今回はYellowman & FatheadとPurpleman、
Sister Nancyのアルバム

yellowman_13a

「The Yellow, The Purple, The Nancy」
です。

Yellowman(本名:Winston Foster)は
80年代のダンスホール・レゲエの時代に
「King」と呼ばれるほどの人気を博した
ディージェイです。
アルビノ(先天性色素欠乏症)で生まれた
彼は、幼い頃に両親に捨てられ孤児院で
育つという辛い経験をし、成長してから
もなかなかスタジオに入れてもらえない
日々を過ごしました。
しかしその容姿を逆手に取って、キザで
ユーモラスな伊達男というキャラクターを
確立し、ダンスホール・レゲエの世界で
人気ディージェイになって行くんですね。
80年代前半のアーリー・ダンスホール
の時代に、その個性的なトースティングで
絶大な人気を誇ったディージェイが、この
Yellowmanです。

ネットのDiscogsによると、Yellowman単独
名義が共演盤を含めて56枚ぐらいの
アルバムと、164枚ぐらいのシングル盤
をリリースしていて、さらにYellowman &
Fathead名義が共演盤を含めて8枚ぐらいの
アルバムと、14枚ぐらいのシングル盤を
リリースしています。

アーティスト特集 Yellowman(イエローマン)

イエローマン - Wikipedia

FatheadはYellowmanの相方として、80年
代に活躍したディージェイです。
彼の履歴を調べてみると、このYellowman
とのコンビ以外にはアルバムが無く、この
80年代のみ活躍しているようです。
この80年代はこうしたディージェイの
コンビが流行った時代だったんですね。
こうしたディージェイの掛け合いを
ラバダブ・スタイルと言います。

上に書いたようにネットのDiscogsによる
と、共演盤を含めて8枚ぐらいのアルバム
と、14枚ぐらいのシングル盤をリリース
しています。

Fathead (musician) - Wikipedia

Purpleman(別名:Peter Yellow、
本名:Anthony Jones)は、ディージェイ
Yellowmanの大人気に乗って登場した
フォロワーで、おもに80年代前半に活躍
したディージェイです。

ネットのDiscogsによるとPurpleman名義で
共演盤を含めて6枚ぐらいのアルバム
(ソロ・アルバムは1枚のみ)と、18枚
ぐらいのシングル盤をリリースしている
ほか、Peter Yellow名義で共演盤を含めて
2枚ぐらいのアルバムと2枚ぐらいの
シングル盤をリリースしています。

Purpleman - Wikipedia

Sister Nancy(別名:Muma Nancy、本名:
Ophlin Russell-Myers)は80年代前半の
ダンスホール・レゲエで活躍した女性
ディージェイです。
ディージェイのBrigadier Jerryの妹と
しても知られ、「Bam Bam」や「One Two」、
「Cocaine」などのヒット曲があります。

ネットのDiscogsによるとSister Nancy
名義で共演盤を含めて3枚ぐらいの
アルバムと、44枚ぐらいのシングル、
Muma Nancy名義で12枚ぐらいのシングル
盤があります。

Sister Nancy - Wikipedia

今回のアルバムは1982年にUKの
Greensleeves Recordsからリリースされた
Yellowman & FatheadとPurpleman、Sister
Nancy名義のアルバムです。

プロデュースはVolcanoレーベルの
Henry 'Junjo' Lawesで、バックは
Hi-Times Bandが務めたアルバムで、この
アーリー・ダンスホールの時代らしい
スローなワン・ドロップのリズムに乗せ
た、ラバダブ・スタイルのトースティング
が楽しめるアルバムとなっています。

手に入れたのはGreensleeves Records
からリリースされたLPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。
Yellowman & Fatheadが3曲、Purpleman
が4曲、Sister Nancyが3曲収められた
アルバムで、Purpleman→Yellowman &
Fathead→Sister Nancyの順で、全10曲
が収められたアルバムとなっています。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Henry 'Junjo' Lawes
Backed by Hi-Times Band
Recorded at Channel One
Mixed at Channel One & Joe Gibbs Studios
Mixed by Soldgie, Errol Thompson & Oswald Palmer
Mastered by Steve Angel
Cover – Tony McDermott
Photos - George Williams

となっています。

プロデュースはVolcanoレーベルの
Henry 'Junjo' Lawesで、バックは
Hi-Times Band、レコーディングは
Channel Oneで行われ、ミックスはChannel
OneとJoe Gibbs Studiosで行われ、
ミックス・エンジニアはSoldgieと
Errol Thompson、Oswald Palmerが行って
います。

ジャケット・デザインはこの時代の
Greensleevesのジャケットを多く手掛け
ているTony McDermottで、写真は
George Williamsが担当しています。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、曲ごとに
ディージェイがPurpleman→Yellowman &
Fathead→Sister Nancyの順で入れ
替わって行くスタイルのアルバムですが、
それがむしろこの時代のディージェイの
ラバダブ・スタイルの楽しさを再現して
いて、内容的にとても楽しめるアルバム
だと思います。

この80年代前半のアーリー・ダンス
ホールの時代はYellowmanが大活躍した
時代で、あまりにYellowmanのアルバムが
リリースされるので、どれが一番新しい
アルバムなのか?解らないほどだったと
言われています。
それほど彼の人気はすさまじく、ルーツ・
レゲエに代わってこの時代に人気に
なった、スラックネス(下ネタ)やガン・
トーク(暴力ネタ)を中心としたダンス
ホール・レゲエで、レゲエという音楽を
塗り替えて行ったんですね。

このアルバムではそのYellowmanがFathead
とのコンビで、この時代に流行した
ディージェイ同士の掛け合いの、いわゆる
ラバダブ・スタイルのトースティングを
聴かせています。
この楽しい掛け合いは、この時代ならでは
の味わいなんですね。

またPurplemanはこのアーリー・ダンス
ホールの時代に登場したYellowmanの
フォロワーのディージェイで、Yellowman
に似た個性が人気だった人なんですね。
ジャマイカの音楽界では人気者が登場する
と、必ずその人に似た個性の人が次々と
登場するんですね。
例えばあのBuju Bantonのガラガラ声の
トースティングが人気になった時には、
似た個性のTerror FabulousやJigsy King、
Daddy Screw、Mega Bantonと、次々に
フォロワーが登場しているんですね。
そのBuju Banton自身もBurro Bantonの
トースティング・スタイルを真似たと
いう事を公言しています。
他にもEek-A-Mouseのフォロワーの
Simple Simonや、Barrington Levyの
フォロワーのChronicle(あのChronixx
のお父さん)など、人気のある人には必ず
と言っていいほどフォロワーが居るんです
ね。

そしてSister Nancyは女性のディージェイ
の、草分け的な存在として知られる
ディージェイです。
時代が進むとLady Sawなどダンスホールで
大活躍する女性ディージェイがけっこう
現れますが、もっとも早く活躍した女性
ディージェイのひとりが彼女だったよう
です。
ディージェイのBrigadier Jerryの妹と
しても知られる彼女ですが、今は会計事務
所で働いているらしいです。

女性ディージェイのパイオニア、シスター・ナンシー(Sister Nancy)の今とは ...

やはり草分けゆえの苦労はあったのかも
しれませんね。
ただその堂々としたトースティングは、
このアルバムのひとつの聴きどころと
なっています。

そうしたディージェイが次々と入れ
替わって行く今回のアルバムは、当時の
ダンスホールの空気感をうまく伝える内容
で、とても楽しい聴き心地のアルバムと
なっています。

Side 1の1曲目はPurplemanの「Feeling
Irie」です。
リディムはJackie Mittooの「West Of
The Sun」です。
心地良いワン・ドロップのリズムにギター
のメロディ、Purplemanのフォロワーらしい
ちょっとYellowmanに似たトースティング
がイイ感じの曲です。

Purpleman - Feeling Irie "West of the Sun Riddim" - Dubwise Selecta


2曲目はYellowman & Fatheadの「Mr.
Wong」です。
リディムはSugar Minottの「Vanity」
リディムとして知られていますが、
オリジナルはAlton Ellisの「I'm Just
A Guy」です。
キーボードの特徴的なメロディに、
YellowmanとFatheadの掛け合いの
ラバダブ・スタイルのトースティングが
素晴らしい曲です。

Yellowman And Fathead - Mr. Wong [Greensleeves Records 1982]


リズム特集 I'm Just A Guy (アイム・ジャスト・ア・ガイ)

3曲目はSister Nancyの「A No Any Man
Can Test Sister Nancy」です。
ギターとキーボード、ピアノのこの時代
らしいユッタリとしたワン・ドロップに、
Sister Nancyのイイ感じのトースティング
が魅力的な曲です。

4曲目はPurplemanの「Get Ready」
です。
ユッタリとしたギターとベース、
キーボード、ピアノのワン・ドロップに、
Purplemanののノリの良いトースティング。
エフェクトもイイ感じに効いた、尖がった
曲です。

Purpleman - Get Ready


5曲目はYellowman & Fatheadの「Baby
Father」です。
リリカルなピアノのメロディに乗せた、
YellowmanとFatheadの息の合ったトース
ティングがいかにもこの時代らしい心地
良さを醸し出しています。

Yellowman and Fathead - Baby Father


Side 2の1曲目はSister Nancyの
「Dance Pon The Corner」です。
キーボードとギターベースのメロディに、
エコーの効いたドラミングとSister Nancy
の味のあるトースティング。

Dance Pon The Corner


2曲目はPurplemanの「Out Of Hand」
です。
キーボードとピアノを中心としたメロディ
に、Purplemanのなかなか良い味のトース
ティング。

3曲目はYellowman & Fatheadの「Mash
It Up Now」です。
リディムはAlton Ellisの「Mad Mad」。
キーボードとギターの明るいワン・
ドロップに、息の合ったYellowmanと
Fatheadのトースティングがイイ感じの
曲です。

リズム特集 Mad Mad/Diseases (マッド・マッド/ディジーゼズ)

4曲目はSister Nancyの「Bang Belly」
です。
リディムはCornell Campbell &
The Eternalsのロックステディのヒット
曲「Queen Of The Minstrel」です。
キーボードの漂うようなメロディに刻む
ようなギター、Sister Nancyの味わいの
あるトースティング。

Sister Nancy - Bang Belly


5曲目はPurplemanの「Westmoreland
Skank」です。
ギターとベースを中心としたワン・
ドロップの演奏に、Purplemanのトース
ティングがイイ感じの曲です。

ざっと追いかけてきましたが、やはりこの
アーリー・ダンスホールの時代の独特の
空気感はとても魅力的です。
その時代に光輝いた彼らの姿が目に浮かぶ
ようで、内容は悪くありません。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Yellowman - Live at Rockers Award Show in1984, Jamaica



○アーティスト: Yellowman & Fathead, Purpleman, Sister Nancy
○アルバム: The Yellow, The Purple, The Nancy
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Yellowman & Fathead, Purpleman, Sister Nancy「The Yellow, The Purple, The Nancy」曲目
Side 1
1. Feeling Irie - Purpleman
2. Mr. Wong - Yellowman & Fathead
3. A No Any Man Can Test Sister Nancy - Sister Nancy
4. Get Ready - Purpleman
5. Baby Father - Yellowman & Fathead
Side 2
1. Dance Pon The Corner - Sister Nancy
2. Out Of Hand - Purpleman
3. Mash It Up Now - Yellowman & Fathead
4. Bang Belly - Sister Nancy
5. Westmoreland Skank - Purpleman