今回はMichael Palmerのアルバム

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「Pull It Up Now」です。

Michael Palmer(本名同じ)は80年代の
アーリー・ダンスホールの時代頃から活躍
するダンスホール・レゲエのシンガー
です。
Power Houseからリリースの「Lick Shot」
が大ヒットしたシンガーで、アーリー・
ダンスホールの人気シンガーとしてよく
知られています。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て14枚ぐらいのアルバムと、116枚
ぐらいのシングル盤をリリースしていま
す。

アーティスト特集 Michael Palmer(マイケル・パーマー)

今回のアルバムは1985年にUKの
Greensleeves Recordsからリリースされた
彼のソロ・アルバムです。

プロデュースはPower Houseレーベルの
George Phangで、バックにSly & Robbie
などが参加したアルバムで、「Queen
Majesty」リディムに乗せた表題曲の
「Pull It Up Now」をはじめとして、
Power Houseらしいミディアム・テンポの
ワン・ドロップのリズムに乗せたMichael
Palmerの心地良いヴォーカルが堪能出来る
アルバムとなっています。

手に入れたのはGreensleeves Recordsから
リリースされたLPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced & Arranged by George Phang
Recorded & Mixed at Dynamic Sound Studio

Bass: Robbie Shakespeare
Drums: Sly Dunbar
Guitars: Willie Lindo
Keyboards: Robbie Lyn
Percussion: Skully
Engineers: Michael Riley, Peter Chemist, Rudy Thomas

Design: T.McD.
Photo: Beth Lesser
Mastering: Steve Angel

となっています。

プロデュースとアレンジはPower House
レーベルのGeorge Phang。
レコーディングとミックスはDynamic
Sound Studioで行われています。

ミュージシャンはベースにRobbie
Shakespeare、ドラムにSly Dunbar、
ギターにWillie Lindo、キーボードに
Robbie Lyn、パーカッションにSkully、
エンジニアはMichael RileyとPeter
Chemist、Rudy Thomasとなっています。

ジャケットデザインは、この時代に
Greensleeves Recordsのジャケット・
デザインを多く手掛けているT.McD.
(Tony McDermott)、写真は
Beth Lesserが担当しています。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、まだ
アーリー・ダンスホールの匂いの残る
アルバムで、Power Houseらしい
ミディアム・テンポのワン・ドロップの
リズムに乗せたMichael Palmerの
ヴォーカルがとても魅力的なアルバムに
仕上がっています。

この85年頃になるとPrince Jammy
(のちにKing Jammyと改名)による
デジタルのダンスホール・レゲエ、
「コンピューター・ライズド」のブームが
そろそろ始まった頃ですが、このアルバム
はまだアナログ録音で、80年代初めに
流行したアーリー・ダンスホールの匂いの
するアルバムなんですね。

アーリー・ダンスホールというと、Henry
'Junjo' LawesのレーベルVolcanoを中心と
した、バック・バンドRoots Radicsによる
スローなワン・ドロップのリズムが大流行
した事で知られています。
Style Scottのシン・ドラムの特徴的な
ドラミングが大人気で、80年代前半は
Roots Radicsが一世を風靡した時代だった
んですね。

そのRoots Radicsのスローなワン・
ドロップのリズムに対抗したのが、今回の
George Phangが率いるPower House
レーベルだったんですね。
彼らはSly & Robbieを中心とした、スロー
ではないミディアム・テンポのワン・
ドロップで、Henry 'Junjo' Lawesの率いる
Volcanoレーベルに対抗したんですね。
このスローとミディアムのワン・ドロップ
対決は、80年代の初め頃はVolcano
レーベルが圧勝していたようですが、
80年代半ばに近付くにつれPower House
のミディアム・テンポのワン・ドロップも
人気を博すようになり、両者の力関係は
ほぼ拮抗していたようです。

レーベル特集 Power House (パワー・ハウス)

その後にKing Jammyによるデジタルの
ダンスホール・レゲエの時代が来てしまう
ので、ついつい見過ごされがちなこの
80年代前半のアーリー・ダンスホール・
レゲエの時代ですが、この時代はスローや
ミディアムのワン・ドロップのリズムが
大流行した時代で、その後のレゲエ=
ワン・ドロップという基礎が確立した大事
な時代だったんですね。

今回のアルバムはそうしたいかにもPower
Houseらしいミディアム・テンポのワン・
ドロップが楽しめるアルバムで、それに
乗せたMichael Palmerのツボを心得た
ヴォーカルもとても魅力的なアルバム
です。

ロックステディのヒット曲「Queen
Majesty」リディムの表題曲「Pull It Up
Now」や、Michael Palmerのの歯切れの
良いヴォーカルが印象的な「We Rule」、
Michael Palmerの優しいヴォーカルが
魅力の「She Give Me Fever」、
ファウンデーション・リディムに乗せた
シリアスなヴォーカルが魅力の「Don't
Stay Out Late」、歯切れの良いワン・
ドロップに乗せた「Flirt Around」、
「Taxi」リディムの「Pon Your Toe」、
ギターとベースを中心とした心地良い
メロディの「Don't Push Me」など、
Michael Palmerのアーリー・ダンスホール
らしいソフトでナイスなヴォーカルが楽し
めるアルバムとなっています。

Side 1の1曲目は「Pull It Up Now」
です。
リディムはThe Techniquesのロック
ステディのヒット曲「Queen Majesty」。
ギターの特徴的なメロディから、ワン・
ドロップのリズムに乗せたMichael Palmer
のソフトなヴォーカルがとても魅力的な曲
です。

Michael Palmer - Pull it up now - 1985


リズム特集 Queen Majesty (クイーン・マジェスティ)

2曲目は「We Rule」です。
特徴的なシン・ドラムのリズムに、ギター
とピアノ、キーボードのメロディ、
メリハリの効いたMichael Palmerの
ヴォーカルが魅力的。

3曲目は「She Give Me Fever」です。
ギターと、ベース、ピアノのワン・
ドロップのメロディに、Michael Palmer
のソフトで優しいヴォーカルがイイ感じの
曲です。

She Give Me Fever


4曲目は「Mixing And Blending」です。
キーボードとギターのメロディに、
Michael Palmerのユッタリと語るような
ヴォーカルが魅力。

5曲目は「Don't Stay Out Late」です。
ギターとベースのワンドロップのメロディ
に、ちょっとシリアスなMichael Palmerの
感情を乗せたヴォーカルが魅力的。

Michael Palmer - Don't Stay Out - Power House LP - 1985


Side 2の1曲目は「Flirt Around」です。
ギターとベース、ピアノを中心とした
歯切れの良いワン・ドロップのメロディ
に、Michael Palmerのヴォーカルが冴える
曲です。

2曲目は「My Susan」です。
キーボードとピアノ、ギターを中心とした
ワン・ドロップに、Michael Palmerの
ナイスなヴォーカルが魅力的な曲です。

My Susan


3曲目は「Pon Your Toe」です。
リディムは「Taxi」で、オリジナルは
Little Royの「Prophecy」です。
刻むようなギターにパーカッション、
ズシっとしたベース、Michael Palmerの
明るいヴォーカル。

Michael Palmer - Pon Yu Toe ( Taxi Riddim )


リズム特集 Taxi (タクシー)

4曲目は「Don't Push Me」です。
ギターとベースを中心としたミディアムの
ワンドロップに、Michael Palmerのソフト
で説得力のあるヴォーカルが魅力的。

Michael Palmer - Don't Push Me - Power House LP - 1985


5曲目は「I've Been To Many Places」
です。
キーボードとギター、パーカッション、
ベースを中心としたメロディに、
Michael Palmerのソフトで説得力のある
ヴォーカルがナイスな曲です。

ざっと追いかけてきましたが、やはりこの
アーリー・ダンスホールの時代のMichael
Palmerの活躍は目覚ましいものがあり、
そのソフトなヴォーカルはとても魅力的
です。

面白い事にこのMichael Palmerという人
は、83年から86年というわずか4年間
のみにアルバムを14枚残している人なん
ですね。
(シングルはそれ以降も残しています。)
それだけ80年代前半のアーリー・ダンス
ホールの時代に、鮮烈な記憶を残した人
だと言えそうです。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Michael Palmer (Dancehall 85)



○アーティスト: Michael Palmer
○アルバム: Pull It Up Now
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1985

○Michael Palmer「Pull It Up Now」曲目
Side 1
1. Pull It Up Now
2. We Rule
3. She Give Me Fever
4. Mixing And Blending
5. Don't Stay Out Late
Side 2
1. Flirt Around
2. My Susan
3. Pon Your Toe
4. Don't Push Me
5. I've Been To Many Places