今回はElephant Manのアルバム

elephant_man_05a
表ジャケ(外カヴァー)

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表ジャケ(内CD)
「Higher Level」です。

Elephant Man(本名:O'Neil Norman
Hughlin Bryan)はジャマイカで人気の
ダンスホール・ディージェイです。

75年にO'Neil Bryanとして生まれた彼は
90年代にバッドマン・ディージェイと
して人気だったBounty Killerに見初め
られ、彼の後輩達で結成された4人組の
ユニットスケア・デム・クルー(Scare
Dem Crew)の一員として90年代後半に
デビューし、その中でも特に輝きを見せて
ダンスホールの世界で人気者となります。
その後99年にScare Dem Crewは解散し、
ソロとして「エナジー・ゴッド(Energy
God)」の愛称でパワフルなステージング
で大活躍したのがこの人です。

ネットのDiscogsによると、7枚ぐらい
のアルバムと、915枚ぐらいのシングル
盤をリリースしています。
また彼の在籍したScare Dem Crewは、
2枚のアルバムと、67枚ぐらいの
シングル盤を残しています。

アーティスト特集 Elephant Man (エレファント・マン)

今回のアルバムは2002年にUKの
Greensleeves Recordsからリリースされた
Elephant Manのサード・アルバムです。

表題曲の「Higher Level」をはじめと
して、パワフルな彼のステージングを想起
させるアルバムで、ダンスホール・レゲエ
としての魅力の溢れるアルバムとなって
います。

手に入れたのはGreensleeves Recordsから
リリースされたCD(新盤)でした。

全23曲で収録時間は76分17秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません
が、表ジャケの内側には曲ごとの
プロデューサー名などが書かれています。
それを写してみると、

1. Party Like This - featuring Jagwa
Produced by Cordel 'Scatta' Burrell & Vernon Spencer for Kings Of Kings Inc.
Executive Producer: Colin 'Issachar' Levy aka Iley Dread for Kings Of Kings Inc.

2. Nuh Come Fast
Produced by Cordel 'Scatta' Burrell for Kings Of Kings Inc.
Executive Producer: Colin 'Issachar' Levy aka Iley Dread for Kings Of Kings Inc.

3. Elephant Message
Produced by Steven 'Lenky' Marsden for 40/40 Productions

4. No Hail Mi
Produced by Donovan 'Vendetta' Bennett for Don Corleon Records

5. Give Her It Good
Produced by Steven 'Lenky' Marsden for 40/40 Productions

6. Do Yuh Thing
Produced by Preston Onfroy for In Time Music

7. Run For Your Life - with Jarvis Church
Produced by Yogie for Fiwi Music

8. Egyptian Dance
Produced by Daniel Lewis, Donovan 'Vendetta' Bennett & Dawell Lewis for Don Corleon Records

9. Krazy
Produced by Daniel Lewis, Donovan 'Vendetta' Bennett for Don Corleon Records

10. Bad Man A Bad Man
Produced by Winston 'Wee Pow' Powell for Stone Love Productions

11. Low Mi Name
Produced by Peter Jackson for Rattler Records
Executive Producer: Sean Morris for Rattler Records

12. Making Money
Produced by lloyd 'John John' James Jnr. for Awful Productions

13. Bring Di Sitten Come
Produced by Christopher 'CJ' James for CJ Productions

14. Bumper
Produced by Harvel Hart for Annex Productions

15. Higher Level
Produced by Rupert Blake for Q45 Productions

16. Tall Up Tall Up
Produced by Winston 'Wee Pow' Powell for Stone Love Productions

17. Ghetto Girls
Produced by Troy Mclean & Garfield Hamilton for First Name Music

18. Approach
Produced by Everton 'Eva' Burrell, Damian 'Teflon' Forbes & Cordel 'Scatta' Burrell for Kings Of Kings Inc.
Executive Producer: Colin 'Issachar' Levy aka Iley Dread for Kings Of Kings Inc.

19. Gotcha - featuring Jagwa
Produced by Cordel 'Scatta' Burrell & Vernon Spencer for Kings Of Kings Inc.
Executive Producer: Colin 'Issachar' Levy aka Iley Dread for Kings Of Kings Inc.

20. Look
Produced by Colin 'Bulby' York & Lynford 'Fatta' Marshall for Fat Eyes Productions

21. On Line
Produced by Christopher 'Goldfinga' Clarke & Gregory Harriot for Golden Cartel Entertainment,
Tropical Productions & Universal Dancehall

22. Virginity
Produced by Lewis 'Flabba' Mlcolm for Mo' Music Productions

23. Miss Matty Son
Produced by Richard 'Shams' Browne for B-Rich Records

Mastered by Kevin Metcalfe at The Soundmasters, London
Photography: Peter Ferguson
Design & Imaging: Tony McDermott

という記載があります。

長いので細かい曲ごとのプロデューサーは
省きます。

写真はPeter Fergusonで、ジャケット・
デザインはGreensleeves Recordsの
ジャケット・デザインを多く手掛けている
Tony McDermottが担当しています。

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裏ジャケ(外カヴァー)

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裏ジャケ(内CD)

裏ジャケにあるElephant Manの写真が、
「ELE」と書かれたハチマキを締めて
いて、まるで漫画「NARUTO」の主人公の
黒人ヴァ―ジョンのようなのがちょっと
面白いところ。
表ジャケ(裏面)の写真などを見ると、
この人けっこう鼻が大きくて長いんです
ね。
Elephant Man(象男)と呼ばれた理由が、
よく解ります。

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表ジャケ(裏面)

さて今回のアルバムですが、Elephant Man
のパワフルで明るいフローが魅力的な
アルバムで、内容はなかなか良いと思い
ます。

Scare Dem Crewというグループから独立
した彼が、その実力をもっとも発揮して
いたのが2000年代前半で、この
アルバムの後には彼はついにメジャー・
レーベルのAtlanticと契約を果たし、
2003年のアルバム「Good 2 Go」で、
憧れのメジャー・デビューを果たすんです
ね。

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Elephant Man ‎– Good 2 Go (2003)

ファースト・アルバムからメジャー・
デビューを果たすまでのこの時期が、彼が
もっとも輝いていた時代だと思われます。

Elephant Manといえばアルバム「Good 2
Go」に収められた楽曲「Pon De River」の
ように、どこまでも底抜けに明るく、
パワフルなフローが魅力の人なんですね。

Elephant Man - Pon de river


その底抜けに明るく、どこかバカっぽい
エネルギッシュなステージングこそ、他に
マネの出来ない彼の個性であり、彼の魅力
なんですね。

今回のアルバムでもその彼の魅力が至る所
に溢れた、内容の濃いアルバムに仕上がっ
ています。
彼らしい男臭く明るいフローの「Party
Like This」から始まり、明るいハンド・
クラップとホーンのメロディに乗せた
フローが印象的な3曲目「Elephant
Message」、不穏な空気のキーボードに
ノリノリのフローがイイ感じな4曲目
「No Hail Mi」、ノリの良いキーボードに
パワフルなフローが冴える5曲目「Give
Her It Good」、Jarvis Churchの感情を
乗せたヴォーカルとElephant Manの
パワフルなフローが印象的な7曲目
「Run For Your Life」、オリエンタルな
キーボードのメロディに力強いフローが
魅力的な8曲目「Egyptian Dance」、
パワフルなフローが印象的な9曲目
「Krazy」、スローでありながらとても
パワフルな10曲目「Bad Man A Bad
Man」、賑やかなキーボードのメロディに
ノリノリなElephant Manのフローが印象
的な表題曲の15曲目「Higher Level」、
激しいリズムに流れるように滑らかな
トースティングが魅力の17曲目
「Ghetto Girls」、Stingの「Englishman
In New York」のリディムが使われた
18曲目「Approach」、「Renegade」
リディムの20曲目「Look」、独特な
ドラミングが印象的な21曲目
「On Line」、「Glue」リディムに乗せた
Elephant Manのナイスなフローが魅力の
23曲目「Miss Matty Son」まで、彼
らしいサービス精神が全編に感じられる
アルバムとなっています。

1曲目はJagwaとの共演曲「Party Like
This」です。
キーボードのメロディに、Elephant Man
らしい男臭く、明るいフローがイイ感じの
曲です。

Party Like This


2曲目は「Nuh Come Fast」です。
Riddimduideで調べてみたところ、「c4」
というリディムのようです。
不穏な空気のキーボードのメロディに、
咳や女性の叫び声などのエフェクト、
淡々と語るようなトースティングに、
ダブるように入って来るトース
ティング…。

3曲目は「Elephant Message」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
「Diwali」というリディムのようです。
ハンド・クラップに明るいホーンの
メロディ、デジタルのドラミング、
心地良いElephant Manのフロー。

Elephant Man-Elephant Message


4曲目は「No Hail Mi」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
「Mad Ants」というリディムのようです。
こちらも不穏な空気のキーボードに特徴的
なコーラス、立て板に水のようなElephant
Manのノリノリのフローがイイ感じ。

Elephant Man - No Hail Mi


5曲目は「Give Her It Good」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
「Masterpiece」というリディムのよう
です。
ノリの良いキーボードのメロディに、
パワフルなElephant Manのフローが冴える
曲です。

Elephant Man - Give Her It Good (Masterpiece Riddim)


6曲目は「Do Yuh Thing」です。
リディムはThe Heptonesの「Party Time」
です。
デジタルなキーボードのメロディに、
コーラスに乗せたElephant Manらしい
フローが冴える曲です。

リズム特集 Party Time (パーティー・タイム)

7曲目はJarvis Churchとの共演曲
「Run For Your Life」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
「Dial Tone」というリディムのよう
です。
デジタルらしいキーボードのリズミカルな
メロディに、Jarvis Churchと思われる
感情を乗せたヴォーカルに、スウィートな
女性コーラス、Elephant Manのパワフルな
フローがイイ感じ。

Jarvis - Run For Your Life feat. Elephant Man


8曲目は「Egyptian Dance」です。
Riddimduideで調べてみたところ、この曲
が元になった「Egyptian」というリディム
のようです。
ちょっとオリエンタルなキーボードの
メロディに、力強いElephant Manのフロー
が魅力的な曲です。

Elephant Man - Egyptian Dance


9曲目は「Krazy」です。
こちらも不穏な空気漂うキーボードの
メロディに、溢れ出すようなElephant Man
のパワフルなフローが印象的。

Elephant Man - Krazy


10曲目は「Bad Man A Bad Man」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
「World's Greatest」というリディムの
ようです。
ソローでメロディアスなキーボードの
メロディに、半分以上歌っているような
Elephant Manのシング・ジェイが魅力的。
スローでありながらとてもパワフルです。

Elephant Man - Bad Man Ah Bad Man


11曲目は「Low Mi Name」です。
心地良いデジタルなドラミングに、
キーボードに乗せた賑やかなコーラス、
男らしいElephant Manのフロー。

12曲目は「Making Money」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
Cobra & Keke Flintの「G-String」という
リディムのようです。
デジタルのビタビタとしたドラミングに、
コーボードのメロディ、滑らかな
Elephant Manのトースティング。

13曲目は「Bring Di Sitten Come」
です。
デジタルなキーボードとドラミングに、
パワフルなElephant Manのフローが魅力
的。

14曲目は「Bumper」です。
キーボードとデジタルな賑やかな
ドラミングに乗せた、Elephant Manの
激しいフローが印象的。

15曲目は表題曲の「Higher Level」
です。
Riddimduideで調べてみたところ、
「Wash Out」というリディムのよう
です。
賑やかなデジタルのドラミングに、
キーボードのメロディ、ノリノリの
Elephant Manのフローがイイ感じな曲
です。

Elephant Man - Higher Level *OFFICIAL VIDEO*


16曲目は「Tall Up Tall Up」です。
クラシックの歌曲のような始まりから、
デジタルなドラミングにキーボードの
メロディに乗せた、Elephant Manらしい
パワフルで激しいトースティング。

17曲目は「Ghetto Girls」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
「Threat」というリディムのようです。
デジタルなキーボードとドラムの激しい
リズムに、流れるように滑らかな
Elephant Manのトースティングが魅力的。

Ghetto Girls


18曲目は「Approach」です。
この曲はStingの「Englishman In New
York」のリディムが使われているよう
です。
リズミカルなデジタルなキーボードと
ドラムのメロディに、男性コーラスに乗せ
た、Elephant Manのパワフルなフローが
魅力的。

Approach


19曲目はJagwaとの共演曲「Gotcha」
です。
ズシっと響くキーボードとドラムの
メロディに、Elephant Manのナイスな
フローがイイ感じ。

20曲目は「Look」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
Sizzlaの「Renegade」というリディムの
ようです。
デジタルなキーボードのリズミカルな
メロディに、Elephant Manの力強いフロー
が魅力。

21曲目は「On Line」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
Anthony Bの「Hard Drive」という
リディムのようです。
独特なドラミングが印象的。

Elephant Man - Online *OFFICIAL VIDEO*


22曲目は「Virginity」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
「Puppy Water」というリディムのよう
です。
縦揺れのデジタルなリズムに、Elephant
Manナイスなフロー。

23曲目は「Miss Matty Son」です。
Riddimduideで調べてみたところ、
「Glue」というリディムのようです。
リズミカルなデジタルなドラミングに、
重いベース音とホーンのメロディ、流れる
ようなElephant Manのトースティングが
魅力的。

Elephant Man - Miss Matty Son (Glue Riddim)


ざっと追いかけて来ましたが、いかにも
パーティー・チューンといったElephant
Manの激しくも楽しいフローはとても魅力
的です。
この2000年代のダンスホール・レゲエ
のアルバムとして、ぜひ聴いておきたい
アルバムのひとつではないでしょうか。
彼のエンターテインメント精神には、
ひたすら脱帽するしかありません。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Elephant Man Live 2003



○アーティスト: Elephant Man
○アルバム: Higher Level
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2002

○Elephant Man「Higher Level」曲目
1. Party Like This - featuring Jagwa
2. Nuh Come Fast
3. Elephant Message
4. No Hail Mi
5. Give Her It Good
6. Do Yuh Thing
7. Run For Your Life - with Jarvis Church
8. Egyptian Dance
9. Krazy
10. Bad Man A Bad Man
11. Low Mi Name
12. Making Money
13. Bring Di Sitten Come
14. Bumper
15. Higher Level
16. Tall Up Tall Up
17. Ghetto Girls
18. Approach
19. Gotcha - featuring Jagwa
20. Look
21. On Line
22. Virginity
23. Miss Matty Son

●今までアップしたElephant Man関連の記事
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