7月8日(金)に起こった安倍晋三元首相
の銃撃事件は、とても衝撃的な出来事でし
た。

私がこのニュースを知ったのは12時を
過ぎてNHKのニュースを見た時で、その
時はまだそんな惨劇が起きているとは思わ
ず、日本で銃撃?散弾銃?とちょっと意外
に思ったぐらいでした。
その後心肺停止でヘリで搬送などという
情報が入って来て、これは大変な事が起き
たと初めて理解しました。
そして夕方には死亡のニュースが流れ、
これは本当に大変な出来事が起きてしまっ
たなぁと思いました。
私は安倍元首相をあまり支持はしていない
が、どんな理由があるにせよ人をこのよう
に暗殺して良い理由にはならないと思い
ます。

この当時は参議院選挙前で犯人の山上徹也
容疑者の犯行動機も、「政治的な動機では
なく、特定の宗教団体に対する恨み」と
しか報道されていませんでしたが、選挙後
にその「特定の宗教団体」が旧統一教会の
世界平和統一家庭連合だった事が明かされ
ました。
え?旧統一教会?
あの霊感商法や芸能人の合同結婚式などで
知られる、あの韓国の宗教団体?
初めに旧統一教会と聞いた時に、超保守の
安倍元首相と韓国のこの団体が結び付いて
いる事にすごく不思議な気がしました。
でもその後の報道で解りましたが、この
統一教会は安倍元首相の祖父の岸信介さん
の時代から太い繋がりがあり、その関連
団体にビデオメッセージを送るほど深い
繋がりがあったんですね。
結果的にその太い繋がりが、今回の悲劇を
生んでしまったようです。

今はマスコミがまったく報道していません
が、有名人の合同結婚式が行われた当時の
統一教会は、高額のツボを買わせる霊感
商法や会った事も無い人といきなり結婚
させる合同結婚式が社会的な問題となり、
TVや新聞などマスコミで連日報道される
大騒動となっていました。
それがまったく報道されなくなったので、
今はそんな強引なヤリ方をしていないの
ではと思っていたのですが、実はまだ続い
ていたんですね。
その事が今回の一番の驚きです。

報道されなくなったのは、旧統一教会が
安倍元首相をはじめとする保守の政治家に
食い込んで、政治家がマスコミに圧力を
かけるようになった為のようです。
マスコミは政治家に忖度して、報道して
いないんですね。
政治評論家の田崎さんが安倍さんの脇の
甘さが今回の事件の引き金になったと
語っていましたが、教会のビデオなどに
出ていなければ、今回の事件は起きなかっ
たのかもしれません。

森友問題や桜を見る会などの報道もそう
ですが、今のマスコミの報道は政治家に
配慮(忖度)して、報道の自由がかなり
失われつつあるように感じます。
つまりこういう重大な事件が起きなけれ
ば、私達は旧統一教会のこのような問題
を深く知る事は無かったように思い
ます。
そういう意味では山上徹也容疑者は目的を
果たしたという事でしょうか。
今秋発売されたNewsweek誌日本版には、
今の日本の状況は多くの首相が暗殺された
戦前の日本に似て来ているというような事
が書かれていますが、実際に貧富の格差が
開き、国民が分断された状況になって来て
いるのを肌で感じます。
そうしたイライラや殺気が、徐々にこの
日本の中に溜まって来ているんですね。

エリートとして育ち、首相まで経験した
安倍元首相と、宗教団体に全ての財産を
奪われ、家族まで失って非正規でしか働け
なくなった山上徹也という人の間には、
乗り越える事の絶対出来ない大きな大きな
壁があります。
その壁を殺人という暴力で乗り越えようと
した山上徹也という人の行動は批判される
べきですが、その乗り越えられない壁を
作った安倍さんや私達国民自身も深く反省
しなければならないと思います。

ちなみに韓国の旧統一教会にはそういう
問題が起きていないのか?というと、
旧統一教会には「“エバ国”日本が資金
調達し“アダム国”韓国に捧げる」という
システムになっていて、そこまで過酷な
資金の取り立ては行っていないようです。
聖書のアダムとイブ(エバ)の逸話から、
エバ国というのは蛇に騙されてリンゴを
食べた原罪の女エバの国という事で、
どんな過酷な取り立てをしてもOKの国。
アダム国は男性であるので、男尊女卑の
考えで「敬うべき国」なので、過酷な取り
立てはしてはいけないんだとか。
要するに日本は過酷な取り立てをするけれ
ど、韓国ではそのお金を利用した普通の
宗教という事らしいです。
ちょっと「なんだかなぁ」といった感じ
です(笑)。
要するにキリスト教と男尊女卑が入り
混じった、韓国独特の宗教が世界平和統一
家庭連合(旧統一教会)という宗教らしい
です。
これはテレビなどの情報をただまとめた
ものなのでそれ以上の事は解りませんが、
正直政治家の後ろ盾があったとはいえ、
これほどこれほど世界平和統一家庭連合と
いう宗教の中で、これほどの非人道的な事
が行われていたというのは…ちょっと言葉
がありません。

もちろん安倍元首相という人が行った事
で、裁かれるべき事は裁かれるべきだと
思っていますが、こうした暴力で命を落と
すという事は間違っています。
今回の事件でもっとも怒っている人の
ひとりは、森友問題で亡くなられた家族の
方などではないでしょうか。
安倍元首相が亡くなった事で、森友問題は
闇から闇へと葬られてしまうかもしれま
せん。
その心痛を思うと心が痛みます。

またこの問題は「上級国民」と「庶民
(奴隷?)」の格差の問題として捉える事
も出来ます。
この参議院選挙の前によく言われていたの
は、アベノミクスでお金持ちと企業の内部
留保は溜まったけれど、庶民の給料は下が
り続けて外国との格差はどんどん開いて
いるという現実です。
日本はもはや韓国など多くの国から抜かれ
始めています。

その格差の不満から今回の事件も含めて、
地下鉄ジョーカー事件や心療内科放火事件
など、多くの理不尽なテロ事件が起きる
ようになって来ているんですね。
今回の事件もそうした理不尽なテロの
ひとつとみる事が出来るかもしれません。
日本は貧困から抜け出す為には、3世代
ほどかかるそうです。
自分が貧困家庭で生まれたら、いくら努力
しても抜け出すのは孫の代にならないと
無理なんですね。
対して北欧のスウェーデンなどは1世代で
抜け出せるんだとか。

おそらく非正規社員で40歳ぐらいまで
生きて来ると、自分が貧困から抜け出すの
は一生無理と深く自覚するでしょう。
そうした人間のイライラが、今の世の中
にはたくさん溜まっている状態なので
しょう。
そして大した理由も無しにそのイライラは
大爆発を起こします。
山上徹也という人間もそうしたイライラを
抱えた人間のひとりだったのかもしれま
せん。

Bob Marleyの曲で「I Shot The Sheriff」
という曲があります。

I Shot The Sheriff(アイ・ショット・ザ・シェリフ) - Bob Marley:つれづれげえ日記

保安官のジョン・ブラウンはいつも俺を
憎んでた。
俺が種を植えると彼はそれを焼き払えと
言った。
俺が街を出ようとすると、彼は俺に銃を
構えた。
だから俺は彼を撃った。
撃つしかなかったんだ。

この歌には貧困にあえぐ若者の何とも言え
ない苛立ちが埋め込まれています。
今回の事件の報道に接したときに、何と
なくこの曲を思い出しました。
そしてこの曲に込められたなんとも苦い
気持ちを、一瞬だけ理解出来た気がしまし
た。

安倍元首相の生み出した世界には、お金が
増えて幸福を感じている人も居るかもしれ
ません。
しかしその裏では40歳を過ぎても非正規
でしか働けず、フォークリフトを動かす
しか生きる術のない人も居るのかもしれま
せん。

それが良い事なのか、あるいは悪い事なの
か、もう一度私達は原点に立ち戻って考え
てみる必要があるのではないでしょうか。