今回はThe Viceroysのアルバム

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「We Must Unite」です。

The Viceroysは60年代後半に流行した
レゲエの前身ロックステディの時代から
活躍する3人組のコーラス・グループ
です。

ロックステディの時代にはStudio Oneに
「Ya Ho」などのヒット曲を残し、70年
代に入るとWinston RileyのTechniques
レーベルでThe Inturnes名で「Mission
Impossible」などのヒットを記録するなど
の活躍をし、78年にThe Inturnes名義で
「Consider Yourself」というアルバムを
リリースしています。

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Inturns ‎– Consider Yourself (1978)

80年代前半のアーリー・ダンスホールの
時代になっても活躍を続け、82年の今回
のアルバム「We Must Unite」でようやく
The Viceroysの初アルバムをリリース
しています。
その後83年に「Brethren And Sistren」、
84年に「Chancery Lane」と順調に
アルバムをリリースし、特にアーリー・
ダンスホールの時代に大活躍しました。

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The Viceroys ‎– Chancery Lane (1984)

その後も長く活動を続け、近年でもあの
Chinna Smithの「Inna De Yard」シリーズ
のアルバムも残しています。

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The Viceroys ‎– Inna De Yard (2005)

ネットのDiscogsによると、The Viceroys
名義で8枚ぐらいのアルバムと、91枚
ぐらいのシングル盤、The Inturnes名義で
1枚のアルバムと、12枚ぐらいの
シングル盤、さらにTruth, Fact & Correct
名義で1枚のシングル盤を残しているの
が、このThe Viceroysというグループ
です。

The Viceroys - Wikipedia

今回のアルバムは1982年にUKの
Trojan Recordsからリリースされた
The Viceroysのソロ・アルバムです。

The Viceroys名義としてのファースト・
アルバムで、The Inturnes名義も含めると
通算2枚目に当たるアルバムで、
プロデュースはLinval Thompson、バック
はこのアーリー・ダンスホールの時代に
大活躍したバック・バンドRoots Radics、
さらにミックスはScientistが担当した
アルバムで、表題曲の「We Must Unite」
をはじめとしてこの時代らしいスローな
ワン・ドロップのリズムに乗せた、
The Viceroysの素晴らしいコーラス・
ワークが堪能出来る内容のアルバムです。

手に入れたのはジャマイカのThompson
SoundからリリースされたLPの中古盤
でした。
LPのジャケットは元のTrojan Recordsの
アルバムの写真を撮って、そのまま
ジャケットにしたようなかなりバッタもん
臭い荒い画像のジャケットで、値段も千円
ちょっとだったので、ちゃんと聴けるの
か?かなり心配して買ったアルバムでし
た(笑)。
自宅で聴いてみたところとりあえず音質は
問題なく、ネットのDiscogsで調べてみた
ところThompson Soundのアルバムで同じ
ようなアルバムの写真が載っていたので
ひと安心した次第です。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Musicians:
Drums: Styke Scott
Bass: Flabba Holt
Lead Guitar: Bingy Bunny
Rhythm Guitar: Boppy
Piano: Steely
Organ: Gladstone Anderson
Percussion: Scully

となっています。

記述はありませんが、バックはこの時代に
大活躍したバック・バンドRoots Radics
で、ドラムにLincoln Valentine 'Style'
Scott、ベースにErrol 'Flabba' Holt、
リード・ギターにEric 'Bingy Bunny'
Lamont、リズム・ギターにBoppyこと
Winston 'Bo-Pee' Bowen、ピアノに
Wycliffe 'Steely' Johnson、オルガンに
Gladstone Anderson、パーカッションに
Noel 'Scully' Simmsという布陣です。
おそらく誤植だと思われますが、Style
Scottの名前がStyke Scottとなっていま
す。

記載はありませんが、ネットのDiscogsに
よると、プロデュースはLinval Thompson
で、レコーディングとミックスはChannel
One Recording Studioで行われ、
ミックス・エンジニアはScientistが担当
しているようです。

こちらも記載はありませんが、ネットの
Discogsによると、ジャケット・デザイン
はBamber Forsythという人が行っている
ようです。

さて今回のアルバムですが、ロック
ステディの時代から活躍するThe Viceroys
ですが、ようやくこのアーリー・ダンス
ホールの時代に花開いた感のあるアルバム
で、Roots Radicsのスローなワン・
ドロップのリズムに乗せた、ちょっと哀愁
のある彼らのコーラス・ワークがとても
魅力的なアルバムで、内容は文句なしに
とても良いと思います。

このThe Viceroysですがロックステディの
時代には「Ya Ho」などのヒット曲を残し、
70年代にもTechniquesレーベルで
The Inturnes名で「Mission Impossible」
などのヒットを記録するなどの活躍をして
いるのですが、意外やThe Viceroysとして
のアルバムはこの82年のアルバムが、
ファースト・アルバムなんですね。
ただこの80年代前半のアーリー・ダンス
ホールの時代には次々にアルバムを出す
などようやく花開いて、華々しい活躍を
しています。
あのレゲエ本「Roots Rock Reggae」にも
このアルバムと83年の「Brethren And
Sistren」、84年の「Chancery Lane」
の3枚のアルバムが紹介されていますが、
この時代の彼らのサウンドはとても素晴ら
しく、聴く価値のある内容だとだと思い
ます。

この時代らしいRoots Radicsの叩き出す
特徴的なスローなワン・ドロップのリズム
に乗せた、The Viceroysがルーツ・レゲエ
の時代から培った哀愁を秘めたコーラス・
ワークはとても魅力的で、聴き応えがあり
ます。

彼らと同じようにルーツの時代に下積みを
重ねアーリー・ダンスホールで花開いた
コーラス・グループにThe Wailing Souls
がありますが、この時代にはこうした
レゲエらしい多くのコーラス・グループも
人気となって行った時代なんですね。
ちなみにThe Wailing Soulsは80年代
いっぱい多くのアルバムをリリースし人気
でしたが、このThe Viceroysは80年代
半ば以降失速気味の傾向がみられます。
理由は解りませんが、コーラス・メンバー
のNorris ReidがAugustus Pabloの元で
ソロ・デビューする為に脱退するなど、
メンバー・チェンジが多かった事がひとつ
の原因なのかもしれません。
コーラス・グループは息の合った
コーラス・ワークが命なので、メンバー・
チェンジは少なからず影響があったと思わ
れます。

話を戻しますが、このアルバムではその
The Viceroysらしい息の合ったコーラス・
ワークがすごく魅力的で、聴き応えのある
仕上がりとなっています。
Side 1の1曲目Come Closer My Love」
から、リリカルなピアノに乗せた
ファルセットなヴォーカルが印象的な
2曲目「Show Me Your Company」、
ユッタリとしたワン・ドロップのリズムに
乗せたアンニュイなヴォーカルが印象的な
表題曲3曲目「We Must Unite」、
リリカルなピアノに優しいヴォーカルが
心地良い4曲目「The Intelligence Of
Her Mind」、語るようなヴォーカルが魅力
的な5曲目「They Can't Stop Us Now」、
ユッタリとしたギターとピアノのメロディ
に乗せたSide 2の1曲目「Love Is A
Key」、The Inturnes名でヒットした
「Mission Impossible」と似たタイトルの
哀愁のあるメロディが印象的な2曲目
「My Mission Is Impossible」、
The Wailing Soulsの同名曲と同リディム
の3曲目「Time Is Important To Me」、
ファルセットも駆使した伸びやかな
ヴォーカルが素晴らしい4曲目「I'm
Trying On」、刻むようなワン・ドロップ
にコーラス・ワークが冴える5曲目
「Rising The Strength Of Jah」と、
捨て曲無しの魅力的な曲が並ぶアルバムと
なっています。
このアーリー・ダンスホールの時代らしい
Roots Radicsの特徴的な引きずるような
スローなワン・ドロップのリズムと、
Scientistのディレイが深めなミックス
は、この時代ならではの魅力があります。

Side 1の1曲目は「Come Closer My
Love」です。
ピアノとギターを中心とした哀愁のある
ワン・ドロップのメロディに、コーラス・
ワークに乗せた感情を込めたヴォーカルが
グッと来る1曲です。

The Viceroys - Come Closer My Love


2曲目は「Show Me Your Company」です。
ギターとリリカルなピアノを中心とした
ユッタリとしたワン・ドロップのメロディ
に、心地いパーカッションのドラミング、
ファルセットも駆使したコーラス・ワーク
と、ユッタリと歌うヴォーカルがイイ感じ
の曲です。

3曲目は表題曲の「We Must Unite」
です。
Roots Radicsらしいユッタリとしたワン・
ドロップのリズムに、ギターとベースの
メロディ、ファルセットなヴォーカルに
コーラス・ワークが、何とも言えない
アンニュイな空気感を醸し出している
素晴らしい曲です。

The Viceroys We must unite


4曲目は「The Intelligence Of Her
Mind」です。
リディムはEek-A-Mouseの「Sensee
Party」という曲らしいです。
リリカルなピアノのメロディに、特徴的な
スローなワン・ドロップのリズム、素晴ら
しいコーラス・ワークに乗せた優しい
ヴォーカルがすごくイイ感じの曲です。

Viceroys - The Intelligence Of Her Mind + Scientist - Under Surveillance 1982


5曲目は「They Can't Stop Us Now」
です。
ギターとベース、ピアノを中心とした陰影
のあるメロディに、コーラス・ワークに
乗せた語るようなヴォーカルがとても魅力
的。

Side 2の1曲目は「Love Is A Key」
です。
刻むようなギターとピアノのメロディに、
表情豊かに歌うヴォーカルに寄り添うよう
なコーラス・ワーク。

2曲目は「My Mission Is Impossible」
です。
The Inturnes名でヒットした「Mission
Impossible」と似たタイトルの曲です。
リリカルなピアノのスローなワン・
ドロップに、哀愁を秘めた伸びやかな
ヴォーカルにコーラス・ワーク。

The Viceroys - My Mission Is Impossible


3曲目は「Time Is Important To Me」
です。
The Wailing Soulsに「Time Is Important」
という同名の曲がありますが、どちらが先
なんでしょうか?
リリカルなピアノとギターのメロディの
ワン・ドロップに、心地良いコーラスに
乗せたソフトなヴォーカル、
パーカッションのドラミングがイイ感じな
曲です。

The Viceroys - Time Is Important To Me


4曲目は「I'm Trying On」です。
ギターを中心としたユッタリとしたワン・
ドロップに、ファルセットも駆使した
伸びやかなヴォーカルに美しいコーラス・
ワークが素晴らしい曲です。

The Viceroys - I'm Toiling On


5曲目は「Rising The Strength Of Jah」
です。
ピアノとギターと金属音のエフェクト、
刻むような特徴的なワン・ドロップの
リズム、コーラスワークに乗せた表情豊か
なヴォーカルがイイ感じ。

Rise In the Strength of Jah


ざっと追いかけてきましたが、やはりこの
時代のThe Viceroysはレゲエの歴史の
ひとつともいえる活躍ぶりで、内容は文句
なしに良いと思います。
むしろ度重なるメンバー・チェンジなどで
それ後の失速がちょっと惜しまれます。

機会があればぜひ聴いてみてください。

JRS#05 ★ The Viceroys - Ya Ho (acoustic)



○アーティスト: The Viceroys
○アルバム: We Must Unite
○レーベル: Thompson Sound
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○The Viceroys「We Must Unite」曲目
Side 1
1. Come Closer My Love
2. Show Me Your Company
3. We Must Unite
4. The Intelligence Of Her Mind
5. They Can't Stop Us Now
Side 2
1. Love Is A Key
2. My Mission Is Impossible
3. Time Is Important To Me
4. I'm Trying On
5. Rising The Strength Of Jah