今回はTigerのアルバム

tiger_02a

「Shockin' Colour」です。

Tiger(本名:Norman Washington
Jackson)は80年代後半のデジタルの
ダンスホール・レゲエの時代に活躍した
ディージェイです。

1987年にアルバム「Me Name Tiger」
でいきなり世界デビューして、その独特の
ユーモラスな個性で人気を博しましたが、
93年にバイク事故で声帯を痛めて事実上
の引退状態になってしまったちょっと悲運
なところのある人です。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て18枚ぐらいのアルバムと、165枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

アーティスト特集:Tiger (タイガー)

Tiger (musician) - Wikipedia

今回のアルバムは1989年にジャマイカ
のJammy's Recordsからリリースされた
Tigerのソロ・アルバムです。

プロデュースはKing Jammy、バックは
Steely & ClevieやFirehouse Crewなどが
務めたアルバムで、表題曲の「Shocking
Colour」など、デジタルなダンスホール・
レゲエのリズムに乗せた、Tigerの
ノリノリのトースティングが楽しめる
アルバムとなっています。

手に入れたのはJammy's Recordsから
リリースされたLPの中古盤でした。

なおこのアルバムはRohit Recordsという
レーベルから、90年に「Reggae Dance
Hall Sensation」という別タイトル、
別ジャケットでリリースされています。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by King Jammy
Recorded, Mixed & Edited at King Jammy's Recording Studio
Engineer: King Jammy
Musicians: Steely & Clevie, Firehouse Crew
Design & Art: Studio Case

となっています。

プロデュースはKing Jammyで、レコー
ディングとミックスはジャマイカにある
King Jammy's Recording Studioで行わ
れ、エンジニアはKing Jammyが担当し、
バックはSteely & ClevieとFirehouse
Crewが担当しています。

ジャケット・デザインはStudio Caseが
行っています。

tiger_03a
裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、デジタルな
ダンスホール・レゲエのリズムに乗せた
いかにもTigerらしいウィキッドなトース
ティングが楽しめるアルバムで、内容は
悪くないと思います。

このTigerですが、書いたように93年
にバイク事故を起こし声帯を痛めて事実上
の引退状態になってしまった為に、その
活躍時期は80年代後半から93年までと
あまり永くは無いんですね。
(その後1回復活しているようです。)
ただこの89年はTigerの「当たり年
だったようで、今回のアルバムを含めて
最多の4枚のソロ・アルバムをリリース
しています。
このTigerにとってもっとも波に乗って
いたのが、この89年といえるかもしれま
せん。

ちなみにこのTigerですがそのデビューは
78年頃で、デビュー当時はRankin Tiger
と名乗っていたようです。
ネットのYouTubeで彼のデビュー曲では
ないかと思われる音源を見つけました。

12'' Rankin Tiger - Why Can't You Leave The Dreadlocks Alone & Dub


↑ミリタント・ビートに乗せたルーツ色の
強い楽曲をトースティングしています。

上に挙げたレゲエレコード・コムのTiger
の紹介ページによると、その後80年代に
今の名前に改名し、頭角を現したんだそう
です。
最初のヒットは自らがプロデュースした
「No Wanga Gut」と「No Puppy Love」
(共に86年)なんだそうです。

TIGER - NO WANGA GUT tiger 1st video 1987


Tiger - No Puppy Love [Best Quality]


デビューからヒットまでに8年ぐらいの
年月がありますが、その間にミリタント・
ビートに乗せたルーツ・ディージェイ
から、コミカルでウィキッドなダンス
ホール・ディージェイへと変身したよう
です。
その明るく陽気なスタイルが、当時の
ジャマイカのリスナーの心を捉えたよう
です。

またこの80年代後半はプロデューサーの
King Jammyがが仕掛けたデジタルのダンス
ホール・レゲエが、ジャマイカ中で大流行
していた時代だったんですね。

ジャマイカでは80年代前半ぐらいまでは
バックの演奏はプレイヤーによる生演奏が
主流でした。
それを変えたのは当時Prince Jammyと
名乗っていたKing Jammyで、彼が
プロデュースした初のデジタル録音の曲
Wayne Smithの「Under Mi Sleng Teng」が
大ヒットした事で、ジャマイカのレゲエは
それまでの生演奏からデジタル機材を
使ったデジタル録音へと切り替わって行く
んですね。

Wayne Smith - Under Me Sleng Teng


このヒットをきっかけにPrince Jammyは
King Jammyへと改名し、デジタル・レゲエ
の第一人者としてジャマイカの音楽界を
けん引して行きます。

そのKing Jammyのデジタル・サウンドの
手助けをしていたのが、今回のアルバム
でもバックを担当しているWycliffe
'Steely' JohnsonとClevie Browneの
コンビSteely & Clevieだったんですね。
このKing JammyとSteely & Clevieは、
そのデジタルの知識を生かしてジャマイカ
のレゲエ・サウンドを全て塗り替えて行き
ます。

今回のアルバムはそうしたノリに乗って
いたTigerと、デジタルのダンスホール・
レゲエのブームを作っていたKing Jammy
∔Steely & Clevieの組み合わせというの
も大きな魅力です。

Side 1の1曲目は表題曲の「Shocking
Colour」です。
リディムはBob Marleyの「Nice Time」
です。
心地良いデジタルのマーチ風のドラミング
に、キーボードのリズミカルなメロディ、
Tigerのコミカルで味わい深いトース
ティングがイイ感じ。

tiger - shockin colour


2曲目は「Master Fi Dance Hall」です。
デジタルのドラミングに、ピアノ音のキー
ボードのメロディ、リズミカルなリズムに
乗せたTigerのナイスなトースティング。

Tiger - Master Fi Dancehall (1989 - King Jammy)


3曲目は「Beat Down Fence」です。
リズミカルなデジタルなドラミングに、
キーボードのメロディ、言葉が溢れ出す
ように滑らかなTigerのナイスなトース
ティングに、間合いを心得た合いの手が
イイ感じ。

Tiger - Beat Down Fence (1989 - King Jammy)


4曲目は「Watch Me Company」です。
デジタルのキーボードのメロディに、
マーチ風のデジタルなドラミング、ノリの
良いTigerのウィキッドなトースティング。

Tiger Watch Me Company


5曲目は「Music Diesel」です。
リズミカルなドラミングに、キーボードの
ノリの良いメロディ、明るいTigerの
トースティングに、叫び声のような合いの
手がイイ感じ。

Tiger - Music Diesel (1989 - King Jammy)


Side 2の1曲目は「Tiger Has Come」
です。
リズミカルなドラミングに、キーボードの
明るいメロディ、ノリの良いTigerの
トースティング。

Tiger - Tiger Has Come (1989 - King Jammy)


2曲目は「Voice Out」です。
リディムはHorace Andyの「Skylarking」
です。
デジタルなドラミングに、ちょっと陰影の
あるキーボードのメロディ、ピコピコ音、
語るように滑らかなTigerのトース
ティングがイイ感じ。

Tiger - Voice Out (1989 - King Jammy)


3曲目は「Boom Bastic」です。
リディムはHome T 4 & Cocoa Tea &
Shabba Ranksの「Who She Love」です。
リズミカルでデジタルなドラミングに、
キーボードのメロディに、ちょっと
ユーモラスでノリの良いTigerのトース
ティングがイイ感じ。

Tiger - Boombastic [Best Quality]


4曲目は「Fame Grabber」です。
リズミカルなキーボードのメロディに、
Tigerのウィキッドなトースティングが
魅力的。

Tiger - Fame Grabber - Jammy's LP - 1989


5曲目は「Top Man Move」です。
デジタルなリズムに、マーチング風な
キーボードのメロディ、Tigerのナイスな
トースティング。

Tiger - Top Man Move (1989 - King Jammy)


ざっと追いかけてきましたが、当時の
Tigerの勢いを感じさせるアルバムで、
内容は悪くないと思います。
Tigerのコミカルでウィキッドなトース
ティングは多少好き嫌いが分かれる気も
しますが、競争の激しいジャマイカの音楽
界ではこのくらい強烈な個性が必要だった
のかもしれません。

その明るいトースティングで人気を博し
ながら、事故でその個性を発揮出来なく
なってしまった事がとても惜しまれます。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Tiger - No Puppy Love


Tiger LIVE at Reggae Sunsplash 1989


Tiger 1987


Tiger/ Malvo - "Come Back To Me"



○アーティスト: Tiger
○アルバム: Shockin' Colour
○レーベル: Jammy's Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1989

○Tiger「Shockin' Colour」曲目
Side 1
1. Shocking Colour
2. Master Fi Dance Hall
3. Beat Down Fence
4. Watch Me Company
5. Music Diesel
Side 2
1. Tiger Has Come
2. Voice Out
3. Boom Bastic
4. Fame Grabber
5. Top Man Move

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