今回はJimmy Cliffのアルバム

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「Struggling Man」です。

Jimmy Cliff(本名:James Chambers)は
世界的に活躍したレゲエ・シンガーです。
早くからその才能を認められた彼は、
60年代後半には故郷のジャマイカを
離れ、UKのロンドンで歌手として活躍し
始めるんですね。
歌手として世界中の人々にレゲエという
音楽を広めた他に、映画「The Harder
They Come」では主役を務め、貧困から
強盗になりジャマイカの庶民の英雄に
なった主人公アイバンを熱演しています。
その後もレゲエ・シンガーとして、世界的
に大活躍をしたのが、このJimmy Cliffと
いう人です。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て35枚ぐらいのアルバムと、270枚
ぐらいのシングル盤をリリースしていま
す。

Jimmy Cliff (ジミー・クリフ )

ジミー・クリフ - Wikipedia

今回のアルバムは1973年にUKの
Island Recordsからリリースされた
Jimmy Cliffのソロ・アルバムです。

プロデュースはimmy Cliff本人で、表題
曲の「Struggling Man」や「Sooner Or
Later」、Dave Masonのカヴァー曲
「Can't Stop Worrying, Can't Stop
Loving」などが収められたアルバムで、
世界的にレゲエが人気になり始めた時代
の、彼の奮闘ぶりが解る内容のアルバム
となっています。

手に入れたのはIsland Recordsから
リリースされたLP(新盤)でした。
このアルバムは私が初めにレゲエを集めて
いた、70年代に購入しています。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

詳細なミュージシャンの表記はありま
せん。

Produced by Jimmy Cliff
Recorded in Jamaica
Sleeve design and illustration by David Dragon: Flying Colours

という記述があります。

プロデュースはJimmy Cliff本人で、
レコーディングはジャマイカで行われて
いるようです。

ジャケット・デザインとイラストは
Flying Coloursという会社のDavid Dragon
という人が行っているようです。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、Jimmy Cliff
らしいポジティヴなリリックに溢れた
アルバムで、なかなか好内容のアルバムだ
と思います。

このJimmy Cliffですが、ジャマイカが
まだスカの時代だった60年代にその才能
を認められ、レゲエが誕生する以前にUK
に渡り、世界的に活躍したレゲエ・
アーティストとして知られています。
UKに渡ってからはなかなか目が出ずに
困難な日々を過ごした事もありましたが、
69年の彼のヒット曲「Vietnam」は
あのBob Dylanから「今までに聞いたこと
の無い最高の反戦歌」という高評価を
得て、徐々にシンガーとしての評価を上げ
て来た人なんですね。
70年代に世界的に人気になって来た
レゲエに、「レゲエ=ポジティヴ」という
イメージを付けたのも、世界的なレゲエ・
シンガーとして活躍した彼のメッセージ性
のあるポジティヴな歌詞のおかげなんです
ね。

ただその割にこの人の評価が低いのは、
やはり早くからジャマイカを離れた為、
ジャマイカのレゲエとは少し違うUKでも
通用するポピュラリティの強いサウンドを
作り上げた為かもしれません。
世界的に活躍する彼には、それしか選択肢
はなかったんですね。

ただ彼が偉大なシンガーであり、あの
Bob Marleyなどと並んでレゲエを世界に
広めたという事実に変わりはありません。

今回のアルバムはそんな彼の初期の代表作
のひとつともいえるアルバムで、彼らしい
ポジティヴなメッセージが詰め込まれた
内容のアルバムとなっています。
表題曲の「Struggling Man」は、自動翻訳
などで訳してみると「苦労する男」や
「奮闘している男性」、「奮闘している
人」などの意味ですが、昔読んだこの歌の
歌詞では「困難を克服する男」のような
意味だったような気がします。
「奮闘する男に休んでいる時間なんて
無い」という、自分に対する応援歌のよう
な内容の歌だったと思います。
小気味良いリズムに乗せてポジティヴな
メッセージを心地良く歌って行くのが彼の
スタイルで、聴いていて元気が湧いて来る
ような曲が多いのが彼の魅力なんですね。

その表題曲「Struggling Man」や「Sooner
Or Later」など彼の代表曲となった曲が
収められているのが今回のアルバムです。
アルバムを詳細に見ると、Side 1がこの
2曲を含めて彼の作曲した5曲が収め
られているのに対して、Side 2は
Dave Masonの「Can't Stop Worrying,
Can't Stop Loving You」など別の人が
作曲した曲4曲と、最後にJimmy Cliff
の作曲した「Going Back West」の
計5曲が収められています。
Side 2はある程度ポピュラリティを意識
したサイドとなっているようです。
このアルバムがリリースされた73年は、
まだレゲエが世界に知られ始めた時期で
あり、まだ人々が聴き易いポピュラリティ
のある曲が必要と考えたのでしょう。
そのあたりは初期レゲエの頃の特徴と言え
るかもしれません。
その特徴からSide 1はJimmy Cliffの作曲
力を含めた歌唱の魅力、Side 2はJimmy
Cliffのシンガーとしての魅力を楽しむ
アルバムと言えるかもしれません。
この時代のJimmy Cliffには勢いがあり、
シンガーとしてもっとも注目され、輝いて
いた時代だったんですね。

このアルバムはあのレゲエ本「Roots Rock
Reggae」にも紹介されたアルバムで、彼の
代表作のひとつ知恵るアルバムなんです
ね。
ちなみにその「Roots Rock Reggae」には
彼のアルバムとして、78年の「Give
Thankx」と76年のライヴ・アルバム
「In Concert: The Best Of Jimmy Cliff」
の3枚のアルバムが紹介されています。

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Jimmy Cliff ‎– Give Thankx (1978)

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Jimmy Cliff ‎– In Concert: The Best Of Jimmy Cliff (1976)

このあたりは彼のアルバムの中でも特に
聴いておいた方が良いアルバムだと思い
ます。
ちなみに個人的には76年のライヴ盤が
一番好きです(笑)。

Side 1の1曲目は「Struggling Man」
です。
華やかなホーンとキーボード、ギター、
ピアノのダンサブルなメロディに
Jimmy Cliffの歯切れの良いヴォーカル
が魅力的な曲です。
書いたように「俺は困難に立ち向かう男」
という、人生のコンシャスな応援歌です。

Jimmy Cliff - Struggling Man


2曲目は「When You're Young」です。
キーボードとホーン・セクション、ピアノ
を中心としたメロディに、Jimmy Cliffの
伸びやかなヴォーカルが心地良い曲です。

Jimmy Cliff - When You're Young


3曲目は「Better Days Are Coming」
です。
ギターと華やかなキーボードのメロディ
に、表情豊かに歌うJimmy Cliffの
ヴォーカルと女性コーラスが心地良い曲
です。

4曲目は「Sooner Or Later」です。
リズミカルなキーボードとギター、ピアノ
のメロディに、Jimmy Cliffのイイ感じの
ヴォーカル。

Jimmy Cliff - Sooner Or Later


5曲目は「Those Good Good Old Days」
です。
キーボードにギター、ピアノのメロディ
に、ちょっとファルセットの入ったJimmy
Cliffのヴォーカルがイイ感じ。

Side 2の1曲目は「Can't Stop Worrying,
Can't Stop Loving You」です。
書いたようにDave Masonの曲のカヴァー
です。
ソウルっぽいギターとドラムの入りから、
キーボードに乗せたJimmy Cliffのソウル
フルなヴォーカルが魅力的。
シンガーとしての彼の資質が、充分に発揮
された1曲です。

Jimmy Cliff - Can't Stop Worrying, Can't Stop Loving You


2曲目は「Let's Seize The Time」です。
作曲が「G. Bright-Plummer」となってい
ます。
オールディなピアノとギターのユッタリ
したメロディに、ソフトなJimmy Cliffの
ヴォーカルがとても魅力的な曲です。

Let's Seize The Time


3曲目は「Come On People」です。
作曲が「G. Illingworth-B. Finton」と
なっています。
リズミカルなピアノとキーボードを中心
としたメロディに、ホーン・セクション、
Jimmy Cliffの伸びやかなヴォーカルに、
華やかなコーラスがイイ感じ。

4曲目は「I Can't Live Without You」
です。
作曲が「G. Bright-Plummer」となって
います。
Jimmy Cliffのハミングから、リズミカル
なドラミングにギターのメロディ、
Jimmy Cliffの明るく伸びやかなヴォーカル
がイイ感じ。

Jimmy Cliff - Can't Live Without You


5曲目は「Going Back West」です。
Side 2ではこの曲のみ彼の作曲です。
生ギターの刻むようなメロディに、
リラックスしたJimmy Cliffのソフトな
ヴォーカルが魅力的な曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、今聴くと
Jimmy Cliffらしいコンシャスなメッセージ
が盛り込まれたSide 1の方が魅力的に感じ
られますが、まだレゲエの初期だった
70年代の初めにはもしかしたらSide 2の
ポピュラリティのある曲の方が聴き易く
感じられたのかもしれません。
ただそうした試行錯誤があった事も、
レゲエという音楽の歴史の一部であるん
ですね。

「俺は戦う男」「きっと明日はいい日に
なるさ」と、常に人々を勇気づける
コンシャスなメッセージを発し続けた彼
Jimmy Cliffは、やはりレゲエの歴史で
重要な役割を果たした偉大なシンガーの
ひとりです。
そのあまりに素直過ぎる精神で時には自分
のアイデンティティに苦しんだ事もある彼
ですが、その純粋過ぎるコンシャスな歌詞
は、今もレゲエという枠を超えて多くの
人々を勇気づけているんですね。
その嘘のない熱いハートこそが、この
Jimmy Cliffという人の生きた証しなんです
ね。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Jimmy Cliff - Live Santa Monica 1975 - Part1


Jimmy Cliff - Live Santa Monica 1975 - Part2



○アーティスト: Jimmy Cliff
○アルバム: Struggling Man
○レーベル: Island Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1973

○Jimmy Cliff「Struggling Man」曲目
Side 1
1. Struggling Man
2. When You're Young
3. Better Days Are Coming
4. Sooner Or Later
5. Those Good Good Old Days
Side 2
1. Can't Stop Worrying, Can't Stop Loving You
2. Let's Seize The Time
3. Come On People
4. I Can't Live Without You
5. Going Back West