今回はFrankie Paulのアルバム

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「Casanova」です。

Frankie Paul(本名:Paul Blake)は、
80年代のダンスホール・レゲエの時代
から、近年までで活躍したシンガーです。
生まれた時から盲目に近い状態だった彼
は、「ジャマイカのスティービー・
ワンダー」と形容されるほどの実力で、
このダンスホール・レゲエの時代に活躍
し、人気シンガーとなるんですね。
ネットのDiscogsによると、彼は共演盤
を含めて86枚ぐらいのアルバムと、
700枚を超えるシングル盤をリリース
しています。

その後も長く活躍をつづけたFrankie Paul
でしたが2017年に腎臓病のため亡く
なっています。

ネットのDiscogsによると共演盤を含めて
89枚ぐらいのアルバムと、788枚
ぐらいのシングル盤を残しているのが、
このFrankie Paulという人です。

アーティスト特集 Frankie Paul (フランキー・ポール)

フランキー・ポール(Frankie Paul)、腎臓病により死去…

今回のアルバムは1988年にジャマイカ
のJammy's Recordsから「Cassanova」と
いうタイトルでリリースされたアルバム
です。(「s」が一つ多い。)

プロデュースはこの時代にデジタルの
ダンスホール・レゲエで旋風を引き起こし
たKing Jammyで、当時大流行したデジタル
のリズムに乗せた、表題曲の「Casanova」
をはじめとしてFrankie Paulの歌声が
堪能出来るアルバムとなっています。

手に入れたのはUKのLive And Loveと
いうレーベルからリリースされたLPの
中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

詳細なミュージシャンの表記はありま
せん。

Producer: King Jammy

という記述があります。

プロデュースがKing Jammyという記述しか
ありませんが、ネットのDiscogsの
ジャマイカ盤の記述を見ると、アレンジが
King JammyとSteelie & Cleavieで、
エンジニアがBobby DigitalとKing Jammy、
Squeengie Francisと書かれていました。
おそらく演奏もSteelie & Cleavieが
やっているのではないかと思います。

ジャケット・デザインに関する表記もあり
ません。
オリジナルのタイトルが「Cassanova」で
「s」が1字多い事は書きましたが、
ジャケットも違っていて、男女が夕暮れの
バルコニーで向き合う黒いシルエットに、
名前とタイトルが入った絵柄です。

さて今回のアルバムですが、いかにもこの
デジタルのダンスホールの時代らしい
デジタル音のバックに、Frankie Paulの
ちょっとしゃがれた力強いヴォーカルが
魅力的なアルバムで、内容はなかなか悪く
ないと思います。

このFrankie Paulですが、さすがに
アルバムを生涯で86枚ぐらい量産した人
だけあって、80年代の初めから90年代
いっぱいぐらいまで、ものすごい量の
アルバムをリリースしているんですね。
この88年はPinchersとの共演盤の
「Turbo Charge」を含めて7枚のアルバム
をリリースしています。

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Frankie Paul + Pinchers ‎– Turbo Charge (1988)

これだけアルバムを量産しているシンガー
となると、Gregory IsaacsとSizzlaぐらい
しか思い浮かびません。
それだけジャマイカで愛されたシンガー
なんですね。

今回の表題曲Side 1の3曲目「Casanova」
は、「Worries In The Dance」や「Pass
The Tu-Sheng-Peng」、「Tidal Wave」、
「Sara」などと並ぶ彼の代表曲のよう
です。
この曲は当時のJammy'sのヒット曲Admiral
Baileyの「Jump Up」のリディムが使われて
いるようです。
(ネットのRiddimguideでは「Kuff」という
リディムとなっていたので、そちらの方が
通りが良いのかも。)

リズム特集 Jump Up/Kuff (ジャンプ・アップ/クフ)

それに続く4曲目「Head To Toe」も彼の
ヒット曲らしく、ネットのRiddimguideで
は彼のリディムとなっていました。

この時代になるとFrankie Paulは初期の
ヒット曲「Worries In The Dance」のよう
な荒々しいほどの歌唱から、要所を抑えた
大人の魅力を感じさせる伸びやかでソフト
な歌い方へと変わって来ています。
いく分初期の荒々しさは無くなったもの
の、力強い歌い方はそのままに聴かせる
歌い方に変化しているんですね。

その良い面が特に出たのがSide 2の4曲目
「I Feel Your Love」で、タイトル通りの
ラヴ・ソングを実に魅力的に歌い切ってい
ます。
こうした力強くスウィートな歌唱が、この
時代に彼がたくさんのアルバムを量産出来
た理由なのかもしれません。

Side 1の1曲目は「Show Me The Way」
です。
デジタルのキーボードのメロディに、
Frankie Paulの力強くソフトなヴォーカル
が魅力的な曲です。

2曲目は「Rough Neck Soldier」です。
ちょっと浮遊感のあるキーボードの
メロディに、Frankie Paulの表情豊かな
ヴォーカル。

Frankie Paul Rough neck soldier


3曲目は表題曲の「Casanova」です。
書いたようにリディムはAdmiral Bailey
の「Jump Up」。
キーボードのメロディに歯切れの良い
デジタルらしいドラミング、Frankie Paul
のうまく感情を乗せたヴォーカルがイイ
感じの曲です。

Cassanova - Frankie Paul (Magic Moment Riddim)


4曲目は「Head To Toe」です。
こちらも彼の代表曲のひとつのようで、
彼のリディムとして知られている曲のよう
です。
デジタルの明るいキーボードを中心とした
リズミカルなメロディに、表情豊かに歌う
Frankie Paulのヴォーカルが魅力的な曲
です。

Head To Toe


5曲目は「Be My Lady」です。
印象的なキーボードのメロディに、感情を
うまく乗せたFrankie Paulのヴォーカルが
魅力的。

Side 2の1曲目は「Baby Please Stay」
です。
キーボードとデジタルのドラミングに乗せ
た、Frankie Paulのヴォーカルがイイ感じ
のラヴ・ソングです。

2曲目は「Survival」です。
リズミカルなキーボードのメロディに、
感情をうまく乗せたFrankie Paulの
ヴォーカルが魅力的。

Frankie Paul - Survival (1988 - King Jammy)


3曲目は「You Standing There」です。
こちらもデジタルなキーボードに
リズミカルなドラミング、Frankie Paul
の感情をうまく乗せたヴォーカルという
組み合わせの曲です。

Frankie Paul You Standing There


4曲目は「I Feel Your Love」です。
デジタルなリズムにソフトに入って来る
Frankie Paulの伸びやかなヴォーカル。
抑え気味に入って来てジワジワと盛り上げ
て来る、大人の歌唱がすごく魅力的。

I Feel Your Love


5曲目は「Richmond Hill」です。
明るいキーボードと口笛のようなメロディ
に、語るように丁寧なFrankie Paulの
ヴォーカルがイイ感じな曲です。

ざっと追いかけてきましたが、この時代の
Frankie Paulは初期の研ぎ澄まされた
荒々しいほどの迫力はないものの、円熟味
を増した歌唱力でデジタルのリズムを
うまく乗りこなし、大人のラヴ・ソングを
歌っています。
その憎いほどのウマさがこの人がデジタル
の時代になっても活躍し続けられた、
大きな理由なのかもしれません。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Frankie Paul (Tokyo Reggae Festival 1986)



○アーティスト: Frankie Paul
○アルバム: Casanova
○レーベル: Live And Love
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1988

○Frankie Paul「Casanova」曲目
Side 1
1. Show Me The Way
2. Rough Neck Soldier
3. Casanova
4. Head To Toe
5. Be My Lady
Side 2
1. Baby Please Stay
2. Survival
3. You Standing There
4. I Feel Your Love
5. Richmond Hill