今回はCourtney MelodyとNinja Man
のアルバム

courtney_melody_07a

「Protection」です。

Courtney Melody(本名:Courtney
Munroe)は80年代のダンスホール・
レゲエの時代に活躍したシンガーです。

日本の忍者をテーマにした「Ninja Mi
Ninja」や、ディージェイのNinjamanとの
コンビネーション曲「Protection」など
のヒット曲のあるシンガーで、おもに
80年代後半のデジタルのダンスホール・
レゲエの時代に活躍したシンガーです。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て9枚ぐらいのアルバムと、174枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

アーティスト特集 Courtney Melody(コートニー・メロディー)

Ninja Man(Ninjaman、本名:Desmond
John Ballentine)は80年代後半から
活躍する、バッドマン・スタイルのダンス
ホール・ディージェイです。

87年にCourtney Melodyとのコンビ
ネーション曲「Protection」でシングル・
デビューした彼は、常にライバルとの抗争
を引き起こすバッドマン・ディージェイと
して、ジャマイカで大人気のディージェイ
になって行くんですね。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て32枚ぐらいのアルバムと307枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

そうした活躍をしたNinjamanですが、
2009年にRicardo 'Trooper' Johnson
を殺害した罪に問われて息子とともに逮捕
され、2017年に終身刑を言い渡されて
います。

ニンジャマン - Wikipedia

アーティスト特集 Ninjaman (ニンジャマン)

今回のアルバムは1988年にジャマイカ
のHarry J Recordsからリリースされた
Courtney MelodyとNinja Manの
クラッシュ・アルバム(対決盤)です。

プロデュースはHarry J.とNeville
Ballentineで、演奏はSteely & Clevieや
Wayne Smith、Donny Brownieなどが担当
したアルバムで、2人のコンビネーション
曲で大ヒットした表題曲の「Protection」
をはじめとして、この時代に大流行した
デジタルのダンスホール・レゲエのリズム
に乗せた、当時イケイケだった彼らの
ナイスなフローが楽しめるアルバムと
なっています。

手に入れたのはHarry J Recordsから
リリースされたLPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が4曲の全9曲。
Side 1が「Courtney Melodyサイド」と
なっていて、Courtney Melodyの曲が3曲
と、ヒット曲「Protection」を含む
Ninjaman & Courtney Melodyの曲が2曲
の計5曲、Side 2が「Ninjamanサイド」
で、Ninjamanの曲が3曲と、Steeli And
CleevieとWayne Smith、Donny Brownieの
インスト曲1曲の計4曲が収められていま
す。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Harry J., Neville Ballentine (tracks: A5, B1)
Engineer: Sylvan Morris
Musician: Steeli And Cleevie, Wayne Smith, Donny Brownie
Album Design by: Limonious

となっています。

プロデュースはSide 1の5曲目Ninjaman
& Courtney Melodyの「Protection」と、
Side 2の1曲目はNinja Manの「Big Ina
Panty」はNeville Ballentineで、それ
以外の曲はHarry J.となっています。
Harry J.(Harry Zephaniah Johnson)
は名前からも解るように、Harry J
Recordsの主催者です。

エンジニアはSylvan Morrisが務めて
います。
Sylvan Morrisは70年代にStudio One
レーベルで、Dub Specialist名でダブを
作成した事で知られるエンジニアです。

バックのミュージシャンはSteeli And
Cleevie(Steely & Clevie)と、Wayne
Smith、Donny Brownieなどが務めていま
す。
Wayne Smithはレゲエ初のデジタル・
ダンスホール・レゲエの大ヒット曲
「Under Mi Sleng Teng」のシンガーと
してよく知られています。

ジャケット・デザインはLimoniousと
なっています。
表ジャケには左が眼鏡をかけたNinja
Man、右がCourtney Melodyの写真が使わ
れています。

courtney_melody_08a
裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、この時代の
デジタルのダンスホール・レゲエで大活躍
したNinja ManとCourtney Melodyの生き
生きとした活躍ぶりがよく解るアルバム
で、内容はとても良いと思います。

80年代の後半はPrince Jammyが
プロデュースしたWayne Smithの「Under
Mi Sleng Teng」が大ヒットした事を
きっかけに、ジャマイカ全土でデジタルの
ダンスホール・レゲエが大ブームになり、
一気にジャマイカで音楽のデジタル化が
進んだ時代だったんですね。
それをけん引したのがPrince Jammyから
改名したKing Jammyと、デジタル音楽を
担当したSteely & Clevieだったんです
ね。

ダンスホールレゲエ - Wikipedia

そうしたジャマイカ全土でデジタル・
レゲエの大ブームが起こっていた時代に、
ニュー・カマーとして登場して来たのが
彼らCourtney MelodyとNinja Manです。
彼らは無機質でスピード感のあるデジタル
なサウンドをバックに、味わいのある人間
臭いフローで多くに人々の心を掴み、人気
者となって行くんですね。

この2人のコンビネーション曲である
「Protection」は、デジタルなサウンドと
2人の息の合ったコンビネーションで
ジャマイカで大ヒットした曲なんですね。
漂うようなキーボードに、Courtney Melody
の節回しの効いたヴォーカル、Ninja Man
のちょっとコミカルなトースティングが
作り出す世界は、ちょっとクレイジーで
新しい世界の誕生を感じさせます。
この80年代後半のデジタルのダンス
ホール・レゲエの世界観を、見事に実現
した曲なんですね。

特にCourtney Melodyは今回のアルバムが
リリースされた88年に、彼がリリース
した共演盤を含めて9枚のアルバムのうち
6枚がこの88年という人気ぶりです。
(残りの3枚のアルバムのうち「Bad Boy」
が「Unknown(制作年不詳)」となって
いますが、タイトル曲のシングル・
リリースが88年で、このアルバムも
88年頃のリリースと思われます。)
逆に言えばその後がちょっと…という人
ではありますが、その人気ぶりの凄まじさ
がうかがえます。

この時代のバックはかなり無機質な
デジタル・サウンドなので、それに味わい
を付けるには、かなり人間的なフローが
好まれたのかもしれません。
実際にCourtney Melodyの歌いぶりはかなり
ヒューマンなフローで、「Courtney節」と
でも呼びたいような、まるで日本の演歌の
ような独特の節回しがあります。
その一度聴いたら忘れられない節回しが、
熱狂的な支持を生んでいたかもしれま
せん。

実際にこの時代のアルバムを何枚か聴いて
みましたが、どのアルバムにも彼らしい
独特の個性がありとても面白いんですね。
特に「Ninga Mi Ninga」は今回の
「Protection」と並ぶ、彼の代表曲の
ひとつとなっています。

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Courtney Melody ‎– Ninga Mi Ninga Showcase (1988)

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Courtney Melody ‎– Modern Girl (1988)

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Courtney Melody ‎– Man In Love (1988)

またNinja Manは今回の表題曲
「Protection」のヒットなどをきっかけ
に、バッドマン・ディージェイとして活躍
し、その圧倒的なパフォーマンスで人気の
ディージェイとなって行くんですね。
こちらも無機質なデジタル・サウンドに
乗せた、時にコミカルで時に陽気な人間味
のあるトースティングのパフォーマンスが
持ち味のディージェイへと成長して行き
ます。
バッドマンというと暗く重いイメージです
が、彼のパフォーマンスは明るく陽気で、
そのギャップが面白いところ。
そのあたりがいかにもジャマイカで誕生
した個性という気がします。

ちなみにこのNinja Manはヒットの勢いを
駆ってか、この88年にアルバム
「Superstar」でソロ・デビューしていま
す。

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Ninjaman ‎– Superstar (1988)

今回のアルバムはアルバムの種類としては
クラッシュ・アルバム(対決盤)という事
になるのかもしれません。
実際にSide 1はCourtney Melodyのサイド、
Side 2はNinja Manのサイドというふうに
分かれていて、Side 1にはCourtney
Melodyの楽曲3曲と「Protection」など
Ninjaman & Courtney Melodyのコンビ
ネーション曲が2曲、Side 2にはNinja
Manの曲が3曲と、最後にインストが1曲
という構成になっています。

ただNinjaman & Courtney Melodyのコンビ
ネーション曲がメインのせいか、対決盤と
いうよりはどちらかというとコンビネー
ション・アルバムという色彩が強いという
気がします。
やはり「Protection」をはじめとする
コンビネーション曲はとてもカラフルで、
2人の強烈な個性がとても良い化学反応を
起こしているんですね。
ジャマイカには他にもChaka Demus &
PliersやWayne Wonder & Buju Banton、
Tanto Metro & Devonteなど、忘れえぬ
コンビネーションの名手が居ますが、この
Ninjaman & Courtney Melodyも、レゲエの
歴史の中では決して忘れられないコンビの
ひとつなんですね。
彼らのコンビネーションが楽しめる今回の
アルバムはとても貴重です。

またデジタルのダンスホールがジャマイカ
で大人気になっていたこの時期はバック陣
としてのSteely & Clevieがもっとも充実
してノリに乗っていた時代で、その
デジタル・サウンドの醸し出すどこか
クレージーな喧騒は、この時代ならではの
魅力があります。
特にNinjaman & Courtney Melodyの2人に
よるコンビネーション曲「Send Me The
Pillow」と「Protection」からは、この
時代ならではのイケイケ感とクレージーさ
を感じます。

Side 1の1曲目はCourtney Melodyの
「Breaking Down」です。
リズミカルなデジタルのドラミングに、
ピアノとキーボードのメロディ、伸びやか
なCourtney Melodyの高音を活かした
節回しの効いたヴォーカルがイイ感じの曲
です。

COURTNEY MELODY - Breaking Down


2曲目はCourtney Melodyの「Touch Me」
です。
リズミカルなデジタルのキーボードに、
デジタルらしいドラミング、伸びやかに
歌うCourtney Melodyのイケイケの
ヴォーカルがイイ感じ。

Courtney Melody - Touch Me


3曲目はCourtney Melodyの「Give Me
Your Loving」です。
デジタルなドラミングに乗せた、キー
ボードの明るいメロディ、高音を活かして
伸びやかな歌声で「Give Me Your Loving
~♪」を繰り返すCourtney Melodyの
節回しの効いたヴォーカルが印象的。

Courtney Melody - Give Me Your Loving


4曲目はNinjaman & Courtney Melodyの
「Send Me The Pillow」です。
デジタルのドラミングに、ピアノとキー
ボードのメロディ、Ninjamanの掛け声に
Courtney Melodyの節回しのヴォーカル、
Ninjamanのトースティングが次々に入れ
代わって行く曲で、2人の生きのあった
コンビネーションがとても楽しい曲です。

Courtney Melody Ninjaman Send Me The Pillow


5曲目はNinjaman & Courtney Melodyの
表題曲「Protection」です。
リディムはAdmiral Baileyの「Punaany」。
歯切れの良いデジタルのドラミング、刻む
ようなデジタルのキーボードのメロディ、
特徴的なCourtney Melodyの高音を活かし
たヴォーカルに、Ninjamanの溢れ出す
ようなトースティング…。

Protection (feat. Courtney Melody)


リズム特集 Punanny (プナニー)

Side 2の1曲目はNinja Manの「Big Ina
Panty」です。
リズミカルなデジタルのドラミングに、
キーボードのメロディ、Ninja Manの
歯切れの良い畳み掛けるようなトース
ティングがイイ感じ。

NINJA MAN - BIG INA PANTY


2曲目はNinja Manの「Long Fi Release」
です。
デジタルな重低音のキーボードとドラムの
イケイケのリズムに、ノリノリなNinja
Manのトースティングがイイ感じ。

Ninjaman - Long Fi Release


3曲目はNinja Manの「Woman Ah Yuh
Ways」です。
デジタルな重低音のキーボードと打ち込み
のドラミング、表情豊かなNinja Manの
トースティングがイイ感じ。

NINJAMAN - Woman Ah Yuh Ways


4曲目はSteeli And CleevieとWayne
Smith、Donny Brownieの「Ninja Ah Di
Don (Inst.)」です。
アルバムには演奏者の記述はありません
が、ネットのDiscogsの記述を参考にしま
した。
リズムカルナデジタルのドラミングに、
キーボードのメロディ、子供の鳴き声の
エフェクトなどで構成されたインスト曲
です。

ざっと追いかけてきましたが、この
デジタルのダンスホール・レゲエの時代
らしい、どこか狂ったような狂騒を感じる
アルバムで、そうした時代背景を知って
いると、より面白味を感じるアルバムなん
ですね。
その時代の主役として時代を駆け抜けて
行ったCourtney MelodyとNinja Manでし
たが、のちにNinja Manが本当のバッド・
マンになってしまったのは残念な事です。

ただその時代の狂騒の中での輝きの記憶
は、今も鮮やかに残っています。

機会があればぜひ聴いてみてください。

COURTNEY MELODY & a young GHOST 1988 live - DANGEROUS


MANUDIGITAL & COURTNEY MELODY - DIGITAL KINGSTON SESSION (Official Video)


Ninjaman (Champions In Action 1989)


Ninjaman (Sting 1989)



○アーティスト: Courtney Melody, Ninja Man
○アルバム: Protection
○レーベル: Harry J Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1988

○Courtney Melody, Ninja Man「Protection」曲目
Side 1
(Courtney Melody)
1. Breaking Down - Courtney Melody
2. Touch Me - Courtney Melody
3. Give Me Your Loving - Courtney Melody
4. Send Me The Pillow - Ninjaman & Courtney Melody
5. Protection - Ninjaman & Courtney Melody
Side 2
(Ninja Man)
1. Big Ina Panty - Ninja Man
2. Long Fi Release - Ninja Man
3. Woman Ah Yuh Ways - Ninja Man
4. Ninja Ah Di Don (Inst.) - Steeli And Cleevie, Wayne Smith, Donny Brownie

●今までアップしたCourtney Melody関連の記事
〇Courtney Melody「Modern Girl」
〇Courtney Melody「Bad Boy」
〇Courtney Melody「Man In Love」
〇Courtney Melody「Ninja Mi Ninja Showcase」
●今までアップしたNinjaman関連の記事
〇Ninjaman, Johnny P「Big Showdown」
〇Ninjaman「Out Pon Bail」
〇Ninjaman「Ting A Ling A Ling A School Pickney Sing Ting」
〇Ninjaman「Superstar」