今回はSugar Minottのアルバム

sugar_minott_12a

「African Girl」です。

Sugar Minott(本名:Lincoln Barrington
Minott)はレゲエを代表するシンガーの
ひとりです。
70年代のルーツ・レゲエの時代に
Derek 'Eric Bubbles' HowardとWinston
'Tony Tuff' MorrisとAfrican Brothersと
いう3人組コーラス・グループとして音楽
キャリアをスタートさせた彼は、グループ
解散後もStudio Oneをはじめとして多くの
レーベル、多くのプロデューサーの元に
素晴らしい楽曲を残し活躍した人です。
そのかたわら「ゲットーの兄貴」として、
多くの若者をシンガーとして育てる事にも
尽力した事でも知られています。

そうした彼ですが2010年に54歳で
亡くなっています。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て57枚ぐらいのアルバムと、659枚
ぐらいのシングル盤を残しているのが、
このSugar Minottという人です。

アーティスト特集 Sugar Minott (シュガー・マイノット)

今回のアルバムは1980年にUKの
Sugar Minott自身のレーベルBlack Roots
からリリースされた、彼のソロ・アルバム
です。

プロデュースはSugar MinottとCasanova
Ruddyが担当し、バックはBlack Roots
PlayersやGladiators Bandが担当した
アルバムで、レゲエという音楽がルーツ・
レゲエからダンスホール・レゲエに変わる
時代の変わり目ぐらいに作られたアルバム
で、表題曲の「African Girl」をはじめと
して、「Ghetto Youths」や「Holy Mount
Zion」など、まだかなりルーツ色の残る
バックの演奏に、名前の由来ともなった
Sugar Minottのスウィートな歌声が冴える
アルバムとなっています。

手に入れたのはBlack Rootsからリリース
されたLP(新盤)でした。
購入したレゲエレコード・コムには
「(B-1後半で針飛び)」という注意書きが
ありましたが、特に気になるほどの針飛び
は確認できませんでした。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Black Roots Players:
Drums: Albert Malawie, Carlton Davis, Fish Clark
Piano: Gladstone Anderson, King David, Steelie
Special Syn Drum Effect: Jah Bunny
Rhythm Guitar: Ants
Two Guitars: (1st) Noel Bailey, (2nd) Alan Brownie
Percussion: Everton Youth, Zoot (Skully) Simms, Sugar Minott
Strings Synth: Yvonne Archer
Harmony: Sugar Minott, Casanova Ruddy, Junior Roots
Organ: Steelie

Special thanks to the Gladiators Band for the performance
of Ghetto Youths and Holy Mount Zion

Recorded at Channel 1 Recording Studio, Jamaica
Engineer: Ranking Barnabas
Voice and Mix: Channel 1, John Wayne Studio (England)
Engineer: Barnabas, Sugar Minott, John Wayne
Produced and Arranged: Sugar Minott, Casanova Ruddy
All tracks written by Lincoln Sugar Minott
except Track5 Side 2 Black Slate Wise Owl
Art: Conny Jude

となっています。

バックはSide 1の1曲目「Ghetto Youths」
と2曲目「Holy Mount Zion」が
the Gladiators Band(詳細なメンバー
表記無し)で、残りの曲はBlack Roots
Playersとなっています。
Black Roots Playersのメンバーは、
ドラムにAlbert MalawieとCarlton Davis、
Fish Clark、ピアノにGladstone Anderson
とKing David、Wycliffe 'Steelie'
Johnson、スペシャル・シンセ・ドラム・
エフェクトにJah Bunny、リズム・ギター
にAnts、ファースト・ギターに
Noel Bailey、セカンド・ギターに
Alan Brownie、ストリングスにYvonne
Archer、ハーモニーにSugar Minottと
Casanova Ruddy、Junior Roots、オルガン
にWycliffe 'Steelie' Johnsonという布陣
です。

スペシャル・シンセ・ドラム・エフェクト
で名前の載っているJah Bunnyは、UKの
ルーツ・レゲエ・バンドMatumbiの
ドラマーとして知られる人です。

バックのレコーディングはジャマイカの
Channel 1 Recording Studioで行われ、
レコーディング・エンジニアはRanking
Barnabasが担当し、声入れとミックスは
Channel 1とUKのJohn Wayne Studioで
行われ、ミキシング・エンジニアは
BarnabasとSugar Minott、John Wayneが
担当しています。
プロデュースとアレンジはSugar Minott
本人とCasanova Ruddyが行っています。

アート(ジャケットのイラストか?)は
Conny Judeという人が担当しています。

sugar_minott_13a
裏ジャケ

↑裏ジャケにはSugar MinottのBlack
Rootsレーベルから80年にリリースした
3枚のアルバム、Sugar Minottの「Roots
Lovers」と、Barry Brownの「I'm Not So
Lucky」、Black Roots Playersの
「Ghetto-Ology Dubwise」のモノクロ
写真が掲載されています。

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Barry Brown ‎– I'm Not So Lucky (1980)

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Black Roots Players ‎– Ghetto-Ology Dubwise (1980)

ちなみに「Ghetto-Ology Dubwise」は、
Sugar Minottの79年のアルバム
「Ghetto-Ology」のダブ・アルバムです。

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Sugar Minott ‎– Ghetto-Ology (1979)

さて今回のアルバムですが、Sugar Minott
のアルバムとしては比較的早い時期の
アルバムで、ルーツからダンスホールに
切り替わる時期の彼の歌声が楽しめる、
好内容のアルバムとなっています。

そのキャリアの始まりはコーラス・
グループAfrican Brothersだった彼です
が、ソロとして活躍し始めたのは70年代
の半ば以降なんですね。
そうした彼の努力が実り、彼がバリバリと
活動していたのが70年代後半からこの
80年代前半ぐらいだったようです。
彼はこの80年にはすでに自身のレーベル
Black Rootsを立ち上げ、Barry Brownの
「I'm Not So Lucky」をリリースする
など、自身の活動以外に後輩の育成にも
乗り出していたんですね。
そのあたりが彼が「ゲットーの兄貴」と
して多くのミュージシャンに慕われた所以
です。

今回のアルバムではバックのサウンドは
まだ80年代の前半のアーリー・ダンス
ホール・レゲエで流行したスローなワン・
ドロップのリズムではなく、どちらかと
いうと70年代後半に流行した
ミディアム・テンポのミリタント・ビート
に近い印象です。
歌詞も70年代のルーツ・レゲエの時代
の、ラスタファリズムの影響が感じられる
内容となっています。

ただどこか時代の変わり目の空気も、微妙
に感じる部分もあります。
もっとも早くダンスホールの空気が感じ
られた、あのLinval Thompsonのアルバム
と共通するような、どこか新しい音楽の
「匂い」がこのアルバムにはあるんです
ね。
79年のアルバム「Ghetto-Ology」あたり
から特に明確になった彼の個性が、この
アルバムからも強く感じられます。

Side 1の1曲目は「Ghetto Youths」
です。
リディムはJoe Riley(Jimmy Riley)の
「You Should Have Known」です。
歯切れの良いミリタントなドラミングに、
シンセ(?)を中心としたメロディ、
ソフトなSugar Minottのヴォーカルが
イイ感じ。

Sugar Minott - Ghetto Youths (You Should Have Known Riddim) [HD]


2曲目は「Holy Mount Zion」です。
キーボードに刻むようなギター、歯切れの
良いドラミング、スウィートで味わい深い
Sugar Minottのヴォーカルが魅力的な曲
です。

ここまでの2曲はthe Gladiators Band
がバックを務めています。

3曲目は表題曲の「African Girl」です。
ネットのRiddimguideによると、リディム
はBaba Brooksの「Shank I Sheck」と
なっていますが、ちょっと違うような…。
心地良いパーカッションに男性コーラス、
伸びやかなSugar Minottのヴォーカルが
魅力的。

Sugar Minott African Girl (BRLP 3000) 1981


リズム特集 Shank I Sheck (シャンク・アイ・シェック)

4曲目は「Chant A Psalms」です。
リズミカルなドラムとパーカッションに、
キーボードとギターのメロディ、Sugar
Minottの心地良さそうなヴォーカルも
イイ感じ。

sugar minott - chant a psalms


5曲目は「All I Want Is Jah Jah」
です。
歯切れの良いドラミングとパーカッション
に、キーボードとギターのメロディに、
時々入るトビ音、Sugar Minottのグルーヴ
感タップリのヴォーカルがイイ感じ。

Sugar Minott "all i want is jah jah"


Side 2の1曲目は「Come Sister Come」
です。
浮遊感のあるキーボードにギター、時々
入るトビ音、心地良いドラミングに乗せ
た、感情を乗せたSugar Minottの
ヴォーカルが素晴らしい曲です。

Sugar Minott - Come Sister Come


2曲目は「Jah Jah Children」です。
リディムはBarry Brownの「Far East」。
馴染みのあるギターのメロディに、心地
良いパーカッションのリズム、伸びやかに
歌うSugar Minottの少ししゃがれた
ヴォーカルがイイ感じ。

Sugar Minott - Jah Jah Children


リズム特集 Far East/Jah Sharkey (ファー・イースト/ジャー・シャーキー)

3曲目は「Penny For My Song」です。
歯切れの良いドラミングに、心地良い
ギターのメロディ、伸びやかなSugar
Minottのヴォーカルがとても魅力的。

Sugar Minott - Penny For My Song


4曲目は「Love Jah For Ever」です。
リディムはCarlton And The Shoesの
ヒット曲「Love Me Forever」です。
メロディカ(?)にギター、キーボードの
メロディに、歯切れの良いドラミングに
パーカッション、伸びやかなSugar
Minottのヴォーカルが魅力的。

Sugar Minott "love jah forever"


リズム特集 Love Me Forever (ラブ・ミー・フォーエバー)

5曲目は「Mind Your Motion」です。
ちょっとアダルトな疾走感のあるギターと
キーボードのメロディに、トビ音、感情を
うまく乗せたSugar Minottのナイスな
ヴォーカル。

Sugar Minott-Mind Your Motion.


ざっと追いかけて来ましたが、サウンド的
にはまだかなりルーツ・レゲエの匂いを
感じさせるサウンドですが、その中に
キラキラと輝くようなSugar Minottの感性
を感じるアルバムで、そこがすごく魅力的
です。
Dennis BrownやGregory Isaacs、Freddie
McGregorと並んでレゲエの「4大
ヴォーカリスト」などと評される事も
ある彼Sugar Minottですが、やはり
ヴォーカリストとしての実力は、他と一線
を画すものがあります。

54歳という若さで亡くなってしまった
Sugar Minottですが、彼の残した音源は
今もレゲエの宝物です。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Sugar Minott

↑「M16」リディムの曲を歌っています。

Sugar Minott - Slice of the cake (Live in Japansplash 1986)


Sugar Minott - Good Thing Going (TOTP 1981)



○アーティスト: Sugar Minott
○アルバム: African Girl
○レーベル: Black Roots
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1980

○Sugar Minott「African Girl」曲目
Side 1
1. Ghetto Youths
2. Holy Mount Zion
3. African Girl
4. Chant A Psalms
5. All I Want Is Jah Jah
Side 2
1. Come Sister Come
2. Jah Jah Children
3. Penny For My Song
4. Love Jah For Ever
5. Mind Your Motion

●今までアップしたSugar Minott関連の記事
〇Sugar Minott, Frankie Paul「Show-Down Vol. 2」
〇Sugar Minott「A True」
〇Sugar Minott「Black Roots」
〇Sugar Minott「Dance Hall Showcase Vol.II」
〇Sugar Minott「Ghetto-Ology」
〇Sugar Minott「Rydim」
〇Sugar Minott「Showcase」
〇Sugar Minott「Sugar Minott At Studio One」
〇Sugar Minott「Wicked Ago Feel It」
〇Soul Syndicate (Black Roots Players)「Ghetto-Ology Dubwise」