今回はProtojeのアルバム

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「Ancient Future」です。

Protoje(本名:Oje Ollivierre)は
2011年頃から活躍するシング・
ジェイ・スタイルのディージェイです。
この10年代頃から盛んになったラスタ・
リヴァイヴァル・ムーヴメントの中心人物
のひとりと目されるアーティストで、
ChronixxやJesse Royalなどの共演も多い
人として知られています。

2011年に「7 Year Itch」、2013年
に「The 8 Year Affair」、2015年に
今回の「Ancient Future」、2018年に
「A Matter Of Time」と、コンスタントに
4枚のアルバムをリリースしているほか、
2016年に5曲入りのデジタル・データ
のミニ・アルバム「Royalty Free」と、
19枚ぐらいのシングル曲をリリースして
います。

Protoje - Wikipedia

今回のアルバムは2015年にフランスの
Overstand Entertainmentというレーベル
からリリースされたProtojeのサード・
アルバムです。

プロデュースはPhillip 'Winta' Jamesで、
Mortimerとの「Protection」やChronixxと
の「Who Knows」、女性シンガーSevanaと
の「Love Gone」、Jesse Royal & Sevana
の「Sudden Flight」、Kabaka Pyramidと
の「The Flame」など多くのアーティスト
との共演曲が入ったアルバムで、彼が
ラスタ・リヴァイヴァル・ムーヴメントの
中心人物としての地位を確立したアルバム
です。

手に入れたのはOverstand Entertainment
からリリースされたCD(新盤)でした。

全11曲で収録時間は約47分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Creative Direction: Che Kothari
Photography: Che Kothari
Photography Assistant: Yannik Reid & Nickll Kane
Design & Layout: Ryan Paterson
Additional Illustration: Taj Francis
Management: Lorna Bennett & Che Kothari
Management Assistant: Nate Martin

1. Protection ft. Mortimer
Produced by: Winta James
Written by: O. Ollivierre, P. James, H. Brooks
Performed by: Protoje & Mortimer
Bass: Strickland Stone
Recorded at 2Hard Studio, Kingston, Jamaica by Winta james & Jeremy Harding
Mixed by James 'Bonzai' Caruso
2. Criminal
Produced by: Winta James
Written by: O. Ollivierre, P. James, I. Kamoze, Pablito Henry
Performed by: Protoje
Recorded at 2Hard Studio & Tuff Gong Studios, Kingston, Jamaica by Winta james,
Michael 'Boxxy' Howell & Jeremy Harding
Mixed by James 'Bonzai' Caruso
3. Who Knows ft. Chronixx
Produced by: Winta James
Written by: O. Ollivierre, J. McNaughton & P. James
Performed by: Protoje & Chronixx (Chronixx Appears Courtesy Of Chronixx Music)
Recorded at 2Hard Studio & Big Yard Studios, Kingston, Jamaica by Winta james,
Kamal Evans & Jeremy Harding
Mixed by Gregory Morris at Gee Jam Studios, Portland, Jamaica
4. All Will Have To Change
Produced by: Winta James
Written by: O. Ollivierre, P. James & L. Thompson
Performed by: Protoje
Bass: Errol 'Flabba' Holt
Guitars: Ranoy Gordon & Lamont 'Montry' Savory
Horns:
Trumpet: Patrick Anthony
Saxophone: Wiston 'Saxton' Rose
Trombone: Henry 'Matic' Tenyue
Background Vocals: Nikki Burt, Tamieka Moncreiffe & Sherita Lewis
Recorded at/by: 2Hard Studios & Tuff Gong Studios / Winta James, Michel 'Boxxy' Howell
& Jeremy Harding
Mixed by Gregory Morris at Supow Studios, Cologne, Germany & Tuff Gong Studios,
Kingston, Jamaica
Contains an Interpolation from "If I Didn't Want Your Loving" Written by
Linval Thompson and Published by New town Sound Limited
5. Stylin'
Produced by: Winta James
Written by: O. Ollivierre & P. James
Performed by: Protoje
Bass: Strickland Stone
Guitars: Earl 'Chinna' Smith & Mitchum 'Khan' Chin
Horns:
Trumpet: Patrick Anthony
Saxophone: Wiston 'Saxton' Rose
Trombone: Henry 'Matic' Tenyue
Background Vocals: Lamont 'Monty' Savory
Recorded at: 2Hard Studios, Kingston, Jamaica by Winta James & Jeremy Harding
Mixed by James 'Bonzai' Caruso
6. Love Gone Cold ft. Sevana
Produced by: Winta James
Written by: O. Ollivierre, P. James & A. Blake
Vocals: Protoje & Sevana
Bass: Robbie Shakespeare
Guitars: Mitchum Kharn Chin & Lamont 'Monty' Savory
Percussion: Leon Mobley
Background Vocals: Nikki Burt, Tamekia Moncrieffe & Sherita Lewis
Recorded at: 2Hard Studios & Big Yard Studios by Winta James, Jeremy Harding
& Kamal Evans
Mixed by James 'Bonzai' Caruso
7. Sudden Flight ft. Jesse Royal & Sevana
Produced by: Winta James
Written by: O. Ollivierre, P. James, J. Grey, A. Johnson, N.M. Thomas
Performed by: Protoje, Jesse Royal & Sevana
Bass: Errol 'Flabba' Holt
Guitars: Ranoy Gordon
Recorded at: Tuff Gong & 2Hard Studios, Kingston, Jamaica & Red Bull Studios,
Amsterdam, The Netherlands by Winta James, Michael 'Boxxy' Howell,
Jeremy Harding & Dawit Habtam
Mixed by James 'Bonzai' Caruso
Contains An Iterpolation of: "Gunshot" Written by Anthony Johnson and Nkrumah Thomas
8. Bubblin'
Produced by: Winta James, Oje Ollivierre & Paris Lamont
Written by: O. Ollivierre, P. James, D. Pinkney
Performed by: Protoje
Bass: Donald 'Danny Bassie' Dennis
Piano: Paris Lamont
Guitar: Jason Lee Worton
Recorded at: 2Hard Studios & Tuff Gong Studios, Kingston, Jamaica by
Michael 'Boxxy' Howell, Winta James & Jeremy Harding
Mixed by James 'Bonzai' Caruso
Contains A Sample of "Bubbling Over" Pformed by Zap Pow
Lisensed Courtesy of Pink Audio Music
9. Answer To Your Name
Produced by: Winta James & Lewis Planter
Written by: O. Ollivierre, P. James, Cecil Campbell
Performed by: Protoje
Drum Overdubs: Peter 'Kongz' Samaru
Background Vocals: Protoje, Winta James, Yannick Reid, Peter Samaru
Recorded at: 2Hard Studios & Tuff Gong Studios, Kingston, Jamaica & Red Bull Studios,
Amsterdam by Winta James, Jeremy Harding and Dawit Habtam
Mixed by James 'Bonzai' Caruso
Contains A Sample from "Girl Answer To Your Name" by Prince Buster under Lisense from
Prince Buster Music Inc.
10. Who Can You Call
Produced by: Winta James
Written by: O. Ollivierre, P. James
Performed by: Protoje
Bass: Errol 'Flabba' Holt
Guitars: Ranoy Gordon & Mitchum Kharn Chin
Background Vocals: Nikki Burt, Tamieka Moncrieffe & Sherita Lewis
Recorded at: 2Hard Studios & Tuff Gong Studios, Kingston, Jamaica by Winta James,
Michel 'Boxxy' Howell & Jeremy Harding
Mixed by Gregory Morris at Supow Studios, Cologne, Germany & Tuff Gong Studios,
Kingston, Jamaica
11. The Flame ft. Kabaka Pyramid
Produced by: Winta James
Written by: O. Ollivierre, P. James, K. Salmon
Performed by: Protoje & Kabaka Pyramid
Bass: Robbie Shakespeare & Donald Dennis
Guitars: Lamont 'Monty' Savory & Mitchum 'Khan' Chin
Additional Keyboards: Veer Vandan Dhaniram
Hand Claps: P. James, S. Samaru, Oje Ollivierre & L. Lodenqual
Background Vocals: Sherita Lewis, Nikki Burt, Shenae Wright, Kerri-Ann Lewis
Recorded at: Tuff Gong and2Hard Studios, Kingston, Jamaica by Michael 'Boxxy' Howell,
Winta James and Jeremy Harding
Mixed by James 'Bonzai' Caruso

となっています。

長いので曲ごとの詳細は省略しますが、
Robbie ShakespeareやDonald Dennis、
Errol 'Flabba' Holt、Earl 'Chinna'
Smithなど多くのアーティストが参加
したアルバムです。

写真はChe Kothari、ジャケット・
デザインとレイアウトはRyan Paterson
となっています。
ジャケットは三つ折りで、なかなか凝った
デザインのジャケットとなっています。

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ジャケット(外側)

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ジャケット(内側)

また24ページの小冊子が付いていて、
そのには曲ごとの参加したアーティスト
や、歌詞などが書かれています。

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小冊子(表)

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小冊子(裏)

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小冊子(見開き)

さて今回のアルバムですが、Protojeが
トップ・アーティストとしての地位を確か
なものにしたアルバムで、内容はとても
良いと思います。

このProtojeですが18年にリリースした
4枚目のアルバム「A Matter Of Time」
がグラミー賞のベスト・アルバム部門に
ノミネートされるなど、今やトップ・
アーティストの地位を確立した彼ですが、
このアルバムの成功がやはり大きかったの
ではないかと思います。
(ちなみに18年のグラミー賞を受賞した
アルバムは、StingとShaggyの「44/876」
でした。)

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Protoje ‎– A Matter Of Time (2018)

今回のアルバムは彼らしいシング・ジェイ
のトースティングが魅力的なアルバムで、
これによって彼がラスタ・リヴァイ
ヴァル・ムーヴメントの旗手としての地位
を確立したアルバムと言えるでしょう。

よく言われるラスタ・リヴァイヴァル・
ムーヴメント(あるいはルーツ・リヴァイ
ヴァルやニュー・ルーツなどと言われる事
があります)ですが、ネットで調べても
その概念はイマイチよく解らないところが
あります。
Chronixxのネットのインタビューなどを
読んでも「ファンが言い出した」などと
語っていて、その出所がよく解らないん
ですね。
ただ2010年代に入ってそれまでの
ルーツ系のレゲエとちょっと違うルーツ系
の音楽が登場して来たのは事実で、それら
を総称してラスタ・リヴァイヴァル・
ムーヴメントなどと呼んでいるようです。

今まで聴いたところで私の思うその特徴を
語ってみると、
〇ボボ・アシャンティ系のラスタ・
アーティストのような厳格さはなく、
あまりホモ・セクシャル批判や
黒人優位主義のような差別ととられる事は
語っていないこと。
(このあたりは先人から学んだ点かもしれ
ません。)
〇貧困や差別などの社会問題を取り上げて
いること。
〇比較的縛りがきつくなく、ラヴ・ソング
なども歌っていること。
などが挙げられます。
以上の特徴などから見ると、70年代の
Bob Marleyのようなレゲエに近い音楽と
いった印象です。
またサウンドの個性もまちまちで、この
ProtojeやKabaka Pyramidなどからは
ラップの影響が感じられるし、Jah9は
ジャズ、Jesse Royalは70年代ロック
などの影響が感じられます。
そうした様々な音楽性を持ちながらも
思想的な共通点で繋がっているのが、この
ラスタ・リヴァイヴァル・ムーヴメントの
アーティストなんですね。
その核となるアーティストのひとりが、
このProtojeなんですね。

また最近のレゲエの傾向として、それまで
はシリアスなルーツ・レゲエ系と
スラックネスなダンスホール・レゲエ系と
いう2つの大きな流れがありましたが、
その境目があいまいになり、徐々に崩れて
来ている印象です。
音楽自体がパソコンで作るようになって
から徐々に境目が無くなり、EDMと
レゲエという違い自体が無くなって来て
いますが、レゲエという音楽内の差も無く
なって来ているのかもしれません。
その分レゲエという世界も活性化して、
またレゲエという音楽自体が少し面白く
なって来ている気がします。

そうしたレゲエが再び活性化してきた状況
で、このProtojeのアーティストとしての
重要性も増して来ているようです。
18年には「A Matter Of Time」も発表
し、グラミー賞にもノミネートされ、日本
ツアーも行うなど、精力的に活動を続けて
いるようです。
そうしたProtojeの彼らしいスタイルが
確立したのが今回のアルバムで、彼らしい
ラップに影響を受けたシング・ジェイ・
スタイルのトースティングが楽しめる内容
のアルバムとなっています。

また彼の仲間が多くゲストに参加した
アルバムで、そのあたりのサウンドの豊か
さもこのアルバムの魅力なんですね。
高音を生かしたMortimerのヴォーカルと
Protojeらしいトースティングが魅力の
1曲目「Protection」から始まり、彼
らしいトースティングが印象的な2曲目
「Criminal」、Chronixxとの共演が楽しい
3曲目「Who Knows」、Linval Thompsonの
「If I Didn't Want Your Loving」の
リディムを使用した4曲「All Will Have
To Change」、ノリの良いホーンに乗せた
5曲目「Stylin'」、女性シンガーSevana
との共演のラヴ・ソング6曲目「Love Gone
Cold」、そのSevanaとJesse Royalとの
共演曲のAnthony Johnsonの「Gunshot」
リディムの7曲目「Sudden Flight」、
Zap Powの「Bubbling Over」リディムの
8曲目「Bubblin'」、Prince Busterの
「Girl Answer To Your Name」リディムの
9曲目「Answer To Your Name」、女性
コーラスに乗せた10曲目「Who Can You
Call」、Kabaka Pyramidとの共演作11曲
目「The Flame」と続く作品群は重厚感が
あり、聴きどころ満載のアルバムとなって
います。

2010年代のこのラスタ・リヴァイ
ヴァル・ムーヴメントの代表作のひとつ
ではないかと思われるアルバムです。

1曲目はMortimerとの共演作「Protection」
です。
ヴィブラフォンか何かの悲し気なメロディ
のワン・ドロップに、Mortimerの
ファルセットなヴォーカル、Protoje
らしい呟くように歌うトースティング。

Protoje Ft Mortimer- Protection (nuevo)


↓こちらはライヴ・ヴァージョン
Protoje - Protection (feat. Mortimer) (Live on KEXP)


2曲目は「Criminal」です。
ピアノのメロディに低音の語りから、
キーボードのメロディに乗せたProtoje
らしい語るようなトースティングが魅力。

3曲目はChronixxとの共演曲「Who Knows」
です。
ワン・ドロップのリズムに乗せたChronixx
らしいヴォーカルに、追いかけるように
入って来るProtojeのトースティング。
息の合ったコンビネーションが魅力。

↓プロモ・ヴィデオに運転手役で出ている
のは、あの名ディージェイBig Youthです。
Protoje - Who Knows ft. Chronixx (Official Music Video)


4曲目は「All Will Have To Change」
です。
リディムはLinval Thompsonの「If I
Didn't Want Your Loving」。
ギターとホーン・セクションのメロディ
に、Protojeの歌うようなシング・
ジェイ・スタイルのトースティング。

5曲目は「Stylin'」です。
ホーン・セクションとギターのメロディ
に、語るようなProtojeのトースティング
とヴォーカル…。
ギターはあのEarl 'Chinna' Smithです。

Protoje - Stylin' (Official Music Video)


6曲目はSevanaとの共演曲「Love Gone
Cold」です。
キーボードのメロディに女性コーラス、
歌うようなProtojeのトースティングに、
後から入って来るSevanaの女性らしい
ノビのあるヴォーカルが魅力的な曲です。

7曲目はJesse RoyalとSevanaとの共演曲
「Sudden Flight」です。
リディムはAnthony Johnsonの「Gunshot」。
ホーンの明るいメロディから、ギターと
ベース、ハーモニカ、ホーンのユッタリと
したワン・ドロップに、ProtojeやSevana、
Jesse Royalのヴォーカル加工後に入れ
代わる、ちょっとユーモアさえ感じる曲調
の曲です。

Protoje - Sudden Flight ft. Jesse Royal & Sevana (Official Music Video)


リズム特集 Gun Shot(ガン・ショット)

8曲目は「Bubblin'」です。
リディムはZap Powの「Bubbling Over」。
Zap PowはあのBeres Hammondがヴォーカル
を務めた事で知られるレゲエ・グループ
です。
ギターを中心としたドラマティックな
メロディに、流れるように流ちょうな
Protojeのトースティングとコーラス・
ワークが魅力的。

9曲目は「Answer To Your Name」です。
リディムはPrince Busterの「Girl Answer
To Your Name」。
ギターとホーンの軽快なメロディに、流れ
るように流ちょうに歌うProtojeのトース
ティングがとても楽しい曲です。

Protoje - Answer To Your Name (Official Music Video)


10曲目は「Who Can You Call」です。
ギターとキーボードのちょっと悲し気な
メロディに、Protojeのソフトで流ちょう
なシング・ジェイがイイ感じの曲です。

11曲目はKabaka Pyramidとの共演曲
「The Flame」です。
ギターを中心としたワン・ドロップの
メロディに、ちょっと性急なProtojeの
トースティング、途中からKabaka Pyramid
のトースティングへと切り替わる曲です。
2人のディージェイのトースティングの
違いが面白いところ。

Protoje - The Flame (ft. Kabaka Pyramid) [AUDIO]


プロトジェイ(Protoje) ft. カバカ・ピラミッド(Kabaka Pyramid) - Flame - 2015

ざっと追いかけてきましたが、彼Protoje
がその存在感を確実にしたアルバムで、
2010年代のレゲエのアルバムの中でも
特に押さえておきたいアルバムではないか
と思います。

これからもこのProtojeは、特に注目の
アーティストのひとりだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

🎼Protoje feat Sevana ღ - Love Gone Cold (Live at Montreux Jazz Festival)


Protoje & Kabaka Pyramid - The Flame (Ancient Future LIVE)



○アーティスト: Protoje
○アルバム: Ancient Future
○レーベル: Overstand Entertainment
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2015

○Protoje「Ancient Future」曲目
1. Protection - Ft. Mortimer
2. Criminal
3. Who Knows - Ft. Chronixx
4. All Will Have To Change
5. Stylin'
6. Love Gone Cold - Ft. Sevana
7. Sudden Flight - Ft. Jesse Royal & Sevana
8. Bubblin'
9. Answer To Your Name
10. Who Can You Call
11. The Flame - Ft. Kabaka Pyramid