今回はNinjamanのアルバム

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「Ting A Ling A Ling A School Pickney
Sing Ting」です。

Ninjaman(本名:Desmond John
Ballentine)は80年代後半から活躍
する、バッドマン・スタイルのダンス
ホール・ディージェイです。
87年にCourtney Melodyとのコンビ
ネーション曲「Protection」でシングル・
デビューした彼は、常にライバルとの抗争
を引き起こすバッドマン・ディージェイと
して、ジャマイカで大人気のディージェイ
になって行くんですね。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て32枚ぐらいのアルバムと307枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

そうした活躍をしたNinjamanですが、
2009年にRicardo 'Trooper' Johnson
を殺害した罪に問われて息子とともに逮捕
され、2017年に終身刑を言い渡されて
います。

ニンジャマン - Wikipedia

アーティスト特集 Ninjaman (ニンジャマン)

今回のアルバムは1992年にジャマイカ
のJunior ReidのレーベルJ.R. Productions
からリリースされた彼のソロ・アルバム
です。

プロデュースはJunior Reidで、バックは
このレーベルのバック・バンドOne Blood
Bandが務めたアルバムで、ビッグ・
フェスティバル90年のStingでのShabba
Ranksの惨殺劇で話題になった表題曲の
「Ting A Ling A Ling A School Pickney
Sing Ting」をはじめ、なんと歌っている
ような「Mississippi」など、Ninjamanの
自在なトースティングが楽しめるアルバム
となっています。

手に入れたのはJ.R. Productionsから
リリースされたLPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Junior Reid for J.R. Productions

Recorded at JR One Blood, Scorpio, Mixing Lab & Music Works Studios
Engineers: Butty, Bulby, Malcom, Syl, Riley

All tracks mixed at JR One Blood Studio
Mixing Engineers: Gary Sutherland, Jason Broomfield

Musicians: One Blood Band
Bass, Keyboards overdubs: Christopher Meredith
Drums: Melburn Miller
Keyboards: Fox
Background Vocals on "Lovers": Junior Reid

All Tracks Written by D. Ballentine / J. Reid

となっています。

プロデュースはJunior Reidで、
レコーディングはJR One BloodやScorpio、
Mixing Lab、Music Works Studiosなどで
行われ、レコーディング・エンジニアは
ButtyとBulby、Malcom、Syl、Rileyなど
が担当し、ミックスはJR One Blood
Studioで行われ、ミキシング・エンジニア
はGary SutherlandとJason Broomfieldが
担当しています。

バックを務めたミュージシャンは
J.R. Productionsのバック・バンド
One Blood Bandで、ベースとキーボードの
オーヴァー・ダブにChristopher Meredith、
ドラムにMelburn Miller、キーボードに
Fox、Side 1の4曲目「Lovers」の
バック・ヴォーカルにJunior Reidという
布陣です。

すべての曲の作曲はD. Ballentine
(Ninjaman)とJ. Reidとなっています。

ジャケット・デザインに対する記述はあり
ません。

さて今回のアルバムですが、この90年代
前半に活躍したNinjamanらしいリリックが
目いっぱい詰まったアルバムで、内容は
悪くないと思います。

このNinjamanという人ですが2006年に
Tokyo FM出版刊行の本「Dancehall Reggae
Standards」の彼の紹介ページによると、
ビッグ・フェスティバルStingでの90年
のShabba Ranks、91年のSuper Catの
リリックでの惨殺劇(実際に殺した訳では
なくリリックで…笑)は有名だそうで、
そうしたディージェイ同士の抗争で過激な
バッドマンとして人気を博したのが、この
Ninjamanという人なんですね。

Clash Webisodes : Ninja vs Shabba (SUBTITLED)


Supercat Vs. Ninjaman Clash


Sting 1995 - Ninja Man Vs Mad Cobra (Clash)


実際にその映像をYouTubeなどで見ると、
あまりのリアリティの濃さに映像にくぎ
付けにされるものがあります。
もっとハッキリと言えば、彼のステージ上
でのパフォーマンスは目で見て解る面白さ
があるんですね。

特にStingでの90年のShabba Ranksの
惨殺劇は衝撃的です。
登場しないShabbaにイラついてスピーカー
に座り込んでイライラと貧乏ゆすりをする
Ninjamanの姿…。
さらには仲裁に入ったCharlie Chaplinに
促されて握手をするのですが、完全に
しょげ返って半ベソ状態のShabba Ranks
に対して、見下すようなNinjaman…。
あまりに勝者と敗者の明暗がハッキリと
出たシーンは本当に衝撃です。

こうしたステージはある程度筋書きが
あるものなのかもしれませんが、下手を
すればステージそのものが壊れてしまう
かもしれないギリギリのリアルな
パフォーマンスは、やはりこのNinjaman
という稀代のパフォーマーの魅力なんです
ね。
ある意味この90年代という時代のレゲエ
は、彼Ninjamanの存在なしには語れない
時代だと思います。

そんな彼の92年のアルバムが今回の
アルバムで、レゲエ本「Dancehall
Reggae Standards」のこのアルバムの紹介
によると「ドラッグ問題により一時シーン
から姿を消していた」Ninjamanの復活作が
今回のアルバムなんだそうです。
表題曲のShabba Ranksの「Ting A Ling」
のアンサー・ソング「Ting A Ling A Ling
A School Pickney Sing Ting」をはじめ、
「(忍者が歌っている)と噂になった」と
いう「Mississippi」など、彼らしい自在
なトースティングが楽しめるアルバムと
なっています。

Side 1の1曲目は「Ting A Ling A Ling
A School Pickney Sing Ting」です。
オリジナルはジャマイカで歌われている
子供の歌なんだそうです。
Ninjamanの口上から高速回転のデジタル
のメロディ、デジタルなリズムに乗せた
Ninjamanの流れるようなトースティング。

Ting A Ling A School Pikney Sing Ting Ninjaman


2曲目は「Motorcade」です。
こちらも口上からデジタルなメロディに
乗せたNinjamanのトースティング。
ミディアム・テンポのリズムに、彼らしい
トースティングが冴えます。

Ninjaman - Motorcade


3曲目は「Attention」です。
Ninjamanらしい勢いの良い掛け声から、
デジタルなパーカッションのリズムに
乗せたNinjamanの流れるようなトース
ティング。

4曲目は「Lovers」です。
デジタルなキーボードのメロディに、
Ninjamanのノリの良いトースティング。

5曲目は「Tings Get Worse」です。
リディムは「General」で、オリジナルは
The Heptonesの「Love Me Girl」。
心地良いデジタルなドラミングに、
Ninjamanらしい流れるような滑らかな
トースティングが冴える曲です。

リズム特集 General (ジェネラル)

Side 2の1曲目は「Ninja」です。
デジタルらしい縦ノリのリズムに、勢いの
あるNinjamanのトースティングが冴える曲
です。

NINJA MAN - NINJA


2曲目は「Grandparents」です。
口上からちょっとシング・ジェイが入った
Ninjamanのエモーショナルなトース
ティング。

3曲目は「Education」です。
Ninjamanらしい掛け声から、デジタルな
リズムに乗せたNinjamanのノリの良い
トースティングが魅力的。

Ninjaman - Education


4曲目は「Mississippi」です。
レゲエ本「Dancehall Reggae Standards」
によると、「(忍者が歌っている)と噂に
なった」という曲なんだとか。
デジタルなキーボードノリリリカルな
メロディに、Ninjamanのちょっとらしく
ないソフトな歌声にコーラス…。
稀代のエンターテイナーらしい、サービス
精神を感じる曲です。

Mississippi [I Can See Arkansas]


5曲目は「Consideration」です。
掛け声からデジタルなキーボードの
メロディに乗せた、Ninjamanのトース
ティング。

ざっと追いかけてきましたが、稀代の
パフォーマーNinjamanらしい個性が出た
アルバムで、内容は悪くないと思います。
ジャマイカではサムライは武士道を重んじ
るのに対して、忍者は何でもあるの暗殺者
として捉えられていて、それを名乗るこの
Ninjamanは、何でもありのバッド・マンを
演じていたんですね。
この90年代はそうした悪の代表バッド・
マンが大人気を博した時代で、その中でも
このNinjamanがその代表格として大ウケ
していたんですね。

ただ2000年代に入るとそうした
バッド・マンの時代も終わり、Ninjamanの
人気も徐々に陰りが見え始めます。
2003年のStingではVybz Kartelの
「引き立て役」をNinjamanがやらされたり
しているんですね。

Vybz Kartel VS Ninja Man @ Reggae Sting Jamaica 2003 (FULL)


そのVybz KartelとVybz Kartelが今はとも
に殺人事件で捕まって、レゲエ・シーン
から姿を消しつつあるのはとても皮肉な事
です。
リリックでの殺人劇は最高のエンター
テイメントだが、本当の殺人事件はただの
悲劇でしかありません。
レゲエを聴く人間にとってこうした人達が
表舞台から消えて行ったのは、とても残念
な事だと思います。

ただ彼らの輝きだけは、忘れずに覚えて
おきたいものです。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Ninjaman
○アルバム: Ting A Ling A Ling A School Pickney Sing Ting
○レーベル: J.R. Productions
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1992

○Ninjaman「Ting A Ling A Ling A School Pickney Sing Ting」曲目
Side 1
1. Ting A Ling A Ling A School Pickney Sing Ting
2. Motorcade
3. Attention
4. Lovers
5. Tings Get Worse
Side 2
1. Ninja
2. Grandparents
3. Education
4. Mississippi
5. Consideration