今回はThe Monotronesのアルバム

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「The New Adventures Of The Monotrones」
です。

The MonotronesはネットのDiscogsに
よるとHans KirschnerとStephan Rendkeの
2人からなるグループのようです。

このグループについてはあまり情報が無く
よく解りませんが、どうもドイツの
ドレスデンで活躍するモノトロンという
アナログ・シンセサイザーを演奏する
キーボード・ユニットのようです。
ネットのYouTubeには彼らと思われる2人
の白人のキーボード奏者と白人のディー
ジェイが公園のような所で演奏する
2019年の映像があります。

Tree Dread alongside The Monotrones @ Wildsmile Stage, Hechtfest 2019


おそらくこの演奏をする2人が
The Monotronesなのではないかと思われ
ますが、本当にそうなのかはよく解りま
せん。

ネットのDiscogsによると、2018年
にドイツのRakete Tonträgerという
レーベルから「The Johnny EP」という
6曲入りの12インチ45回転EP盤
と、2021年に同じRakete Tonträger
レーベルから今回の「New Adventures」
という4曲入りの12インチ45回転
EP盤をリリースしています。

今回のアルバムは2021年にドイツの
Rakete Tonträgerレーベルからリリース
された彼らの2枚目の12インチ45回転
EP盤です。

表題曲の「New Adventures」の他、すべて
同じリディムの楽曲で、女性シンガー
Ponchita Peligrosとの共演曲
「Murdered」、Jah Screechyとの共演曲
「Old Veteran」、日本人シンガー
Yugo Taguchi(田口勇吾)との共演曲
「Fire」と、全4曲が収められたミニ・
アルバムとなっています。

手に入れたのはRakete Tonträgerから
リリースされたEP盤でした。

Side 1が2曲、Side 2が2曲の全4曲。

詳細なミュージシャンの表記はありま
せん。
EP盤の裏面に次のような記述があり
ます。

Samples in New Adventures Are From The Movie "Alien" (1979).

Illustration And Design: Omgidrawepit
Mastering: Archi Alaert @ Dufte Typen Records, Berlin

Produced 2021 At The Monotrones Headquarter

《「New Adventures」のサンプルは
1979年の映画映画「エイリアン」から
のものです。
イラストレーションとデザインは
Omgidrawepitが担当しています。
マスタリングはベルリンにある
Dufte Typen RecordsのArchi Alaertが
担当しています。
モノトロン本社で2021年に制作され
ました。》

このアルバムは79年のSF映画の
「エイリアン」をモチーフに作成された
ようです。

イラストレーションとデザインは
Omgidrawepitという人(会社?)が担当
しています。
ゴチャゴチャとしたイラストが楽しい
アルバムとなっています。

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裏ジャケ

さて今回のEP盤ですが、アナログ・
シンセサイザーの軽妙なリズムに乗せた
ゲスト・シンガーたちの歌が楽しいEP盤
で、内容は悪くないと思います。

今回のEP盤ですが、ネットのレゲエ
レコード・コムでたまたま見つけた
アルバムで、試聴してみたらデジタル・
ダンスホールの軽いノリが気持ちよく、
ジャケット・デザインも悪くなく、日本人
シンガーの田口勇吾さんという方も気に
なったので、ちょっと遊びで購入してみた
アルバムでした。
(おそらく買い逃したら二度と手に入り
そうもないという事もありました。)
実際に聴いてみた印象としても、凄い
アルバムという感じではないですが、
デジタルの力みのない軽いノリが心地良く
て、ヨーロッパのレゲエ・シーンの空気感
が良く出た、好内容のアルバムという感じ
がしました。

このThe Monotronesというユニットです
が、あまりに情報が無さ過ぎてどういう
グループなのか?正直なところよく解りま
せん。
ただネットのDiscogsの記述から見ると
Hans KirschnerとStephan Rendkeの2人組
のユニットらしい事と、ネットのLion
Music Denという販売サイトに「ドイツ・
ドレスデンのDUBチームThe Monotrones」
と書かれていたので、彼らがドイツの
ドレスデンのグループらしい事、
The Monotronesというユニット名から推測
するとモノトロンというアナログ・シンセ
サイザーを演奏するグループではないか?
(あくまで推測です)という事ぐらい
です。

ちなみにモノトロンというのは、Korg製か
何かの手のひらサイズのアナログ・シンセ
サイザーで、価格は3~4000円ぐらい
のものらしいです。
その値段だったらちょっと欲しいかも…。

ちなみにGoogleで「The Monotrones」で
検索すると、50年代にアメリカで活躍
した6人組のドゥーワップ・ボーカル・
グループの「The Monotones」が出て来て
しまいます。
(アルバム・タイトルの「New
Adventures」まで打ち込むと検索出来ま
す。)

上にも書きましたが、このThe Monotrones
の活動履歴として解っているのは、18年
に「The Johnny EP」という6曲入りの
EP盤をリリースしている事と、今回の
EP盤をリリースしている事ぐらいです。

Johnny


Johnny Reprise


実際にYouTube上にある「The Johnny EP」
の曲と思われる楽曲を聴いてみましたが、
今回のアルバムよりダブワイズがかかった
硬質なサウンドで、聴きようによっては
テクノにも近いかなと思うサウンドでし
た。
今回のアルバムの方がゲスト・ミュージ
シャンなどをうまく活用して、より柔軟性
のあるダンスホール・サウンドをうまく
作り上げている感があります。

今回のアルバムは同じリズムを使った
「ワンウェイ・アルバム」ですが、その
軽くグルーヴ感のあるノリはちょっと
ハマるものがあります。

ゲスト・ミュージシャンついてもちょっと
書いておきます。

Side 1の1曲目「Murdered」には女性
シンガーのPonchita Peligrosという人が
参加しています。
この人をネットのYouTubeで検索してみる
と、明らかに白人女性と思われる短髪
(ショートカット?)の人の映像がありま
した。

Bam Salute - Roll & Record Ft Ponchita Peligros


ネットのDiscogsのこの人の履歴を見る
と、2008年に「Echomotion」という
アルバム1枚と、2014~17年の間に
4枚のシングル盤をリリースしています。
おそらくヨーロッパのレゲエ・シーンで
活躍するレゲエ・シンガーではないかと
思われます。

Side 2の1曲目「Old Veteran」にはJ
Jah Screechyというシンガーが参加して
います。
この人に関してはネットのLion Music
Denという販売サイトに「ベテランDJ、
Jah Screechy(Walk & Skankが有名)」と
書かれていました。
「Walk & Skank」という楽曲を調べてみる
と84年の楽曲で、彼のヒット曲のよう
です。

Jah Screechy - Walk & Skank


ネットのDiscogsによると、Jah Screechy
(本名:Elton Sinclair)は80年代前半
のアーリー・ダンスホールの時代から活躍
するディージェイで、7枚ぐらいの
シングル盤を残している人のようです。

Side 2の2曲目「Fire」には日本人
シンガーのYugo Taguchi(田口勇吾)と
いう人が参加しています。

この人に関してはネットのDiscogsには
Berlin Boom Orchestraというグループの
2020年の楽曲「# Leave No One
Behind」に大勢の人と参加したという、
デジタル・シングル1曲分の記録しかあり
ません。

また「田口勇吾」で検索をかけると、彼の
ページと思われるフェイスブックのページ
がありました。

Yugo Taguchi (田口 勇吾) | Facebook

残念ながら私はフェイスブックはやって
いないので中身は見れませんが、表紙に
5人の人物が写る写真が使われています。
一番右端が彼田口勇吾さんと思われる人物
で、その隣りがおそらくJah Shakaと思わ
れる人物が写った写真でした。
(残りの3人もレゲエ・ミュージシャンと
思われますが、誰かまでは解りません。)

またその下には次のような紹介文も書かれ
ています。

「愛してます ついてる 嬉しい 楽しい 
感謝してます 幸せです 最高です 許し
ます を心にベルリンで生活している
レゲエシンガーです」

正直なところ私は日本のレゲエの事は全く
と言って良いほど知らないので、彼が日本
でも活躍したレゲエ・シンガーなのかは
解りませんが、彼が「ベルリンで生活して
いるレゲエシンガー」である事は間違いが
無さそうです。

といったところがいろいろ調べて解った事
ですが、おそらくモノトロンという簡易の
アナログ・シンセサイザーで演奏している
と思われる楽曲は、80年代中盤頃から
ジャマイカで流行したデジタルのダンス
ホール・レゲエのようなチープな軽いノリ
があり、そこがとても面白いところ。

例えばあのデジタルのダンスホール・
レゲエの大ブームを巻き起こすきっかけと
なったWayne Smithの「Under Mi Sleng
Teng」という楽曲は、カシオ製のカシオ
トーンという簡易シンセサイザーで作られ
た曲で、そのチープで軽快なノリが新しい
音楽を求めていたジャマイカの若者の心を
捉えて大ヒットした曲だったんですね。

Wayne Smith - Under Me Sleng Teng


当時のデジタル技術だとあまりメロディに
抑揚をつける事が出来ず、のっぺりとした
無機質なサウンドに結果的になってしまっ
たのですが、その表情のないチープ感の
あるサウンドが当時はかえって新鮮で、
多くの若者に支持されたんですね。

今回の楽曲にもあえて簡易シンセを使った
事でチープな軽いノリが生まれ、その
デジタルのダンスホール・レゲエの時代を
彷彿とさせるような不思議な楽しさがあり
ます。
また80年代後半頃はバックのサウンドが
無機質な分、歌手が歌い方を非常に工夫
した時代でしたが、今回のアルバムでも
無機質なバックにそれぞれの歌手の個性が
入る事でうまくサウンドの豊かさを演出
しています。

この4曲の中でゲストの居ない2曲目の
「New Adventures」が一番無機質な印象
ですが、あえて1曲目にせず2曲目に
持って行ったのは、4曲をまとめて聴いた
時にもっとも聴き易く良い構成だったよう
に思います。
意外とかなり細かい配慮が行き届いた
ミニ・アルバムで、内容は悪くないと感じ
ました。

Side 1の1曲目はPonchita Peligrosとの
共演曲「Murdered」です。
無機質なキーボードとデジタルな
ドラミング、ちょっと甲高い白人の女性
シンガーPonchita Peligrosのヴォーカル
がリズミカルで良い感じ。

Murdered (feat. Ponchita Peligros)


2曲目は「New Adventures」です。
電話での話声のようなエフェクトから、
無機質なキーボードとデジタルなビタビタ
としたドラミングの組み合わせが面白い曲
です。

New Adventures


Side 2の1曲目はJah Screechyとの共演曲
「Old Veteran」です。
無機質なキーボードとデジタルな
ドラミング、Jah Screechyちょっと野太い
表情豊かなトースティングがイイ感じ。

Jah Screechy - Old Veteran (EP")


2曲目はYugo Taguchiとの共演曲「Fire」
です。
無機質なキーボードとデジタルな
ドラミング、ソフトなYugo Taguchiの語る
ようなトースティングがなかなかの味わい
でイイ感じ。
最後のキメ言葉「ジャ~マン♪ジャパニ~
ズ♪コンビネ~ション♪」がとても面白い
ところ。

Fire (feat. Yugo Taguchi)


ざっと追いかけて来ましたが、80年代の
デジタル・ダンスホール・レゲエの面白い
要素をうまく盛り込んだ内容で、軽いキー
ボードのノリがとても心地良いEP盤だと
思いました。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Monotrones
○アルバム: The New Adventures Of The Monotrones
○レーベル: Rakete Tonträger
○フォーマット: 12"45回転EP
○オリジナル・アルバム制作年: 2021

○The Monotrones「The New Adventures Of The Monotrones」曲目
Side 1
1. Murdered - feat. Ponchita Peligros
2. New Adventures
Side 2
1. Old Veteran - feat. Jah Screechy
2. Fire - feat. Yugo Taguchi