今回はDillingerのアルバム

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「Top Ranking Dillinger」です。

Dillinger(本名:Lester Bullock)は
70年代のルーツ・レゲエの時代から活躍
するディージェイです。

ディージェイを始めた当初は「ヤング・
アルカポーン」と名乗るほど、当時の人気
ディージェイDenis Alcaponeに憧れて
いた彼でしたが、プロデューサーの
Lee Perryに「お前はヤング・アルカポーン
じゃない!Dillingerだ!」と言われ、
この名前に改名しています。
75年にSutudio Oneレーベルから
「Ready Natty Dreadie」というアルバム
でアルバム・デビューし、その後も
「Cocaine In My Brain」などの数々の
ヒットを飛ばし、独自のステッパーズ・
スタイルのトースティングで人気を博した
のが、このDillingerというディージェイ
です。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て23枚ぐらいのアルバムと、234枚
ぐらいのシングル盤をリリースしているの
が、このDillingerという人です。

アーティスト特集 Dillinger (ディリンジャー)

Dillinger (musician) - Wikipedia

今回のアルバムは1977年にUKの
Third Worldレーベルからリリースされた
Dillingerのソロ・アルバムです。

プロデュースとアレンジはBunny Leeで、
バックはBunny Leeのハウス・バンド
The Aggrovatorsと思われるアルバムで、
前年に「Cocaine In My Brain」が大ヒット
した後のDillingerがもっとも絶頂期に
あった時代のアルバムで、ノリの良い彼の
得意としたステッパーズ・スタイルの
トースティングが楽しめるアルバムで、
内容はとても良いと思います。

手に入れたのは2019年にイタリアの
Radiation Rootsというレーベルから
リイシューされたCD(新盤)でした。
このレーベルの音質はあまり良くない事が
ありますが、気になるパリパリ音などは
確認出来ませんでした。

全10曲で収録時間は34分35秒。

詳細なミュージシャンの表記はありま
せん。

Arranged and Produced by 'Striker' Lee

という記述があります。

プロデュースとアレンジはBunny
'Striker' Leeとなっています。
Bunny Leeのプロデュースしたアルバム
なので、バックは彼のハウス・バンド
The Aggrovatorsと思われます。

ジャケット・デザインに関する記述もあり
ません。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、この時代に
大活躍したDillingerらしいアッパーな
ステッパーズ・スタイルの縦ノリのトース
ティングが楽しめるアルバムで、内容は
とても良いと思います。

このアルバムはあのレゲエ本「Roots
Rock Reggae」にも紹介されたアルバム
で、そこには「長井」さんという方の文章
で次のような文章が書かれています。

「UKのサード・ワールド・レーベルから
リリースされたディリンジャ―全盛期の
アルバム。バニー・リーのもとから数多く
のアルバムやシングルを出していた実績を
持つ売れっ子DJ。ジョニー・クラークや
コーネル・キャンベル等のダブにDJ
トースティングを乗せた軽快なサウンド。
使用されているダブはキング・タビーズで
のミックス。低音域が広域にわたって強調
されていて、より一層ディリンジャ―の
トースティングが格好良く引き立って
いる。」

ジャケットに書かれている英文では
アレンジがBunny Lee本人となっています
が、実際にはBunny Leeが愛用した
ミキシング・スタジオKing Tubby'sでの
ミックスらしいです。
(おそらくDillingerのトースティングの
声入れも、King Tubby's Studioで行われ
たと思われます。)

このDillingerのトースティングは、
70年代後半に流行した「ステッパーズ」
というスタイルのビートに乗せたトース
ティングなんですね。
↓に挙げたサイトにそのビートについて
詳しく書かれていますが、「スライ・
ダンバーが開発した4拍子の4拍すべてに
固い4つ打ちのバスドラムを打つリズム」
なんだそうです。

YOU!レゲエ しちゃいなYO!: HBのとってもくわしいドラムレビュー

特に70年代のレゲエではいろいろな
ドラム・スタイルが開発されていますが、
「ワン・ドロップ」のような横揺れ
スタイルのドラム・ビートが多いレゲエの
ビートの中では、このステッパーズは
どちらかと言えばピョンピョン飛び跳ねる
ような縦揺れのビートで、ディージェイの
トースティングが乗るととてもカッコ良さ
が際立つビートなんですね。
Bob Marleyの「Exodus」などが、その
ステッパーズの代表的な曲としてよく知ら
れています。

Bob Marley - Exodus [HQ Sound]


またこのアルバムを発表した頃のDillinger
は、その前年の76年に彼の代表曲の
ひとつである「Cocaine In My Brain」が
大ヒットしたばかりで、もっとも勢いに
乗っていた頃だったんですね。
この77年に彼はこのアルバムを含めて
5枚のソロ・アルバムと、Trinityとの
対決盤(クラッシュ・アルバム)の計6枚
のアルバムをリリースしています。
彼は今までに共演盤を含めて26枚の
アルバムをリリースしていますが、この
枚数は彼の履歴の中でももっとも多い数
なんですね。
このあたりからも彼の好調さがうかがえ
ます。

今回のアルバムの曲をネットのYouTube
で調べてみたところ、このCDに書かれた
曲目とネットの曲目では、タイトルが
ひとつずつズレていました。
もしかしたらこのCDに書かれた曲目が
間違っているかもしれません。
歌詞を聴いていると。その可能性はかなり
高いです。
ただハッキリした事は解らないので、順番
にこのアルバムの曲目と、その曲と一致
するネット上の曲を載せて行きます。
(なので曲目のタイトルがひとつずつズレ
ています。)

1曲目は「Table Gonna Turn」です。
リディムはBob Marley & The Wailersの
ヒット曲「Wait in Vain」です。
漂うようなキーボードのメロディに、
Johnny Clarkeのヴォーカルのダブワイズ、
歯切れの良いドラミングに乗せた、巻き舌
も入ったDillingerのナイスなトース
ティング。

Dillinger " Check suter janes " Riddim waitning in vain


2曲目は「Check Sister Jane」です。
リディムはJohn Holtの「Time Is The
Master」か?
こちらも漂うようなキーボードに、
ヴォーカルのダブワイズ、歯切れの良い
縦揺れのドラミングに、Dillingerの
トースティングがイイ感じ。

DILLINGER - Know Yourself Wicked Man


3曲目は「Mr Wicked Man Know Yourself」
です。
歯切れの良いドラミングと、ズシっとした
ベースと浮遊感のあるキーボードの
メロディ、軽快なDillingerのトース
ティングが魅力的。

King Pharaoh Was Bald Head


4曲目は「King Pharaoh Is A Baldhead」
です。
ギターと重いベースの演奏に、軽快な
ドラミング、Dillingerのナイスなトース
ティングという組み合わせ。

Dillinger - Rat A Cut Bottle


5曲目は「Rat A Cut Bottle」です。
ズシっとしたベースとギター、軽快な
ドラミングを中心とした演奏に、流れる
ように滑らかなDillingerのルーディーな
トースティングがイイ感じ。

Dillinger - Don't Watch Your Wife


6曲目は「Don't Watch Your Wife」です。
リディムはBob Marley & The Wailersの
「War」か?
ズシっとしたベースとギター、キーボード
のメロディに、歯切れの良いステッパーズ
スタイルのドラミング、流れるような
Dillingerのトースティングがイイ感じ。

Dillinger - War Is Not The Answer


7曲目は「War Is Not The Answer」
です。
ズシっとしたベースとギター、浮遊感の
あるキーボードのメロディに、心地良い
ドラミング、時折入るJohnny Clarkeの
ヴォーカル、エコーのかかったDillinger
のトースティング…。

8曲目は「Love Is What The World Need」
です。
重いベースとサックス、ギターの情感の
あるメロディ、流れるように滑らかな
Dillingerのトースティングがイイ感じ。

9曲目は「Judgement Day Rock」です。
リディムはソウル・グループの
The Temptationsのヒット曲「Get Ready」
か?
ズシっとしたベースとギター、ホーン・
セクションのソウルフルなメロディ、
Dillingerの流れるようなトースティング。

10曲目は「Ranking Of The Past」
です。
リディムはAlton Ellisの「Cry Tough」
のようです。
ベースとギターを中心とした演奏に、
Johnny Clarkeのダブワイズした
ヴォーカル、軽快なドラミングに乗せた
Dillingerのトースティングがイイ感じ。

Dillinger - The Tuffest Of The Past


ざっと追いかけてきましたが、この時代の
Dillingerの好調ぶりがうかがえる内容の
アルバムで、出来は悪くないと思います。
彼のルーディーなトースティングはかなり
ロック的なところがあり、おそらく当時の
UKでもウケが良かったのではないかと
考えられます。
ステッパーズ・スタイルのリズムに乗せて
生き生きとトースティングを披露する彼の
ディージェイ・スタイルは、今の時代に
聴いてもとても魅力的です。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Dillinger take some LSD (performing live at top pop)


Dillinger - Cornbread 1979



○アーティスト: Dillinger
○アルバム: Top Ranking Dillinger
○レーベル: Radiation Roots
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977

○Dillinger「Top Ranking Dillinger」曲目
1. Table Gonna Turn
2. Check Sister Jane
3. Mr Wicked Man Know Yourself
4. King Pharaoh Is A Baldhead
5. Rat A Cut Bottle
6. Don't Watch Your Wife
7. War Is Not The Answer
8. Love Is What The World Need
9. Judgement Day Rock
10. Ranking Of The Past

●今までアップしたDillinger関連の記事
〇Dillinger VS Trinity「Clash」
〇Dillinger_Clint Eastwood「Live At London」
〇Dillinger「Best Of Live」
〇Dillinger「CB 200 + Bionic Dread」
〇Dillinger「Cocaine」
〇Dillinger「Ready Natty Dreadie」
〇Niney The Observer「Microphone Attack 1974-78」