今回はTiken Jah Fakolyのアルバム

tiken_jah_fakoly_03a

「The African」です。

Tiken Jah Fakoly(本名:Doumbia Moussa
Fakoly)はアフリカのコートジボワール
出身のレゲエ・シンガーです。
歌で歴史や伝承を歌で伝える伝える
グリオーという家系に生まれた彼は、圧制
に苦しむ人々の為に歌い、アフリカで
大人気の人気のレゲエ・シンガーとなるん
ですね。
ただその為に命を狙われ国外に逃亡し、
今はフランスを拠点に活動を続けていま
す。

ネットのDiscogsによると、これまでに
17枚ぐらいのアルバムと、13枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。

Tiken Jah Fakoly - Wikipedia

tiken_jah_fakoly_01a
Tiken Jah Fakoly ‎– Françafrique (2002)

今回のアルバムは2007年にフランスの
Barclayというレーベルからリリースされ
たTiken Jah Fakolyのソロ・アルバム
です。
(正式なタイトルはフランス語圏での
リリースなので、「L'Africain」です。)

華やかなホーン・セクションと、コラなど
のアフリカ固有の民族楽器がうまく使われ
たアルバムで、表題曲の「L'Africain
(The African)」やStingの「Englishman
In New York」のカヴァー曲「Africain À
Paris (African In Paris)」、
「Promesses Bla Bla (Promises Bla
Bla)」など、彼らしいポピュラリティの
あるアフリカン・レゲエの音楽スタイルが
感じられる内容となっています。

手に入れたのはWrasse Recordsという
レーベルからリリースされたCDの中古盤
でした。
CDには4つ折りの裏表に印刷された
ライナー・ノーツが付いていて、そこには
日本語の曲目のタイトルと、田中勝則さん
という方の解説文が付いていました。
(日本語の曲目のタイトルは、一番最後に
記載しました。)

また付いていた帯には次のような文章が
書かれていました。

「西アフリカのボブ・マーリーが待望の
新作をリリース!
見よ、この闘志溢れるジャケットを!
レベル・ミュージックとしてのレゲエの
精神を、ジャマイカから遠く離れた
アフリカの地で守り続けている男
ティケン・ジャー・ファコリーが3年ぶり
となる新作を発表してくれた。ティケン・
ジャー・ファコリーは西アフリカの
コート・ディヴォワール出身。グリオ
(世襲制芸能集団)の家系に生まれたが、
学生時代にレゲエの洗礼を受け、
メッセージ性の強い歌詞を武器に大スター
へと成長した。この新作ではセネガル人
ヒップホップ・アーティスト、Akon
(エイコン)や伝統楽器コラの名手
トゥマニ・ジャバテをフィーチャーした曲
を含む、以前以上にアフリカ色の強い
内容。ルーツ・レゲエ~ブラック・
ミュージック~アフリカ音楽と、幅広い
ファン層に親しまれそうな作品だ。」

全12曲で収録時間は47分44秒。

ミュージシャンについては表ジャケットの
小冊子にフランス語の記述があります。
ただフランス語だと解らないなと思って
いたところ、ネットのDiscogsに英語で
書かれていたので、それを参考に書いて
みます。

Mixed by: Kevin Bacon & Jonathan Quarmby
Mastered by: Ian Cooper
Executive-Producer: Sylvain Taillet
Assistant Executive-Producer: Marie-José Sarazin

Vocals, Backing Vocals: Tiken Jah Fakoly
Drums: Charles Laube
Bass: David Jno.Baptiste (Ras Jumbo)
Guitar, Backing Vocals: Vi Avelino
Guitar: Petit Condé
Keyboards: Dave Kynner
Programmed by, Keyboards: Jonathan Quarmby
Trombone, Backing Vocals: Michel Pinheiro
Saxophone: Jean-Baptiste Dobiecki
Trumpet: Didier Bolay
Backing Vocals: Oliza Zamati, Shana, Julie Brou

Kora solo (7,12): Toumani Diabaté
Kora (1,3,4,6,12): Mamadou Cherif Soumano
Kambélé Ngoni (2,6,7,12): Malik Diakité
Balafon (2,6,11,12): Mohammed Diabaté
Soukou (6): Zoumana Téréta
Djembé (1,3,5,9): Adama Diarra
Djembé (1): Constant Ser
Percussions (1,2,4,5,6,9,10): Denver Smith
Bass (1,4,6,7): Kevin Bacon
Double Bass (12): Hugo Cechosz

とりあえずなんとか解った部分だけ書き
出してみました。

記述がフランス語なので、スタジオなどの
記述で解らないところがあり、とりあえず
解る部分に関してだけ文字に起こしまし
た。

ミックスはKevin Bacon & Jonathan
Quarmbyで、マスターはIan Cooper、
エグゼクティブ・プロデューサーは
Sylvain Taillet、アシスタント・
エグゼクティブ・プロデューサーは
Marie-José Sarazinとなっています。

参加しているミュージシャンはヴォーカル
とコーラスにTiken Jah Fakoly、ドラム
にCharles Laube、ベースにJno.Baptiste
(Ras Jumbo)、ギターとコーラスに
Vi Avelino、ギターにPetit Condé、キー
ボードにDave Kynner、プログラミングと
キーボードにJonathan Quarmby、トロン
ボーンとコーラスにMichel Pinheiro、
サックスにJean-Baptiste Dobiecki、
トランペットにDidier Bolay、コーラス
にOliza ZamatiとShana、Julie Brouと
いう布陣です。
ここまでがアルバム全般に参加した
メンバーのようです。

それ以外に曲によって参加したメンバーも
書かれています。
《()は参加した曲目の番号です。》
コラのソロ(7,12)にToumani Diabaté、
コラ(1,3,4,6,12)にMamadou Cherif
Soumano、ンゴニ(Kambélé Ngoni)(2,6,
7,12)にMalik Diakité、バラフォン(2,6,
11,12)にMohammed Diabaté、Soukouという
楽器に(6)にZoumana Téréta、Djembéと
いう楽器(1,3,5,9)にAdama Diarra、
同じくDjembé(1)にConstant Ser、
パーカッション(1,2,4,5,6,9,10)に
Denver Smith、ベース(1,4,6,7)にKevin
Bacon、ダブル・ベース(12)にHugo Cechosz
が参加しています。
コラやンゴニ、バラフォン、Soukou、
Djembéなど、アフリカ固有の楽器が使われ
ているのも、このTiken Jah Fakolyの
アルバムの大きな特徴となっています。

さて今回のアルバムですが、ホーンと
アフリカ固有の民族楽器を駆使した壮大な
演奏に、Tiken Jah Fakolyの魂のこもった
ヴォーカルが冴えるアルバムで、内容は
悪くないと思います。

このTiken Jah Fakolyですが、「西
アフリカのボブ・マーリー」とも称される
人で、その歯に衣を着せぬ政治を糾弾した
レベル・ミュージック(反骨の音楽)の
歌詞は、アフリカ全土で大きな支持を
集め、絶大な人気を誇っている人なんです
ね。
ただ反面政府からは目を付けられ、命を
狙われたことをきっかけに今はフランスに
亡命しています。
今回のアルバムにはStingの「Englishman
In New York」のメロディを使った
カヴァー曲「Africain À Paris (African
In Paris、パリのアフリカ人)」という曲
もありますが、おそらくパリに亡命して
いる自らの心情を歌ったものだと思われ
ます。

そうした亡命せざるを得なかった事情など
は、まさに命を狙われてジャマイカを離れ
たBob Marley本人とダブるところがあり
ます。
まさに英雄ゆえの悲しい宿命と言えるかも
しれませんね。

ただこのTiken Jah FakolyやBob Marley
が英雄と呼ばれるのは、自らの命を賭して
も人々の為に社会の不正を歌い続けたから
なんですね。
そうした彼Tiken Jah Fakolyに付けられた
「西アフリカのボブ・マーリー」という
称号は、彼のそういう生き方に対する大衆
からの賛辞なのかもしれません。
今までのレゲエの歴史に多くのミュージ
シャンは居るけれど、「英雄」という名前
が似合うのはそうした多くの人々の為に
不正を糾弾し、命懸けで戦った一部の
ミュージシャンだけなんですね。

そうした姿勢を持ったBob MarleyやPeter
Toshというミュージシャンがアフリカでは
高く評価され、このTiken Jah Fakolyや
Lucky Dube、Alpha Blondyなどの硬派な
ミュージシャンを生み出して行ったんだと
思います。
ある意味これらのアフリカン・レゲエの
ミュージシャンが、もっとも良くルーツ・
レゲエという音楽のもつ思想性を受け継い
で行ったんですね。

また思想性と共にその音作りも、華やかな
ホーンに女性コーラスという編成が
アフリカン・レゲエには多いですが、
それもBob Marleyのホーンに女性コーラス
のI Threeを真似たものだと言われていま
す。
アフリカではThe BeatlesやBob Dylanと
いった白人のビッグ・ネームのミュージ
シャン以上に、黒人のBob Marleyの影響が
大きいんですね。
(もちろんBob Marleyもビッグ・ネーム
ですが…。)
あのアフリカン・ミュージックのサリフ・
ケイタ(Salif Keita)の、バックに
ホーンと女性コーラスを付けるスタイル
も、Bob Marleyの影響があると言われて
います。

今回のTiken Jah Fakolyの場合はその
ホーンに女性コーラスというスタイルに
プラスして、アフリカ固有の民族楽器コラ
やンゴニ、バラフォンなどを使用している
のも大きな特徴となっています。
そのあたりは自分の正しいと思う事を
歌ったが故に故郷を追われた、彼の故郷で
あるアフリカへの想いが反映しているの
かもしれません。
特に6曲目Akonとの共演曲「Soldier」や
7曲目「Non À L'Excision (No To
Circumcision)」などではその民族楽器が
とてもうまく効果的に使われていて、民族
楽器の素朴な音色との取り合わせが、
とても面白く仕上がっています。

またこのアルバムあたりからサウンドが
よりポピュラリティの強いものになり、
とても聴き易くなって来ているんですね。
Stingの「カヴァー曲「Africain À Paris
(African In Paris)」はその特徴が
もっともよく表れた曲で、彼の人々に言葉
を伝える能力がより深化している印象が
あります。

彼のアルバムと言えばあのThe Wailersも
協力した2002年の「Françafrique」
が有名ですが、その頃の硬質なサウンドも
魅力ですが、このアルバムあたりからより
聴き易いサウンドに変化し、その後も
2010年の「African Revolution」や、
カヴァー曲を多く集めた2015年の
「Racines」など、魅力的なアルバムを
多く残しています。

tiken_jah_fakoly_02a
Tiken Jah Fakoly ‎– African Revolution (2010)

tiken_jah_fakoly_04a
Tiken Jah Fakoly ‎– Racines (2015)

とても親しみやすいサウンドながら力強い
メッセージもこもっている、Tiken Jah
Fakolyの音楽はこれからも注目すべき
ところがあります。

1曲目は表題曲の「L'Africain
(The African)」です。
華やかなホーン・セクションの
オープニングから、語るようなTiken Jah
Fakolyのヴォーカル。
「俺たちはアフリカンだ」と、エチオピア
などアフリカのいろいろな国の名前を挙げ
ながら、連帯を呼びかけるような内容の曲
です。

L'africain


2曲目はSopranoとの共演曲「Ouvrez Les
Frontières (Open The Frontiers)」です。
ホーンと民族楽器のコラなのか?弦楽器の
メロディに、女性コーラスに乗せたTiken
Jah Fakoly男らしいヴォーカルと、もう
少し高いSopranoのヴォーカルの絡みが
イイ感じの曲です。

Tiken Jah Fakoly - Ouvrez les frontières ft. Soprano


3曲目は「Où Aller Où? (Where Are You
Going?)」です。
弦楽器の美しいメロディから生ギターと
ストリングス、哀愁を帯びたTiken Jah
Fakolyのヴォーカルがとても魅力的。

4曲目は「Africain À Paris (African
In Paris)」です。
Stingのヒット曲「Englishman In New
York」のカヴァーです。
ギターとホーン・セクションなどによる
耳馴染みの良いメロディに、感情をうまく
乗せたTiken Jah Fakolyのヴォーカルに
イイ感じで入って来る男性コーラス…。
ポピュラーのヒット曲をうまく自分のもの
にしています。

Tiken Jah Fakoly - Africain à Paris


5曲目は「Ayebada」です。
華やかなホーン・セクションの奏でる哀愁
のあるメロディに、伸びやかに歌うTiken
Jah Fakolyのヴォーカルに女性コーラス。

6曲目はAkonとの共演曲「Soldier」
です。
民族楽器と思われる弦楽器と笛の演奏に、
壮大なホーン・セクション、Tiken Jah
FakolyとAkonのヴォーカルのコンビ
ネーションがイイ感じ。

Soldier


7曲目は「Non À L'Excision (No To
Circumcision)」です。
日本語のタイトルが「割礼はダメ」と
なっているので、おそらくそういう事を
歌っているのでしょう。
ダル~ンとした独特の音色の弦楽器ともう
ひとつの弦楽器のメロディを中心に、
感情を乗せたTiken Jah Fakolyの
ヴォーカルがイイ感じの曲です。

Tiken Jah Fakoly - Non A L'Excision


8曲目は「Foly」です。
勇壮なホーン・セクションのメロディに、
キーボードとピアノ、女性コーラスに乗せ
たTiken Jah Fakolyのヴォーカルが魅力
的。

9曲目は「Viens Voir (Come And See)」
です。
歯切れの良いドラミングに、ホーン・
セクションの勇壮なメロディ、腹に響く
重低音のベース、感情を乗せたTiken
Jah Fakolyのヴォーカル。
邦題は「見に来い」となっています。

10曲目は「Promesses Bla Bla (Promises
Bla Bla)」です。
漂うようなキーボードを思いベース、
ホーン・セクションに、感情を乗せた
Tiken Jah Fakolyの熱唱が心に響く曲
です。

Tiken Jah Fakoly - Promesses bla bla


11曲目は「Gauche Droite (Left
Right)」です。
リズミカルなホーン・セクションの
メロディに、男性コーラス、民族楽器と
思われる打楽器、流れるように滑らかな
Tiken Jah Fakolyのヴォーカル。

12曲目は「Ma Côte D'Ivoir (My Ivory
Coast)」です。
優しい弦楽器のメロディに乗せた、ソフト
なTiken Jah Fakolyのヴォーカルがイイ
感じ。

Ma Côte d'Ivoire


ざっと追いかけて来ましたが、その歯に
衣を着せぬ歌詞で政治を糾弾し故郷を追わ
れた彼Tiken Jah Fakolyは、パリの寒空で
何を思うのでしょう。
グリオという家系に育ち、レゲエに目覚め
た彼は多くのアフリカの人々の心をつかみ
ましたが、その代償は決して小さいもの
ではありませんでした。
それでも歌い続ける彼を、人々は尊敬を
込めて「英雄」と呼ぶのでしょう。
あのBob MarleyやPeter Toshがそうで
あったように…。

正直なところ彼のようなアフリカの
レゲエ・アーティストは情報が少なく、
なかなかその動向がつかみにくいところが
あります。
ただもっともよく70年代にあったレゲエ
の精神を今も継いでいるのは、アフリカの
レゲエ・アーティストであるのもまた事実
です。
Tiken Jah Fakolyの動向にはこれからも
注目です。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Tiken Jah Fakoly Ayebada live


Tiken Jah Fakoly - We Love Africa (Clip Officiel)



○アーティスト: Tiken Jah Fakoly
○アルバム: The African
○レーベル: Wrasse Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2007

○Tiken Jah Fakoly「The African」曲目
1. L'Africain (The African)
2. Ouvrez Les Frontières (Open The Frontiers) - feat. Soprano
3. Où Aller Où? (Where Are You Going?)
4. Africain À Paris (African In Paris)
5. Ayebada
6. Soldier - feat. Akon
7. Non À L'Excision (No To Circumcision)
8. Foly
9. Viens Voir (Come And See)
10. Promesses Bla Bla (Promises Bla Bla)
11. Gauche Droite (Left Right)
12. Ma Côte D'Ivoir (My Ivory Coast) - feat. Beta Simon

○Tiken Jah Fakoly「The African」日本語曲目
1. アフリカ人
2. 国境を開けろ
3. どこへ行く?
4. アフリカン・ア・パリ
5. アイェバダ
6. 戦士
7. 割礼はダメ
8. フォリィ
9. 見に来い
10. プロメセ・ブラ・ブラ
11. 左右
12. 我がコート・ディヴォワール