今回はNinjamanのアルバム

ninjaman_05a

「Superstar」です。

Ninjaman(本名:Desmond John
Ballentine)は80年代後半から活躍
する、バッドマン・スタイルのダンス
ホール・ディージェイです。

87年にCourtney Melodyとのコンビ
ネーション曲「Protection」でシングル・
デビューした彼は、常にライバルとの抗争
を引き起こすバッドマン・ディージェイと
して、ジャマイカで大人気のディージェイ
になって行くんですね。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て32枚ぐらいのアルバムと307枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

そうした活躍をしたNinjamanですが、
2009年にRicardo 'Trooper' Johnson
を殺害した罪に問われて息子とともに逮捕
され、2017年に終身刑を言い渡されて
います。

ニンジャマン - Wikipedia

アーティスト特集 Ninjaman (ニンジャマン)

Courtney Melody & Ninja Man - Protection Killimanjaro


今回のアルバムは1988年にUKの
Wittyレーベルからリリースされた
Ninjamanのファースト・アルバムです。

プロデュースはWittyレーベルの
Whitfield Wiitie HenryとNorman
Batchelor Wilsonで、バックは
Steelie & ClievieとThe Firehouse
Crewが担当したアルバムで、「Take
Time To Know Her」や「Comming In
Mad」、「Don't Beat The Amber」など、
87年にCourtney Melodyとのコンビ
ネーション曲「Protection」をヒット
させたばかりの勢いを感じさせる、
Ninjamanの小気味の良いトースティングが
楽しめる好内容のアルバムに仕上がって
います。

手に入れたのはWittyレーベルから
リリースされたLPの中古盤でした。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Musicians: Steelie & Clievie, The Firehouse Crew
Producers: Whitfield Wiitie Henry, Norman Batchelor Wilson
Studios: Creative Sound Studio, Music Works, H.C.F.
Engineers: Philip Smart, Peter Chemist, 'VOOP'

となっています。

バックのミュージシャンはSteelie &
ClievieとThe Firehouse Crewが担当し、
プロデュースはWittyレーベルのWhitfield
Wiitie HenryとNorman Batchelor Wilson
で、スタジオはCreative Sound Studioと
Music Works、H.C.F.となっており、
エンジニアはPhilip SmartとPeter
Chemist、'VOOP'が担当しています。

アルバム・ジャケットに関する記述はあり
ません。
表ジャケットは(おそらくジャマイカの)
レコード店と思われる場所で、ブルーの
ランニングに首から金のネックレスを
ジャラジャラとブラ下げてポーズを決め
る、Ninjamanの姿が写されています。
レコード店はジャマイカにあるようで、
だいたいはレゲエのレコードです。

アーティストの解るレコードを順番に挙げ
て行くと、上の段の左端が少しだけ見えて
いるのが3人組グループFoundationの
88年のアルバム「Flames」、隣りは
Pablo Mosesっぽい男性の顔のジャケット
だがアルバムは特定出来ず、その右隣りの
顔のあたりのアルバムは解らない、一番右
がJudy Mowattの86年のアルバム「Love
Is Overdue」、中段の右腕と肩のあたりの
アルバムがWailing Soulsの84年の
「Stranded」、左肩あたりのアルバムが
Admiral Tibettの87年の「Come Into
The Light」、右端がFrankie Paulと
Coco Teaの86年の「Showdown Vol 8」、
一番下段の左端はKing Jammyのコンピュ
レーション・アルバムのようだが特定出来
ず、その右のに右ひじあたりのアルバムは
Tigerの86年の「Me Name Tiger」、その
右の僅かに幾何学模様が見えているのは
Junior Delgadoの86年の「Road Block」、
右端がCultureの86年の「Culture At
Work」のようです。

裏ジャケは左半分がレコード店のLPの棚
の写真で、右半分が黄色地に曲目や参加し
たアーティストの情報などが書かれていま
す。
こちらは左上写真は誰のアルバムか不明、
右はIni Kamozeの88年のアルバム
「Shocking Out」、中段左がBarrington
Levyの85年のアルバム「Here I Come」、
中段右は「Black Uhuru」という文字は
読めるけれどアルバム・タイトルは不明、
下段左は不明、下段右はJacob Millerの
76年のアルバム「Jacob "Killer"
Miller」のようです。

ninjaman_06a
裏ジャケ

以上の解ったジャケットから見て、88年
のアルバムがあるので、88年に撮られた
写真だと思われます。

さて今回のアルバムですが、Ninjamanの
出発点となったアルバムのひとつで、彼の
軽快なトースティングが楽しめる好内容の
アルバムとなっています。

このNinjamanですが87年にCourtney
Melodyとのコンビネーション曲
「Protection」で人気のディージェイと
なって以降、バッド・マン・ディージェイ
として絶大な人気を誇ってきた人なんです
ね。
特にこの人のパフォーマンス力は凄まじ
く、幾多のディージェイとステージ上で
抗争劇を繰り広げて来たんですね。
特にビッグ・フェスティバルStingでの、
90年のShabba Ranks、91年の
Super Catの、リリックでの「惨殺劇」は
有名です。

Ninjaman vs Shabba Ranks (Sting 1990)


Ninjaman vs Super Cat along with Charlie Chaplin (Sting 1991)


ヤバさギリギリのヒリヒリするような魅力
が、この時代のNinjamanにはあります。
パフォーマーとしての自分に全フリして、
全てを賭けている、そんなバッド・マンと
しての魅力がこの人にはあるんですね。

ちなみにこの人は日本の忍者からとって
Ninjamanと名乗っていますが、どうも
この忍者という意味は日本で考える陰で
仕事をする人という意味ではなくて、
もっとヤバい暗殺者、アサシン的な
イメージのようです。
80年代にアメリカでショー・コスギさん
(ケイン・コスギさんのお父さん)による
ニンジャ物が大流行して、外国では忍者と
いうと暗殺者的なイメージがすごく強いん
ですね。
おそらく「リリックの暗殺者」という意味
で付けたんじゃないかと思われます。

今回のアルバムなどでも顕著ですが、そう
したバッド・マン・ディージェイとしての
Ninjamanのトースティングは、とても陽気
で明るいんですね。
どうしてもバッド・マンというイメージ
から暗く重い感じに持って行きそうなもの
なんですが、陽気で明るくリズミカルに
持って行く所に、このジャマイカらしさが
あるような気がします。
そうした弾けた感じが面白いところ。
この80年代後半から流行しだした、
Steelie & ClievieやThe Firehouse Crew
などが奏でるデジタルでリズミカルな
ダンスホールのメロディに、Ninjamanの
弾けたトースティングが乗って、独特の
世界観を作り上げています。

Side 1の1曲目は「Take Time To Know
Her」です。
歯切れの良いデジタルのドラミングに
キーボードのメロディ、甘い歌声に乗せた
Ninjamanの歯切れの良いトースティングが
イイ感じ。
ちなみにちょっと入っているヴォーカル
は、この時代に活躍したシンガーの
Tinga Stewartのようです。

Ninja Man & Tinga Stewart - Take Time To Know Her


2曲目は「Magnificent」です。
歯切れの良いデジタルなドラミング、
ピアノとキーボードのメロディに乗せた
Ninjamanの流れるようなトースティングが
楽しい曲です。

Ninjaman - Magnificent (1988 - Witty)


3曲目は「Batchelor」です。
リディムはCourtney Melodyの「Modern
Girl」です。
リズミカルなデジタルなドラミングに、
浮遊感のあるキーボードのメロディ、立て
板に水のNinjamanのトースティングが
イイ感じの曲です。

Ninja Man Batchelor


4曲目は「Wrenking Meat」です。
リディムはJackie Mittoo & Soul Vendors
の「Darker Shade Of Black」。
デジタルなキーボードとピアノのメロディ
に、ノリノリなNinjamanのトースティング
が魅力的。

Ninja Man - Renking Meat


リズム特集 Darker Shade Of Black (ダーカー・シェイド・オブ・ブラック)

5曲目は「Psalms」です。
リディムは「General」で、オリジナルは
The Heptonesの「Love Me Girl」。
歯切れの良いデジタルなドラミングに、
刻むようなピアノを中心としたメロディ、
Ninjamanのノリの良いトースティング。

Ninjaman - Psalms


リズム特集 General (ジェネラル)

Side 2の1曲目は「Comming In Mad」
です。
刻むようなデジタルなドラミングに、
ピアノとキーボードのメロディ、流れる
ように滑らかなNinjamanのトースティング
がイイ感じ。

Ninjaman - Coming In Mad (1988 - Witty)


2曲目は「Pedal And Wheel」です。
デジタルなキーボードとピアノのメロディ
に、歯切れの良いドラミング、Ninjaman
のノリの良いトースティングがグッド。

Ninja Man - Peddle And Wheel (Original Version)


3曲目は「Don't Beat The Amber」です。
歯切れの良いデジタルなドラミングに、
デジタルなキーボードのメロディ、
Ninjamanのノリの良いトースティング。

4曲目は「Ganoose」です。
リディムはDon Drummond & The Skatalites
の「Heavenless」。
リズミカルなキーボードのメロディに、
感情を乗せたNinjamanの味わいのある
トースティング。

Ninjaman - Ganoose (1988 - Witty)


リズム特集 Heavenless (ヘブンレス)

ざっと追いかけてきましたが、この時代の
Ninjamanのトースティングには、陽気で
明るい中にギラギラとしたエネルギーを
感じてとても魅力的です。

その後殺人事件を起こしてしまい、文字
通りのバッド・マンとなり、稀代の
パフォーマーであった彼ですが、その歌声
が聴けなくなってしまった事はとても残念
でなりません。
ただ彼の80年代後半から90年代の輝き
は、間違いなくレゲエという音楽の歴史の
一部なんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Ninjaman (Reggae Japan Splash 1991)


Ninjaman and Lecturer on Killamanjaro


Ninja Man - Live At Suffara Link Up (Stage Show).wmv



○アーティスト: Ninjaman
○アルバム: Superstar
○レーベル: Witty
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1988

○Ninjaman「Superstar」曲目
Side 1
1. Take Time To Know Her
2. Magnificent
3. Batchelor
4. Wrenking Meat
5. Psalms
Side 2
1. Comming In Mad
2. Pedal And Wheel
3. Don't Beat The Amber
4. Ganoose

●今までアップしたNinjaman関連の記事
〇Ninjaman, Johnny P「Big Showdown」
〇Ninjaman「Out Pon Bail」
〇Ninjaman「Ting A Ling A Ling A School Pickney Sing Ting」
〇Courtney Melody, Ninja Man「Protection」