今回はJohnny Osbourneのアルバム

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「Dancing Time」です。

Johnny Osbourne(本名:Errol Osbourne)
は60年代のロックステディの時代から
80年代のデジタルのダンスホール・
レゲエの時代まで長く活躍したシンガー
です。
ロックステディの時代にはThe Sensations
のメンバーとして「Come Back Darling」
などのヒット曲を残して活躍するのです
が、70年にデビュー・アルバム
「Come Back Darling」をリリースした
その日にカナダに移住してしまい、カナダ
で音楽活動をした後に、70年代の後半に
再びジャマイカに戻って来て音楽活動を
再開したという人です。

その後は79年にStudio Oneからアルバム
「Truths And Rights」を出して復活。
ベテランながらダンスホール・レゲエから
デジタルのダンスホール・レゲエの時代
にも対応し、長く活躍を続けたのがこの
Johnny Osbourneという人なんですね。

ネットのDiscogsによると、共演盤を
含めて25枚ぐらいのアルバムと、
482枚ぐらいのシングル盤を残して
います。

アーティスト特集 Johnny Osbourne (ジョニー・オズボーン)

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Johnny Osbourne ‎– Truths And Rights (1979)

今回のアルバムは1984年にジャマイカ
のTop Rankというレーベルからリリース
された、彼のソロ・アルバムです。

プロデュースはTop Rankレーベルの
E.J. Robinsonで、バックにSly Dunbarや
Lloyd Parkes、Robert Lynなどが参加した
アルバムで、曲はすべて歌からインストに
繋がったショーケース・スタイルの
アルバムとなっています。
(4曲目「Keep On Riding」のみ、歌と
インストが分かれて両面の4曲目に収録
されています。)

手に入れたのはTop Rankからリリース
されたLPの中古盤でした。

Side 1が4曲、Side 2が4曲の全8曲。
歌とインスト(ヴァージョン)が繋がった
ショーケース・スタイルのアルバムです
が、Side 1の4曲目は「Keep On Riding」
の歌、Side 2の4曲目はその「Keep On
Riding」のインスト・ヴァージョンと、
分かれて収録されています。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by: E.J. Robinson for Top Rank Records Ltd.

Recorded and Mixed at: Dynamic Sounds Studios
Mixed by: Noel Hearne
Lead Vocals: Johnny Osbourne
Background Vocals: Dezi Roots, Dean Fraser, Ruddy Thomas

Drums: Sly Dunbar
Lead Guitar, Rhythm Guitar: Willie Lindo
Bass: Lloyd Parkes
Piano: Robert Lyn
Organ: Robert Lyn
Horns: Dean Fraser
Trumpet: Junior Chin

Artist & Designer: A. (K. Chub) Williams
Other Contributing Artists: K. Gichie, M. Bryan, E. Stewart and O. McIntyre (MoBay).

Percussion:

となっています。

プロデュースはTop Rank Recordsの
E.J. Robinsonです。
レコーディングとミックスはDynamic
Sounds Studiosで行われ、ミックス・
エンジニアはNoel Hearneが担当して
います。

リード・ヴォーカルはJohnny Osbourne
で、バック・ヴォーカルにDezi Rootsと
Dean Fraser、Ruddy Thomasが参加して
います。
Dezi Roots(Desi Roots)は70年代から
80年代に活躍したルーツ系の
ヴォーカリストで、「Doing It Right」
など2枚ぐらいのアルバムをリリースして
います。

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Desi Roots ‎– Doing It Right (1980)

バックのミュージシャンは、ドラムに
Sly Dunbar、リードとリズム・ギターに
Willie Lindo、ベースにLloyd Parkes、
ピアノとオルガンにRobert Lyn(Robbie
Lyn)、ホーンにDean Fraser、
トランペットにJunior 'Chico' Chinと
いう布陣です。

ジャケット・デザインはA. (K. Chub)
Williamsで、他にK. GichieとM. Bryan、
E. Stewart、O. McIntyre (MoBay)と
いう人達がアーティストとして参加して
います。
ジャケットはダンスホールで踊るコミカル
な人物が、イラストでたくさん描かれて
います。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、いかにもこの
アーリー・ダンスホールの時代らしい
ワン・ドロップのリズムと歌とインスト
(ダブ)が繋がったショーケース・
スタイル(別名ディスコ・ミックス・
スタイル)に乗せたJohnny Osbourneの
ヴォーカルが楽しめるアルバムで、内容は
とても良いと思います。

このJohnny Osbourneですが、60年代
後半のロックステディの時代にはすでに
大人気のシンガーでしたが、70年代の
ルーツ・レゲエの時代はカナダに移住して
活動していて、70年代後半までは
ジャマイカの音楽シーンからは完全に姿を
消していたという人なんですね。
ただ再びジャマイカに戻って以降は、
80年代前半のアーリー・ダンスホール、
80年代半ばから始まったデジタルの
ダンスホール・レゲエの時代と、ずっと
第一線で活躍を続けた人なんですね。
そうして活躍できた背景には、何よりも
彼の類稀なるシンガーとしての素質と力量
があったと思います。

この70年代から80年代のジャマイカ
では、プロデューサーがスタジオを借り、
ミュージシャンを集めて録音するという
システムだったために、シンガーには
なるべく失敗が少なく短時間で録音すると
いう、高いスキルが求められたんですね。
そうする事で短い時間でたくさんの録音が
出来たからなんですね。
その為シンガーは聴いた曲に、すぐに自分
で歌詞を付けられるだけの才能が求められ
ました。
例えば同じメロディの曲でも、別の歌手が
別の歌詞で歌えば、違う曲としてリリース
出来る訳です。
そうした聴いたばかりの曲に瞬時に歌詞を
付ける事が、歌手の才能だったんですね。
レゲエに名前を残しているシンガーは、
そうした「リリックの天才」が多いんです
ね。

おそらくこのJohnny Osbourneも、そう
した才能を持った人物のひとりで、
ジャマイカの音楽界に復帰後に多くの録音
をこなすようになったのも、歌のウマさに
加えてリリックの才能もあった為と思われ
ます。

今回のアルバムはそうしたJohnny Osbourne
の80年代前半のアーリー・ダンスホール
期のアルバムで、この時代らしいワン・
ドロップのリズムに乗せたJohnny Osbourne
のナイスなヴォーカルが楽しめるアルバム
となっています。
加えてこの時代らしい前半が歌後半がダブ
(インスト)というショーケース・
スタイル(ディスコ・ミックス・スタイル
ともいう)が楽しめるのも、このアルバム
の魅力です。

ひとつだけ残念なのはSide 1の4曲目
「Keep On Riding」が、歌とダブ
(インスト)が同じ面に収めきれなかった
点ですが、それも1曲でも多くの曲を収め
ようとした結果と見れば、必ずしも悪くは
ありません。

The Ethiopiansの「Whip」リディムの
「Get Cracking」や、Horace Andyの
「Skylarking」リディムの「Keep On
Riding」、The Heptonesの「Pretty Looks
Isn't All」リディムの「People Get
Ready」、Delroy Wilsonの「Rain From
The Skies」リディムの「Here I Come
Again」、Anthony Johnsonの「Gunshot」
リディムの「Upfront Lover」など、多く
のリディムが使われたアルバムで、その
リディムをJohnny Osbourneは巧みな
歌唱力でうまく乗りこなしています。
実力派シンガーらしい、味わいのある
アルバムだと思います。

Side 1の1曲目は「The Show Must Go On」
です。
ユッタリとしたワン・ドロップのリズム
に、ホーンとギター、ベースの心地良い
メロディ、Johnny Osbourneのナイスな
ヴォーカルが素晴らしい曲です。
後半はギターとベース、ホーンのナイスな
インストとなっています。

2曲目は「Get Cracking」です。
リディムはThe Ethiopiansの「Whip」。
ホーンの心地良いメロディに、Johnny
Osbourneのリズミカルなヴォーカルが
イイ感じの曲です。
後半は明るいホーンを中心としたダブ。

johnny osbourne- get cracking -Reggae Dancehall Classics

↑後半のダブ(インスト)が入っていません。

3曲目は「Cherry Pie」です。
ギターを中心としたワン・ドロップの
メロディに、Johnny Osbourneのソフトな
ヴォーカルが良い味を出している曲です。
後半はギターやピアノを中心としたダブ。

4曲目は「Keep On Riding」です。
リディムはHorace Andyの
「Skylarking」。
残念ながらこの曲のみ後半のダブ
(インスト)は、Side 2の4曲目に収め
られています。
ホーンの特徴的なメロディに、Johnny
Osbourneのちょっとラフなヴォーカルが
魅力的。

Keep On Riding


Side 2の1曲目は「People Get Ready」
です。
リディムはThe Heptonesのロック
ステディのヒット曲「Pretty Looks
Isn't All」です。
ギターの心地良いメロディに乗せた
Johnny Osbourneの伸びやかなヴォーカル
がとても魅力的な曲です。
間奏に入って来るホーンもグッド。
後半はロックステディらしい刻むような
ギターに乗せた、ホーンの甘いメロディ
が魅力のダブです。

Jimmy Osborne - People Get Ready - Reggae Music

↑後半のダブ(インスト)が入っていません。

2曲目は「Here I Come Again」です。
リディムはDelroy Wilsonの「Rain From
The Skies」。
ホーンとギター、キーボードを中心とした
ワン・ドロップに、Johnny Osbourneの
力量を感じさせる伸びやかなヴォーカルが
素晴らしい曲です。
後半はホーンが冴えるダブ。

Johnny Osbourne - Here I Come Again


3曲目は「Upfront Lover」です。
リディムはAnthony Johnsonの「Gunshot」。
スローなワン・ドロップのリズムに、
ホーンとベース、キーボードのメロディ、
Johnny Osbourneの味わい深いヴォーカル
がグッド。
後半はホーンとベースを中心としたダブ。

Johnny Osbourne - Upfront Lover


リズム特集 Gun Shot (ガン・ショット)

4曲目は「Keep On Riding (Instrumental
Version)」です。
Side 1の4曲目「Keep On Riding」のダブ
(インスト・ヴァージョン)です。
ホーンのリズムが楽しいダブです。

Keep On Riding Dub


ざっと追いかけてきましたが、この時代
らしいワン・ドロップのリズムに乗せた
Johnny Osbourneのヴォーカルは、やはり
とても魅力的で、ジックリと聴き込んで
しまいます。
その時代ごとに素晴らしいアルバムを
残している彼Johnny Osbourneは、レゲエ
の歴史に名を刻んだ、聴いておくべき
シンガーである事は間違いがありません。


機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Johnny Osbourne
○アルバム: Dancing Time
○レーベル: Top Rank
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1984

○Johnny Osbourne「Dancing Time」曲目
Side 1
1. The Show Must Go On
2. Get Cracking
3. Cherry Pie
4. Keep On Riding
Side 2
1. People Get Ready
2. Here I Come Again
3. Upfront Lover
4. Keep On Riding (Instrumental Version)