今回はHorace Andyのアルバム

horace_andy_09a

「Good Vibes」です。

Horace Andy(本名:Horace Keith Hinds)
はルーツ・レゲエの時代から活躍する
シンガーです。

Horace Hindsという名前で生まれた彼は、
Studio Oneから歌手デビューする際に
レーベルの主催者C.S. Doddから、当時
人気だった歌手Bob Andyの名前から
とったHorace Andyという名前を与え
られデビューしました。
Studio Oneからは「Skylarking」などの
ヒット曲を飛ばし、その後も独特のハイ
トーン・ヴォイスを武器に、長く活躍を
続け、ジャマイカの「国民的歌手」とまで
呼ばれるほどの実績を残した人なんです
ね。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て50枚ぐらいのアルバムと、472枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

アーティスト特集 Horace Andy (ホレス・アンディ)

Horace Andy - Wikipedia

今回のアルバムは1997年にUKの
レゲエ・リイシュー・レーベルBlood &
Fireからリリースされた、Horace Andy
の前半は歌、後半はダブのディスク・
ミックス・スタイル(ショーケース・
スタイルとも言う)の楽曲を集めた、
コンピュレーション・アルバムです。

「Skylarking」や「Mr. Bassie」、
「Pure Ranking」など、彼の代表曲の
ディスコ・ミックス・ヴァージョンを集め
たコンピュレーション・アルバムで、彼の
ハイトーンな歌声と、おそらくはKing
Tubby'sあたりでミックスされたであろう
ナイスなダブが楽しめるアルバムとなって
います。

手に入れたのはBlood & Fireからリリース
されたCDの中古盤でした。

なおこのアルバムは2017年にUSの
VP Recordsから、別ジャケットで
再リリースされています。

全10曲で収録時間は約68分。
全ての曲が前半はHorace Andyの歌で、
後半はKing Tubby'sあたりでミックス
されたであろうダブの、ディスコ・
ミックス・ヴァージョンの曲という構成の
アルバムです。

詳細なミュージシャンの表記はありま
せん。

ネットのDiscogsの記述を見ると、
「Compiled By(作成者)」とライナー・
ノーツはBlood & Fireの主催者Steve
Barrowで、デザインはMichael Williams、
Digital Restoration(デジタル復元)は
Andy Walter、写真はJohn Williamsと
Paul Kelly、作曲はHorace Andy(3~
10曲目)、Bunny LeeとJohn Holt
(2曲目)、Horace HindsとMarcia Vidal
(1曲目)となっています。

Steve Barrowが作成者となっているのは、
おそらくもともとあった歌とダブを1曲の
ディスク・ミックス曲として繋いだのが、
このSteve Barrow氏であったからではない
かと思われます。
そのせいかアルバムの曲名が「Reggae
Rhythm · It's Gone Internationally」や
「Serious Thing · A Serious Version」
など、「(Horace Andyの曲)・(その
ダブの曲名)」という表記になっているん
ですね。

表ジャケが12ページの小冊子となって
いて、そこにはSteve Barrow氏の解説文が
書かれています。

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裏ジャケ

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小冊子(2~3ページ)

さて今回のアルバムですが、70年代から
80年代前半ぐらいと思われるHorace
Andyの音源をうまくディスク・ミックスに
コンパイルしたアルバムで、内容は悪く
ないと思います。

このHorace Andyですが本名がHorace
Hindsですが、スカの時代から活躍し
「Carry Go Bring Come」などのヒット曲
で知られるJustin Hinds & The Dominoes
のリード・ヴォーカルのJustin Hindsの
いとことしても知られています。
このHorace Andyがデビューした当時には
いとこのJustin Hindsはすでに大スター
で、ジャマイカで知らない人が居ないほど
の人気者だったんですね。

ジャスティン・ハインズ - Wikipedia

Justin Hinds & The Dominoes 'Carry Go Bring Come' (official audio)


その後はこのアルバムに収められた
「Skylarking」や「Mr. Bassie」、
「Pure Ranking」などのヒット曲を飛ば
し、その独特なハイ・トーン・ヴォイスで
徐々に人気を獲得し、Justin Hindsを凌駕
するほどの、ジャマイカの「国民的歌手」
と呼ばれるほどの存在に成長するんです
ね。

今回はそうしたHorace Andyの代表曲と
そのダブを集め、さらにその2曲を
レゲエ博士と呼ばれるSteve Barrow氏が
1曲のディスク・ミックス曲に編集し直し
たアルバムのようです。

ちなみにディスク・ミックスとは、歌と
ダブや歌とディージェイ、ディージェイと
ダブなどの2曲を1曲に繋げてロング・
ヴァージョンにしたものを指します。
こうしたものを別の呼び名ではショー
ケース・スタイルと呼び、おもにディスコ
やサウンド・システムなどの踊りの現場
で、12インチ45回転EP盤などでよく
使用したようです。
こうした現場では長い曲の方が、EP盤を
かける手間が少なく済んだので、都合が
良かったのかもしれません。
こうした12インチEP盤は、CDになる
以前の70年代後半から80年代前半に
よく作られたんですね。

ちなみにHorace Andyのような人気歌手に
なると代表曲を何回も録音しています。
例えば彼の最初のヒット曲「Skylarking」
は、72年にStudio Oneの子レーベル
Bongo Manからシングル・リリースした
オリジナル・ヴァージョンの他に、75年
にBunny LeeのレーベルJackpotやAttack
などからシングル・リリースしたものや、
82年にUSのWackiesからリリースした
アルバム「Dance Hall Style」に収め
られたヴァージョンなど、バックの演奏の
違う少なくとも3ヴァージョンの
「Skylarking」があるんですね。

Horace Andy - Skylarking (1972 His Best Album A4)

↑一番初めのStudio Oneヴァージョンです。

Skylarking - Horace Andy

↑今回のものと思われるAttack
(Jackpot)ヴァージョンです。

Horace Andy "Skylarking"

↑こちらはWackiesヴァージョンです。

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Horace Andy ‎– Dance Hall Style (1982)

ネットのYouTubeにあるこれらの音源を
聴き較べてみたところ、今回のアルバムに
収録されているのはBunny Leeのレーベル
JackpotやAttackなどヴァージョンのよう
です。
こうした事から見て、今回の音源はBunny
Leeの保有する「Bunny Lee音源」が使用
されているものと思われます。
そうした「Bunny Lee音源」をそのまま
使用せず、歌とダブを繋いで1曲に繋いだ
ところに、Steve Barrow氏の「遊び心」が
垣間見えます。

また音源が「Bunny Lee音源」だとする
と、ミックスはKing Tubbyのスタジオ
King Tubby'sでほぼ確定だと思います。
いろいろなインタビューでBunny Lee自身
が語っていますが、彼はバックの音作りは
Channel Oneなどいろいろなスタジオで
するものの、ヴォーカルの声入れと
ミックスはほぼKing Tubby'sで行っていた
ようです。
昼間はChannel Oneなどでバックの音を
録り、夜はKing Tubby'sで曲のミックスを
するという、寝る間を惜しんだ生活を
ずっと続けていたという事を語っていま
す。

Horace Andyのハイトーンなヴォーカルと
King Tubby'sでミックスされたダブは
やはりルーツ・レゲエの匂いがプンプン
するぐらい濃厚で、とても魅力的です。
このBlood & Fireレーベルが活動停止に
なってから中古でしか聴けなかった音源
は、2017年にVP Recordsから再び
リイシューされ人気作となっています。

1曲目は「Reggae Rhythm · It's Gone
Internationally」です。
華やかなホーン・セクションとドスの効い
たベース、刻むようなギターのメロディ
に、Horace Andyのハイトーン・ヴォイス
のヴォーカルがイイ感じ。
後半は華やかなホーンとドスの効いた
ベースがイイ感じのダブとなっています。

Horace Andy - Reggae Rhythm It's Gone Internationally


2曲目は「Serious Thing · A Serious
Version」です。
歯切れの良いドラミングに心地良い
パーカッション、刻むようなギターと重量
感のあるベース、キーボードのメロディ、
伸びやかなHorace Andyのヴォーカルが
イイ感じ。
後半はギターとベース、パーカッションが
イイ感じの、雷のエフェクトが効いた、
落としどころを心得たダブとなっていま
す。

Horace Andy - A Serious Thing + A Serious Version (1975)


3曲目は「Skylarking · A Better
Version」です。
ご存知Horace Andyの初期の大ヒット曲
です。
ちなみに「Skylarking」は「悪ふざけ」と
か「バカ騒ぎ」といった意味のようです。
キーボードとギター、ズシっとしたベース
の特徴的なメロディに、ソフトなHorace
Andyのハイトーン・ヴォイスのヴォーカル
がイイ感じ。
こちらもキーボードとベースを中心とした
メロディに、時折入るHorace Andyのダブ
ワイズしたヴォーカルと、雷のような
エフェクトがグッと来るダブです。

Skylarking A Better Version - Horace Andy


4曲目は「Youths Of Today · Jah
Youths」です。
浮遊感のあるキーボードにドスの効いた
ベースを中心としたメロディに、語るよう
なHorace Andyのちょっとビブラートの
効いたヴォーカルが印象的な曲です。
後半は寂寥感のあるキーボードと、ダブ
ワイズして行くHorace Andyのヴォーカル、
ズシっとしたベースが、イイ感じのダブと
なっています。

Horace Andy - Youths Of Today - Jah Youths 197X (75-79)


5曲目は「Don't Let Problems Get You
Down · No Problem」です。
印象的なオープニングから、歯切れの良い
ドラミング、刻むようなギターとピアノ、
どすの効いたベースのメロディに、語る
ように落ち付いたHorace Andyのヴォーカル
がイイ感じ。
後半はダブワイズの効いた演奏のダブ。

Horace Andy - Don't Let Problems Get You Down - No Problem 1978


6曲目は「Mr. Bassie Discomix」です。
歯切れの良いドラミングに、浮遊感のある
キーボードと刻むようなギター、ドスの
効いたベース、特徴的なHorace Andyの
ハイトーンなヴォーカル…。
後半はおそらくAugustus Pabloと思われる
メロディカも入った、ナイスなダブ。

Horace Andy - Mr. Bassie Discomix 197X (75-79)


7曲目は「Pure Ranking Discomix」
です。
歯切れの良いワン・ドロップのドラミング
に心地良いパーカッション、漂うような
キーボードとズシっとしたベースを中心と
したメロディ、「Pure Ranking♪」と合い
の手のように歌う男性コーラスに、
Horace Andyハイトーンなヴォーカルが
イイ感じの曲です。
後半はベースの重量感と軽快なキーボード
が冴えるダブ。

Horace Andy - Pure Ranking (Discomix) 1978


8曲目は表題曲の「Good Vibes · Dub
Vibes」です。
この曲はネットのRiddimguideで、
リディムがBaba Brooksの「Shank I
Sheck」となっていました。
軽快なドラミングに、刻むようなギターと
キーボード、ベースのメロディに、ハイ
トーンなHorace Andyのヴォーカルが
イイ感じの曲です。
後半はギターとベースを中心としたダブ。

Horace Andy - Good Vibes - Dub Vibes 197X


リズム特集 Shank I Sheck (シャンク・アイ・シェック)

9曲目は「Control Yourself · Version
Under Control」です。
ワン・ドロップのドラミング、刻むような
ギターと重いベース、明るいピアノの
メロディに、ハイトーンなHorace Andyの
ヴォーカルがイイ感じ。
後半はピアノとベースを中心としたダブ。

Horace Andy - Control Yourself-Version Under Control 197X


10曲目は「Ital Vital · Ital Ites
Dubwise」です。
リディムはFreddie McKayの「Rockabye
Woman」のようです。
ホーンとギター、ベースを中心とした
ユッタリとしたミディアム・テンポの
メロディに、表情豊かに歌うHorace Andy
のヴォーカルがイイ感じ。
後半はトビ音も入った渋めのダブ。

Horace Andy - Ital Vital-Ital Ites Dubwise 197X


ざっと追いかけてきましたが、70年代の
ルーツ・レゲエの時代から活躍する
名ヴォーカリストHorace Andyの歌声と、
70年代に多く作られたKing Tubby'sの
ダブがひとつになったディスコ・ミックス
曲が楽しめる聴き応えタップリのアルバム
で、Steve Barrow氏の遊び心溢れる好仕事
が光る、とても内容の濃いアルバムだと
思います。

けっこうズシっとした重量感のあるベース
が素晴らしく、そのベースの音を追いかけ
ている聴いているだけで、とても心地良さ
を感じます。
この時代のルーツ・レゲエという音楽の
ディープな世界観を感じさせてくれる
アルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

HORACE ANDY - Skylarking live



○アーティスト: Horace Andy
○アルバム: Good Vibes
○レーベル: Blood & Fire
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1997

○Horace Andy「Good Vibes」曲目
1. Reggae Rhythm · It's Gone Internationally
2. Serious Thing · A Serious Version
3. Skylarking · A Better Version
4. Youths Of Today · Jah Youths
5. Don't Let Problems Get You Down · No Problem
6. Mr. Bassie Discomix
7. Pure Ranking Discomix
8. Good Vibes · Dub Vibes
9. Control Yourself · Version Under Control
10. Ital Vital · Ital Ites Dubwise

●今までアップしたHorace Andy関連の記事
〇Horace Andy, Naggo Morris, Wayne Jarrett「Horace Andy Meets Naggo Morris & Wayne Jarrett - Mini Showcase」
〇Horace Andy「Dance Hall Style」
〇Horace Andy「Get Wise」
〇Horace Andy「In The Light / In The Light Dub」
〇Horace Andy「Pure Ranking」
〇Horace Andy「Sings For You And I」
〇Horace Andy「Skylarking」
〇Horace Andy「You Are My Angel」
〇Various「When Jah Shall Come」