今回はNinjamanのアルバム

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「Out Pon Bail」です。

Ninjaman(本名:Desmond John
Ballentine)は80年代後半から活躍
する、バッドマン・スタイルのダンス
ホール・ディージェイです。
87年にCourtney Melodyとのコンビ
ネーション曲「Protection」でシングル・
デビューした彼は、常にライバルとの抗争
を引き起こすバッドマン・ディージェイと
して、ジャマイカで大人気のディージェイ
になって行くんですね。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て32枚ぐらいのアルバムと307枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

そうした活躍をしたNinjamanですが、
2009年にRicardo 'Trooper' Johnson
を殺害した罪に問われて息子とともに逮捕
され、2017年に終身刑を言い渡されて
います。

ニンジャマン - Wikipedia

アーティスト特集 Ninjaman (ニンジャマン)

今回のアルバムは1990年にジャマイカ
のExterminatorレーベルよりリリースされ
たNinjamanのソロ・アルバムです。

プロデュースはExterminatorレーベルの
Philip 'Fatis' Burrellで、バックは
Fire House CrewやSteelie & Clevieが
務めたアルバムで、この時代に大活躍した
Ninjamanらしいパフォーマンスが冴える
アルバムとなっています。

手に入れたのはExterminatorレーベルから
リリースされたLPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Musicians: Fire House Crew, *Steely & Clevie
Engineers: Syl, Soljie, Paul, Zelle
Voiced & Mixed at Music Works Studio
Executive Producer: Phillip Burrell for Exterminator Records
Producer: P. Burrell, C & A Fergueson

Design: A Studio Case

となっています。

バックのミュージシャンはFire House Crew
がおもに担当していて、Side 2の5曲目
「Powder Puff」のみSteely & Clevieが
演奏を担当しています。

声入れとミックスはMusic Works Studioで
行われ、エンジニアはSylとSoljie Hamilton、
Paul、Zelleが担当しています。

エグゼクティブ・プロデューサーは
ExterminatorレーベルのPhilip 'Fatis'
Burrellで、プロデュースはP. Burrellと
C & A Ferguesonとなっています。

ジャケット・デザインはA Studio Caseと
なっています。
表ジャケは「2339018」という数字
が書かれた板の後ろでポーズをとる、
いかにもポリスに捕まったかのような
バッドマンらしいNinjamanの写真が使われ
ています。
それから19年後の2009年に、実際に
捕まるような事になるとは…。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、いかにも
バッドマン・ディージェイらしいNinjaman
の歯切れの良いトースティングが魅力的な
アルバムで、内容は悪くないと思います。

80年代後半から90年代にかけては彼の
ようなアンチ・ヒーロー=バッドマンが
人気で、そうした「稀代のワル」同士が
リリックで争うパフォーマンスが人々の心
を捉えた時代だったんですね。
特にこのNinjamanは卓越したパフォーマー
で、そうした論争の中心には常に彼が居た
んですね。

Tokyo FM出版刊行の本「Dancehall Reggae
Standards」の彼の紹介ページによると、
ビッグ・フェスティバルStingでの90年
のShabba Ranks、91年のSuper Catの
リリックでの惨殺劇(実際に殺した訳では
なくリリックで…笑)は有名だそうで、
そうしたディージェイ同士の抗争で過激な
バッドマンとして人気を博したのが、この
Ninjamanという人なんですね。

Clash Webisodes : Ninja vs Shabba (SUBTITLED)


Supercat Vs. Ninjaman Clash


実際にその映像をYouTubeなどで見ると、
あまりのリアリティの濃さに映像にくぎ
付けにされるものがあり、彼のステージ上
でのパフォーマンスは目で見て解る面白さ
があるんですね。

特にStingでの90年のShabba Ranksの
惨殺劇は衝撃的です。
登場しないShabbaにイラついてスピーカー
に座り込んでイライラと貧乏ゆすりをする
Ninjamanの姿…。
さらには仲裁に入ったCharlie Chaplinに
促されて握手をするのですが、完全に
しょげ返って半ベソ状態のShabba Ranks
に対して、見下すようなNinjaman…。
あまりに勝者と敗者の明暗がハッキリと
出たシーンは本当に衝撃です。

こうしたステージはある程度筋書きが
あるものなのかもしれませんが、下手を
すればステージそのものが壊れてしまう
かもしれないギリギリのリアルな
パフォーマンスは、やはりこのNinjaman
という稀代のパフォーマーの魅力なんです
ね。

今回のアルバムはそのStingでのShabba
Ranksの惨殺劇が起きた90年のアルバム
です。
この年はNinjamanがもっとも充実して
いた頃で、ネットのDiscogsを見ると
共演盤を含めて7枚ものアルバムを
リリースしているんですね。
彼の快進撃はその後も続いて、90年代
半ば頃までは複数枚のアルバムをリリース
し続けているんですね。
80年代後半から90年代半ばまでの間、
もっとも旬だったアーティストがこの
Ninjamanだった事は間違いないようです。

そんな旬なアーティストだったNinjamanが
今回組んだレーベルが、この90年代に
独自の路線で人気を博したPhilip 'Fatis'
Burrellが率いるExterminatorレーベル
です。
このレーベルはその後ルーツ系のレーベル
として主催者のhilip 'Fatis' Burrellの
強い個性で人気を博すのですが、まだこの
90年の時点ではダンスホールのレーベル
として活躍していて、このNinjamanの
アルバムもリリースしているんですね。
Fire House CrewやSteelie & Clevieなど
のデジタルなバックに乗せたNinjamanの
切れ味のあるトースティングはとても軽快
で魅力的です。

Side 1の1曲目は「Battle With This」
です。
明るいデジタルのリズムに、Ninjaman
らしい歯切れの良いトースティングが魅力
的な曲です。

Battle With This


2曲目は「Cut It Out」です。
デジタルなリズムに、陽気なキーボードの
メロディ、溢れ出すように滑らかな
Ninjamanのトースティングが魅力的。

Cut It Out


3曲目は「Don Inna Town」です。
デジタルでダンサブルななキーボードの
メロディに、Ninjamanらしい立て板に水の
溢れ出すようなトースティング。

4曲目は「Tun Johnkuno」です。
デジタルらしいリズミカルなドラミング
に、表情豊かなNinjamanらしいトース
ティングがグッド。

5曲目は「Get Out A Here」です。
デジタルなドラミングにキーボードの
メロディ、Ninjamanらしい独特のトース
ティングが味わいのある曲です。

Side 2の1曲目は「A So Mi Tan」です。
デジタルのリズムに、Ninjamanらしい
流れるようなトースティング。

Ninjaman - A so mi tan ( Out pon bail )


2曲目は「Winding Out」です。
リズミカルなドラミングと耳に残る
キーボードのメロディに、Ninjamanの
語るようなトースティング。

3曲目は「True Love」です。
リディムはJohn Holtの「If I Were A
Carpenter」のようです。
デジタルなキーボードのメロディに、半分
歌っているようなNinjamanのラフなトース
ティングが魅力的な曲です。

Ninja Man - True Love - Gold Disc LP - Out Pon Bail - 1990


4曲目は「Never Find Another」です。
リズミカルなキーボードのメロディに、
半分歌っているNinjamanの楽しいトース
ティングがイイ感じの曲です。

NINJA MAN - NEVER FIND ANOTHER


5曲目は「Powder Puff」です。
この曲のみ演奏がFire House Crewでは
なく、Steely & Clevieが担当していま
す。
デジタルなドラミングにキーボードの
メロディ、ちょっとエコーのかかった
Ninjamanのノリノリのトースティング。

NInja Man - Powder Puff


ざっと追いかけてきましたが、稀代の
パフォーマーとしてのNinjamanの魅力が
詰まったアルバムで、内容は悪くないと
思います。
この時期の彼は「悪のヒーロー」として、
ピリピリする緊張感の中で、まるで水を
得た魚のようにキラキラと輝いているん
ですね。

ただそれはあくまで架空の中の事であり、
現実に人を殺してしまっては人々が彼に
見たヒーロー像は霧散してしまいます。
素晴らしいアーティストであった彼が
犯罪者になり、終身刑を言い渡されて
しまったのは、とても残念で仕方があり
ません。
ただ彼の残した輝きは、今も消えずに
残っているんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。

NINJA MAN - CHAMPIONS IN ACTION 1998



○アーティスト: Ninjaman
○アルバム: Out Pon Bail
○レーベル: Exterminator
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1990

○Ninjaman「Out Pon Bail」曲目
Side 1
1. Battle With This
2. Cut It Out
3. Don Inna Town
4. Tun Johnkuno
5. Get Out A Here
Side 2
1. A So Mi Tan
2. Winding Out
3. True Love
4. Never Find Another
5. Powder Puff *