今回はLittle Johnのアルバム

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「Early Days」です。

Little John(本名John McMorris)は
80年代のダンスホール・レゲエの時代に
活躍したシンガーです。
1970年に生まれた彼は80年代前半の
アーリー・ダンスホールで、10歳に満た
ない年齢からシンガーとして活躍し、独特
のシングジェイ・スタイルで当時の人気
レーベルVolcanoなどに多くの録音を残し
ました。
その後も自身のレーベルRomanticで
プロデューサーとしても活躍するなど、
レゲエの歴史に名を残したのがこの人なん
ですね。

ネットのDiscogsによると共演盤を含めて
24枚ぐらいのアルバムと、375枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

アーティスト特集 Little John (リトル・ジョン)

今回のアルバムは1984年にUSの
Jah BibleからリリースされたLittle John
のソロ・アルバムです。

プロデュースはRoots Traditionレーベル
のDon Maisで、バックをRoots Radicsや
High Times Bandなどが務めたアルバム
で、「Early Days」というタイトルから
解るように、77年にリリースされた彼の
最初期のシングル盤「What Is Catty」や
「Robe」など、Roots Traditionレーベル
からリリースされたLittle Johnの初期の
シングル盤などの音源を集めたアルバムの
ようです。

手に入れたのはRoots Traditionレーベル
からリリースされたLPの中古盤でした。

Side 1が4曲、Side 2が4曲の全8曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Musicians: Roots Radics, High Times Band

Players: Flabba Holt, Chinna Smith, Skully, Bongo Herman, Glady Anderson,
Style Scott, Santa Davis, Bingie Bunny, George Fullwood, Tony Chin

Produced by: Don Mais
Exec Producer: Michelle Mais, Kevin Mais
Distributed by Sonic Sounds

All Rhythm Laid at Channel One Studio,
Voiced and Mixed at King Tubby's Studio

Designed by: Limonious

となっています。

バックはRoots RadicsとHigh Times Band
で、プレイヤーとしてはFlabba Holt
(ベース)やChinna Smith(リード・
ギター)、Skully(パーカッション)、
Bongo Herman(パーカッション)、
Glady Anderson(ピアノ)、Style Scott
(ドラム)、Santa Davis(ドラム)、
Bingie Bunny(ギター)、George
Fullwood(ベース)、Tony Chin(ギター)
などが参加しています。
後述しますが、今回のアルバムは一度に
録音されたものではなく、Little Johnの
デビュー当時の79年頃からのRoots
Traditionレーベルのシングル盤などの
音源をまとめたもののようです。

プロデュースはRoots Traditionレーベル
のDon Maisで、エグゼクティブ・
プロデューサーにMichelle Maisと
Kevin Maisとなっています。

すべてのリズム・トラックの録音は
Channel One Studioで行われ、声入れと
ミックスはKing Tubby's Studioで行われ
ています。

また次のような記述があります。

Scientist Big Up All Reggae Lovers
One Love Jah Guide

おそらくミックスはKing Tubby'sに在籍
していた頃のScientist(本名:Hopeton
Overton Brown)が行っていると思われ
ます。

ジャケット・デザインはLimoniousが担当
しています。

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裏ジャケ

このアルバムはジャマイカのRoots
Traditionからリリースされたアルバム
と、USのJah Bibleレーベルから
リリースされたアルバムの2種類の
ヴァージョンがあり、このジャマイカの
Roots TraditionではLimoniousがデザイン
を担当していますが、Jah Bibleの方は
Jamaal Peteがデザインを担当していま
す。
Jah Bibleの方はJamaal Peteの描いた
黄色い帽子をかぶったLittle Johnの
イラストがジャケットになっています。
またUSのJah Bible盤の方は、曲目や
曲順が今回のアルバムとは少し異なって
いるようです。
(一番最後にJah Bible盤の曲順と曲目
を記載。)

さて今回のアルバムですが、タイトルの
「Early Days」からも解るように、
Little Johnの初期のRoots Traditionで
レコーディングされた曲が集められた
アルバムで、アーリー・ダンスホールが
好きな人にとってはなかなか面白い
アルバムだと思います。

今回のアルバムのSide 1の1曲目
「What Is Catty(What Is Katty)」と
Side 2の2曲目「Robe」は、ネットの
Discogsを見ると、1979年にRoots
Traditionからシングル盤でリリースされ
ている曲なんですね。
(ほかの曲は残念ながらいつ頃の曲なのか
解りませんでした。)
79年というとLittle Johnはまだ9歳の
少年で、それ以前のリリースは見つから
なかったので、彼のもっとも早い時期の
リリースのようです。
今回のアルバムはそうした彼の79年から
このアルバムのリリースされた84年まで
の楽曲を集めたアルバムのようです。

この時期の彼Little Johnの人気は凄ま
じく、彼の共演盤を含めた24枚ぐらいの
アルバムのうち、実に20枚が82年から
86年のわずか5年間の間にリリースされ
ています。
この時期は80年代前半のアーリー・
ダンスホールの時代ですが、Little John
は9歳から16歳ぐらいの少年だったん
ですね。
特に83年は彼の当たり年だったようで、
「English Woman」やBarry Brownとの共演
盤「Show-Down Vol. 1」など、共演盤を
含めて6枚のアルバムをリリースしている
んですね。

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Little John ‎– English Woman (1983)

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Little John & Barry Brown ‎– Show-Down Vol. 1 (1983)

ちなみにJah Bible盤のJamaal Peteの描い
たLittle Johnのイラストは、この
「Show-Down Vol. 1」のLittle Johnの
写真から描いたイラストです。

そうしたLittle Johnの人気ぶりを当て
込んで作られたのが、今回のアルバムの
ようです。
書いたように「What Is Catty」や
「Robe」は彼のもっとも早い時期の録音
のようで、かなり声が若い印象です。
ただ他の曲はもう少し後の録音なのか、
多少声が変わり大人びた歌い方へと変化
しています。
実際にSide 1の1曲目「What Is Catty」
はいかにも子供の声だった彼ですが、それ
に続く2曲目「This Little Feeling」
では声がだいぶシッカリして、落ち着いた
歌声を披露しているんですね。

そうした声の変化のギャップは多少ある
ものの、Roots RadicsやHigh Times Band
によるこのアーリー・ダンスホールの時代
特有のスローなワン・ドロップのリズムに
乗せた、Little Johnの若いながらも少し
大人びた雰囲気を持ったヴォーカルは
とても魅力的です。

Side 1の1曲目は「What Is Catty」です。
リディムはLone Rangerの「Answer」
リディムとして知られる曲で、オリジナル
はSlim Smithのロックステディの時代の
ヒット曲「Never Let Go」です。
書いたようにLittle Johnの最も若い頃、
9歳頃のヒット曲です。
ちなみにシングル盤リリース時のタイトル
は「What Is Katty」だったようです。
ダ・ダ・ダ・というドラム音のエフェクト
からギターとベースを中心としたド渋な
演奏、まだ明らかに幼さの残るLittle
Johnのヴォーカルが印象的。
バックはHigh Times Bandなんでしょうか?
ドラムの感じがSantaっぽいような…。
Scientistらしいディレイが深めな、
ハッタリの効いたミックスが印象的。

Little John - What Is Katty [ Roots Tradition ]


リズム特集 Answer (アンサー)

2曲目は「This Little Feeling」です。
ユッタリとしたワン・ドロップのギターと
キーボードを中心とした明るいメロディ
に、少し大人っぽくなったLittle Johnの
落ち着いたヴォーカルがイイ感じの曲
です。

Little John - This little feeling


3曲目は「I Love Jah」です。
浮遊感のあるキーボードとギターの
メロディに、心地良いパーカッション、
Little Johnの感情をうまく乗せた心地
良いヴォーカルがグッド。

Little John - I Love Jah 198X


4曲目は「She Want Me To Cry」です。
リディムはKen Bootheの「When I Fall
In Love」。
ギターとキーボードのワン・ドロップの
ちょっと悲し気なメロディにトビ音、感情
を乗せたLittle Johnのヴォーカルが魅力
的。

LITTLE JOHN ~ She Want Me To Cry


Side 2の1曲目は「See When Jah Jah」
です。
リディムはJohn Holtの「I See Your
Face」。
こちらは若い頃の録音らしく、かなり声が
幼いです。
ギターと浮遊感のあるキーボードのワン・
ドロップに、幼い声のLittle Johnの
背伸びした感じのヴォーカルがイイ感じの
曲です。

Little John - See When Jah Jah


2曲目は「Robe」です。
リディムはFreddie McGregorの
「Bobby Babylon」。
こちらもかなり初期の録音です。
華やかなホーンとピアノ、ギターなどを
中心とした演奏に、Little Johnの子供声
の思いっきり歌うヴォーカルがイイ感じの
曲です。

Little John - Robe


リズム特集 Bobby Babylon/Hi Fashion (ボビー・バビロン/ハイファッション)

3曲目は「I Love You Girl」です。
小鳥のさえずりの様なエフェクトに、
ギターとキーボード、ピアノのワン・
ドロップ、ちょっと大人びたLittle John
のナイスなヴォーカルがグッド。

4曲目は「Girls Rush Me」です。
キーボードの優しいメロディに、表情豊か
なLittle Johnのソフトなヴォーカルが
イイ感じの曲です。

ざっと追いかけてきましたが、「チビっ子
のジョン」として10代の頃に大活躍した
Little Johnですが、その後の活躍が
イマイチパッとしないのはちょっと残念な
ところです。
ただそのせいか、なおさらにこの
アーリー・ダンスホールの時代の輝きが
光るシンガーでもあります。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Little John Live session


Little John Live At Beach Bash'1986


○アーティスト: Little John
○アルバム: Early Days
○レーベル: Roots Tradition
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1984

○Little John「Early Days」曲目
Side 1
1. What Is Catty
2. This Little Feeling
3. I Love Jah
4. She Want Me To Cry
Side 2
1. See When Jah Jah
2. Robe
3. I Love You Girl
4. Girls Rush Me

〇(USのJah Bible盤の曲目)
Side 1
1. Robe
2. This Little Feeling
3. I Love Jah Jah
4. Girls Rush Me
Side 2
1. I Dont Want To Cry Over You
2. I Love You So
3. What Is Catty
4. What Is Catty Part 2

●今までアップしたLittle John関連の記事
〇Little John / Anthony Johnson「Unite / Reggae Feelings」
〇Little John「English Woman」
〇Little John「Ghetto Youth」
〇Little John「Give The Youth A Try」
〇Little John「Reggae Dance」
〇Little John「True Confession」
〇Barry Brown, Little John「Show-Down Vol. 1」
〇Various「Junjo Presents A Live Session With Aces International」