今回はGregory Isaacsのアルバム

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「In Person」です。

Gregory Isaacs(本名:Gregory Anthony
Isaacs)はレゲエの歴史に偉大な足跡を
残したシンガーです。
70年代のルーツ・レゲエの時代から活躍
した彼は、その後のダンスホール・レゲエ、
さらにはデジタルのダンスホール・レゲエ
の時代になっても常に一線で活躍した
シンガーとして知られています。
その艶のあるヴォーカルは、Dennis Brown、
Sugar Minott、Freddie McGregorと並ぶ
4大ヴォーカリストとして、評価される
ほどの人気を博しました。

また負の側面としては、コカインなどの
薬物中毒に苦しんだ人としても知られて
います。

2010年にガンのため59歳で亡く
なっています。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て126枚ぐらいのアルバムと、789枚
ぐらいのシングル盤、さらには103枚
ぐらいのベスト盤(コンピュレーション)
をリリースしているのが、このGregory
Isaacsという人です。

アーティスト特集 Gregory Isaacs (グレゴリー・アイザックス)

今回のアルバムは1974年にジャマイカ
のAlvin RanglinのレーベルHitから
リリースされた彼のファースト・アルバム
です。

プロデュースはAlvin Ranglinで、バック
はThe Soul Syndicateが担当したアルバム
で、初期のヒット曲「Love Overdue」を
はじめとして、この時代らしいレゲエ・
ミュージックに乗せたまだ初々しさの残る
Gregory Isaacsのヴォーカルが楽しめる
アルバムとなっています。

手に入れたのは日本のAlpha Enterprise
というレーベルからリリースされたCDの
中古盤でした。
帯には「栄光の歴史はここから始まっ
た!!」という文章と、山名昇さんという
方の文章で「このファースト・アルバムは
1974年に録音され、イギリスの
トロージャンから翌年に発表されたもの。
アルヴィン・ラングリン制作で、バックは
ソウル・シンジケート。
万年ルード・ボーイがまだオドオドして
いて、可愛いから大好きです。」という
という推薦文が書かれていました。

また表ジャケにはその山名昇さんと米光
達郎さんという方の、このアルバムに
関する対談が掲載されていました。

ひとつ残念な事を書いておくと、この
アルバムは多少音質が悪いです。
曲によっては多少サーサーという何か
擦れるような音が入っています。
また対談にも書かれていますが、「右
チャンネルはほとんどヴォーカルで、左は
リズムだけ」といった、多少サウンドが
平板な印象もあります。

全12曲で収録時間は約33分秒。

ミュージシャンについては以下の記述があり
ます。

Arranged & Produced by A. Ranglin
All tracks written by Gregory Isaacs
Recorded at The Treasure Isle Recording Studio
Photography: Errol L. Harvey
Illustration: Adrian Cruft

となっています。

アレンジとプロデュースはHitレーベルや
G.G. Recordsなどを主催するAlvin Ranglin
が担当しています。

すべてのトラックの作曲はGregory Isaacs
となっています。

レコーディングはThe Treasure Isle
Recording Studioで行われています。

写真はErrol L. Harveyで、イラスト
レーションはAdrian Cruftが担当して
います。
もともとのHitレーベルからリリースされ
たアルバムはGregory Isaacsが車に乗った
写真が使われていたようで、それが75年
にUKのTrojan Recordsからリリースされ
た際に、このイラストのジャケットに変更
されたようです。

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裏ジャケ

またバック・バンドについては、次のよう
な文章が裏ジャケにあります。

The Soul Syndicate Band accompanied Gregory on this Album.

バックはSoul Syndicate Bandという事
しか書かれていませんが、対談では
「Love Overdue」のイントロはEarl
'Chinna' Smith、リズム・ギターは
おそらくTony Chin、ドラムはCarlton
'Santa' Davis、ベースはGeorge Fullwood
あたりではないか?と推測されています。

さて今回のアルバムですが、多少音質に
問題はあるものの、まだ初々しさの残る
Gregory Isaacsのデビュー盤でもあり、
この時代らしいレゲエが楽しめるアルバム
で、内容は悪くないと思います。

この74年頃というのは、レゲエがよう
やく世界で認められる音楽になりつつ
あった時代だったんですね。
Gregory Isaacsもこのアルバムがまだ
デビュー・アルバムだったせいか、まだ
78年のアルバム「Cool Ruler」あたりの
ような堂々とした彼らしい節回しを生か
した歌いぶりにまでにはなっていないん
ですね。

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Gregory Isaacs ‎– Cool Ruler (1978)

その後共演盤を含めて120枚ぐらいの
アルバムや100枚を超えるベスト盤を
リリースした偉大なシンガーになるとは、
この時点ではまだ誰も思っていなかった
んですね。
ただこの時点でも彼独特の艶のある歌い
ぶりは少しずつ顔を出し始めていて、他の
ルーツ・シンガーとはひと味違う個性も
感じられます。
その後「Gregory節」とでもいうべき独特
の節回しを武器に、彼は78年あたりから
年に何枚ものアルバムをリリースする
超人気シンガーへとなって行くんですね。

その第一歩となったアルバムが、この
ファースト・アルバム「In Person」
だったんですね。
まだどこか初期レゲエの香りの残る、
シンプルで素朴さのある刻むようなギター
にキーボードのメロディといった演奏に、
まだ生真面目さを感じさせるGregory
Isaacsのソフトなヴォーカルが魅力的な
アルバムで、内容はとても面白いです。

1曲目は「Sweeter The Victory」です。
ちょっと初期レゲエの香りのするオルガン
とピアノを中心としたコツコツとした演奏
に、Gregory Isaacsの感情を乗せた
ヴォーカルが魅力的な曲です。

Gregory Isaacs - Sweeter The Victory


2曲目は「Love Overdue」です。
心地良い刻むようなギターの演奏に、
ソフトに入って来るGregory Isaacsの感情
をうまく乗せたヴォーカルが魅力的。

Gregory Isaacs - Love Is Overdue


3曲目は「Financial Endorsement」です。
ギターとキーボードのメロディを中心と
した演奏に、感情をうまく乗せたGregory
Isaacsの丁寧に歌うヴォーカルがとても
心地良い曲です。

Gregory Isaacs - Financial Endorsement 1975


4曲目は「Be Careful」です。
刻むようなギターのメロディに、ソフトに
語るようなGregory Isaacsの艶のある
ヴォーカルがとても魅力的。

5曲目は「Another Heart Ache」です。
ホーン・セクションの明るいメロディに、
刻むようなギター、感情をうまく乗せた
Gregory Isaacsのヴォーカル。

6曲目は「If You're In Love」です。
対談の中で「ノン・レゲエの曲」と語れて
いる曲です。
ホーンとキーボードを中心としたユッタリ
したソウルのバラード調のメロディに、
Gregory Isaacsの感情を乗せたヴォーカル
が冴える曲です。

Gregory Isaacs If You're in Love


7曲目は「Dreams Come True」です。
ユッタリとしたオルガンと刻むような
ギター、ピアノのメロディに、Gregory
Isaacsの表情豊かなヴォーカルがイイ
感じの曲です。

Gregory Isaacs - Dreams come true


8曲目は「The Way She Walks」です。
ギターとキーボード、ホーンのメロディ
に、匂い立つようなGregory Isaacsの
ソフトなヴォーカルが魅力的な曲です。

The Way She Walks - Original


9曲目は「Far Beyond The Valley」
です。
ホーンとキーボードに刻むようなギターの
メロディ、ジックリと歌い込むような
Gregory Isaacsのソフトなヴォーカルが
イイ感じの曲です。

10曲目は「Happiness Come」です。
ホーンセクションと刻むようなギターの
演奏に、心を込めたGregory Isaacsの
ソフトなヴォーカルが魅力的。

11曲目は「No Forgiveness」です。
キーボードの明るいメロディに刻むような
ギター、ソフトに歌い込むようなGregory
Isaacsのヴォーカルが魅力的。

Gregory Isaacs - No Forgiveness


12曲目は「Love Disguise」です。
かき鳴らすようなギターから、刻むような
ギターとキーボードのメロディ、Gregory
Isaacsのソフトなヴォーカル。

ざっと追いかけてきましたが、まだ多少
初期レゲエの匂いのする新鮮なバックの
演奏に、多少緊張感のあるGregory Isaacs
の丁寧なヴォーカルが印象的なアルバム
で、その初々しさがとても魅力的な
アルバムです。

このアルバムをきっかけに彼Gregory
Isaacsは、その後の大歌手の第一歩を
踏み出す事になるんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Gregory Isaacs - Slave Master (LIVE)



○アーティスト: Gregory Isaacs
○アルバム: In Person
○レーベル: Alpha Enterprise
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1974

○Gregory Isaacs「In Person」曲目
1. Sweeter The Victory
2. Love Overdue
3. Financial Endorsement
4. Be Careful
5. Another Heart Ache
6. If You're In Love
7. Dreams Come True
8. The Way She Walks
9. Far Beyond The Valley
10. Happiness Come
11. No Forgiveness
12. Love Disguise