今回はTony Rebelのアルバム

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「Vibes Of The Time」です。

Tony Rebel(本名Patrick George Anthony
Barrett)は80年代半ばから活躍する
レゲエのディージェイであり、シンガーで
ある人です。
あの若くして亡くなったGarnet Silkの
親友としても知られ、レゲエという音楽が
スラックネス(下ネタ)やガン・トーク
(銃や暴力の歌)中心になる中で、盟友の
Garnet Silkとともに常にコンシャスな
リリックで歌い、レゲエという音楽の質を
変えようとしたディージェイとして知られ
ています。
(そうした運動をラスタ・ムーヴメントと
いいます。)

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て12枚ぐらいのアルバムと、327枚
ぐらいのシングル盤を残しているのが、
このTony Rebelという人です。

アーティスト特集 Tony Rebel (トニー・レベル)

Tony Rebel - Wikipedia

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Tony Rebel ‎– If Jah (1997)

今回のアルバムは1993年にUSの
Chaos Recordingsというレーベルから
リリースされた、彼のソロ・アルバム
です。

エグゼクティブ・プロデューサーは
Tony Rebel本人で、Sly Dunbarや
Donovan Germaine、Philip 'Fatis'
Burrell、Bobby 'Digital' Dixonなど、
この時代に活躍したジャマイカの
プロデューサーが制作に協力した、
彼の「メジャー進出作」と言われる
アルバムで、表題曲の「Vibes Of The
Time」をはじめ、Diana Kingとの共演作
「My Way Or The Highway」や、盟友で
あるGarnet Silkの歌声の入った
「Ethiopian Sons」、「Sweet Jamaica」
など、彼らしいヴァイブスの溢れる
アルバムとなっています。

手に入れたのはChaos Recordingsから
リリースされたCDの中古盤でした。

全14曲で収録時間は約61分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

1. Fresh D.J.
Produced by Sly Dunbar for Taxi Production
Engineered by Andre 'Deady Ranks' Tyrell
at Penthouse Studio, Kingston, JA
Remixed by Colin 'Bulby' York and Linford 'Fatta' Marshall
at Mixing Lab Studio, Kingston, JA
Keyboards, Bass: Herbie Harris
Guitar: Lloyd Willis
Drums: Sly Dunbar

2. Vibes Of The Time
Produced by Delroy Collins and Barry O'Hare
Engineered by Stephen Stewart
at Grove Recording Studio, Ocho Rios, JA
All Instrumants: Barry O'Hare
Arrangement: Barry O'Hare, Delroy Collins

3. The Voice & The Pen
Produced by Mikey Bennett
Engineered by Anthony Dalhouse
at Penthouse Studio, Kingston, JA
Mixed by Paul Hussey at Crouch Recording Studio, Kingston, JA
Keyboards: Sheldon Bernard
Guitar: Steve Golding, Courtland White
Drum Programming: Michael 'Drummie' Spence
Backing Vocals: Brian & Tony Gold

4. My Way Or The Highway - Featuring Diana King
Produced by Sly Dunbar for Taxi Production
Engineered by Andre 'Deady Ranks' Tyrell
at Penthouse Studio, Kingston, JA
Remixed by Colin 'Bulby' York and Linford 'Fatta' Marshall
at Mixing Lab Studio, Kingston, JA
Additional Remix by Andy Marvel and Jimmy Brealower
Keyboards, Bass: Herbie Harris
Guitar: Lloyd Willis
Drums: Sly Dunbar

5. Love One Another
Produced by Donovan Germaine
Engineered by Andre 'Deady Ranks' Tyrell
at Penthouse Studio, Kingston, JA
Keyboards, Bass: Donald Dennis
Guitar: Lloyd Willis
Drums: Sly Dunbar
Backing Vocals: Marcia Griffiths

6. Reggae Vibes
Produced by Sly Dunbar for Taxi Production
Engineered by Andre 'Deady Ranks' Tyrell
at Penthouse Studio, Kingston, JA
Remixed by Colin 'Bulby' York and Linford 'Fatta' Marshall
at Mixing Lab Studio, Kingston, JA
Keyboards, Bass: Herbie Harris
Guitar: Lloyd Willis
Drums: Sly Dunbar

7. Chatty Chatty
Produced by Donovan Germaine
Engineered by Dave Kelly
at Penthouse Studio, Kingston, JA
Keyboards, Bass: Paul Crosdale
Drums: Clevie Brown

8. Wanna Party
Produced by Donovan Germaine
Engineered by Andre 'Deady Ranks' Tyrell
at Penthouse Studio, Kingston, JA
Keyboards, Bass: Paul Crosdale
Drums: Sly Dunbar
Backing Vocals: Brian & Tony Gold

9. Nazerite Vow
Produced by Philip 'Fatis' Burrell
Engineered by Syl Gordon
at Music Works Recording Studio, Kingston, JA
Keyboards, Bass: Donald Dennis
Drums: Sly Dunbar
Backing Vocals: 54-45

10. Ethiopian Sons - Featuring Garnet Silk
Produced by Steely & Clevie
Engineered at Mixing Lab Studio & Music Works Studio,
Kingston, JA
All Instrumants: Steely & Clevie
Backing Vocals: Nadine Sutherland, Pam Hall, Twiggy,
Dalton Browne, Clevie Browne

11. Sweet Jamaica
Produced by Bobby 'Digital' Dixon
Engineered by Bobby 'Digital' Dixon
at Degital Recording Studio, Kingston, JA
Remixed by Danny Browne
All Instrumants: Steely & Clevie

12. Success
Produced by Philip 'Fatis' Burrell
Engineered by Syl Gordon
at Music Works Recording Studio, Kingston, JA
Keyboards, Bass: Donald Dennis
Drums: Sly Dunbar

13. One Day
Produced by Donovan Germaine
Engineered by Dave Kelly
at Penthouse Studio, Kingston, JA
All Instrumants: Dave Kelly

14. Creator
Produced by Donovan Germaine
Engineered by Andre 'Deady Ranks' Tyrell
at Penthouse Studio, Kingston, JA
Keyboards, Bass: Paul Crosdale
Bass: Danny Browne (DubPlate Music)
Guitar: Lloyd Willis
Drums: Sly Dunbar

Executive Producers: Patrick 'Tony Rebel' Barrett
for Rebellious Productions and Dennis Stone

Art Direction: Mark Barrett
Photography: Cathrine Wessel
Hair & Make-up: Helena Occhipinti for Oribe
Stylist: Jeffrey Tay

となっています。

長いので詳細は省略しますが、Sly Dunbar
やDonovan Germaine、Philip 'Fatis'
Burrell、Bobby 'Digital' Dixon、
Steely & Clevieなど、この時代に活躍
したジャマイカのプロデューサーが
プロデュースした曲が並ぶアルバムで、
その布陣を見てもかなり力の入った
アルバムである事が解ります。

ジャケット・デザインはMark Barrett、
写真はCathrine Wesselとなっていま
す。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、Tony Rebel
の代表作のひとつともいえるアルバムで、
内容はとても良いと思います。

あのレゲエ本「Roots Rock Reggae」に
よると、このアルバムは彼の「メジャー
進出作」なんだそうです。
ただこのアルバムは「セールスとしては
成功しなかった」そうです。
残念な事ですが、多くのアーティストが
こうした「メジャーの壁」に跳ね返されて
来たんですね。

ただジャマイカの多くのプロデューサーが
協力したアルバムで、その内容はなかなか
素晴らしいです。

このTony Rebelといえば盟友のGarnett
Silkと共にルーツ・リヴァイヴァル・
ムーヴメントを起こしたアーティストと
して知られています。

ガーネット・シルク - Wikipedia

アーティスト特集:Garnett Silk(ガーネット・シルク)

この90年代頃のレゲエの世界はダンス
ホール・レゲエが大流行していた時代で、
そのリリック(歌詞)はスラックネス
(下ネタ)やガン・トーク(暴力ネタ)が
中心で、Bob Marleyが活躍した70年代の
ようなラスタファリズムに根差した
コンシャス(真面目)なリリックは衰退
していたんですね。
その荒れた時代に以前のようなコンシャス
なレゲエを復活させようとしたのが、この
Tony RebelとGarnett Silk達だったんです
ね。

彼らはこの時代に流行していたダンス
ホール・レゲエのリズムにコンシャスな
リリックを載せる事で、見事にこの時代に
合ったルーツ・レゲエを作り上げる事に
成功したんですね。
それが彼らの成し遂げたルーツ・リヴァイ
ヴァル・ムーヴメントという運動だったん
ですね。
(この運動はラスタ・リヴァイヴァル
とか、ニュー・ルーツとかいろいろな呼び
方をされますが、2010年代に起こった
ラスタ・リヴァイヴァルと差別化する為
に、ここではルーツ・リヴァイヴァルと
いう名称で統一します。)

そうしたルーツ・リヴァイヴァルの旗手の
ひとりだったTony Rebelがメジャー進出を
目指して作成したのが今回のアルバムで、
多くのプロデューサーが協力している
ところからも解るようにかなり力の入った
好内容のアルバムとなっています。

デジタルなドラミングにTony Rebelの早口
なトースティングが印象的な1曲目
「Fresh D.J.」、文字通り心地良い
ヴァイブスを感じる表題曲の2曲目
「Vibes Of The Time」、だラマチックな
展開に早口トースティングの3曲目
「The Voice & The Pen」、Diana Kingとの
共演曲4曲目「My Way Or The Highway」、
ストリングスとノリの良いトースティング
が印象的な6曲目「Reggae Vibes」、
心地良さそうなトースティングが印象的な
7曲目「Chatty Chatty」、女性コーラス
に乗せたエモーショナルなトースティング
が印象的な9曲目「Nazerite Vow」、
Garnet Silkとの共演曲10曲目
「Ethiopian Sons」、「Cherry Oh Baby」
リディムの11曲目「Sweet Jamaica」、
「General」リディムの13曲目「One
Day」、陽気な「Action」リディムの
14曲目「Creator」など、内容の濃い曲
がギッシリと詰まったアルバムとなって
います。

1曲目は「Fresh D.J.」です。
リディムは「Taxi」リディムと知られる
リディムで、オリジナルはLittle Royの
「Prophecy」という曲です。
Tony Rebelのアカペラから、デジタルな
ドラミングに乗せた、Tony Rebelの流れる
ように鮮やかな早口のトースティング。

Tony Rebel - Fresh D.J.


リズム特集 Taxi (タクシー)

2曲目は表題曲の「Vibes Of The Time」
です。
デジタルなドラミングにピアノとキー
ボードのメロディ、半分歌っている
Tony Rebelのシング・ジェイが心地良い
ヴァイブスを感じる曲です。

Tony Rebel - Vibes Of The Time


3曲目は「The Voice & The Pen」です。
ソフトな男性ヴォーカルのオープニング
から、キーボードとギターのエモーショ
ナルなメロディ、性急なドラミングと
ギターに乗せたTony Rebelのノリの良い
トースティングがイイ感じ。

Tony Rebel The Voice And The Pen


4曲目はDiana Kingとの共演曲
「My Way Or The Highway」です。
都会的なキーボードのメロディにDiana
Kingのヴォーカル、Tony Rebelのノリの
良いトースティング、息の合ったコンビ
ネーションが魅力的。

Tony Rebel - My Way Or The Highway feat Diana King


5曲目は「Love One Another」です。
子供の語りから、ギターとキーボードの
メロディに乗せたTony Rebelの流ちょうな
トースティング。

6曲目は「Reggae Vibes」です。
リズミカルなデジタルなドラミングに、
キーボードとストリングスのメロディ、
Tony Rebelの男臭いトースティングが
イイ感じ。

Tonny Rebel Reggae Vibes


7曲目は「Chatty Chatty」です。
リディムはLarry Marshalの「Nanny
Goat」。
デジタルなキーボードのメロディに
コーラス・ワーク、Tony Rebelの心地
良さそうなトースティング。

Tony Rebel - Chatty Chatty


リズム特集 Nanny Goat (ナニー・ゴート)

8曲目は「Wanna Party」です。
軽快なギターのメロディに、デジタルな
ドラミング、ノリの良いTony Rebelの
トースティング。

9曲目は「Nazerite Vow」です。
ソフトなキーボードを中心としたメロディ
に、美しい女性コーラス、感情を乗せた
Tony Rebelのエモーショナルなトース
ティング。

Tony Rebel - Nazerite Vow


10曲目はGarnet Silkとの共演曲
「Ethiopian Sons」です。
印象的なデジタルなメロディとドラミング
から、Garnet Silkのヴォーカル、流ちょう
なTony Rebelのトースティング。

Tony Rebel - Ethiopian Sons


11曲目は「Sweet Jamaica」です。
リディムはEric Donaldsonの「Cherry Oh
Baby」です。
リズミカルなデジタルなドラミングに、
Tony Rebelの感情をうまく乗せたトース
ティング。

Tony Rebel - Sweet Jamaica


リズム特集 Cherry Oh Baby (チェリー・オー・ベイビー)

12曲目は「Success」です。
Riddimguideによると、「Muslim」という
リディムのようです。
Tony Rebelの語りから、デジタルの激しい
リズムに、Tony Rebelの自在のトース
ティング。

13曲目は「One Day」です。
リディムは「General」で、オリジナルは
The Heptonesの「Love Me Girl」。
ギターとキーボードのノリの良いリズム
に、明るいTony Rebelのトースティング。

TONY REBEL - ONE DAY


リズム特集 General (ジェネラル)

14曲目は「Creator」です。
RiddimguideではBuju Bantonの「Operation
Ardent」となっていましたが、Terror
FabulousとNadine Sutherlandの「Action」
として知られるリディムのようです。
明るいデジタルのリズムに、陽気なTony
Rebelのトースティングがイイ感じ。

Tony Rebel - The Creator


リズム特集 Action (アクション)

ざっと追いかけて来ましたが、かなり濃い
内容のアルバムで、なぜこのアルバムが
セールス的に成功しなかったのか?
ちょっと不思議なほどです。
ビッグ・ヒットがひとつ足りなかったので
しょうか?
今の時代に聴いてもこのディージェイの
実力の高さが、よく解るアルバムだと思い
ます。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Tony Rebel
○アルバム: Vibes Of The Time
○レーベル: Chaos Recordings
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1993

○Tony Rebel「Vibes Of The Time」曲目
1. Fresh D.J.
2. Vibes Of The Time
3. The Voice & The Pen
4. My Way Or The Highway - Featuring Diana King
5. Love One Another
6. Reggae Vibes
7. Chatty Chatty
8. Wanna Party
9. Nazerite Vow
10. Ethiopian Sons - Featuring Garnet Silk
11. Sweet Jamaica
12. Success
13. One Day
14. Creator

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