今回はJoseph Cottonのアルバム

joseph_cotton_03a

「Dancehall Days 1976-1984」です。

Joseph Cotton(本名:Silbert Walton)
は70年代半ば頃から活躍するディー
ジェイです。

70年代半ばにデビューした頃は
Jah Waltonの名前で活躍していたディー
ジェイで、その期間に「Touch Her Where
She Want It Most」というアルバム1枚
をリリースしています。
その後80年代半ばからはこの
Joseph Cottonという名前に変更し、独特
のユーモラスなトースティングで近年まで
活躍しています。

ネットのDiscogsによると、Jah Walton
名義で1枚のアルバムと、55枚ぐらいの
シングル盤、Joseph Cotton名義で共演盤
を含めて18枚ぐらいのアルバムと、
131枚ぐらいのシングル盤を残していま
す。
(Discogsではアルバムが19枚となって
いますが、そのうちの1枚は俳優の
Joseph Cottonのアルバムです。)

Joseph Cotton - Wikipedia

ちなみにJoseph Cottonという名前は、
映画俳優のJoseph Cottenからとった
いわゆる「パクリ名前」です。
ジャマイカのアーティストにはJohn Wayne
やClint Eastwood、Charlie Chaplin
など、有名人から取った「パクリ名前」の
人がけっこう多いんですね。
おそらく名前を覚えてもらい易い為では
ないかと思います。

ジョゼフ・コットン - Wikipedia

今回のアルバムは1998年にドイツの
Moll-Selektaというレーベルからリリース
された、Joseph Cottonの1976年~
84年までの音源を集めたコンピュレー
ション・アルバムです。

76年から84年の頃というとJoseph
CottonがまだJah Waltonと名乗っていた
彼の初期の時代の録音と思われ、ロック
ステディの時代のTreasure Isleレーベル
の音源や、ルーツ・レゲエの時代の
Channel Oneの音源などをバックに、
Joseph Cottonのちょっとユーモラスで
ウィキッドなトースティングがとても魅力
的な内容となっています。

手に入れたのはMoll-Selektaからリリース
されたCDの中古盤でした

全12曲で収録時間は46分。

詳細なミュージシャンの表記はありま
せん。

All songs were recorded in Jamaica
between 1976 and 1984 in some
of the wickedest studios in
kingston, Jamaica and engineered by
some of the greatest fingers:
Treasure Isle Studio / Bond Street,
King Tubby's Studio / Drummer Lee Avenue,
Channel One / Maxfield Avenue.

Engineers: Errol Brown, King Jammy, Scientist,
King Tubby and Bunny Tom Tom

Joseph Cotton would like to thank
the following producers: Sonia Pottinger,
Harry Mudie, Carlton Patterson,
Bunny Lee and Trevor Elliott.

Steve Barrow for making this album possible.

という記述があります。

全ての楽曲は1976から84年の間に
ジャマイカのキングストンにある、
Bond StreetにあるTreasure Isle Studio
と、Drummer Lee Avenueにある
King Tubby's Studio、Maxfield Avenueに
あるChannel Oneのスタジオで行われて
います。

参加したエンジニアはErrol Brownと
King Jammy、Scientist、King Tubby、
Bunny Tom Tomとなっています。
Errol BrownはTreasure Isleレーベルの
主催者Duke Reidの甥のエンジニアで、
おそらくロックステディ期のTreasure
Isleレーベルの楽曲は彼がエンジニア
なのではないかと思います。
King JammyとScientist、King Tubby、
Bunny Tom TomはKing Tubby's Studio
などで活躍したエンジニアです。

Joseph Cottonが感謝している
プロデューサーとして、Sonia Pottinger
と Harry Mudie、Carlton Patterson、
Bunny Lee、Trevor Elliottの名前があり
ます。
Sonia PottingerはHigh NoteやGay Feet
などのレーベルで活躍した女性プロデュー
サーです。
Harry MudieはMoodisc Recordを主催した
プロデュサーで、今回使われている
Dennis Walksの「Drifter」やThe Ebony
Sistersの「Let Me Tell You Boy」
(5曲目「Stay A Yard & Praise God」)
は、彼の作曲した楽曲です。
Carlton PattersonはBlack & White
レーベルで活躍したプロデューサーです。
Bunny LeeはJackpotやAttack、usticeなど
のレーベルを持ち、世界的に活躍した
プロデューサーです。
Trevor ElliottはMusical Ambassadorなど
のレーベルで活躍したプロデューサー
です。

今回のアルバムの制作に、「レゲエ博士」
として知られるSteve Barrow氏が関わって
いるようです。

アルバム・ジャケットなどの記述はありま
せん。

joseph_cotton_04a
裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、Joseph Cotton
がまだJah Waltonと名乗っていた時代の
録音と思われますが、彼の味わいのある
トースティングが楽しめるアルバムで、
内容は悪くないと思います。

このJoseph Cottonですが、ネットの
Discogsの履歴では彼の一番初めのJoseph
Cotton名義の楽曲は85年の「U.S.A.
For Africa」という12インチ・シングル
なんですね。
(残念ながらネットのYouTubeではその
楽曲は見つかりませんでした。)
それに対してJah Walton名義の楽曲は
76年にJoe Gibbs Recordレーベルから
リリースした「Gourmandizer」とSound
Trackというレーベルからリリースした
「Teacher White」の2曲のシングル盤が
確認出来ます。

Jah Walton - Gourmandizer ('76)


Jah Walton - Teacher White


そして次にJah Walton名義でリリースされ
たのが77年にMoodisc Records から
リリースされた「Stay A Yard & Praise
God」で、この曲は今回のアルバムの5曲
目に収められています。

そうした実績を見る限りでは、Joseph
Cottonと名乗り始めたのは85年以降
で、それまでの84年まではJah Walton
という名前を名乗っていたのではないかと
思われます。

ちなみに76年頃の「Gourmandizer」や
「Teacher White」などで聴かれる彼の
トースティングは、かなりBig Youthに
似たオールド・スクールなトースティング
です。
その傾向は今回の1曲目に収められた
「My Best Girl Part One」などからも
感じられます。

なお今回のアルバムですが、2002年
シンコー・ミュージック刊行のレゲエ本
「Roots Rock Reggae」に紹介された
アルバムで、「A面はパラゴンズ
『My Best Girl』、ジョン・ホルト
『Ali Baba』、デニス・ウォークス
『Drifter』など古典に絡むオールド・
トークオーヴァー・スタイル中心。B面
では、80年代初期のルーツ・ラディクス
がタイトに弾き出す『General』『Pick Up
The Pieces』などの名トラックを、
シング・J調にスイスイ乗りこなす。」
と書かれています。

実際に聴いた印象としても、前半の曲は
Treasure Isleレーベルのロックステディ
の楽曲などがあり、トースティングも
Big Youthに影響を受けたオールド・
スクールなスタイルで、後半は徐々に彼
らしいユーモアのあるトースティングへと
スタイルが変わっている印象があります。
そうしたスタイルの進歩が感じられるの
も、今回のアルバムの面白さかもしれま
せん。
今回のアルバムは「Dancehall Days」と
いうタイトルですが、ルーツ・レゲエ期
よりダンスホール期に入ってからの方が、
彼のトースティングが一皮剝けて、良く
なっている印象があります。

ちなみにいろいろな彼の情報を総合する
と、「キング・タビー・サウンドや、
ストーン・ラヴのDJ」だった彼は、後に
フランスに移住しているようです。

Joseph Cottonとしての活躍は80年代
後半ぐらいが一番活躍しているようです
が、その後も中堅のディージェイとして
永く地道に活躍を続けているんですね。
(意外とCD-Rでのリリースが多く、
そのあたりがちょっとマイナーな活躍の感
があります。)
YouTubeの映像などを見ると、中折れの
山高帽にスーツ姿というオシャレな
いで立ちで、飄々とトースティングする姿
はなかなか魅力的で存在感があります。

ちなみにネット上には彼の事をナイヤ
ビンギのパーカッション奏者として知られ
る「Count Ossieの息子」と書いている人
が居ましたが、どうなんでしょう?
Count Ossieの本名はOswald Williamsで、
Joseph Cottonの本名はSilbert Waltonで
苗字が一致しないんですね。
ちょっとその話には確信が持てないので、
ここではネットにそういう事を書いていた
人が居たという話に留めておきます。

1曲目は「My Best Girl Part One」
です。
リディムはThe Paragonsの「My Best
Girl」です。
ロックステディ期らしいユッタリとした
ギターとキーボードを中心としたメロディ
に、The ParagonsのJohn Holtを中心と
したヴォーカルに、Joseph Cottonの
ちょっとBig Youthに似たウィキッドな
トースティングがイイ感じ。

My Best Girl part one - Joseph Cotton


2曲目は「King Selassi I Live」です。
リディムは「Answer」として知られる
リディムで、オリジナルはSlim Smithの
「Never Let Go」です。
ギターとベースを中心としたメロディに、
朗々と歌うようなJoseph Cottonの楽し気
なトースティングがイイ感じ。

Joseph Cotton - King Selassi I Live


リズム特集 Answer (アンサー)

3曲目は「Ali Baba」です。
リディムはJohn Holtの同名ヒット曲
「Ali Baba」です。
華やかなホーンのオープニングから、
刻むようなギターを中心としたメロディ
に、John Holtのヴォーカルのダブ
ワイズ、吸引音や咳なども交えた
Joseph Cottonのラフなトースティング。

Joseph Cotton (Jah Walton) - Ali Baba DanceHall Days 1976-1984


4曲目は「Drifter」です。
リディムはDennis Walksの同名ヒット曲
「Drifter」です。
華やかなホーン・セクションのオープ
ニングから、刻むようなギターとベース、
キーボードを中心とした性急なメロディ
に、Dillingerを彷彿とさせるような
Joseph Cottonのステッパーなトース
ティング。

Joseph Cotton - Drifter - ( drifter riddim )


リズム特集 Drifter (ドリフター)

5曲目は「Stay A Yard & Praise God」
です。
リディムはThe Ebony Sistersのヒット曲
「Let Me Tell You Boy」です。
刻むようなギターとベース、ホーン・
セクションの奏でる重厚なメロディに、
Joseph Cottonの味のあるトースティング
がイイ感じ。
前半はJoseph Cottonのトースティング、
後半はそのダブの6分28秒のロング・
ヴァージョンの曲です。

Jah Walton And Mudie's All Stars - Stay A Yard And Praise God


6曲目は「Girl I've Got A Date」です。
リディムはAlton Ellisの同名ヒット曲
「Girl I've Got A Date」です。
こちらも5分27秒にも及ぶロング・
ヴァージョンの曲で、前半はBrent Doweの
ヴォーカル、後半はJoseph Cottonの
トースティングという、ディスコ・
ミックス・スタイルの曲です。
刻むようなギターのメロディに、伸びやか
なBrent Doweのヴォーカルにコーラス・
ワーク、後半からJoseph Cottonの味の
あるトースティング。

Joseph Cotton (Jah Walton) -Girl I'Ve Got A Date


7曲目は「My Best Girl Part Two」
です。
リディムは1曲目と同じThe Paragonsの
「My Best Girl」です。
こちらも6分20秒に及ぶ曲で、前半は
The Paragonsのヴォーカル、後半は
Joseph Cottonのトースティングという、
ディスコ・ミックス・スタイルの仕様の曲
です。
キーボードとギターを中心としたメロディ
に、The ParagonsのJohn Holtを中心と
したヴォーカルに、Joseph Cottonの
ナイスなトースティング。

My Best Girl part two - Joseph Cotton


8曲目は「Reggae Music」です。
リディムは「General」として知られる
リディムで、オリジナルはThe Heptones
の「Love Me Girl」です。
華やかなホーンとドスの効いたベース、
ギターを中心としたメロディに、
Joseph Cottonの味わいのあるトース
ティング。

リズム特集 General (ジェネラル)

9曲目は「News」です。
King TubbyはKing Tubbyの「Psalms Of
Dub」のようです。
刻むようなギターと高音のキーボード、
ドスの効いたベースを中心としたメロディ
に、表情豊かなJoseph Cottonの味のある
トースティングがイイ感じ。
この曲あたりから彼の独自性がかなり強く
なります。

Joseph Cotton-News (Dancehall Days 1974-1984)


10曲目は「Dub Sister」です。
リディムはThe Royalsのヒット曲「Pick
Up The Pieces」です。
スローなワン・ドロップのドラミングに、
ギターと重いベースのメロディ、呟くよう
なJoseph Cottonの味のあるトース
ティング。
ヘヴィーでダブワイズしたミックスは、
アーリー・ダンスホール期に活躍した
Scientistか?

Joseph Cotton DUB SISTER


リズム特集 Pick Up The Pieces (ピック・アップ・ザ・ピーシズ)

11曲目は「Freedom Sound」です。
リディムはSlim Smith & The Uniquesの
ヒット曲「My Conversation」です。
どすの効いたベースとギターを中心とした
ワン・ドロップのメロディに、半分歌って
いるようなJoseph Cottonの味わいのある
トースティングがイイ感じ。

Joseph Cotton - Freedom Sound


リズム特集 My Conversation (マイ・カンバセーション)

12曲目は「Survival」です。
リディムはAlexander Henryのヒット曲
「Please Be True」です。
華やかなホーンとドスの効いたベースの
オープニングから、ワン・ドロップの
ドラミングに乗せた、ベースとギターを
中心としたメロディ、Joseph Cottonの
味のあるトースティング。

Joseph Cotton-Survival (Dancehall Days 1974-1984)


ざっと追いかけてきましたが、やはり前半
の曲はBig YouthやDillingerといった、
当時の人気ディージェイの影響を感じさせ
る部分があります。
ただ後半になるほど彼らしい、ちょっと
ユーモラスな味わいのあるトースティング
へと変化して行くんですね。
必ずしもビッグ・ネームという人では無い
かもしれませんが、彼がその後も永く
ディージェイを続ける事が出来たのは、
そうした彼らしい独自の個性を確立する事
が出来たからかもしれません。

そうした彼のJah Walton時代の変化を
うまく記録した、なかなか面白いコンピュ
レーション・アルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Joseph Cotton pt 1 Live With Undivided Roots Band.


Joseph Cotton & Trinity - Lootayard Special.(2014)


Joseph COTTON "My People"


Manudigital Ft. Joseph Cotton - - "Only Just Begun" (Still Dre) [Official Video]



○アーティスト: Joseph Cotton
○アルバム: Dancehall Days 1976-1984
○レーベル: Moll-Selekta
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1998

○Joseph Cotton「Dancehall Days 1976-1984」曲目
1. My Best Girl Part One
2. King Selassi I Live
3. Ali Baba
4. Drifter
5. Stay A Yard & Praise God
6. Girl I've Got A Date
7. My Best Girl Part Two
8. Reggae Music
9. News
10. Dub Sister
11. Freedom Sound
12. Survival

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〇Joseph Cotton「No Touch The Style」