今回はTanto Metro & Devonteのアルバム

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「Everyone Falls In Love」です。

Tanto Metro & DevonteはPeter Metroの
主催するMetromedia sound systemで
ディージェイをしていたTanto Metro
(本名:Mark Wolfe)とシンガーの
Devonte(本名:Wayne Passley)が組んで
結成されたヴォーカル・ユニットで、
1997年にPenthouse Recordsの
Donovan Germainがプロデュースした楽曲
「Everyone Falls In Love」がビルボード
のチャート入りする大ヒットし、現在まで
活動を続けているユニットです。

ネットのDiscogsによると、ユニットと
して4枚ぐらいのアルバムと、187枚
ぐらいのシングル盤をリリースしている
ほか、Tanto Metro個人として共演盤を
含めて2枚ぐらいのアルバムと、83枚
ぐらいのシングル盤、Devonte個人として
80枚ぐらいのシングル盤をリリースして
います。

Tanto Metro and Devonte - Wikipedia

タント・メトロ・アンド・デヴォンテ(Tanto Metro and Devonte)の名曲 ...

今回のアルバムは1999年にUSの
VP RecordsからリリースされたTanto
Metro & Devonteのファースト・アルバム
です。

エグゼクティブ・プロデューサーは
Penthouse RecordsのDonovan Germainで、
バックにMafia & FluxyやSteely & Clevie
など多彩なアーティストが参加した
アルバムで、ヒットした「Everyone Falls
In Love」をはじめとして、「Jam Party」
などBuju Bantonのフォロワーとして知ら
れるMega Bantonとの共演曲が3曲、
キング・オブ・ダンスホールと呼ばれた
Beenie Manとの共演曲「For All Time」
など、華やかな楽曲が揃った好盤となって
います。

手に入れたのはEpic, 550 Musicから
リリースされたCDの中古盤でした。

全14曲で収録時間は約52分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Engineers: Steven Stanley, Michael Cooper, Rohan Stephens, Marlon Cooke, Dean Mundy,
Tony 'CD' Kelly, Claude 'Weak Hand' Reynolds, Andre Tyrell and R. Ledgister
Background Vocals: D. Wisdom, N. Tucker, J. Nelson, G. Williams and A.R.P.
Executive-Producer: Donovan Germain for Penthouse Productions
A&R Direction: Donovan Germain and Cristy Barber
Project Co-ordination: Cristy Barber
Mastered by: Joel Chin at VP Mastering, NY
Art Direction & Design by: Mr. Chung
Photography by: William Richards
Styling by: Cristy Barber
Promotional Direction: Shawn 'Promo' King and Edmond 'Eddie J' James
Recorded at: Penthouse Recording Studios, Kingston, Jamaica

1. Everyone Falls In Love
Written by: W. Passley and M. Wolfe
Produced by: Donovan Germain
Music played by: Tony 'CD' Kelly and Steven 'Lenkey' Mardsen

2. Say Wooee
Written by: W. Passley and M. Wolfe
Produced by: Tony 'CD' Kelly
Music played by: Tony 'CD' Kelly

3. Big Up Your Status (featuring Mega Banton)
Written by: M. Wolfe and G. Williams
Produced by: Donovan Germain
Music played by: D. Kelly and Mafia & Fluxy

4. Little Goodies
Written by: W. Passley, M. Wolfe and G. Williams
Produced by: Donovan Germain
Music played by: H. Browne

5. Jam Party (featuring Mega Banton)
Written by: J. Chosen, G. McFadden, J. Whitehead, W. Passley and M. Wolfe
Produced by: Donovan Germain

6. She Gone
Written by: W. Passley, M. Wolfe and R. Ledgister
Produced by: W. Johnson and C. Browne
Music played by: Steely and Clevie

7. For All Time (featuring Beenie Man)
Written by: M. Davis and M. Wolfe
Produced by: Patrick Roberts for Shocking Vibes Productions
Music played by: Sly Dunbar, Steven 'Lenkey' Mardsen and Dean Fraser

8. Go So
Written by: W. Passley and M. Wolfe
Produced by: Anthony Red Rose
Music played by: Sly Dunbar

9. Have You Ever Been In Love
Written by: M. Wolfe, W. Passley and G. Williams
Produced by: Donovan Germain
Music played by: Tony 'CD' Kelly and Steven 'Lenkey' Mardsen

10. Fake Name (featuring Mega Banton)
Written by: G. Williams and M. Wolfe
Produced by: Donovan Germain
Music played by: Jermaine Ford and Steven 'Lenkey' Mardsen

11. Girlz Ready
Written by: G. Williams, W. Passley and M. Wolfe
Produced by: Donovan Germain
Music played by: Jermaine Ford and Steven 'Lenkey' Mardsen

12. Love You Forever
Written by: W. Passley
Produced by: Donovan Germain
Music played by: C. Dodd

13. If A Hold You
Written by: W. Passley
Produced by: Donovan Germain
Music played by: Andrew Thomas and Steven 'Lenkey' Mardsen

14. Know Your Friends
Written by: M. Wolfe and G. Williams
Produced by: Donovan Germain
Music played by: Sly Dunbar, Robbie Lyn and Lloyd 'Gitsy' Willis

となっています。

長いので省略しますが、Mafia & Fluxyや
Steely & Clevie、Sly Dunbar、Robbie
Lyn、Dean Fraserなど多彩なアーティスト
が参加したアルバムです。

エグゼクティブ・プロデューサーは
PenthouseのDonovan Germainが担当して
います。
レコーディングはジャマイカのキングス
トンにあるPenthouse Recording Studios
で行われています。

ジャケット・デザインはMr. Chung、写真
はWilliam Richardsが担当しています。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、注目はやはり
大ヒットした「Everyone Falls In Love」
で、ディージェイのトースティングと
ヴォーカルのコンビネーションの取れた
オシャレ感のある楽曲はとても魅力的
です。

レゲエの世界では80年代半ばにPrince
Jammy(このヒットをきっかけにKing
Jammyに改名)がプロデュースしたWayne
Smithの楽曲「Under Mi Sleng Teng」が
大ヒットした事をきっかけに、レゲエと
いう音楽そのものが一気にデジタル化を
するんですね。
そして大勢のミュージシャンを集める手間
が無くなった為か、大量の音楽が量産され
るようになります。

そしてそのデジタル化や音楽が量産される
ようになったのと関係があるのかはよく
解りませんが、この80年代の半ばぐらい
から「単純化」したレゲエが増えるんです
ね。
70年代ぐらいは曲は起→承→転→結と
いう4回ぐらいの変化があったのですが、
この時代ぐらいから起→承→転ぐらいで
なぜかストンと終わってしまう楽曲が、
多く作られるようになるんですね。
80年代半ば以降のレゲエがなぜかすごく
淡白に感じられるのは、多分そうした単純
な曲作りをしている為だと思われます。

実は私自身も80年代以降のレゲエは
デジタル化した事もあるだろうが、なぜか
とても淡白だなぁとずっと思っていまし
た。
ただその理由がよく解らないで居たんです
ね。
その理由が解ったのは、牧瀬直也さんと
いう方の書いた「レゲエ入門」という本を
読んでからなんですね。

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牧瀬直也著 「レゲエ入門」

その中に80年代のダンスホール・レゲエ
以降はそれまでの起→承→転→結という
音作りから起→承→転で終わってしまう、
淡白な音作りに変わってしまうような事が
書かれていました。
それで長年の疑問がようやく解ったという
訳です。

話を戻しますが、今回の「Everyone Falls
In Love」という曲は、そうした単純な曲
作りの典型のような曲なんですね。
今回このアルバムを調べて多くの販売
サイトのアルバム評を見ましたが、この曲
を「フック一発」と評しているサイトが
ありました。
この曲をすごく魅力的にしているのは、
Devonteの「Everyone Falls In Love~
♪」という甘い1つのフレーズで、その
「フック一発」のフレーズをTanto Metro
のトースティングなどでうまく引き立てて
いるだけなんですね。
こう言っては何ですが、曲の作りは意外と
単純なんですね。
ただその分ディージェイとヴォーカルを
組み合わせるなど、曲に厚みを付け加える
工夫をしています。

この90年代ぐらいはこのTanto Metro &
Devonteのほか、Chaka Demus & Pliersや
Buju BantonとWayne Wonder、Ninjamanと
Courtney Melodyなど、ディージェイの
トースティングとシンガーのヴォーカルが
絡み合う、コンビネーション曲が大流行
した時代だったんですね。
もともとは80年代のダンスホール・
レゲエの時代にディージェイ同士が掛け
合いをするラバダブ・スタイルが大流行
していますが、それがよりスタイリッシュ
になって、こうしたコンビネーションに
発展しているんですね。
それ以前の曲と較べると曲の作りは単純に
なっていますが、ヴォーカル・スタイルは
より複雑になっているのが、90年代以降
のレゲエの特徴といえるかもしれません。

実際に聴いた感じとしてもこのDevonteの
「Everyone Falls In Love~♪」という
甘いフレーズの繰り返しはすごく耳に残る
くらい強烈で、まさに「フック一発」で
この曲は成り立っているんですね。

このアルバムに関していえばやはりこの
「Everyone Falls In Love」がメインの
アルバムだと思いますが、他にもBuju
Bantonのフォロワーとして知られるMega
Bantonとの共演曲がなど3曲、キング・
オブ・ダンスホールと呼ばれたBeenie Man
との共演曲「For All Time」などが収め
られていて、この時代のPenthouseらしい
華やかさのあるアルバムとなっています。
(リリースはVP Recordsですが、制作は
Penthouseと思われます。)

Donovan Germainの主催するPenthouse
Recordsですが、Buju Bantonを輩出する
など、オシャレでモダンな楽曲で90年代
以降のレゲエを支えたレーベルのひとつで
ある事は間違いがありません。

1曲目は表題曲の「Everyone Falls In
Love」です。
デジタル感のあるキーボードのメロディ
に、Tanto Metroのトースティングに、
「フック一発」のDevonteのスウィート
なヴォーカル…。
↓に乗せたPVがけっこう面白いです。

Tanto Metro & Devonte - Everyone Falls In Love


2曲目は「Say Wooee」です。
いかにもダンスホールらしいダンサブルな
キーボードとデジタルのドラミング、
DevonteのスウィートなヴォーカルにTanto
Metro男らしいトースティング…。

Tanto Metro & Devonte - Gal say woee


3曲目はMega Bantonとの共演曲「Big Up
Your Status」です。
デジタルのドラミングにキーボードの
ダンサブルなメロディ、Devonteの
ヴォーカルに、流れるように流ちょうな
Tanto MetroとMega Bantonのトース
ティング。

Big Up Yu Status


4曲目は「Little Goodies」です。
デジタルのドラミングに、緊迫感のある
キーボードのメロディ、うまく入れ替わる
Tanto Metro & Devonteのヴォーカル・
ワーク。

5曲目はMega Bantonとの共演曲「Jam
Party」です。
明るいキーボードとギターのソウルな
メロディに、溌溂としたDevonteの
ヴォーカルとTanto MetroとMega Banton
の楽しいトースティング。

6曲目は「She Gone」です。
デジタルなキーボードを中心とした
メロディに、Tanto MetroとDevonteの
息の合ったヴォーカル・ワーク。

7曲目はBeenie Manとの共演曲「For All
Time」です。
デジタルなドラミングに、キーボードと
Dean Fraserのサックス・プレイ、Beenie
Manと思われるノリノリのヴォーカルと
Devonteのスウィートなヴォーカルと
Tanto Metroの明るいトースティング。

8曲目は「Go So」です。
ムーディーなキーボードのメロディに、
スウィートなDevonteのヴォーカルと
Tanto Metroの男らしいトースティング
のコンビネーションがイイ感じ。


Tanto Metro Devonte Go so Pawer play riddim


9曲目は「Have You Ever Been In Love」
です。
コーラスに乗せたメロディアスなキー
ボードのメロディに、スウィートなDevonte
のヴォーカルとTanto Metroのトース
ティング。

10曲目はMega Bantonとの共演曲「Fake
Name」です。
賑やかなデジタルのメロディに、女性
コーラス、Mega BantonとTanto Metroの
絡み合うようなトースティング。

11曲目は「Girlz Ready」です。
10曲目「Fake Name」と同じリディムの
曲です。
明るいデジタルのドラミングから、
Devonteのスウィートなヴォーカルと
Tanto Metroのノリの良いトース
ティング。

Tanto Metro & Devonte - Girls Ready | Heads Roll Riddim (Penthouse) 1998


12曲目は「Love You Forever」です。
ムーディーなサックスとデジタルなキー
ボードとドラミング、Devonteの甘い
ヴォーカルにコーラスが冴える曲です。

Love You Forever


13曲目は「If A Hold You」です。
デジタルなキーボードに、イイ感じな
スウィートなヴォーカル。

14曲目は「Know Your Friends」です。
リズミカルなキーボードのメロディに、
ソフトなヴォーカルがイイ感じ。

ざっと追いかけてきましたが、やはり
表題曲の「Everyone Falls In Love」が
強く印象に残りますが、Tanto Metro &
Devonteというヴォーカル・ユニットの
魅力がうまく収められたアルバムで、内容
は悪くないと思います。

機会があれば聴いてみてください。

Sly and Robbie -Tanto Metro & Devonte - Jam It So (Official Video)



○アーティスト: Tanto Metro & Devonte
○アルバム: Everyone Falls In Love
○レーベル: Epic, 550 Music
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1999

○Tanto Metro & Devonte「Everyone Falls In Love」曲目
1. Everyone Falls In Love
2. Say Wooee
3. Big Up Your Status - featuring Mega Banton
4. Little Goodies
5. Jam Party - featuring Mega Banton
6. She Gone
7. For All Time - featuring Beenie Man
8. Go So
9. Have You Ever Been In Love
10. Fake Name - featuring Mega Banton
11. Girlz Ready
12. Love You Forever
13. If A Hold You
14. Know Your Friends

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