今回はDillinger / Clint Eastwoodのアルバム

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「Live At London」です。

Dillinger(本名:Lester Bullock)は
70年代のルーツ・レゲエの時代から活躍
するディージェイです。
ディージェイを始めた当初は「ヤング・
アルカポーン」と名乗るほど、当時の人気
ディージェイDenis Alcaponeに憧れて
いた彼でしたが、プロデューサーの
Lee Perryに「お前はヤング・アルカポーン
じゃない!Dillingerだ!」と言われ、
この名前に改名しています。
75年にSutudio Oneレーベルから
「Ready Natty Dreadie」というアルバム
でアルバム・デビューし、その後も
「Cocaine In My Brain」などの数々の
ヒットを飛ばし、独自のステッパーズ・
スタイルのトースティングで人気を博した
のが、このDillingerというディージェイ
です。

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Dillinger ‎– "Ready Natty Dreadie" (Ten To One) (1975)

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て23枚ぐらいのアルバムと、234枚
ぐらいのシングル盤をリリースしているの
が、このDillingerという人です。

アーティスト特集 Dillinger (ディリンジャー)

Dillinger (musician) - Wikipedia

Clint Eastwood(本名:Robert Brammer)
は70年代のルーツ・レゲエの時代から
活躍するディージェイです。
もともとはシリアスなステッパーズ・
スタイルを得意としていた彼ですが、
80年代のダンスホール・レゲエが流行
する時代になるとGeneral Saintとコンビ
を組み、コミカルなディージェイ・コンビ
として「Stop That Train」などのヒット
曲を飛ばし、人気を博す事になるん
ですね。
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Clint Eastwood & General Saint - Stop That Train (1983)

ちなみに彼は、ディージェイのTrinityの弟
なんだそうです。

もうひとつちなみにですが、Clint
Eastwoodという名前は、あの有名な俳優
からの完全な「パクリ名前」です(笑)。
当時あの俳優のクリント・イーストウッド
はイタリアで制作された西部劇、日本では
通称「マカロニ・ウエスタン」と呼ばれた
西部劇によく主役で出ていて、それが日本
でも人気でしたが、ジャマイカでも非常に
人気だったんですね。
その名前をパクったのがこの人なんです
ね。
ジャマイカでは手っ取り早く名前を覚えて
もらうには都合が良いと考える人が多いの
か、そうした「パクリ名前」が多いんです
ね。

ネットのDiscogsによると、ソロとして
共演盤を含めて9枚ぐらいのアルバムと、
66枚ぐらいのシングル盤を残している
ほか、ディージェイ・コンビClint
Eastwood & General Saintとして、3枚の
アルバムと、13枚ぐらいのシングル盤を
残しています。

クリント・イーストウッド (歌手) - Wikipedia

今回のアルバムは1981年にUKの
Jamaica Soundというレーベルから
リリースされた、DillingerとClint
Eastwoodのライヴ・アルバムです。

「Live At London」というタイトルから
みてロンドンのライヴを収録したライブ盤
のようで、バックはThe Freedom Fighters
というバンドで、MCにMilitant Barryが
参加したアルバムで、Side 1がClint
Eastwood、Side 2がDillingerのライヴの
様子が収められたアルバムとなっていま
す。

手に入れたのはUKのValdene Recordsと
いうレーベルからリリースされたLPの
中古盤でした。

Side 1が6曲、Side 2が6曲の全12曲。
Side 1の1曲目がイントロを含めた
The Freedom Fightersの演奏で、2~5曲
目がClint Eastwoodのライヴ、6曲目が
Militant BarryのMCとThe Freedom
Fightersの演奏、Side 2がDillingerの
ライヴとなっています。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

The Freedom Fighters are:
Bass: Rasan I
Drums: Charles Kelly (Alias Fox)
Rhythm and Lead Guitar: Mikey Robinson
Organ: Desmond Coke (Alias Fat Finger)
Saxophone and Flute: Earl Okebi

Compiled by Brian, Carroll and Webster
Produced by Webster Shrowder / Larry Sevitt
Remixed at Rockstar Studios, London
Special thanks M.C. on the Night Militant Barry
and all our friends Bunny 'Striker' Lee,
Dctor Alimantado, Erroll Dunkley,
including Russell, Marion,
A Valdene Records Production,

となっています。

The Freedom Fightersのメンバーはベース
にRasan I、ドラムにCharles Kelly
(あだ名:Fox)、リズム・ギターと
リード・ギターにMikey Robinson、
オルガンにDesmond Coke (あだ名:
Fat Finger)、サックスとフルートに
Earl Okebiとなっています。
この時代のレゲエのスタジオ・
ミュージシャンではあまり聞かない名前
が揃っています。
UKのミュージシャンか何かで構成された
メンバーなのでしょうか?

プロデュースはWebster Shrowderと
Larry Sevitt。
リミックスはロンドンのRockstar Studios
で行われています。

MCでMilitant Barryが参加しています。
ネットのDiscogsで調べると、Militant
Barryは70年代後半から80年代前半
ぐらいに活躍したディージェイのようで、
アルバム2枚とシングル盤9枚ぐらいを
残しているアーティストです。
ネットのYouTubeで調べてみたところ、
Keith Hudsonの曲にトースティングを
乗せたりしているようです。

Militant Barry - When You See I


ジャケット・デザインに関する記述はあり
ません。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、当時もっとも
尖がっていた2人のディージェイのライヴ
が片面ずつに収められていて、内容はなか
なか悪くないと思います。

この81年頃はジャマイカではレゲエが
ルーツ・レゲエからダンスホール・レゲエ
へと人気の主流が変化していた時代だと
思います。
ただ今回のアルバムはUKのロンドンでの
ライヴ盤ですが、UKではまだルーツ・
レゲエやラヴァーズロック・レゲエなどが
人気だったんじゃないかと思います。
今回のアルバムはそのルーツ期から活躍
する、ステッパーズ・スタイルを得意と
するディージェイ2人のライヴ・アルバム
です。

Clint Eastwoodもこの時はあのGeneral
Saintとのコミカルなディージェイ・コンビ
として活躍する直前ぐらいの時期だった
ようで、それ以前の彼らしい生きの良い
トースティングを聴かせています。
その2人のディージェイのライヴ盤らしい
生き生きとしたトースティングが、今回の
アルバムの最大の魅力なんですね。

これが同時期のライヴなのか記述が無い
ので解りませんが、この時点の彼らは
ステッパーズ・スタイルのけっこう似た
タイプのディージェイなんですね。
(その後Clint EastwoodはGeneral Saint
とのコミカルなラバダブ・スタイルに転向
しています。)

面白いのはこの当時のディージェイの
ライヴの時のスタイルがよく解る点で、
レコーディングの時はすでに別の歌手の歌
などが入っているのですが、ライヴの時は
歌手が居ないので歌手のパートも自分で
歌っているんですね。
ジャマイカのアーティストはもともと
小器用な人が多いですが、Dillingerも
Clint Eastwoodももともと歌も歌える実力
があってのトースティングだという事が
よく解ります。
そうした歌ってトースティングする、
シング・ジェイ・スタイルが楽しめるの
も、こうしたライヴ盤の面白さなんです
ね。

ちなみにDillingerは1978年に
「Live At The Music Machine」という
ライヴ・アルバムもリリースしています。
こちらは後に「Best Of Live」という
タイトルに改題されて、再リリースされて
います。

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Dillinger ‎– Best Of Live

Side 1の1曲目はイントロを含めた
The Freedom Fightersの演奏で、2~5
曲目がClint Eastwoodのライヴ、6曲目
がMilitant BarryのMCとThe Freedom
Fightersの演奏が収められています。

Side 1の1曲目はThe Freedom Fighters
の「Introducing / Freedom Fighter」
です。
「ルーツ、ロック、レゲエ!」というMC
から、オープニングらしいドラミング、
ギター・ソロ、MCの紹介、キーボード、
フルートと、いかにもライヴ感がある
イントロです。

2曲目はClint Eastwoodの「D.J.
Jamboree」です。
リズミカルなギターのメロディに、巻き舌
も使ったClint Eastwoodのトースティング
が、いかにも彼らしい曲です。

3曲目は「Send Some Rain」です。
リディムはThe Cultureの「Down In
Jamaica」。
リズミカルなシンセとギターのメロディに
心地良いドラミング、Clint Eastwoodの
半分歌っているシング・ジェイのトース
ティング。

4曲目は「Kingston Pretty」です。
ギターとキーボードのメロディに、
Clint Eastwoodの巻き舌の入った
トンがったトースティングがすごく
カッコいい曲です。

5曲目は「Dry Up Your Tears」です。
ギターとキーボード、ホーンのメロディ
に、Clint Eastwoodの感情を乗せた
シング・ジェイのトースティングがすごく
心地良い曲です。

6曲目はThe Freedom Fighters and
Militant Barryの「Smile To Freedom
Music」です。
ギターとキーボードのメロディに、
Militant BarryのヴォーカルとMC。

Side 2はDillingerのライヴの模様が収め
られています。

Side 2の1曲目は「Mickey Mouse (Crab
Louse)」です。
リディムはLeroy Smartの「Happiness
Is My Desire (Mr. Smart)」です。
MCの呼びかけからホーンのメロディに
乗せた、Dillingerの半分歌っている
シング・ジェイのトースティング。

Dillinger - Mickey Mouse Crab Louse live in London 1981


2曲目は「Tribal War」です。
リディムはLittle Roy の同名曲です。
キーボードの明るいメロディに乗せた
ヴォーカル、Dillingerの「War Is Over!」
と歌うトースティング。

3曲目は「Musical Music」です。
ギターの軽快なメロディに、奇声を入れた
Dillingerのいかにもステッパーズ・
スタイルのトースティングがすごく魅力的
な曲です。

4曲目は「Out De Light」です。
ギターとホーンを中心としたノリの良い
演奏に、Dillingerのリズミカルなトース
ティング。

5曲目は「Woody Woodpecker」です。
ホーンとギターを中心としたメロディに、
様々な擬音を入れたDillingerの自由奔放
なトースティングが魅力的。

6曲目は「Slipe Pen, Rock Block」
です。
リディムはSlim Smith & Uniquesの
「My Conversation」。
ギターとベース、キーボードを中心とした
メロディに、Dillingerのシング・ジェイ
の入ったノリの良いトースティング。

リズム特集 My Conversation (マイ・カンバセーション)

ざっと追いかけてきましたが、この時代の
DillingerとClint Eastwoodの生き生きと
した活躍ぶりがうかがえるライブ盤で、
内容は悪くないと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

あああああいいいいいうううううえええええおお
Dillinger - Cornbread 1979


Another One Bites The Dust - Clint Eastwood & General Saint



○アーティスト: Dillinger / Clint Eastwood
○アルバム: Live At London
○レーベル: Valdene Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1981

○Dillinger / Clint Eastwood「Live At London」曲目
Side 1
1. Introducing / Freedom Fighter - The Freedom Fighters
2. D.J. Jamboree - Clint Eastwood
3. Send Some Rain - Clint Eastwood
4. Kingston Pretty - Clint Eastwood
5. Dry Up Your Tears - Clint Eastwood
6. Smile To Freedom Music - The Freedom Fighters and Militant Barry
Side 1
1. Mickey Mouse (Crab Louse) - Dillinger
2. Tribal War - Dillinger
3. Musical Music - Dillinger
4. Out De Light - Dillinger
5. Woody Woodpecker - Dillinger
6. Slipe Pen, Rock Block - Dillinger