今回はPhill PrattとBobby Kalphatの
アルバム

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「The War Is On - Dub Style」です。

Phill Pratt(本名George Phillips)は
ロックステディの時代にシンガーとして
活躍し、その後Studio Oneレーベルで
働いたのちに、Caltoneレーベルの傘下で
自身のレーベルSunshotを開設し、
プロデューサーとして活躍した人です。
70年代に若き日のHorace Andyや、
Al Campbell、Dennis Brownなどの歌手、
Dennis AlcaponeやJah Wooshといった
ディージェイをプロデュースした事で知ら
れる名プロデューサーです。

ネットのDiscogsによると、5枚ぐらいの
アルバムと、16枚ぐらいのシングル盤を
残しています。

Phil Pratt - Wikipedia

Bobby Kalphatは60年代半ば頃から
70年代にかけて活躍したキーボードの
セッション・プレイヤーです。
おもにPhill PrattのレーベルSunshotなど
で活躍したキーボード・プレイヤーで、
Augustus Pabloばりのメロディカを演奏
するメロディカ奏者としてよく知られて
います。

ネットのDiscogsによると、2枚ぐらいの
アルバムと、36枚ぐらいのシングル盤を
残しています。

今回のアルバムはネットのDiscogsでは
制作年は不詳(Unknown)となっている
アルバムで、Phill Prattのレーベル
Phill Prattからリリースされたダブ・
アルバムです。

ハッキリした制作年は解りませんでした
が、ネットの販売サイトの記述で「80年
初頭」という記述があったので、ここでは
分類上の都合でとりあえず1980年と
いう事にしました。

メロディカのBobby Kalphatをはじめと
して、Sly & RobbieやLloyd Parksなどが
参加したアルバムで、表題曲の「The War
Is On」をはじめとしてメロディカの寂寥
感のあるメロディが強く心に残るダブ・
アルバムです。

手に入れたのは2018年にUKの
レゲエ・リイシュー・レーベルPressure
SoundsからリイシューされたCD(新盤)
でした。

全12曲で収録時間は約54分。
オリジナルは8曲で、残りの4曲はCD
ボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Musicians:
Drums, Percussion: Lowell 'Sly' Dunbar
Bass: Robbie Shakespeare, Lloyd Parks
Lead Guitar: Lloyd 'Gitsy' Willis
Rhythm Guitar: Winston 'Bo Peep' Bowen
Keyboards, Melodica: Bobby Kalphat

Recorded at Joe Gibbs' Studio
Recording Engineer: Ruddy Thomas
Mixed at Easy Street Studios
Mixing Engineer: Stewart Breed

Mastering: Blackman at Hiltongrove
Sound Restoration: Andy Le Vien
Artwork Restoration: Teflon aka John Sims
Sleeve Notes: Diggory Kenrick
Special thanks to Phil Pratt, Stuart Breed, Robbie 'Eziman' Williams
Photos courtesy of Phil Pratt, Stuart Breed and Easy Street Studios
Album Co-ordination: Pete Holdsworth

Produced byand under licence from Phil Pratt

となっています。

ミュージシャンはドラムにLowell 'Sly'
Dunbar、ベースにRobbie Shakespeareと
Lloyd Parks、リード・ギターにLloyd
'Gitsy' Willis、リズム・ギターに
Winston 'Bo Peep' Bowen、キーボード
とメロディカにBobby Kalphatという布陣
です。

レコーディングはJoe Gibbs' Studioで
行われ、レコーディング・エンジニアは
Ruddy Thomasが担当しています。
ミックスはUKのEasy Street Studiosで
行われ、ミックス・エンジニアはStewart
Breedが担当しています。

プロデュースとライセンスはPhil Prattと
なっています。

アルバムのコーディネーションはPressure
SoundsのPete Holdsworthとなっています。

アート・ワークの作り直しはTeflon
(別名:John Sims)となっています。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、やはりBobby
Kalphatのメロディカが全面的に
フィーチャーされた寂寥感のあるダブは
とても魅力的で、ルーツ好きならハマる
内容の良いアルバムだと思います。

メロディカというとやはりAugustus Pablo
が有名ですが、一人こうした突き抜けた
プレイヤーが登場すると、そのフォロワー
が登場するのがこのジャマイカという国
なんですね。
Bobby KalphatはそうしたAugustus Pablo
のフォロワーの中でもっとも有名な人の
ひとりで、70年代にPhill Prattの
レーベルSunshotなどで活躍した
セッション・キーボード・プレイヤー
です。
彼の吹くメロディカはAugustus Pabloの
吹くメロディカよりも、より繊細な印象が
あります。
また他の70年代に登場したフォロワー
より格段にクウォリティが高く、本家の
Augustus Pabloにも勝るとも劣らない
メロディカの腕前を披露しています。

ただ彼が本格的に知られるようになったの
は実はつい最近ともいえる2013年で、
レゲエ・リイシュー・レーベルPressure
Soundsから彼の70年代にリリースされた
シングル盤を集めたアルバム「Zion Hill」
がリリースされてからなんですね。

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Bobby Kalphat And The Sunshot Band ‎– Zion Hill (2013)

80年ごろに今回のアルバムがリリース
されていますが、このアルバムもかなりの
レア・アルバムで、知る人ぞ知るといった
メロディカ奏者だったんですね。
おそらくこの「Zion Hill」のPressure
Soundsからのリリースは、多くの人に衝撃
を与えたリリース(リイシュー)だったん
じゃないかと思います。
そのあたりはこのPressure Soundsという
リイシュー・レーベルに感謝したい部分
でもあり、今も続いているリイシューが
レゲエの再発見や再検証に繋がっている、
意義のあるところなんですね。

実際に今の時代に聴いても、このBobby
Kalphatのメロディカを中心とした寂寥感
のあるダブはとても魅力的で、けっこう
衝撃的なんですね。

またこのアルバムはBobby Kalphatの
メロディカを中心としたダブ・アルバム
ですが、それを支えるRobbie Shakespeare
やLloyd Parksのベースがとても素晴ら
しいアルバムなんですね。
Bobby Kalphatの寂寥感のあるメロディカ
のメロディが強く印象に残るアルバムです
が、それをうまく支えているのがこれらの
腹にズシっと響くような重量感のある
ベースと、'Sly' Dunbarの叩き出す
ガシっと硬いワン・ドロップのドラミング
で、これらのリズム隊がこのダブという
音楽の「肝」なんですね。
このリズム隊の渋い演奏が、うまく音の
すき間を埋めているんですね。

今回のアルバムはメンバー構成が比較的に
シンプルなので、自由に演奏する
メロディカの華やかさと、それを力強く
支えるリズム隊の魅力が、鮮やかに解る
ダブ・アルバムとなっています。

1曲目は「The War Is On」です。
ワンドロップのリズムに乗せたギターの
メロディに、ドスの効いたベースと遠く
から聴こえるような寂寥感のある
メロディカの奏でるメロディ。

Phill Pratt & Bobby Kalphat ‎- The War Is On


2曲目は「Danger Zone」です。
ズシっとグルーヴ感のあるベースに、
漂うようなメロディカのメロディ。

3曲目は「Easy Street Special」です。
リディムはErrol Dunkleyのヒット曲
「Black Cinderella」です。
今回のアルバムの11曲目にCDの
ボーナス・トラックとしてRonnie Davisの
「Black Cinderella」が入っていますが、
同じメロディなので聴き較べてみると
面白いかも。
漂うようなメロディカのメロディと、それ
を支えるズシっと腹に響くベース、ダブ
ワイズしたガツンと来るドラミング…。

Bobby Kalphat - Easy Street Special


4曲目は「Dancing Kid」です。
刻むようなギターと哀愁の漂うメロディカ
のメロディ、それを支えるズシっと腹に
響くベースとドラミング。

Bobby Kalphat - Dancing Kid


5曲目は「The Good The Bad And The
Brave」です。
リリカルなピアノのメロディに、ズシっと
這うようなベース、ガツンと叩き込むよう
なドラミング。

DUB LP- WAR IS ON DUB STYLE - The Good The Bad And The Brave


6曲目は「I'm Back」です。
刻むようなギターと腹に響くようなベース
のユッタリとしたメロディを中心とした
ダブです。
出しゃばり過ぎない感じで、Bobby Kalphat
が合いの手のようにピアノのメロディを
入れています。

7曲目は「Feel The Beat」です。
ズシっとしたグルーヴ感のあるベースの
メロディを中心としたダブです。

8曲目は「Earth Movement」です。
ズシっとしたベースにホーンのメロディ、
歯切れの良いドラミングのダブ。

Bobby Kalphat - Earth Movement


ここまでがオリジナル曲で、9~12曲目
までの4曲はPhill Prattのプロデュース
した曲を集めたCDボーナス・トラック
です。

9曲目はOwen Grayの「Hear We Them A
Say」です。
刻むようなギターとズシっとしたベース、
ピアノのメロディに乗せた、ちょっと哀愁
のあるOwen Grayのヴォーカルが魅力的。
後半はダブの12インチ・ヴァージョン
です。

Owen Gray - Hear we them a say


10曲目はRonnie Davisの「Strange
Things」です。
レゲエらしいギターのメロディに、Ronnie
Davisの語るように歌うヴォーカルが魅力
的な曲です。
後半はダブのエクステンデッド・ミックス
です。

11曲目はRonnie Davisの「Black
Cinderella」です。
リディムはErrol Dunkleyのヒット曲
「Black Cinderella」です。
メロディカの哀愁のあるメロディに、
Ronnie Davisのヴォーカルが冴える1曲
です。
こちらも後半はダブのエクステンデッド・
ミックスです。

Chanan Jah Maxi uk CJ104B Ronnie Davis Black Cinderella


12曲目はBobby Kalphatの「My Time」
です。
ズシっとしたベースに明るいメロディカの
奏でるメロディ…。

ざっと追いかけてきましたが、いかにも
Pressure SoundsらしいBobby Kalphatの
メロディカを現代に蘇らせたリイシュー
で、内容はとても良いと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Phill Pratt, Bobby Kalphat
○アルバム: The War Is On - Dub Style
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: Unknown(1980年初頭)

○Phill Pratt, Bobby Kalphat「The War Is On - Dub Style」曲目
1. The War Is On
2. Danger Zone
3. Easy Street Special
4. Dancing Kid
5. The Good The Bad And The Brave
6. I'm Back
7. Feel The Beat
8. Earth Movement
(CD Bonus Tracks)
9. Hear We Them A Say (12" Version) - Owen Gray
10. Strange Things (Extended Mix) - Ronnie Davis
11. Black Cinderella (Extended Mix) - Ronnie Davis
12. My Time (12" Version) - Bobby Kalphat