今回はMr. Vegasのアルバム

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「Reggae Euphoria」です。

Mr. Vegas(本名:Clifford Smith)は、
90年代から活躍するハイトーン・
ヴォイスが人気のダンスホール・シンガー
です。

ネットのDiscogsによると、9枚ぐらいの
アルバムと、454枚ぐらいのシングル盤
を残しています。
(持っているアルバムで抜けているものが
いくつかあるので、もしかしたらもっと
多くのアルバムやシングルをリリースして
いるかもしれません。)

ちなみにDiscogsに書かれている彼の履歴
によると、70年代から活躍する3人組の
コーラス・グループThe TamlinsのCarlton
Smithは彼のお兄さんのようです。
活躍時期がかなりズレているので、かなり
歳の離れた兄弟のようです。

アーティスト特集 Mr. Vegas (Mr. ベガス)

Mr. Vegas - Wikipedia

今回のアルバムは2014年にヨーロッパ
のMV Music ‎Europeというレーベルから
リリースされたMr. Vegasの通算7枚目
ぐらいにあたるアルバムのようです。

「Hypocrites」リディムの「Love
Yourself」や「My Jam」、Sheritaとの
共演曲「I've Got A Date」、Latty Jとの
共演曲「Who Rule」、Jovi Rockwellとの
共演曲「Once Upon A Time (I Was Lonely)」
など、ダンスホール・シンガーとしての
Mr. Vegasのアッパーな魅力が目一杯に
詰め込まれた、好内容のアルバムとなって
います。

手に入れたのは日本のOctaveという
レーベルからリリースされたCD(新盤)
でした。

付いていた帯には次のような文章が書かれ
ていました。

「"Nike Air"、"Heads High"等の世界的
ヒットやあのバウンティ・キラーへの
ディス!さらにショーン・ポールとの
コラボ"Hot Gal Today"のスマッシュ・
ヒット等で知られ90年代から活躍する
ベテラン・シングジェイ、ミスター・
ヴェガス7枚目のスタジオ・アルバム!」

全15曲で収録時間は53分02秒。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Drums: Cleveland Browne, Irvin Loctar, Kirk 'Kirkledove' Bennett
Keyboards: Danny Browne, Irvin Loctar, Bowie, Wade Johnson
Guitar: L. 'Monty' Savory, Dalton Browne, Danny Browne
Bass: D. Browne, A. Hoilet
Background Singers: Cleveland Browne, Sherita Lewis, Denette Lewis, Chevaughn Clayton

Mixing Engineers: Danny Browne, Wacko, Romel Marsh, Rohan Dwyer
Recording Engineers: Rivanile, Mica, Pecus
Mastered by: Rohan Dwyer

Creative Direction: Matt Goias
Design & Illustration: Spliffington

となっています。

ミュージシャンはドラムにCleveland
BrowneとIrvin Loctar、Kirk 'Kirkledove'
Bennett、キーボードにDanny Browneと
Irvin Loctar、Bowie、Wade Johnson、
ギターにL. 'Monty' SavoryとDalton
Browne、Danny Browne、ベースにD. Browne
とA. Hoilet、バック・コーラスに
Cleveland BrowneとSherita Lewis、
Denette Lewis、Chevaughn Claytonという
布陣です。
ひとつの楽器にミュージシャンが多いの
は、おそらく一度の録音ではなく、録音を
録り貯めてまとめたアルバムの為と思われ
ます。

ミックス・エンジニアはDanny Browneと
Wacko、Romel Marsh、Rohan Dwyer、
レコーディング・エンジニアはRivanile
とMica、Pecus、マスターはRohan Dwyer
となっています。

クリエイティヴ・ディレクションはMatt
Goias、デザインとイラストはSpliffington
となっています。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、クラシック曲
のリディムなどを巧みに使ったMr. Vegas
のアッパーなヴォーカルが心地良い
アルバムで、内容はなかなか悪くないと
思います。

このMr. Vegasですが、いかにもダンス
ホール・シンガーらしいアッパーなノリが
特徴的なシンガーです。
実は私自身もその「アッパーなノリ」と
いうのが、イマイチ感覚としてうまく掴め
ていない時期がありました。
そんな時にたまたまYouTubeで観たのが、
下のMr. Vegasのヴィデオです。

Mr. Vegas - Follah Da Leadah / Nothing Wild (Official Video)


このヴィデオを見て、「あぁ、アッパー
ってこういう事なのね。」と何となく納得
したところがありました。
バックで踊るダンサーたちの踊りが素晴ら
しいヴィデオですが、Mr. Vegasの歌う
言葉もまるで踊るようにコロコロと転がっ
ているようなんですね。
これがダンスホール・レゲエのノリなんだ
なぁと、あらためて実感しました。
それ以来「アッパー」と聴くと、個人的
にはこのMr. Vegasが思い浮かぶんです
ね(笑)。

今回のアルバムもそんなMr. Vegasの
アッパーなノリの楽曲が、目一杯詰め込ま
れたアルバムです。
そうしたエンターテイメントに溢れた楽し
さは、この人ならではのものがあります。

悲しげなヴァイオリンが印象的な1曲目
「Mr. Shotta」から始まり、ノリの良い
2曲目「God Good」、Studio Oneの
名リディムとして知られる「Hypocrites」
リディムの3曲目「Love Yourself」、
ホーンのメロディに乗せた4曲目
「Plastic Dolly」、ナイヤビンギ調の
パーカッションが印象的な6曲目
「Hallelujah」、Mr. Vegasらしい
イケイケなノリの8曲目「My Jam」、
Alton Ellisの名曲を使った9曲目
Sheritaとの共演曲「I've Got A Date」、
言い争うのような楽しいLatty Jとの共演
の10曲目「Who Rule」、Jovi Rockwell
との共演の12曲目「Once Upon A Time
(I Was Lonely)」、Krystal Lareignとの
共演曲14曲目「Luv Song」、「Sleng
Teng」リディムの15曲目「Real Don」
など、このMr. Vegasというアッパーな
ノリを得意とするダンスホール・シンガー
の魅力が目一杯に詰め込まれた、好内容
のアルバムとなっています。

1曲目は「Mr. Shotta」です。
悲し気なヴァイオリンと生ギター、キー
ボードのメロディに、ちょっとオーヴァー
気味に感情を乗せたMr. Vegasのヴォーカル
が印象的。

MR VEGAS - MR SHOTTA LYRICS 2016


2曲目は「God Good」です。
一転してアゲアゲの楽曲です。
ギターとキーボード、ハーモニカのノリの
良い楽曲に、Mr. Vegasのらしいアゲアゲ
のシング・ジェイがイイ感じ。

3曲目は「Love Yourself」です。
リディムはStudio Oneの名リディムで、
The Wailersの初期のヒット曲として知ら
れる「Hypocrites」です。
明るいキーボードとホーンのメロディに、
優しい女性コーラス、ノリの良い
Mr. Vegasのシング・ジェイ。

Mr. Vegas - Love Yourself


リズム特集 Hypocrite (ヒポクリッツ)

4曲目は「Plastic Dolly」です。
ホーンと重いベースを中心とした楽し気な
メロディに、Mr. Vegasのソフトな
シング・ジェイが冴える曲です。

No Plastic Dolly


5曲目は「The Climb」です。
歯切れの良いキーボードとベースを中心と
したメロディに、伸びやかなMr. Vegasの
ヴォーカルが強く印象に残る曲です。

6曲目は「Hallelujah」です。
ナイヤビンギ調のパーカッションの
ドラミングに、生ギターと漂うようなキー
ボードのメロディ、ちょっと哀愁を込めた
Mr. Vegasの伸びやかなヴォーカルが印象
的。

Hallelujah


7曲目は「Thank You Girl」です。
漂うようなキーボードとギターのメロディ
に、伸びやかなMr. Vegasのヴォーカルと
女性コーラスがイイ感じ。

8曲目は「My Jam」です。
リズミカルなギターを中心としたメロディ
に、イケイケなMr. Vegasのヴォーカルが
魅力的な曲です。
Mr. Vegasらしさ全開の楽しい曲です。

Mr. Vegas - My Jam


9曲目はSheritaとの共演曲「I've Got A
Date」です。
Alton Ellisの代表曲のひとつで、Studio
Oneの名リディムとして知られている曲
です。
心地良いギターとキーボードのメロディ
に、女性ヴォーカリストSheritaのハリの
あるナイスなヴォーカル、Mr. Vegasの
コロコロと転がるような見事なシング・
ジェイ。

I've Got a Date - Mr. Vegas ft. Sherita Lewis (2014)


10曲目はLatty Jとの共演曲「Who Rule」
です。
デジタルなキーボードを中心とした
リズミカルなメロディに、まるで言い
合っているようなLatty JとMr. Vegasの
シング・ジェイが楽しい曲です。

Mr. Vegas & Latty J - Who Rule (Official Video)


11曲目は「Right Now」です。
リズミカルなデジタルなキーボードに乗せ
た、Mr. Vegasらしいシング・ジェイが
冴える曲です。

12曲目はJovi Rockwellとの共演曲
「Once Upon A Time (I Was Lonely)」
です。
ソフトなキーボードとギターのメロディ
に、ちょっとクセのあるJovi Rockwellの
優しいヴォーカルに、合間良く入って来る
Mr. Vegasのシング・ジェイが良い感じ。

Mr. Vegas - Once Upon a Time (I was Lonely) [feat. Jovi Rockwell] Reggae Euphoria


13曲目は「If I Say」です。
美しいコーラス・ワークから、ギターと
キーボードのメロディに乗せたMr. Vegas
のナイスなヴォーカルがイイ感じ。

14曲目はKrystal Lareignとの共演曲
「Luv Song」です。
デジタル感の強いキャッチーなキーボード
のメロディに、Krystal Lareignと
Mr. Vegasのヴォーカルの絡みがイイ感じ。

Mr Vegas (feat. Krystal Lareign) - Luv Song


15曲目は「Real Don」です。
リディムはWayne Smithの「Under Mi
Sleng Teng」、「Sleng Teng」リディム
として知られている曲です。

リズム特集 Sleng Teng (スレンテン)

ざっと追いかけて来ましたが、Mr. Vegas
というアッパーなノリを得意とする、
いかにもレゲエのダンスホール・シンガー
らしい魅力がタップリと詰め込まれた
アルバムで、内容はとても良いと思い
ます。

このMr. Vegasですが、2018年の
アルバム「Ism」では、「Colorism」と
いう曲で人種差別の問題を取り上げて
シリアスなテーマに挑戦するなど、ます
ますその音楽の幅を広げています。

Mr Vegas - Colorism (Official Video)


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Mr. Vegas ‎– Ism(2018)

まだまだ彼の活躍から目を離せない
シンガーなんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Mr. Vegas - Buss It Open (Official Video)



○アーティスト: Mr. Vegas
○アルバム: Reggae Euphoria
○レーベル: Octave
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2014

○Mr. Vegas「Reggae Euphoria」曲目
1. Mr. Shotta
2. God Good
3. Love Yourself
4. Plastic Dolly
5. The Climb
6. Hallelujah
7. Thank You Girl
8. My Jam
9. I've Got A Date - feat. Sherita
10. Who Rule - feat. Latty J
11. Right Now
12. Once Upon A Time (I Was Lonely) - feat. Jovi Rockwell
13. If I Say
14. Luv Song - featuring. Krystal Lareign
15. Real Don

●今までアップしたMr. Vegas関連の記事
〇Mr. Vegas「Ism」
〇Mr. Vegas「This Is Dance Hall」