今回はNattali Rize & Notisのアルバム
「New Era Frequency」からKabaka Pyramid
との共演曲「Generations Will Rize」の
歌詞を紹介して思います。

○Generations Will Rize - Nattali Rize & Notis feat. Kabaka Pyramid

You won't see us on the TV,
you won't read it in the news feed
But the time it come, Change keeps beating like a Drum
Cause The People have the Power, They keep Waking by the hour
And the Youth them see so they're breaking
Free from your mental slavery

あなたは私達をテレビで見ない、
あなたはニュースフィードで読む事もない
けれど時が来れば 変化はドラムのように打ち続ける
何故なら人々には力がある、
彼等は時と共に目を覚まし続ける
そして若者は見るだろう
彼等があなたの心の奴隷から解放されるのを

Generations will Rize, Governments they will fall
We're the only ones who will carry us through it all
If the words they are clear and the actions are strong
Oh my People We can't go wrong… so hold on
Hold on Hold on Hold on

世代の意志は上昇する 政府の奴らは落ちて行く
私達はすべてをやり遂げる唯一の存在だ
もし言葉が彼等に明確で 行動が強ければ
あぁ、私の仲間達よ 私達は間違う事は
出来ない… ちょっと待って
ちょっと待って ちょっと待って ちょっと待って

Staring down their lie of democracy
will you fight on your feet or live pon ur knees…?
This is not the way that life's supposed to be
I'm callin', callin' yeah
These generations are making that change,
they've learnt your system now they're gonna rage,
better take care and babylon you be aware,
this a warnin' warnin' yeah

奴らの民主主義の嘘とにらめっこ 
君は自分の足で戦うの それとも跪いて生きるの…?
これは私が何度も呼びかけている人生の道ではない
これらの世代はその変化をもたらす
怒りに満ちた今 彼らはあなたのシステムを学んだ
気を付けて バビロンはあなたに気づいている
そう これは警告よ 警告よ

Generations will Rize, Governments they will fall
We're the only ones who will carry us through it all
If the words they are clear and the actions are strong
Oh my People We can't go wrong… so hold on
Hold on Hold on Hold on

世代の意志は上昇する 政府の奴らは落ちて行く
私達はすべてをやり遂げる唯一の存在だ
もし言葉が彼等に明確で 行動が強ければ
あぁ、私の仲間達よ 私達は間違う事は
出来ない… ちょっと待って
ちょっと待って ちょっと待って ちょっと待って

It's just a drop inna di ocean of revolution,
every ripple felt by the younger generation
Just Rize and take your stand where you belong cause it's awakening,
replacing them false religions
Truth it spread like wild fyah in di streets,
any thing less than equal rights get delete cause higher consciousness we seek,
open up your heart and let that inner voice speak

それはまさに革命の大海であり 
すべての波紋がより若い世代に感じられた
すぐ立ち上がれ そして自分の属する場所に立ち 
彼等の宗教を変えるのだ
真実 それはストリートに野生の炎のように広がり 
我々が求めるより高い意識を引き起こす平等の権利
が全て無くなる
君の心を開いて そしてその内なる声を語れ

In the midst of these crazy times we're gonna find our place,
if we open up our hearts and let love lead the way
To the world that we want to see, we nah have no place for dem capitalism and dem economy
So open up your heart and let Love lead the way again

この狂った時代の中で 私達は自分の場所を見つける
もし我々が心を開き そして愛に先導させたならば
私達が見るべき世界に 彼等の資本主義と経済の場所はない
そう君の心を開いて そして愛が再び道を導く

Nattali Rize & Notis feat. Kabaka Pyramid - Generations Will Rize [Official Video 2015]


Nattali Rize & Notis ft. Kabaka Pyramid "Generations Will Rize" [LIVE]



ネットのリリックが載っているページから
英語の歌詞を借用して、それを自動翻訳で
日本語に変換して、自分で意味を解釈して
文字をおこしています。
Kabaka Pyramidのパートでは「di(the)」
や「fyah(fire)」などのパトワ語の
表現があり、そのあたりはうまく変換しな
いので、ちょっと苦労しました(笑)。
多少表現が拙い部分があるかもしれません
が、そのあたりは勘弁してください。

このNattali Rizeという人ですが、ネット
のWikipediaなどによると、
「オーストラリア生まれでジャマイカ出身
のミュージシャン、レコード・プロデュー
サー、社会活動家」という人らしいです。

Nattali Rize - Wikipedia

さらに詳しい事がネットのタワーレコード
に書かれていますが、「ネイティヴ・
アメリカンとサモアをルーツに持つ」人
で、パーカッショニストとして音楽活動を
始め、2003年にレゲエ色の強い5人組
のロック・バンドBlue King Brownを結成
しリード・ヴォーカルとして活躍、その後
ジャマイカのキングストンに活動拠点を
移し、ソロのアーティストとして活動して
いる人なんですね。

Nattali Rize - タワーレコード オンライン

今回の曲が収められた、2015年に
リリースされた「New Era Frequency」と
いうアルバムは、曲が6曲とそのダブ3曲
の全9曲が収められたミニ・アルバムで、
彼女のソロ・デビュー・アルバムのよう
です。

nattali_rize_01a
Nattali Rize & Notis - New Era Frequency (2015)

このNattali Rizeですが、初めに結成した
ロック・バンドBlue King Brownの時代
からルーツ・レゲエに影響を受けた政治色
の強い曲を書いていたようで、故郷の先住
民族であるアボリジニーの土地問題を
テーマにした「Water」という曲などを
リリースしているんですね。

Blue King Brown - Water (OFFICIAL VIDEO)


Wikipediaのページには「社会活動家」と
書かれていますが、70年代に流行した
ルーツ・レゲエのように社会問題を歌う歌
に興味を持ち、ジャマイカに移住して活動
するという行動力はやはり評価しなければ
なりません。
やはりルーツ・レゲエにあこがれて拠点を
ジャマイカに移した、Alborosieと行動が
ちょっと似ているんですね。

その実際の行動力が評価されたのか、今回
のKabaka Pyramidのほか、Dre Islandや
Jah9、Raging Fyah、Julian Marleyなどと
コラボした曲も作っているようです。

Nattali Rize - Evolutionary feat. Dre Island & Jah9 [Official Video]



今回の歌ですが、それでは何を歌っている
のか?
「バビロン」や「システム」、「政府」と
いうキーワードから見て、現在の
ポピュリズムに侵された不平等な社会に
対するメッセージで、虐げられた人々に
立ち上がる事を訴えた内容のようです。
要するにあのBob Marleyの歌った
「Get Up Stand Up」のような、人々を
鼓舞する内容なんですね。

まあ70年代当時のルーツ・レゲエは、
また白人優位の時代だったので、その虐げ
られた対象はおもに黒人の低所得者層でし
たが…。

今は「新自由主義」などと呼ばれる
ポピュリズムが横行し、富の分配の不公平
さがより進行して、1%の富裕層と99%
の富を持たない人々に分断された社会と
なっています。
その富の分配率は暗黒時代と言われた
中世よりひどいと言われているんですね。
実際に正月にNHKでやっていたそうした
貧困の問題などを取り上げていて、たしか
南アフリカだったと思いますが、貧困に
苦しむスラム街ではたった1杯の水道水
しか許されていないのに、金持ちはプール
付きの豪邸を築き大量の水を所有している
という現実が映し出されていました。
実際に水があったとしてもその水は貧しい
人の口には入らず、金持ちが飲む美味しい
ワインを作る為に大量の水が使われている
んですね。
金持ちはより金持ちに、貧困層はより貧し
く…、それが「強欲資本主義」とも呼ばれ
る新自由主義の現実なんですね。

そういう不平等は、そろそろ止める時期に
来ているのではないでしょうか。

多くの人々にとってバビロン(腐敗都市)
の暮らしは、けっして楽しいものではあり
ません。

今日の昼間テレビを見ていたら、日本から
楽器ケースに隠れてレバノンに脱出した
元日産の会長のゴーンさんの事を放送して
いました。
彼のレバノンでのインタビューを取り上げ
ていたのですが、その中で私が気になった
のは、「私は金持ちで発言力のある人間」
で、その「私」が日本で拘束されるべき
ではないという彼の主張なんですね。
要するに彼は「1%の特別な人間」で、
日本の法律などに縛られるべきではないと
いう考えを持っているんですね。
彼の考え方だとそういう「特別な人間」
は、自分の結婚式の費用も何もしない息子
や姉のお金も会社に払わせる事は間違って
いないようです。
なんか見ていて、ちょっと腹立たしい気が
しました。

今回プライベートジェット機で楽器ケース
に隠れて日本から脱出した事が大きな話題
でしたが、そうしたプライベートジェット
機を利用している「特別な人間」達は、
まったく税関を通らずにノー・チェックで
世界を行き来出来るんですね。
多くの「一般の人」は厳しい荷物チェック
を受けているというのに…。
それではお金持ちは金塊や麻薬など、密輸
し放題にならないんでしょうか?
一般人にはやたら厳しく、特権階級には
極端に甘い、それが私たちが暮らしている
今の社会の現実なんですね。

ゴーンさんの「甘やかされた子供のような
主張」が、当たり前に受け入れられてしま
う社会に、私達は暮らしています。
まあ彼が逮捕されたのは、彼がまだ
「小者」だったからなのかもしれません
が…(笑)。
去年は「上級国民」という嫌な言葉が流行
したけれど、現実に上級国民と下級国民と
いう差別は、本当はあるのかもしれません
ね。

話を戻しますが、今回の歌にはそうした
「システム」に取り囲まれた民主主義の
危機が歌われているようです。
そしてそれに反対する人はテレビにも出れ
ないが、若者を中心に人々はそのシステム
の支配に気付き始めている、そしてその
支配に人々が立ちあがる日が近づいて
いる、そういう内容のようです。

70年代のルーツ・レゲエでは、バビロン
とバビロニアン(腐敗した人達)と、
ザイオン(理想郷)とラスタファリズム
(黒人のアフリカ回帰思想を持った宗教)
という対立軸で歌が作られており、それは
そのまま豊かな白人社会と貧しい黒人社会
という対立という形で歌が歌われていまし
た。
70年代頃まではまだ黒人層の地位が
低く、白人優位の社会だったので、そう
した黒人の地位の向上が世界の共通課題
だったんですね。

ただ今の時代では中世以下と言われる富の
分配の不平等の方が大きな問題で、1%の
世界を支配する富裕層と、99%のいくら
努力しても何も得られない貧困層の問題
が、対立軸として認識されているよう
です。
それはラスタファリアンがザイオン(理想
郷)であるアフリカに帰るより、かなり
深刻で難しい問題なのかもしれません。
なぜならアフリカを含めてどこにも理想郷
は無く、不平等を解消するにはそうした
恩恵を受けている富裕層が支配する
バビロンを壊すか変えるしかないのです
から。

ただプロパガンダを歌うルーツ・レゲエの
意義は、今も変わらずに生き続けていま
す。
それは今もこの社会が必ずしも良い社会
ではないという、悲しい事でもあります。

ポピュリズムが横行し、各国のエゴがぶつ
かり合って、世界はプラスティックや海洋
汚染で汚れ続け、大気汚染も深刻で地球の
温暖化も進行しています。
70年代当時もたくさんの問題がありまし
たが、その頃に比べて少しでもよくなった
のか?というと、自体はますます深刻に
なっているのかもしれません。
去年の暮れにTIME誌の「今年の顔」に
環境少女のグレタ・トゥーンベリさんが
選ばれたのが話題になりましたが、そろ
そろ私達のこれからの生き方も、真剣に
考え直さないといけない時代になって来て
いるのではないでしょうか。

ラヴ・ソングだけが歌ではありません。
こうしたプロパガンダを持った、
プロテスト・ソングも正しく歌なのです。

君は自分の足で戦うの…?
それとも跪いて生きるの…?