今回はBig Youthのアルバム

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「Reggae Live Collection: Live In
France」です。

Big Youth(本名:Manley Augustus
Buchanan)は70年代のルーツ・レゲエの
時代から活躍するルーツ・ディージェイ
です。
その息遣いまで曲にしてしまうような自由
なディージェイ・スタイルで、70年代に
人気を博し、「Hit The Road Jack」や
「Every Nigger Is A Star」などのヒット
曲があります。
ネットのDiscogsによると、今までに共演
盤を含めて21枚ぐらいのアルバムと、
221枚ぐらいのシングル盤をリリース
しています。

アーティスト特集 Big Youth (ビッグ・ユース)

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Big Youth ‎– Screaming Target (1972)

今回のアルバムは制作年は記されていま
せんでしたが、録音が1997年なので
おそらく97年に、フランスのSankofaと
いうレーベルからリリースされたと思われ
る、Big Youthのライヴ・アルバムです。

フランスのストラスバーグとリオンでの
Big Youthのライヴの模様を収めた
アルバムで、バックはRuption Kru
(Ruption Band)というバンドが務めて
います。
ヒット曲の「Satta Amasagana」や
「Every Nigger Is A Star」など、
Big Youthらしいとても自由度の高い、
自在なトースティングが楽しめる内容の
アルバムとなっています。

手に入れたのはSankofaからリリース
されたCD(新盤)でした。

全9曲で収録時間は約72分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Production: Jahco & Sankofa Blackstar
Executive Producers: Jahco Thelwell, Ernest Boachie-Duah
Distribution: Sankofa Blackstar

Recorded at Laiterie in Strasbourg
Recorded at Le Transbordeur in Lyon
Lead Vocal: Big Youth
Backing Band: Ruption Kru
Sound Engineer: Jahco Thelwell

となっています。

エグゼクティブ・プロデューサーはJahco
Thelwellで、Ernest Boachie-Duahで、
ライヴのレコーディングはストラスバーグ
のLaiterieと、リオンのLe Transbordeur
という会場で行われています。
さらにアルバムの裏面には、

Recorded at Strasbourg & Lyon - Feb. 1997

と書かれているので、1997年の2月
(February)頃であったと思われます。

リード・ヴォーカルはBig Youthで、
バックはRuption Kru(KruはCrewか?)
が担当し、レコーディング・エンジニアは
Jahco Thelwellが担当しています。
バック・バンドのRuption Kruについては
調べたけれど、あまりよく解りませんでし
た。

さて今回のアルバムですが、この当時の
Big Youthのステージングの様子がよく
解るアルバムで、そのあたりがこの
アルバムの面白さだと思います。

その自在なトースティングで70年代に
大活躍をしたBig Youthですが、80年代
以降は徐々に陰りが見え、徐々に失速して
行く感があります。
その息使いまでトースティングの一部に
してしまうような自在さがウリのBig Youth
ですが、意外と生き方は不器用な人だった
のかもしれません。

そんなBig Youthの80年以降のアルバム
の中で特に輝きを放っている1枚が、
84年にリリースされたライヴ・アルバム
「Live At Reggae Sunsplash」です。

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Big Youth ‎– Live At Reggae Sunsplash (1984)

この大きなステージでBig Youthはその
自在なトースティングで、特別な輝きを
放っているんですね。
それは同時にディージェイというものが
持つ、本来の即興の妙を如実に示している
とも言えます。
ある意味このBig Youthという人はうまく
時代の波に乗れなかった人ですが、その
現場で磨いたスキルは一度ステージに
上がれば充分に発揮できた人でもあるん
ですね。
その彼の魅力をこの「Live At Reggae
Sunsplash」というアルバムは、よく伝え
ていたアルバムだと思います。
ちなみにこのアルバムは84年にリリース
されていますが、ライヴが行われたのは
82年だったようです。

今回のアルバムはそのアルバムがリリース
されてから13年後ぐらいのライヴ・
アルバムで、おそらくはそれほどビッグ・
ステージという事も無く、彼Big Youthの
普通のステージングが解るアルバムと
なっています。
このSankofaというレーベルは他にも
The Mighty DiamondsやRas Michael &
The Sons Of Negusなどのライヴ・
アルバムを「Reggae Live Collection」
シリーズとしてリリースしていますが、
おそらくフランスの弱小レーベルと思わ
れ、ライヴの録音もおそらく一発録りで、
アルバムによってはちょっと中途半端な
印象のアルバムもあります。

ただ今回のアルバムはBig Youthの
「マイク芸」のウマさが良い方に出て
いて、かなり興味深い内容のアルバムと
なっています。
84年のアルバムで曲がダブっているのは
「Satta Amasagana」と「Every Nigger Is
A Star」ですが、特に「Satta Amasagana」
は今回のアルバムでは「えっ!これが
『Satta Amasagana』?」と思うくらい
メロディが違うんですね。
バックのRuption Kruの演奏はかなり
アレンジが聴いていて、ちょっと原曲とは
違う印象ですがそういう編曲でもBig Youth
は彼らしい自在のトースティングで、軽妙
に歌いこなしています。
そういう彼の妙技を聴けるだけでも、
今回のアルバムは大変興味深く、面白い
アルバムなんですね。

例え時代が変わってもラスタ魂は死なず。
それがこのBig Youthという人なんです
ね。

1曲目は「Intro (By Ruption Band)」
です。
この曲ではまだBig Youthは登場して
いないようで、バックのRuption Kru
(By Ruption Band)の演奏が収められ
ています。
ホーンを中心とした演奏で、Sound
Dimensionの「Rockfort Rock」などの
メドレーが演奏されています。

2曲目は「Satta Amasagana」です。
こちらも「Satta Amasagana」は
「Satta Amasagana」ですが、かなり
アレンジが効いた曲になっています。
それを難なく歌いこなすBig Youthの
トースティングの妙技が堪能できます。

リズム特集:Satta Massa Ganna(サタ・マサ・ガナ)

3曲目は「Every Nigger Is A Star」
です。
Boris Gardinerのヒット曲のディー
ジェイ・ヴァージョンです。
ギターとキーボードのメロディを中心と
した演奏に、半分以上歌っているBig
Youthのリラックスしたトースティング
が何とも言えずにイイ感じの1曲です。

4曲目は「Bring The Collie」です。
華々しいホーンとギター、ピアノの
メロディに、Big Youthのリラックス
したトースティングがイイ感じ。

5曲目は「85 Degrees Farenheit /
Jammin'」です。
ギターとベースの刻むようなメロディに
トビ音、Big Youthのちょっとトボけた
ような弾けたトースティングが魅力的。
後半はあのBob Marleyの名曲か?

6曲目は「Run Come (Lookin On Mi
Bible)」です。
リズミカルなキーボードを中心とした
メロディに、ノリの良いBig Youthの
トースティング。

7曲目は「Save The Children」です。
オリジナルはMarvin Gayeの楽曲か?
リズミカルなドラミングに乗せた
Big Youthのトースティングがイイ感じ。

8曲目は「Lutta Continua
(Rub-A-Dub)」です。
12分11秒にも及ぶ熱演です。
ホーン・セクションを中心とした華やかな
メロディに、Big Youthのちょっと独特の
フラフラとしたヴォーカルが面白い曲
です。

9曲目は「Colombus' Trip...Murderer」
です。
こちらはなんと17分56秒にも及ぶ曲
です。
彼の「Ten Against One」と同じメロディ
が、使われた曲で、オリジナルは
The Mad LadsというグループのStudio One
の名曲「Ten To One」のようです。
ホーンの華かなメロディにトビ音、彼
らしい息遣いまでトースティングにして
しまうような曲です。

ざっと追いかけて来ましたが、後半になる
ほど長い曲が並びますが、書いたように
どうやら一発録りの録音のようで、それが
かえって彼Big Youthのパフォーマンスを
良くも悪くもよく伝えています。

機会があればぜひ聴いてみてください。

↓今回のアルバムの曲はYouTube上には
見つからなかったので、最後に彼のライヴ
の様子を参考に載せておきます。

Big Youth - I Pray Thee (Satta Massagana) Live At Rototom 2017


Big Youth - Every Nigger Is A Star in Kingston, JA @ Reggae Wednesdays - The Genesis [Feb. 3rd 2016]


Big Youth - 3/6 - Natty Dreadlocks + Jammin´ - 29.07.2016 - Reggae Jam


Big Youth live at Reggae Jam 2016 - A luta continua


Big Youth - Ten Against One @ New Morning 2015



○アーティスト: Big Youth
○アルバム: Reggae Live Collection: Live In France
○レーベル: Sankofa
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1997

○Big Youth「Reggae Live Collection: Live In France」曲目
1. Intro (By Ruption Band)
2. Satta Amasagana
3. Every Nigger Is A Star
4. Bring The Collie
5. 85 Degrees Farenheit / Jammin'
6. Run Come (Lookin On Mi Bible)
7. Save The Children
8. Lutta Continua (Rub-A-Dub)
9. Colombus' Trip...Murderer

●今までアップしたBig Youth関連の記事
〇Big Youth「A Luta Continua」
〇Big Youth「Chi Chi Run」
〇Big Youth「Dreadlocks Dread」
〇Big Youth「Hit The Road Jack」
〇Big Youth「Live At Reggae Sunsplash」
〇Big Youth「Manifestation」
〇Big Youth「Reggae Phenomenon」
〇Big Youth「Screaming Target」
〇Big Youth「The Chanting Dread Inna Fine Style」
〇Big Youth「Isaiah First Prophet Of Old」
〇Niney The Observer「Microphone Attack 1974-78」
〇18th Parallel「Downtown Sessions」