今回はWayne Wonderのアルバム

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「Wayne Wonder」です。

Wayne Wonder(本名:Vonwayne Charles)
は80年代後半から活躍する、美声が人気
のダンスホール・シンガーです。
その美声で数々のヒット曲をリリースした
ほか、あのBuju Bantonとのコラボ
レーション曲でもヒット曲を出した
シンガーで、「No Letting Go」という
世界的な大ヒット曲も持つ、ジャマイカを
代表するシンガーです。

ネットのDiscogsによると、10枚ぐらい
のアルバムと、368枚ぐらいのシングル
盤をリリースしているのが、このWayne
Wonderという人です。

アーティスト特集:Wayne Wonder(ウェイン・ワンダー)

ウェイン・ワンダー - Wikipedia

今回のアルバムは1991年にUSの
VP RecordsからリリースされたWayne
Wonderのソロ・アルバムです。

ネットのDiscogsの彼の履歴を見ると、
このアルバムは1992年の彼の3枚目の
ソロ・アルバムという記述がありますが、
2006年にTokyo FM出版より刊行された
レゲエ本「Dancehall Reggae Standards」
ではリリースが1991年で、彼の
ファースト・アルバムとなっています。
よく調べてみると、Wayne Wonderは89年
に「One More Chance」というアルバムを
出していて、それが彼のファースト・
アルバムのようです。

ただ2枚目のアルバムは日本のAlpha
Enterpriseから「Wayne Wonder Will Be
Loving You」というアルバムを出した事に
なっているのですが、そのアルバムの曲目
が今回のアルバムの曲目と全く同じで、
タイトルは違うけれど同じアルバムだと
思われます。
(日本のAlpha Enterpriseからのアルバム
が元のアルバムかどうかは解りません。
おそらくジャマイカで作られた、元の
アルバムがあったのではないかと思われる
のですが…。)

という事で今回のアルバムは、1991年
にリリースの彼の2枚目のアルバムで、
おそらくメジャー・デビュー・アルバムで
あったのではないかと思われます。

プロデュースはPenthouse Recordsの
Donovan GermainとDave Kellyで、
バックにSteely & ClevieやFirehouse
Crew、Robbie Lynなどが参加した
アルバムで、The Banglesのヒット曲の
カヴァー「Eternal Flame」や、この
アルバムの中でも長尺な力作の「One
Night」、Marcia Griffithsとの共演曲
「Suspicious Mind」、「Hold On」など、
Wayne Wonderらしい美声が堪能出来る
内容のアルバムとなっています。

手に入れたのはPenthouse Recordsから
リリースされたLPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Drums: D. Kelly, Clevie
Keyboards: Steely, Danny Brownie, Firehouse Crew, Robbie Lyn
Produced by: D. Germaine, D.Kelly
Engineers: D. Kelly, T. Kelly, S. Stanley
Assistant Engineer: Stumpy

Background Vocals: Marcia Griffiths, Pam Hall, Wayne Wonder

Photography: Walker's Photo
Design: A Studio Case

となっています。

ミュージシャンはドラムにDave Kellyと
Clevie Browne、キーボードにWycliffe
'Steely' JohnsonとDanny Brownie、
Firehouse Crew、Robbie Lyn、
プロデュースはDonovan GermainとDave
Kelly、エンジニアはDave Kellyと
T. Kelly、S. Stanley、アシスタント・
エンジニアにStumpyという布陣です。

バック・ヴォーカルはMarcia Griffiths
とPam Hall、Wayne Wonderが担当してい
ます。

ジャケット・デザインはA Studio Case
で、写真はWalker's Photoとなっていま
す。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、彼の
メジャー・デビュー作と思われるアルバム
で、見事なほどに彼の透き通った美声が
堪能出来るアルバムとなっています。

今回のアルバムの魅力は、やはりPenthouse
Recordsらしいアーバン(都会的)な洗練
された音作りにあります。
レゲエ本「Dancehall Reggae Standards」
の寄ると、この時期はDaveとTonyのKelly
兄弟が「ハウス・エンジニアとして腰を
落ち着けていた時期の作品で、実質上共同
プロデューサーとして名を連ねている
デイヴのプロデュース作品」なんだそう
です。
Penthouse Recordsがこうしたオシャレで
洗練されたレゲエを量産していた時代の
作品で、クウォリティの高さを感じる
アルバムです。

またこの本に書かれているWayne Wonderの
紹介文には、こうした「アッサリ&
サッパリ」な「美声シンガー」が
ジャマイカで流行するようになったのは、
80年代後半のサンチェス(Sanchez)の
活躍あたりからで、このWayne Wonderが
その「決定版」のようなシンガーだったと
いう事も書かれています。
確かに鮮やかな清涼感のある美声で歌う
シンガーが多く登場するのは、80年代
後半から90年代ぐらいなんですね。
その鮮やかな歌唱がレゲエという音楽を
より豊かにしたのは、間違いのない所だと
思います。

今回のアルバムはWayne Wonderの
メジャー・デビュー作のようですが、彼の
鮮やかな歌声とPenthouse Recordsの
アーバンなオシャレ感があるサウンドが
うまくマッチしていて、ポップスとしても
通用するような魅力的な世界を作り上げて
います。
70年代のレゲエが持っていたような
ザラザラとした感覚はもうそこにはありま
せんが、その様変わりもまた進化という事
なのでしょう。

The Banglesのカヴァー曲Side 1の1曲目
「Eternal Flame」や、Elvis Presleyの
カヴァー曲Side 2の3曲目「Suspicious
Minds」などのポピュラーのヒット曲が
効果的に盛り込まれており、このアルバム
のターゲットが必ずしもレゲエのリスナー
限定でない事が解ります。

またこうしたカヴァー曲のほか、
「Gunman」リディムを使ったSide 1の4曲
目「If You Were Here」や、「Mud Up」
リディムのSide 2の2曲目「That Night」、
「Run Down The World」リディムの5曲目
「Hold On」など、巧みなリディム使いも
魅力のひとつです。

そしてこのアルバムの中でも特におススメ
なのが、Side 1の5曲目「One Night」
です。
LPの溝を見ても特に長尺なのが解る1曲
ですが、Wayne Wonderの美声とPenthouse
Recordsのアーバンでオシャレ感がある
サウンドがうまく一体となった、この
アルバムの中でも白眉の曲となっていま
す。

Side 1の1曲目は「Eternal Flame」
です。
The Banglesの同名曲のカヴァーで、彼
自身の90年のヒット曲らしいです。
印象的なキーボードのイントロから、
裏声も使ったWayne Wonderの伸びやか
で透き通った美声が冴える曲です。

Wayne Wonder-Eternal Flame


2曲目は「What Could It Be」です。
明るいホーンとキーボードのメロディに、
語りかけるようにソフトなWayne Wonder
のヴォーカルがとても魅力的な曲です。

3曲目は「Here And Now」です。
デジタルの激しいリズムに、Wayne
Wonder透き通った歌声の熱唱が心に残る
曲です。

4曲目は「If You Were Here」です。
リディムはMichael Prophetの「Gunman」。
デジタルなドラミングに、マーチのような
キーボードのメロディ、Wayne Wonderの
ソフトで伸びやかな歌声がとても心地良い
曲です。

If You Were Here


リズム特集 Gunman (ガンマン)

5曲目は「One Night」です。
書いたようにこのアルバムの中でも長い曲
で、Penthouse Recordsらしいアーバンな
魅力が満載の曲です。
デジタルなパーカッションのドラミング
に、ストリングスに生ギターのメロディ、
Wayne Wonderのよく通るオシャレ感のある
ヴォーカルに、キレイな女性コーラス…。
中盤でさらにブレイクが入り、また
メロディが盛り返して来るという、見事な
構成の曲です。

One Night


Side 2の1曲目は「All This Time」です。
リディムはSuper Catの「Mud Up」。
デジタルな金属音のジングルから、
デジタルなドラミングに乗せたキーボード
のメロディに、Wayne Wonderの伸びやか
な美声が冴える曲です。

Wayne wonder all this time mud up riddim


2曲目は「That Night」です。
デジタルなキーボードのメロディに乗せ
た、Wayne Wonderの伸びやかなヴォーカル
がとても魅力的。

3曲目はMarcia Griffithsとの共演曲
「Suspicious Mind」です。
書いたようにElvis Presleyの同名曲の
カヴァーで、ジャマイカではHortense
Ellisなどもカヴァーしている曲です。
リズミカルなデジタルなキーボードの
メロディに、伸びやかなMarcia Griffiths
の魅力的なヴォーカルと、Wayne Wonderの
透き通ったヴォーカルがイイ感じに絡み
合う1曲。

Suspicious Mind (feat. Marcia Griffiths)


4曲目は「I Need Someone」です。
デジタルなドラミングに、これまた
デジタルらしいキーボードのメロディ、
明るく楽し気なWayne Wonderのヴォーカル
がイイ感じ。

5曲目は「Hold On」です。
リディムはNitty Grittyの「Run Down
The World」。
リリカルな金属音のメロディから、情感の
あるWayne Wonderの表情豊かなヴォーカル
がとても魅力的。

Hold On


リズム特集 Run Down The World (ラン・ダウン・ザ・ワールド)

ざっと追いかけて来ましたが、Penthouse
Recordsのアーバンで洗練された楽曲に、
Wayne Wonderの見事なほどの美声が冴える
アルバムで、内容は悪くないと思います。

この90年代はこうしたPenthouse
Recordsなどの活躍もあり、レゲエがより
ポピュラーな音楽になった事で、レゲエが
もっともよく売れた時代だったんですね。
その時代にもっとも華やかな活躍をした
シンガーのひとりが、このWayne Wonder
であった事は間違いがありません。

このアルバムで勢いを付けた彼は、次の
アルバム「Don't Have To...」では
Buju Bantonとのコンビネーション曲を
4曲も披露するなど、コンビネーション
もウマい実力派のシンガーとしてさらに
輝きを増して行くんですね。

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Wayne Wonder - Don't Have To... (1993)

機会があればぜひ聴いてみてください。

Buju Banton and wayne wonder 1992


Wayne Wonder & Buju Banton - Reggae Sunsplash '92



○アーティスト: Wayne Wonder
○アルバム: Wayne Wonder
○レーベル: Penthouse Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1991

○Wayne Wonder「Wayne Wonder」曲目
Side 1
1. Eternal Flame
2. What Could It Be
3. Here And Now
4. If You Were Here
5. One Night
Side 2
1. All This Time
2. That Night
3. Suspicious Mind - feat. Marcia Griffiths
4. I Need Someone
5. Hold On