今回はRingoのアルバム

ringo_01a

「Pancoot」です。

Ringo(本名:Bradley Miller、別名:
Johnny Ringo)は80年代前半の
アーリー・ダンスホールの時代に活躍した
ダンスホール・ディージェイです。

ネットのDiscogsには彼について次のよう
に書かれています。

Reggae artist. Born in 1961, died 2005.
Popular dancehall toaster/DJ in the first half of the 80's.

《レゲエ・アーティスト。1961年
生まれ。2005年に死亡。
80年代前半に人気のあったダンス
ホール・トースター/DJ。》

ネットのDiscogsによると、Ringo名で
5枚ぐらいのアルバムと、60枚ぐらいの
シングル盤を出しているほか、Johnny
Ringo名で共演盤を含めて4枚ぐらいの
アルバムと、40枚ぐらいのシングル盤を
リリースしています。

Johnny Ringo (musician) - Wikipedia

今回のアルバムは1982年にUSの
Hit Boundレーベルからリリースされた
彼のソロ・アルバムです。

プロデュースはWinston 'Niney' Holness
が担当し、ミックスはScientist、バック
はThe Roots Radics Bandが担当した
アルバムで、表題曲の「Pancoot」を
はじめとして、このアーリー・ダンス
ホールの時代らしいスローなワン・
ドロップのリズムに乗せた、Ringoの
トースティングが楽しめるアルバムと
なっています。

手に入れたのはHit Boundからリリース
されたLPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が4曲の全9曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Players: Radics
Drums: Style
Bass: Flabba
Guitar: Bingy Bunny, Dwight Pickney
Keyboards: Steele
Percussion: Sky Juice
Horns: Eradication Squad

Produced by Niney Holmes
Executive Producer: Joseph Hoo Kim
Track Laid by Soljie
Mixed by Scientist
Rhythm Track Recorded at Channel One Recording Studio
Mixed at Channel One Recording Studio

Photographer: Roy Sweetland

となっています。

バックはこの時代に一世を風靡した
The Roots Radics Bandで、ドラムに
Style Scott、ベースにErrol 'Flabba'
Holt、ギターにBingy BunnyとDwight
Pickney、キーボードにWycliffe
'Steely' Johnson 、パーカッションに
Sky Juice、ホーンにEradication Squad
という布陣です。

プロデュースはWinston 'Niney' Holness
が担当し、レコーディング・エンジニアは
Soljie Hamilton、ミックス・エンジニア
はScientistが担当しています。
リズム・トラックの録音とミックスは、
ジャマイカのキングストンにある
Channel One Recording Studioで行われて
います。

ジャケット写真はRoy Sweetlandという人
が担当しています。
ジャケット・デザインに関する記述はあり
ません。

ringo_02a
裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、この
アーリー・ダンスホールの時代らしい
スローなワン・ドロップのリズムに乗せた
Ringoのトースティングはなかなか魅力的
で、内容は悪くないと思います。

このRingoという人ですが、Johnny Ringo
名も含めて合計9枚のアルバムのうち、
81年にRingo名で2枚、82年はRingo名
で3枚、Johnny Ringo名で3枚と合計6枚
のアルバムを出していて、ほぼ81年と
82年にアルバムが集中しているんです
ね。
(残りの1枚は85年で、Asher Senator
との共演盤です。)
履歴を見る限りではアーリー・ダンス
ホールの時代は勢いがあったけれど、その
後はちょっと…という人だったのかもしれ
ません。

ただ今の時代になると、よりアーリー・
ダンスホールの時代の記憶を鮮烈に残して
いる人なんですね。
この時代特有のThe Roots Radics Bandの
特徴的なスローなワン・ドロップのリズム
に、ディレイ深めなScientistのミックス
の生み出す、スローでありながらヘヴィー
という独特の世界観に、Ringoの生き生き
としたトースティングがとても魅力的
です。
おそらくこのデジタル以前の時代の、
ジャマイカという風土でなければ生まれ
得なかったサウンドが、このアルバムには
刻まれているんですね。
そこがこのアルバムを聴く、楽しみである
ような気がします。

またSound Dimensionの「Real Rock」の
リディムを使ったSide 1の1曲目「Hotel
Hotel Hotel」や、Phyllis Dillonの
「Get On The Right Track」リディムの
2曲目表題曲の「Pancoot」、The Heptones
の「Heptones Gonna Fight」リディムの
3曲目「Health And Strength」、Jackie
Mittoo & Soul Vendorsの「Hot Milk」
リディムの5曲目「Sensimelia」、
Slim Smithの「Rougher Yet」リディムの
Side 2の2曲目「Channel Posse」、
Lloyd Robinsonの「Cuss Cuss」リディム
の4曲目「Working Class」など、この
時代らしいリディムの使いこなしが楽しめ
るのもこのアルバムの魅力です。
こうしたオリジナルであるより、使い
こなし重視、グルーヴ重視の世界観は
この時代のレゲエならではのものなんです
ね。

Side 1の1曲目は「Hotel Hotel Hotel」
です。
リディムはSound Dimensionの「Real
Rock」。
スローなワン・ドロップのリズムに、ドス
の効いたベースとギター、気持ちの入った
Ringoの味わいのあるトースティングが
イイ感じの曲です。

Ringo-Hotel Hotel Hotel (Pancoot 1982 Hit Bound)


リズム特集 Real Rock (リアル・ロック)

2曲目は表題曲の「Pancoot」です。
リディムはPhyllis Dillonのロック
ステディの名曲「Get On The Right
Track」です。
浮遊感のあるキーボードのメロディに、
ドスの効いたベース、流れるように滑らか
なRingoのトースティングが魅力的。

Johnny Ringo - Pancoot


3曲目は「Health And Strength」です。
リディムはThe Heptonesの「Heptones
Gonna Fight」です。
心地良いギターのメロディにワン・
ドロップのリズム、ノリの良いRingoの
明るいトースティング。

Ringo - Healt And Strength (1982)


リズム特集 Heptones Gonna Fight (ヘップトーンズ・ゴナ・ファイト)

4曲目は「Sandra」です。
ドスンと落ちるワン・ドロップのドラミン
グに、ドスの効いたベースとギター、
ピアノのメロディ、流れるようなRingoの
トースティングがイイ感じ。

5曲目は「Sensimelia」です。
リディムはJackie Mittoo & Soul Vendors
の「Hot Milk」。
ベースとギター、ピアノを中心とした
ワン・ドロップに、エコーの効いたRingo
の空気感のあるトースティング。

Johnny Ringo - Sensimelia (1982) [Hit Bound]


リズム特集 Hot Milk/Murderer (ホット・ミルク/マーダラー)

Side 2の1曲目は「Reggae Music」です。
リリカルなピアノのメロディに、刻むよう
なワン・ドロップのリズム、滑らかな
Ringoの陽気なトースティング。

2曲目は「Channel Posse」です。
リディムはSlim Smithの「Rougher Yet」。
ピアノとギターのメロディに、ノリの良い
Ringoのトースティングがイイ感じ。

Ringo-Channel Posse (Pancoot 1982 Hit Bound)


リズム特集 Rougher Yet (ラファー・イェット)

3曲目は「Back Off」です。
ピアノとキーボードのメロディに、ワン・
ドロップのドラミングとパーカッション、
語るようなRingoのトースティング。

4曲目は「Working Class」です。
リディムはLloyd Robinsonの「Cuss
Cuss」。
ヘヴィーなベースとピアノを中心とした
メロディに、心地の良いドラミング、
テープの逆再生のようなエフェクト、
まるで念仏のように語られるRingoの
トースティング…。
いかにもScientistらしい、ディレイが
深めなミックスが魅力。

RINGO - Working Class (1982) Observer


リズム特集 Cuss Cuss (カス・カス)

ざっと追いかけて来ましたが、いかにも
このアーリー・ダンスホールの時代らしい
スローなリズムでありながらヘヴィーな
世界観が魅力的なアルバムです。
この80年代前半のアーリー・ダンス
ホールの時代が好きな人なら、押さえて
おいて損が無いアルバムではないかと思い
ます。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Ringo
○アルバム: Pancoot
○レーベル: Hit Bound
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Ringo「Pancoot」曲目
Side 1
1. Hotel Hotel Hotel
2. Pancoot
3. Health And Strength
4. Sandra
5. Sensimelia
Side 2
1. Reggae Music
2. Channel Posse
3. Back Off
4. Working Class