事が解り
ます。
ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て18枚ぐらいのアルバムと、223枚
ぐらいのシングル盤を残しています。
U Brown - Wikipedia
Lopez Walker(本名不明)はネットの
Discogsの履歴を見ると、70年代半ば
から80年代にかけて活躍したシンガーの
ようです。
ネットのDiscogsによると、12枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。
Lopez Walker - Lost In A Dream
Errol Davis(本名不明)はネットの
Discogsの履歴を見ると、70年代後半
から80年頃まで活躍したシンガーのよう
です。
ネットのDiscogsによると、3枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。
Errol Davis - Come A Long Way
The TerrorsはネットのDiscogsの履歴を
見ると、Donovan BrissettとEdmund
Brissett、L. Lewisから成る3人組の
コーラス・グループで、70年代後半から
80年頃まで活躍したグループのよう
です。
ネットのDiscogsによると、9枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。
The Terrors - Don't Bother Me / Version - Joe Frasier 7"
Steve Boswell(本名不明)はネットの
Discogsの履歴を見ると、77~78年
頃に活躍したシンガーのようです。
ネットのDiscogsによると、今回の
アルバムに収められた78年の
「Cool Rastaman Cool」と、77年に
リリースされた「I Am Getting Bad」の
2枚ぐらいのシングル盤をリリースして
います。
STEVE BASWELL - I Am Getting Bad [1977]
Jah Berry(本名不明)はネットの
Discogsの履歴を見ると、77~82年
頃まで活躍したディージェイのようです。
ネットのDiscogsによると、12枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。
Jah Berry - Sufferation & starvation
今回のアルバムは1999年にUKの
レゲエ・リイシュー・レーベルBlood &
Fireからリリースされた、1977年
から79年の間にジャマイカのPhase One
Recordsからリリースされた、
The Chantellsやその周辺のアーティスト
の楽曲を集めたコンピュレーション・
アルバムです。
プロデュースとアレンジはPhase One
RecordsレーベルのRoy Francisで、収め
られた全10曲が前半は歌、後半は
ディージェイかダブなどの、エクステン
デッド・ヴァージョン(ディスコ・
ミックス・ヴァージョン)の楽曲になって
います。
手に入れたのはBlood & Fireレーベルから
リリースされたCDの中古盤でした。
全10曲で収録時間は65分05秒。
ミュージシャンについては以下の記述が
あります。
Produced & Arranged by Roy Francis
Recorded at Channel One Studio and Joe Gibbs Studio
Engineers: JoJo Hookim, Errol Thompson
All tracks taken from original 12" singles
except tracks 2, 3 & 5 which are edits of the A & B sides of 7" singles.
Musicians:
Drums: Sly Dunbar, Devon Richerdson
Bass: Lloyd Parks
Guitar: Bertram 'Ranchie' McClean, Winston 'Bo-Peep' Bowen
Organ: Ansell Collins, Winston Wright
Piano, Synthesiser: Franklyn 'Bubbler' Waul
Percussion: Uziah 'Sticky' Thompson
Trumpet: Junior 'Chico' Chin
Saxophone: 'Deadly' Headley Bennett
Trombone: Vincent 'Trommie' Gordon
Compiled by Steve Barrow
となっています。
プロデュースとアレンジはPhase One
RecordsのRoy Francisで、レコーディング
はジャマイカのキングストンにある
Channel One StudioとJoe Gibbs Studioで
行われ、(ミキシングの)エンジニアは
JoJo HookimとErrol Thompsonが担当して
います。
2曲目と3曲目、5曲目は7インチ・
シングル盤のA面とB面を合成した曲で、
残りの曲はすべて12インチ・シングル盤
の曲です。
2曲目のLopez Walkerの「Jah Jah New
Garden」と3曲目のErrol Davisの「Path
I Have Taken」、5曲目Lopez Walkerの
「Send Another Moses」は、当時歌とダブ
(ヴァージョン)でリリースされた
7インチ・シングルを、この99年に繋ぎ
合わせてロング・ヴァージョンに改編した
ものなんですね。
ミュージシャンはドラムにSly Dunbarと
Devon Richerdson、ベースにLloyd Parks、
ギターにBertram 'Ranchie' McCleanと
Winston 'Bo-Peep' Bowen、オルガンに
Ansell CollinsとWinston Wright、ピアノ
とシンセサイザーにFranklyn 'Bubbler'
Waul、パーカッションにUziah 'Sticky'
Thompson、トランペットにJunior 'Chico'
Chin、サックスに'Deadly' Headley
Bennett、トロンボーンにVincent
'Trommie' Gordonという布陣です。
メンバー的に見ると、この時代に活躍した
The Revolutionariesとほぼ一手も良いような布陣です。
編纂者としてBlood & Fireレーベルの
Steve Barrowの名前があります。
ジャケット・デザインに関する記述は見つ
かりませんでした。
表ジャケは16ページの小冊子になって
いて曲の歌詞や参加したミュージシャン、
Steve Barrow氏の解説文などの記述があり
ました。

裏ジャケ

小冊子(表ジャケ~16ページ)

小冊子(8~9ページ)

小冊子(10~11ページ)
さて今回のアルバムですが、Phase One
RecordsでのThe Chantellsをはじめとする
アーティストの活躍ぶりがよく解る
アルバムで、内容はなかなか良いと思い
ます。
このRoy Francisが主催するPhase One
Recordsレーベルですが、70年代半ば頃
から活躍するレーベルで、The Chantells
やLopez Walkerなど、なかなか面白い
アーティストが活躍したレーベルなんです
ね。
このアルバムの中で一番知名度の高い
アーティストはU Brownですが、彼のいろ
いろなレーベルで活躍しており、この
Phase One Recordsのアーティストとは言い
難いところがあります。
そうなるとPhase One Recordsからアルバム
を出しているThe Chantellsが、もっとも
このレーベルらしいアーティストという事
になります。
今回のアルバムの副題が「The Chantells
& Friends 1977-79」となっていますが、
このPhase One Recordsを象徴する
アーティストとして、彼らがもっとも相応
しいんですね。
そのPhase One Recordsの大きな特徴は、
次のダンスホール・レゲエの時代に繋がる
明るいステッパーズ・スタイルという事に
なるでしょうか。
この70年代はまだルーツ・レゲエの時代
で、レゲエ独特の宗教ラスタファリズムを
元にした黒人の権利などを訴える
プロテスト・ソング的な曲が多く生まれた
時代ですが、このレーベルの曲は一応は
Jah(神)などラスタファリ済みについて
歌っているものの、どちらかというと
ちょっとノリが軽いんですね。
例えばThe Chantellsの唯一のアルバムの
タイトルにもなった「Waiting In The
Park」という曲がありますが、思想的な事
は歌われておらず、「一晩中講演で待って
いたのに、なんですっぽかしたんだ!」と
いう、ラスタファリズムとはあまり関係
無さそうな女性をなじるような歌なんです
ね。
そうした恋愛などのあまり思想性の無い歌
も、この頃には多くリリースされるように
なっていたのかもしれません。
シャンテルズ(Chantells) - Waiting In The Park - 1978 - リリック
CHANTELLS ~ WAITING IN THE PARK / REVOLUTIONARIES ~ PHASE 1 DUB
ちなみにステッパーズ・スタイルとは
「スライ・ダンバーが開発した4拍子の4拍
すべてに固い4つ打ちのバスドラムを打つ
リズム」なんだそうです。
YOU!レゲエ しちゃいなYO!
この70年代のルーツの時代には、ワン・
ドロップやロッカーズ(別名:
ミリタント・ビート)、フライング・
シンバルなど、様々なビートが開発された
時代だったんですね。
このステッパーズはちょっとロッカーズ
とも似たリズムのビートですが、横揺れの
多いレゲエでは珍しいピョンピョンと飛び
跳ねるような縦揺れのビートなんですね。
そうしたステッパーズ・ビートなどで人気
を博したPhase One Recordsのアーティスト
を集めたのが、今回のアルバムです。
極端な話知られているアーティストは
The Chantellsぐらいしか居ませんが、
レゲエ博士と呼ばれたSteve Barrow氏
らしい選曲が光る、好内容のアルバムと
なっています。
90年代頃からこのSteve Barrow氏の
Blood & FireやPressure Soundsなどの
過去の音源を発掘するレゲエ・
リイシュー・レーベルが活躍し始めます
が、その功績はかなり大きいと思います。
軽快なステッパーズのビートに乗せた前半
が歌、後半がダブかディージェイの
ディスク・ミックスの楽曲はとても魅力的
です。
Blood & Fireレーベルらしい深掘りした、
好内容のコンピュレーション・アルバムに
仕上がっています。
1曲目はThe Chantells & U Brownの
「Children Of Jah / Time To Unite」
です。
軽快なステッパーズのドラミングに、
ズシっと腹に響くベースと浮遊感のある
キーボードのメロディ、高音を活かした
ファルセットのヴォーカルにコーラス・
ワークがイイ感じ。
後半はダブワイズしたバックに、ちょっと
ウィキッドなU Brownのトースティングが
ナイスな楽曲となっています。
THE CHANTELLS & U BROWN - Children of Jah (1977 phase one)
2曲目はLopez Walkerの「Jah Jah New
Garden」です。
書いたようにこの曲はこのアルバムの為に
歌とダブ(ヴァージョン)が合成された曲
のようです。
歯切れの良いドラミングに、ドスの効いた
ベースとギター、キーボードのメロディ、
Lopez Walkerのちょっとしゃがれた
ヴォーカルがイイ感じ。
後半はエコーの効いた、強く打ち込むよう
なダブ。
Lopez Walker_Jah Jah New Garden + Version
3曲目はErrol Davisの「Path I Have
Taken」です。
こちらもこのアルバムの為に歌とダブ
(ヴァージョン)が合成された曲のよう
です。
気持ちの良いコツコツと刻むような
ドラミングに、ズシっとしたベースと浮遊
感のあるキーボード、ホーンのメロディ、
伸びやかなErrol Davisのヴォーカルも
イイ感じ。
後半はズシっとしたベースと軽やかな
ドラミングを軸としたダブ。
Errol Davis – Part I Have Taken / Version [1977]
4曲目はThe Terrorsの「Assemble Not
Thyself」です。
コツコツと心地良いドラミングに、キー
ボードとギターのメロディ、心地良い
コーラス・ワークに乗せた爽やかな
ヴォーカルがイイ感じ。
The Terrors - Assemble Not Thyself
5曲目はLopez Walkerの「Send Another
Moses」です。
こちらもこのアルバムの為に歌とダブ
(ヴァージョン)が合成された曲のよう
です。
軽快なドラミングに、浮遊感のあるキー
ボードと重量感のあるベース、ピアノの
メロディ、コーラスに乗せた伸びやかな
Lopez Walkerのヴォーカルもイイ感じ。
Send Another Moses + Version - Lopez Walker
6曲目はSteve Boswell & Jah Berryの
「Cool Rastaman Cool」です。
心地良いドラミングに、心地良いギター・
ワークとキーボード、ドスの効いたベース
のメロディ、コーラスに乗せたSteve
Boswellの節回しの効いたヴォーカルも
イイ感じ。
後半のJah Berryのちょっとヤサグレた
感じのトースティングもイイ感じ。
Steve Boswell & Jah Berry- Cool Rastaman Cool
7曲目はThe Chantellsの「Desperate
Times」です。
勢いのあるドラミングと、ギターと重量感
のあるベース、キーボードのメロディ、
コーラスに乗せたファルセットな
ヴォーカルがイイ感じ。
Desperate Time - The Chantells
8曲目はLopez Walkerの「Trial Days」
です。
心地の良いドラミングに、味のあるギター
とベース、キーボードのメロディ、伸び
やかに歌うLopez Walkerのヴォーカルも
イイ感じ。
Lopez Walker - Trial Days
9曲目はThe Chantellsの
「Natty Supper」です。
ホーン・セクションのオープニングから、
ギターとピアノ、キーボード、ホーンの
メロディ、コーラスに乗せた伸びやかな
ヴォーカルがイイ感じ。
後半はホーンとドスの効いたベースの
ダブ。
12'' Chantells - Natty Supper (& dub)
10曲目はLopez Walkerの「Fly Away」
です。
心地良いドラミングから、ギターと重量感
のあるベースのメロディ、伸びやかな
Lopez Walkerのヴォーカルがイイ感じ。
Lopez Walker - Fly Away
ざっと追いかけて来ましたが、ルーツから
ダンスホールへと変わって行く70年代
後半の時代の空気感がうまく詰め込まれた
アルバムで、いかにもSteve Barrow氏
らしい好選曲が光る内容となっています。
前半が歌、後半がダブかディージェイの
ディスク・ミックス・ヴァ―ジョンの曲を
集めた選曲もとても面白いところ。
過去の音源を再発掘して再評価する、そう
した新しい音楽の聴き方を提示した、この
Blood & Fireレーベルが現在は活動停止と
なっている事は非常に惜しまれます。
機会があればぜひ聴いてみてください。
LOPEZ WALKER "FLY AWAY" DUBPLATE FOR HITS PON HITS
THE CHANTELLS WITH "CHILDREN OF JAH" DUBPLATE FOR HITS PON HITS
U Brown @ Jack Ruby Lawn & U Roy Stage Show (1978)
U Brown & Joseph Cotton - Dub for Mass-I
○アーティスト: Various
○アルバム: Children Of Jah: The Chantells & Friends 1977-79
○レーベル: Blood & Fire
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1999
○Various「Children Of Jah: The Chantells & Friends 1977-79」曲目
1. Children Of Jah / Time To Unite - The Chantells & U Brown
2. Jah Jah New Garden - Lopez Walker
3. Path I Have Taken - Errol Davis
4. Assemble Not Thyself - The Terrors
5. Send Another Moses - Lopez Walker
6. Cool Rastaman Cool - Steve Boswell & Jah Berry
7. Desperate Times - The Chantells
8. Trial Days - Lopez Walker
9. Natty Supper - The Chantells
10. Fly Away - Lopez Walker
●今までアップしたRoy Francis (Phase One Records)関連の記事
Roy Francis (The Revolutionaries)「Phase One Dub-Wise Volume 1/2」
〇Chantells「Waiting In The Park」
●今までアップしたChantells関連の記事
〇Chantells「Waiting In The Park」
〇Various「Can't Stop The Dread」
●今までアップしたU-Brown関連の記事
〇U Brown「Repatriation」
〇U Brown「Superstar」
〇U Brown「Train To Zion [1975-1978]」
〇U-Brown「Raver's Party」
〇U-Brown「You Can't Keep A Good Man Down」
アルバム

「Children Of Jah: The Chantells &
Friends 1977-79」です。
まずは今回のアルバムに参加している
アーティストの履歴を、簡単に書いて行き
たいと思います。
The Chantellsは70年代のルーツ・
レゲエの時代に活躍した、Lloyd Forest
とSamuel Bramwell、Tommy Thomasから
なる3人組のコーラス・グループのです。
ネットのDiscogsによると、78年に
「Waiting In The Park」という1枚の
アルバムを残しているほか、39枚ぐらい
のシングル盤を残しています。

The Chantells – Waiting In The Park (1978)
The Chantells - Wikipedia
U Brown(本名:Huford Brown)は70年
代のルーツ・レゲエの時代から活躍した
ディージェイです。
U Royのフォロワーとして登場した彼は、
70~80年代にかけて様々なサウンド・
システムを渡り歩き、活躍した事で知られ
ています。
英語のWikipediaのページには彼の経歴と
して、次のような文章が書かれています。
Huford Brown (born 8 June 1956, Kingston, Jamaica), better known by the stage name U Brown,
is a reggae deejay who released eleven albums between 1976 and 1984.
(Huford Brown《1956年6月8日
ジャマイカ、キングストン生まれ》は、
1976年から84年にかけて11枚の
アルバムを残したレゲエ・ディージェイの
U-Brownとして知られています。)
この記述からも彼U-Brownが、70年代
後半のルーツ・レゲエの時代から80年代
前半のアーリー・ダンスホールの時代に
活躍したディージェイである事が解り
ます。
ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て18枚ぐらいのアルバムと、223枚
ぐらいのシングル盤を残しています。
U Brown - Wikipedia
Lopez Walker(本名不明)はネットの
Discogsの履歴を見ると、70年代半ば
から80年代にかけて活躍したシンガーの
ようです。
ネットのDiscogsによると、12枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。
Lopez Walker - Lost In A Dream
Errol Davis(本名不明)はネットの
Discogsの履歴を見ると、70年代後半
から80年頃まで活躍したシンガーのよう
です。
ネットのDiscogsによると、3枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。
Errol Davis - Come A Long Way
The TerrorsはネットのDiscogsの履歴を
見ると、Donovan BrissettとEdmund
Brissett、L. Lewisから成る3人組の
コーラス・グループで、70年代後半から
80年頃まで活躍したグループのよう
です。
ネットのDiscogsによると、9枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。
The Terrors - Don't Bother Me / Version - Joe Frasier 7"
Steve Boswell(本名不明)はネットの
Discogsの履歴を見ると、77~78年
頃に活躍したシンガーのようです。
ネットのDiscogsによると、今回の
アルバムに収められた78年の
「Cool Rastaman Cool」と、77年に
リリースされた「I Am Getting Bad」の
2枚ぐらいのシングル盤をリリースして
います。
STEVE BASWELL - I Am Getting Bad [1977]
Jah Berry(本名不明)はネットの
Discogsの履歴を見ると、77~82年
頃まで活躍したディージェイのようです。
ネットのDiscogsによると、12枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。
Jah Berry - Sufferation & starvation
今回のアルバムは1999年にUKの
レゲエ・リイシュー・レーベルBlood &
Fireからリリースされた、1977年
から79年の間にジャマイカのPhase One
Recordsからリリースされた、
The Chantellsやその周辺のアーティスト
の楽曲を集めたコンピュレーション・
アルバムです。
プロデュースとアレンジはPhase One
RecordsレーベルのRoy Francisで、収め
られた全10曲が前半は歌、後半は
ディージェイかダブなどの、エクステン
デッド・ヴァージョン(ディスコ・
ミックス・ヴァージョン)の楽曲になって
います。
手に入れたのはBlood & Fireレーベルから
リリースされたCDの中古盤でした。
全10曲で収録時間は65分05秒。
ミュージシャンについては以下の記述が
あります。
Produced & Arranged by Roy Francis
Recorded at Channel One Studio and Joe Gibbs Studio
Engineers: JoJo Hookim, Errol Thompson
All tracks taken from original 12" singles
except tracks 2, 3 & 5 which are edits of the A & B sides of 7" singles.
Musicians:
Drums: Sly Dunbar, Devon Richerdson
Bass: Lloyd Parks
Guitar: Bertram 'Ranchie' McClean, Winston 'Bo-Peep' Bowen
Organ: Ansell Collins, Winston Wright
Piano, Synthesiser: Franklyn 'Bubbler' Waul
Percussion: Uziah 'Sticky' Thompson
Trumpet: Junior 'Chico' Chin
Saxophone: 'Deadly' Headley Bennett
Trombone: Vincent 'Trommie' Gordon
Compiled by Steve Barrow
となっています。
プロデュースとアレンジはPhase One
RecordsのRoy Francisで、レコーディング
はジャマイカのキングストンにある
Channel One StudioとJoe Gibbs Studioで
行われ、(ミキシングの)エンジニアは
JoJo HookimとErrol Thompsonが担当して
います。
2曲目と3曲目、5曲目は7インチ・
シングル盤のA面とB面を合成した曲で、
残りの曲はすべて12インチ・シングル盤
の曲です。
2曲目のLopez Walkerの「Jah Jah New
Garden」と3曲目のErrol Davisの「Path
I Have Taken」、5曲目Lopez Walkerの
「Send Another Moses」は、当時歌とダブ
(ヴァージョン)でリリースされた
7インチ・シングルを、この99年に繋ぎ
合わせてロング・ヴァージョンに改編した
ものなんですね。
ミュージシャンはドラムにSly Dunbarと
Devon Richerdson、ベースにLloyd Parks、
ギターにBertram 'Ranchie' McCleanと
Winston 'Bo-Peep' Bowen、オルガンに
Ansell CollinsとWinston Wright、ピアノ
とシンセサイザーにFranklyn 'Bubbler'
Waul、パーカッションにUziah 'Sticky'
Thompson、トランペットにJunior 'Chico'
Chin、サックスに'Deadly' Headley
Bennett、トロンボーンにVincent
'Trommie' Gordonという布陣です。
メンバー的に見ると、この時代に活躍した
The Revolutionariesとほぼ一手も良いような布陣です。
編纂者としてBlood & Fireレーベルの
Steve Barrowの名前があります。
ジャケット・デザインに関する記述は見つ
かりませんでした。
表ジャケは16ページの小冊子になって
いて曲の歌詞や参加したミュージシャン、
Steve Barrow氏の解説文などの記述があり
ました。

裏ジャケ

小冊子(表ジャケ~16ページ)

小冊子(8~9ページ)

小冊子(10~11ページ)
さて今回のアルバムですが、Phase One
RecordsでのThe Chantellsをはじめとする
アーティストの活躍ぶりがよく解る
アルバムで、内容はなかなか良いと思い
ます。
このRoy Francisが主催するPhase One
Recordsレーベルですが、70年代半ば頃
から活躍するレーベルで、The Chantells
やLopez Walkerなど、なかなか面白い
アーティストが活躍したレーベルなんです
ね。
このアルバムの中で一番知名度の高い
アーティストはU Brownですが、彼のいろ
いろなレーベルで活躍しており、この
Phase One Recordsのアーティストとは言い
難いところがあります。
そうなるとPhase One Recordsからアルバム
を出しているThe Chantellsが、もっとも
このレーベルらしいアーティストという事
になります。
今回のアルバムの副題が「The Chantells
& Friends 1977-79」となっていますが、
このPhase One Recordsを象徴する
アーティストとして、彼らがもっとも相応
しいんですね。
そのPhase One Recordsの大きな特徴は、
次のダンスホール・レゲエの時代に繋がる
明るいステッパーズ・スタイルという事に
なるでしょうか。
この70年代はまだルーツ・レゲエの時代
で、レゲエ独特の宗教ラスタファリズムを
元にした黒人の権利などを訴える
プロテスト・ソング的な曲が多く生まれた
時代ですが、このレーベルの曲は一応は
Jah(神)などラスタファリ済みについて
歌っているものの、どちらかというと
ちょっとノリが軽いんですね。
例えばThe Chantellsの唯一のアルバムの
タイトルにもなった「Waiting In The
Park」という曲がありますが、思想的な事
は歌われておらず、「一晩中講演で待って
いたのに、なんですっぽかしたんだ!」と
いう、ラスタファリズムとはあまり関係
無さそうな女性をなじるような歌なんです
ね。
そうした恋愛などのあまり思想性の無い歌
も、この頃には多くリリースされるように
なっていたのかもしれません。
シャンテルズ(Chantells) - Waiting In The Park - 1978 - リリック
CHANTELLS ~ WAITING IN THE PARK / REVOLUTIONARIES ~ PHASE 1 DUB
ちなみにステッパーズ・スタイルとは
「スライ・ダンバーが開発した4拍子の4拍
すべてに固い4つ打ちのバスドラムを打つ
リズム」なんだそうです。
YOU!レゲエ しちゃいなYO!
この70年代のルーツの時代には、ワン・
ドロップやロッカーズ(別名:
ミリタント・ビート)、フライング・
シンバルなど、様々なビートが開発された
時代だったんですね。
このステッパーズはちょっとロッカーズ
とも似たリズムのビートですが、横揺れの
多いレゲエでは珍しいピョンピョンと飛び
跳ねるような縦揺れのビートなんですね。
そうしたステッパーズ・ビートなどで人気
を博したPhase One Recordsのアーティスト
を集めたのが、今回のアルバムです。
極端な話知られているアーティストは
The Chantellsぐらいしか居ませんが、
レゲエ博士と呼ばれたSteve Barrow氏
らしい選曲が光る、好内容のアルバムと
なっています。
90年代頃からこのSteve Barrow氏の
Blood & FireやPressure Soundsなどの
過去の音源を発掘するレゲエ・
リイシュー・レーベルが活躍し始めます
が、その功績はかなり大きいと思います。
軽快なステッパーズのビートに乗せた前半
が歌、後半がダブかディージェイの
ディスク・ミックスの楽曲はとても魅力的
です。
Blood & Fireレーベルらしい深掘りした、
好内容のコンピュレーション・アルバムに
仕上がっています。
1曲目はThe Chantells & U Brownの
「Children Of Jah / Time To Unite」
です。
軽快なステッパーズのドラミングに、
ズシっと腹に響くベースと浮遊感のある
キーボードのメロディ、高音を活かした
ファルセットのヴォーカルにコーラス・
ワークがイイ感じ。
後半はダブワイズしたバックに、ちょっと
ウィキッドなU Brownのトースティングが
ナイスな楽曲となっています。
THE CHANTELLS & U BROWN - Children of Jah (1977 phase one)
2曲目はLopez Walkerの「Jah Jah New
Garden」です。
書いたようにこの曲はこのアルバムの為に
歌とダブ(ヴァージョン)が合成された曲
のようです。
歯切れの良いドラミングに、ドスの効いた
ベースとギター、キーボードのメロディ、
Lopez Walkerのちょっとしゃがれた
ヴォーカルがイイ感じ。
後半はエコーの効いた、強く打ち込むよう
なダブ。
Lopez Walker_Jah Jah New Garden + Version
3曲目はErrol Davisの「Path I Have
Taken」です。
こちらもこのアルバムの為に歌とダブ
(ヴァージョン)が合成された曲のよう
です。
気持ちの良いコツコツと刻むような
ドラミングに、ズシっとしたベースと浮遊
感のあるキーボード、ホーンのメロディ、
伸びやかなErrol Davisのヴォーカルも
イイ感じ。
後半はズシっとしたベースと軽やかな
ドラミングを軸としたダブ。
Errol Davis – Part I Have Taken / Version [1977]
4曲目はThe Terrorsの「Assemble Not
Thyself」です。
コツコツと心地良いドラミングに、キー
ボードとギターのメロディ、心地良い
コーラス・ワークに乗せた爽やかな
ヴォーカルがイイ感じ。
The Terrors - Assemble Not Thyself
5曲目はLopez Walkerの「Send Another
Moses」です。
こちらもこのアルバムの為に歌とダブ
(ヴァージョン)が合成された曲のよう
です。
軽快なドラミングに、浮遊感のあるキー
ボードと重量感のあるベース、ピアノの
メロディ、コーラスに乗せた伸びやかな
Lopez Walkerのヴォーカルもイイ感じ。
Send Another Moses + Version - Lopez Walker
6曲目はSteve Boswell & Jah Berryの
「Cool Rastaman Cool」です。
心地良いドラミングに、心地良いギター・
ワークとキーボード、ドスの効いたベース
のメロディ、コーラスに乗せたSteve
Boswellの節回しの効いたヴォーカルも
イイ感じ。
後半のJah Berryのちょっとヤサグレた
感じのトースティングもイイ感じ。
Steve Boswell & Jah Berry- Cool Rastaman Cool
7曲目はThe Chantellsの「Desperate
Times」です。
勢いのあるドラミングと、ギターと重量感
のあるベース、キーボードのメロディ、
コーラスに乗せたファルセットな
ヴォーカルがイイ感じ。
Desperate Time - The Chantells
8曲目はLopez Walkerの「Trial Days」
です。
心地の良いドラミングに、味のあるギター
とベース、キーボードのメロディ、伸び
やかに歌うLopez Walkerのヴォーカルも
イイ感じ。
Lopez Walker - Trial Days
9曲目はThe Chantellsの
「Natty Supper」です。
ホーン・セクションのオープニングから、
ギターとピアノ、キーボード、ホーンの
メロディ、コーラスに乗せた伸びやかな
ヴォーカルがイイ感じ。
後半はホーンとドスの効いたベースの
ダブ。
12'' Chantells - Natty Supper (& dub)
10曲目はLopez Walkerの「Fly Away」
です。
心地良いドラミングから、ギターと重量感
のあるベースのメロディ、伸びやかな
Lopez Walkerのヴォーカルがイイ感じ。
Lopez Walker - Fly Away
ざっと追いかけて来ましたが、ルーツから
ダンスホールへと変わって行く70年代
後半の時代の空気感がうまく詰め込まれた
アルバムで、いかにもSteve Barrow氏
らしい好選曲が光る内容となっています。
前半が歌、後半がダブかディージェイの
ディスク・ミックス・ヴァ―ジョンの曲を
集めた選曲もとても面白いところ。
過去の音源を再発掘して再評価する、そう
した新しい音楽の聴き方を提示した、この
Blood & Fireレーベルが現在は活動停止と
なっている事は非常に惜しまれます。
機会があればぜひ聴いてみてください。
LOPEZ WALKER "FLY AWAY" DUBPLATE FOR HITS PON HITS
THE CHANTELLS WITH "CHILDREN OF JAH" DUBPLATE FOR HITS PON HITS
U Brown @ Jack Ruby Lawn & U Roy Stage Show (1978)
U Brown & Joseph Cotton - Dub for Mass-I
○アーティスト: Various
○アルバム: Children Of Jah: The Chantells & Friends 1977-79
○レーベル: Blood & Fire
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1999
○Various「Children Of Jah: The Chantells & Friends 1977-79」曲目
1. Children Of Jah / Time To Unite - The Chantells & U Brown
2. Jah Jah New Garden - Lopez Walker
3. Path I Have Taken - Errol Davis
4. Assemble Not Thyself - The Terrors
5. Send Another Moses - Lopez Walker
6. Cool Rastaman Cool - Steve Boswell & Jah Berry
7. Desperate Times - The Chantells
8. Trial Days - Lopez Walker
9. Natty Supper - The Chantells
10. Fly Away - Lopez Walker
●今までアップしたRoy Francis (Phase One Records)関連の記事
Roy Francis (The Revolutionaries)「Phase One Dub-Wise Volume 1/2」
〇Chantells「Waiting In The Park」
●今までアップしたChantells関連の記事
〇Chantells「Waiting In The Park」
〇Various「Can't Stop The Dread」
●今までアップしたU-Brown関連の記事
〇U Brown「Repatriation」
〇U Brown「Superstar」
〇U Brown「Train To Zion [1975-1978]」
〇U-Brown「Raver's Party」
〇U-Brown「You Can't Keep A Good Man Down」
コメント