今回はDon Carlosのアルバム

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「Suffering」です。

Don Carlos(本名Euvin Spencer)は
メジャー・デビューする以前のBlack Uhuru
に在籍していた事で知られる、70年代
から活躍するシンガーです。
その後はソロとして活躍し、80年代以降
多くのアルバムを残しています。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て23枚ぐらいのアルバムと、101枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

Don Carlos (musician) - Wikipedia

今回のアルバムは1981年にUKの
Negus Rootsというレーベルからリリース
されたDon Carlosのファースト・アルバム
です。

プロデュースはNegus RootsのR. Flacko
で、バックはWe The People Band、
ミックスはErrol Brownが担当した
アルバムで、「Gimme Gimme Your Love」
など、全曲がDon Carlosの歌とダブが交互
に収められたショーケース・スタイルの
アルバムとなっています。

手に入れたのはNegus Rootsから
リイシューされたLP(新盤)でした。

なお今回のアルバムですが、UKの
Blue MoonやUSのMagnum America、UK
のMagmidなどのレーベルから、曲目は同じ
で、「Prophecy」という別のタイトル、
別のジャケットでリイシューされていま
す。

Side 1が6曲、Side 2が6曲の全12曲。
全曲がDon Carlosの歌とダブが交互に収め
られたショーケース・スタイルのアルバム
となっています。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Special thanks to We The People Band:
Bass: L. Parks
Drums: Leroy 'Horsemouth' Wallace
Lead Guitar: Junior Marvin
Rhythm Guitar: Bo Peep
Piano: Winston Wright, Bubbler
Organ: Winston Wright, Wire
Synthesizer: Dave
Syndrom Drum: Leroy 'Horsemouth' Wallace
Horns: Deadly Headly, Dave Zapow
Percussion: Everton Carrington, Horsemouth

Special thanks to all the people who made this Showcase possible:
Black Uhuru, Pickings, Horsemouth, Wailing Soul, E. Brown, Buff Buff, Llodiep,
Michael and B. Jones

All tracks composed by: D. Carlos and Al McCleann
All Tracks published by: Negus Roots
Arranged by: D. Carlos, R. Flacko
Produced by: R. Flacko for Negus Roots

Recorded and Mixed at Tuff Gong International Studio, Kingston, Jamaica
Engineers: E. Brown, S. Stewart
Mixing Engineer: E. Brown
Vocal Backing: Young Pablo, Goldie Locks

となっています。

バックはWe The People Bandで、ベースに
Lloyd Parks、ドラムにLeroy 'Horsemouth'
Wallace、リード・ギターにJunior Marvin、
リズム・ギターにWinston 'Bo Peep'
Bowen、ピアノにWinston Wrightと
Franklyn 'Bubbler' Waul、オルガンに
Winston WrightとEarl 'Wire' Lindo、
シンセサイザーにDave、シンセ・ドラムに
Leroy 'Horsemouth' Wallace、ホーンに
Felix 'Deadly Headly' BennettとDave
Zapow、パーカッションに
Everton CarringtonとLeroy 'Horsemouth'
Wallaceという布陣です。

「Special thanks」としてBlack Uhuru、
Pickings、Horsemouth、Wailing Soul、
E. Brown、Buff Buff、Llodiep、Michael、
B. Jonesという名前があります。

全ての曲の作曲はD. CarlosとAl McCleann
で、アレンジはD. CarlosとR. Flacko、
プロデュースはNegus RootsのR. Flackoと
なっています。

レコーディングとミックスはジャマイカの
キングストンにあるTuff Gong
International Studioで行われ、
レコーディング・エンジニアはE. Brownと
S. Stewart、ミキシング・エンジニアは
Errol Brownで、バック・ヴォーカルは
Young PabloとGoldie Locksとなっていま
す。

残念ながらジャケット・デザインに関する
記述はありません。
両手と首に奴隷の鎖を付けた、嘆き悲しむ
女性と、沈み込む男性のイラストが描かれ
た、かなり印象的なジャケットです。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、80年代の
初めに発表されたアルバムですが、バック
のサウンドはまだルーツ・レゲエの香りを
残したシリアスなサウンドで、その重い
サウンドをバックとしたDon Carlosの
ソフトなヴォーカルが魅力的なアルバムと
なっています。

このDon Carlosですが70年代からBlack
Uhuruなどで活躍していますが、ソロと
してのデビューは80年頃のようです。
ネットのDiscogsにある彼のシングル盤の
一番早い履歴は80年で、その年に
「I Love Jah」や「Hog And Goat」、
「Nice Time (Late Night Blues)」、
「Youths In This Time」など5枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。

I Love Jah


Don Carlos - Hog & Goat 7"


Don Carlos - Nice Time (Late Night Blues)


ネットのYouTubeにアップされている
それらの曲を聴いてみると、ちょっと
ルーツ・レゲエを感じさせる哀愁のある
メロディに乗せた、Don Carlosのソフトな
ヴォーカルが魅力的な楽曲なんですね。
この時代はジャマイカではダンスホール・
レゲエが盛んになり始めた時代ですが、
そのルーツの香りの残る楽曲はまだまだ
人気があったのではないかと思います。

そうして順調にスタートしたDon Carlos
が、81年に出したファースト・アルバム
が今回のアルバムです。
そのルーツの香りを残した哀愁のある
メロディと、この時代に流行した歌とダブ
を交互に収めたショーケース・スタイルの
アルバムで、内容はなかなか良いです。

Side 1の1曲目「Gimme Gimme Your Love」
などを聞くとメロディ・ラインはルーツの
香りタップリですが、歌詞は「朝も夜も君
の愛が欲しい」といったドップリとした
ラヴ・ソングで、そのあたりはかなり
ダンスホールの匂いがします。
逆に「Jah(神)を歌った曲などもあり、
その2面性がこのルーツからダンスホール
に変わる、「変わり目の時代」の匂いが
するんですね。
そのあたりがこのアルバムの面白さでも
あります。

またErrol Brownのエコーやディレイ、
トビ音などを駆使したかなりダブワイズの
効いた攻撃的なミックスも、このアルバム
の大きな魅力となっています。
このErrol BrownはTressure Isleレーベル
を作ったDuke Riedの甥として知られる人
ですが、70年代後半の亡き叔父を引き
継いだTressure Isleでの活躍や、80年
代前半のミキサーとしての活躍は、やはり
特筆すべきものがあります。

曲はすべてDon Carlosの歌とその曲のダブ
が交互に収められた、ショーケース・
スタイルのアルバムとなっています。

Side 1の1曲目は「Gimme Gimme Your
Love」です。
リリカルなピアノとホーン・セクションを
中心とした哀愁のあるメロディに、伸び
やかなDon Carlosのヴォーカルがイイ感じ
の曲です。
書いたように「朝も夜も君の愛が欲しい」
と歌う、ベタなラヴ・ソングのようです。

Don Carlos - Gimme Gimme Your Love & Version


2曲目は「Gimme Gimme Your Love
(Version)」です。
1曲目は「Gimme Gimme Your Love」の
ダブです。
Errol Brownのディープ目のミックスが
イイ感じ。

3曲目は「Crucial Situation」です。
歯切れの良いワン・ドロップのドラミング
に、ギターとピアノ、キーボードの
リズミカルなメロディ、明るく歌うDon
Carlosのヴォーカルがイイ感じ。

Don Carlos - Crucial Situation


4曲目は「Crucial Situation (Version)」
です。
3曲目「Crucial Situation」のダブです。
キーボードなどの楽曲が強調された、
エコーの効いたダブとなっています。

5曲目は「Working Everyday」です。
ピアノとギター、キーボードの哀愁のある
メロディに、感情を乗せたDon Carlosの
表情豊かなヴォーカルが魅力的。

Working Everyday


6曲目は「Working Everyday (Version)」
です。
5曲目「Working Everyday」のダブです。
Errol Brownのディープ感のあるミックス
が魅力的。

Side 2の1曲目は「Live In Harmony」
です。
刻むようなリード・ギターに、鳴く
リズム・ギター、ピアノにキーボードの
哀愁のあるメロディに、トビ音の
エフェクト、心地良さそうに歌うDon
Carlosの節回しの効いたヴォーカルが
イイ感じの曲です。

Don Carlos - Live In Harmony 1981


2曲目は「Live In Harmony (Version)」
です。
1曲目「Live In Harmony」のダブ。
エコーの効いたヴォーカルにダブワイズな
演奏…。

3曲目は「Prophesy」です。
後のリイシューでは表題曲ともなっている
曲です。
歯切れの良いギターとサックス、ピアノの
明るいメロディに、トビ音のエフェクト、
伸びやかなDon Carlosのヴォーカルが冴え
る曲です。

Don Carlos - Prophecy 1981


4曲目は「Prophesy (Version)」です。
3曲目「Prophesy」のダブです。
サックスやギター、トビ音などがうまく
組み合わされたダブとなっています。

5曲目は「Jah Hear My Plea」です。
ギターとピアノ、キーボードを中心とした
明るいワン・ドロップのメロディに、伸び
やかなDon Carlosのヴォーカルがイイ感じ
の曲です。

Don Carlos-Jah Hear My Plea


6曲目は「Jah Hear My Plea
(Version)」です。
5曲目「Jah Hear My Plea」のダブ。
キーボードのメロディに、ワン・ドロップ
のドラミング、エコーなどのエフェクトを
駆使したディープなダブ。

ざっと追いかけて来ましたが、Don Carlos
の陰影のあるヴォーカルはなかなか魅力的
で、彼のヴォーカリストとしての才能が
発揮された好内容のアルバムに仕上がって
います。
またErrol Brownののエフェクトを駆使
したディープなミックスも、このアルバム
の魅力をさらに高めています。
この80年代前半のルーツ・レゲエと
アーリー・ダンスホールの境目の時代の
独特の魅力がこのアルバムにはあります。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Don Carlos
○アルバム: Suffering
○レーベル: Negus Roots
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1981

○Don Carlos「Suffering」曲目
Side 1
1. Gimme Gimme Your Love
2. Gimme Gimme Your Love (Version)
3. Crucial Situation
4. Crucial Situation (Version)
5. Working Everyday
6. Working Everyday (Version)
Side 2
1. Live In Harmony
2. Live In Harmony (Version)
3. Prophesy
4. Prophesy (Version)
5. Jah Hear My Plea
6. Jah Hear My Plea (Version)

●今までアップしたDon Carlos関連の記事
〇Don Carlos & Gold「Plantation」
〇Various「Rubadub Revolution: Early Dancehall Productions From Bunny Lee」