今回はRas Allah(別名:Prince Allah)
のアルバム

prince_alla_03a

「Showcase」です。

Ras Allah(別名:Prince Allahまたは
Prince Alla、本名:Keith Blake)は、
70年代のルーツ・レゲエの時代
から活躍するシンガーです。

彼の音楽キャリアの始まりは、後にWackies
でシンガーとして活躍するMilton Henryと
組んだデュオ・グループThe Leadersで、
60年代後半のロックステディの時代に
このグループで9枚ぐらいのシングル盤を
残しています。
その後ラスタファリズムの信仰に目覚めた
彼はPrince AllahやPrince Alla、Ras
Allahなどの名前で、ルーツ・レゲエの
良曲を数多く残しています。
その後もルーツ・シンガーとして活躍を
続けているのがこのRas Allah(Prince
Allah)というシンガーです。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て12枚ぐらいのアルバムと、121枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

アーティスト特集 Prince Alla (プリンス・アラー)

Prince Alla - Wikipedia

今回のアルバムのオリジナルは1982年
にジャマイカのItal International
Recordsというレーベルからリリースされ
たPrince Allah名義のアルバム「King Of
The Road」です。
それが84年にUKのVista Soundsから
リリースされる際にRas Allah名義と
なり、さらにタイトルも「Showcase」と
改題されています。

ちなみにジャケットもPrince Allah名義
のアルバムの時は、黄色地にPrince
Allahのモノクロの顔写真、額(ひたい)
に「Allah」の文字、目から光の筋が出て
いるようなジャケットでしたが、Ras
Allah名義のアルバムを出す際に今の
イラストのジャケットに変更されていま
す。
ちなみに曲順も変わっていて、LPの
Side 1とSide 2が入れ替わった曲順と
なっています。
(最後にアルバム「King Of The Road」
の曲順も表記。)

プロデュースはItal International
RecordsのC. Jacksonと思われ、バック
にSly & Robbieや'Chinna' Smith、
Ansel Collinsなどが参加したアルバム
で、このアーリー・ダンスホールの時代
らしいワン・ドロップのリズムに乗せた、
Ras Allah(Prince Allah)のルーツ・
シンガーらしいヴォーカルが冴える好内容
のアルバムとなっています。

手に入れたのは2020年にUKの
Burning SoundsからリイシューされたCD
(新盤)でした。

全12曲で収録時間は約35分。
曲はすべてRas Allahの歌とそのダブが
交互に収められた、ショーケース・
スタイルのアルバムとなっています。

なお歌とダブの間はほぼ繋がっており、
ほぼ2曲で1曲に聴こえる構成となって
います。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Bass: Robbie Shakespeare
Drums: Lowell 'Sly' Dunbar
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith
Rhythm Guitar: Winston 'Bo Peep' Bowen, Earl 'Chinna' Smith
Organ: Ansel 'Pinkie' Collins
Piano: Winston 'Brubeck' Wright
Saxophone: Felix 'Deadly' Headley Bennett, Cedric 'Im' Brooks, Dean 'Youth Sax' Fraser
Trombone: Ronald 'Nambo' Robinson
Percussion: Noel 'Zoot/Skully' Simms, Uzziah 'Sticky/Cool Stick' Thompson

LP originally released 1984

となっています。

ミュージシャンはベースにRobbie
Shakespeare、ドラムにLowell 'Sly'
Dunbar、リード・ギターにEarl
'Chinna' Smith、リズム・ギターに
Winston 'Bo Peep' BowenとEarl 'Chinna'
Smith、オルガンにAnsel 'Pinkie'
Collins、ピアノにWinston 'Brubeck'
Wright、サックスにFelix 'Deadly'
Headley BennettとCedric 'Im' Brooks、
Dean 'Youth Sax' Fraser、トロンボーン
にRonald 'Nambo' Robinson、パーカッ
ションにNoel 'Zoot/Skully' Simmsと
Uzziah 'Sticky/Cool Stick' Thompson
という布陣です。

残念ながらプロデューサーの記述はありま
せんが、この元となったPrince Allah名義
のアルバム「King Of The Road」には、
プロデューサーとしてItal International
RecordsのC. Jackson(Carlton Jackson)
の名前が書かれています。

また「LP originally released 1984」と
書かれていますが、上に書いたように
84年にUKのVista Soundsから
リリースされる際にRas Allah名義と
なり、さらにタイトルも「Showcase」と
改題されたもので、それ以前の82年に
ジャマイカのItal International
RecordsからリリースされたPrince Allah
名義のアルバム「King Of The Road」が
ほぼ同内容のアルバムと思われます。

残念ながらミックスの記述もありません。
けっこう安定したダブを作り上げているの
で、この時代にダブを量産したKing
Tubby'sのミックスか?
けっこう重量感のあるベースを活かした
ミックスなので、Prince Jammy(のちの
King Jammy)あたりのミックスの匂いが
します。

ジャケット・デザインに関する記述はあり
ません。

表ジャケにはまるで神話に出て来る
メデューサのようなドレッドロックス・
ヘアーをしたRas Allahが、ステージに
立つイラストが使われています。

裏ジャケには曲目と当時のRas Allahと
思われる写真が使われています。
神はドレッドロックス・ヘアーですが
かなりモシャモシャで、もしも彼が歩いて
来たら思わずよけてしまいそうな、
かなりファンキーなヘアー・スタイル
です(笑)。

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裏ジャケ

表ジャケが12ページの小冊子となって
いて、そこには英文でRas Allah(Prince
Allah)のインタビューなどが書かれて
います。

さて今回のアルバムですが、この
アーリー・ダンスホールの時代に流行した
ワン・ドロップのリズムに乗せたRas Allah
(Prince Allah)のルーツ・シンガー
らしいヴォーカルと、やはりこの時代に
多く作られた歌とダブを交互にのせた
ショーケース・スタイルが魅力的な
アルバムで内容はとても良いと思います。

Prince Allaとしてよく知られるRas Allah
ですが、そのスタートはThe Leadersと
いうデュオと思われるグループで、相方は
Wackiesでシンガーとして活躍したMilton
Henryだったんですね。
ネットのDiscogsを観る限りでは、この
The Leadersというグループで67~69
年ぐらいのロックステディの時代に、B面
も含めて9枚ぐらいのシングル盤を残して
います。

The Leaders - Hope Someday


The Leaders Someday someway


その後70年代のルーツ・レゲエの時代に
入ると彼は、「Heaven Is My Roof」を
はじめとするアルバムでラスタファリズム
を信奉するルーツ・シンガーとして大いに
活躍するんですね。

Prince Alla - Heaven Is My Roof


その後もルーツ・シンガーとして活躍し
続けた彼は、あの「レゲエ博士」と言われ
るSteve Barrow氏からも高く評価され、
彼のリイシュー・レーベルBlood & Fire
から2枚のリイシュー・アルバムを
リリースされています。
それだけ高評価の人なんですね。

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Prince Alla ‎– Only Love Can Conquer (1976-1979) (1996)

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Prince Alla & Junior Ross ‎– I Can Hear The Children Singing 1975-1978 (2002)

彼のヴォーカルは「木綿」というよりは
むしろ「絹ごし」の味わいで、歌のウマさ
もあってとてもソフトな印象です。
とても良いシンガーですが、サラっと聴け
てしまうせいか、ルーツ・シンガーとして
一番初めに名前が挙ががりづらいような
ところもあります。
ただ反面まるで「常備菜」のように、意識
しないでいつも聴いているようなところも
あります。
特に今回のようなショーケース・スタイル
のアルバムはとても聴き易く、ルーツ好き
ならどうしても手に取ってしまうような
アルバムなんですね(笑)。

バックはSly & Robbieや'Chinna' Smith、
Ansel Collinsなどが務めていて、この
時代に流行したワン・ドロップや、それ
以前のルーツ後期に流行したミリタント・
ビート(別名:ロッカーズ・ビート)の
演奏です。
ただしワンドロップはこの時代に流行した
スローなワンドロップではなく、どちらか
というとミディアム・テンポの感じです。
もしかしたら録音自体はルーツ後期の
70年代後半ぐらいに行われたのかもしれ
ません。
そうした演奏をバックにRas Allahは、
心地良さそうにうまく歌いこなしていま
す。

1曲目は「Jah Morning Sun」です。
歯切れの良いドラミングに心地良い
パーカッション、ホーンとドスの効いた
ベース、ギターを中心としたメロディに、
Ras Allahのナイスなヴォーカル。

10'' - Prince Alla - Jah Morning Sun (& dub)


2曲目は「Morning Sun Dub」です。
1曲目「Jah Morning Sun」のダブ
(ヴァージョン)です。
特にズシっと腹に響くベースのドライヴ感
が素晴らしいです。

3曲目は「So Much Soul To Save」です。
ホーン・セクションと浮遊感のあるキー
ボード、ギターと重量感のあるベースの
メロディに、丁寧に歌い込むようなRas
Allahのヴォーカルがイイ感じ。

Prince Alla 1982 King Of The Road B3 so much soul to save


4曲目は「Soul Dub」です。
3曲目「So Much Soul To Save」のダブ
(ヴァージョン)です。
かなりダブワイズの効いた曲です。

Ras Allah -4 - Soul Dub


5曲目は「Old Man River」です。
こちらはミリタント・ビートの曲で、
おそらくルーツ後期に作られた曲ではない
かと思います。
歯切れの良いミリタントビートの
ドラミングに、ドスの効いたベースと
ギターのメロディに、感情をうまく乗せた
Ras Allahのヴォーカルがとても心地良い
曲です。

Ras Allah ( Prince Allah ) - Old Man River - River Dub - Burning Sounds


6曲目は「River Dub」です。
5曲目「Old Man River」のダブ
(ヴァージョン)です。
こちらもベースのズシっとしたドライヴ感が
たまりません。

7曲目は「Don't Give Up」です。
歯切れの良いドラミングとパーカッション
に、ホーン・セクションとギター、重い
ベースのメロディ、シッカリと歌い込む
ようなRas Allahのナイスなヴォーカル…。

Ras Allah ( Prince Allah ) - Don't Give Up - Showcase album 1984


8曲目は「Don't Give Up Dubbing」です。
7曲目「Don't Give Up」のダブ
(ヴァージョン)です。

Ras Allah ( Prince Allah ) - Don't Give Up - Showcase album 1984


9曲目は「The Ethiopian Song」です。
華やかなホーンと漂うようなキーボード、
ドスの効いた―ベースとギターの
メロディ、心地良いパーカッション、伸び
やかなRas Allahのヴォーカルが魅力的。

PRINCE ALLA - THE ETHIOPIAN SONG - 10" (FORWARD ROOTS) REGGAE


10曲目は「The Ethiopian Dub」です。
9曲目「The Ethiopian Song」のダブ
(ヴァージョン)です。

11曲目は「King Of The Road」です。
リディムはBaba Brooksのスカのヒット曲
「Shank I Sheck」です。
華やかなホーンのオープニングから、
ホーンと重いベース、ギターの演奏に、
伸びやかに歌うRas Allahのヴォーカルが
イイ感じ。

Prince Alla 1982 King Of The Road A4 king of the road


リズム特集 Shank I Sheck (シャンク・アイ・シェック)

12曲目は「King Dub」です。
11曲目「King Of The Road」のダブ
(ヴァージョン)です。
華やかなホーンを中心としたダブです。

Prince Allah - King Version


ざっと追いかけてきましたが、アーリー・
ダンスホール期のアルバムですが、どこか
ルーツ・レゲエの時代の魅力を感じさせて
くれるアルバムで、そこがルーツ好きに
とってはたまらない魅力です。

あまり強烈な個性を感じさせるタイプでは
ないRas Allah (Prince Allah)ですが、
ルーツ好きにとっては忘れる事の出来ない
シンガーのひとりなんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Prince Alla performing live -'Boz Rock' and 'Stone' [HD] Inside Sleeve, ABC Radio National



○アーティスト: Ras Allah (Prince Allah)
○アルバム: Showcase
○レーベル: Burning Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Ras Allah (Prince Allah)「Showcase」曲目
1. Jah Morning Sun
2. Morning Sun Dub
3. So Much Soul To Save
4. Soul Dub
5. Old Man River
6. River Dub
7. Don't Give Up
8. Don't Give Up Dubbing
9. The Ethiopian Song
10. The Ethiopian Dub
11. King Of The Road
12. King Dub

●参考資料
○Prince Allah「King Of The Road」 (1982)
Side 1
1. Don't Give Up (+ Version)
2. The Ethiopian Song (+ Version)
3. King Of The Road (+ Version)
Side 2
1. Jah Morning Sun (+ Version)
2. So Much Soul To Save (+ Version)
3. Old Man River (+ Version)

●今までアップしたPrince Alla関連の記事
〇Prince Alla, Junior Ross & The Spears「I Can Hear The Children Singing 1975-1978」
〇Prince Alla「Only Love Can Conquer 1976-1979」