今回はMichael Palmerのアルバム

michael_palmer_01a

「I'm So Attractive」です。

Michael Palmer(本名同じ)は80年代の
アーリー・ダンスホールの時代頃から活躍
するダンスホール・レゲエのシンガー
です。
Power Houseからリリースの「Lick Shot」
が大ヒットしたシンガーで、アーリー・
ダンスホールの人気シンガーとしてよく
知られています。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て14枚ぐらいのアルバムと、116枚
ぐらいのシングル盤をリリースしていま
す。

アーティスト特集 Michael Palmer(マイケル・パーマー)

今回のアルバムは1986年にジャマイカ
のJammy's Recordsからリリースされた、
彼のソロ・アルバムです。

プロデュースはPrince Jammyで、バックは
High Times Bandが務めたアルバムで、
この頃はPrince Jammyによるデジタル・
レゲエの大ブーム「コンピューター・
ライズド」が起こっていた時代ですが演奏
はまだアナログで、アーリー・ダンス
ホールのユッタリとしたワン・ドロップの
サウンドに乗せた、Michael Palmerの艶の
あるヴォーカルとそのダブが楽しめる
ショーケース・スタイルのアルバムと
なっています。

手に入れたのはJammy's Recordsから
リリースされたLPの中古盤でした。

Side 1が6曲、Side 2が6曲の全12曲。
書いたように歌とそのダブが交互に収め
られたショーケース・スタイルのアルバム
となっています。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Prince Jammy
Voiced and Mix at Jammy's Studio

Backed by High Times

Album Design: Wilfred Limonious

となっています。

プロデュースはPrince Jammyで、声入れ
とミックスはJammy's Studioで行って
います。

バックの演奏はHigh Times Bandが担当
しています。
High Times BandはギタリストのEarl
'Chinna' SmithのレーベルHigh Timesの
バンドという意味で、'Chinna' Smithを
中心にセッション・ミュージシャンで構成
されたバンドです。
詳細なミュージシャンが解らないのが、
ちょっと残念なところです。

アルバム・ジャケットは、この時代の
レゲエのジャケットを多く手掛けている
Wilfred Limoniousです。

michael_palmer_02a
裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、アーリー・
ダンスホールのワン・ドロップの演奏に
Michael Palmerの艶のあるヴォーカル、
さらに歌とダブが交互に収められた、
とてもアーリー・ダンスホールの空気感が
感じられるアルバムで、内容はとても良い
と思います。

この86年頃は今回のプロデューサーの
Prince Jammy(のちにKing Jammyに改名)
によるデジタル・レゲエの大ブーム
「コンピューター・ライズド」が始まって
いた頃ですが、Prince JammyがMichael
Palmerのアーリー・ダンスホールの音源を
持っていた為なのか?事情は解りません
が、そうした音源をうまく歌+ダブの
ショーケース・スタイルのアルバムに
まとめています。
このアルバムで展開されているサウンドは
85年以前のアーリー・ダンスホールの頃
のサウンドで、スローなワン・ドロップの
リズムに乗せたMichael Palmerの艶のある
ヴォーカルがとても魅力的で、好内容な
アルバムです。

このMichael Palmerというシンガーです
が、90年代ぐらいまでコンスタントに
活躍したシンガーのようですが、アルバム
の履歴を見ると83年から86年にすべて
集中していて、それ以降はアルバムが出て
いないシンガーなんですね。
具体的には83年が1枚、84年が4枚
(うち共演盤が1枚)、85年が7枚
(うち共演盤が3枚)、86年が2枚
(うち共演盤が1枚)という内訳になり
ます。
つまりそれだけ80年代前半のアーリー・
ダンスホールの時代に、人気を博した
シンガーという事が言えそうです。

ちなみにアーリー・ダンスホールというの
は、80~85年頃までの時代のサウンド
を指します。
それまでの思想的でビターな味わいの
ルーツ・レゲエが変化し始めたのが80頃
からで、このあたりからダンスの現場で
聴かれるような、スラックネス(下ネタ)
やラヴ・ソングなどを中心とした快楽的な
ダンスホール・レゲエが流行するように
なるんですね。
それに伴ってリズムも変化し、それまでの
ルーツ・レゲエのミディアム・テンポの
リズムから、アーリー・ダンスホールでは
スローなワン・ドロップのリズムが大流行
するんですね。
80~85年頃まではそうしたスローな
ワン・ドロップのリズムが、ジャマイカを
席巻していたんですね。

その後にPrince Jammy(のちにKing Jammy
に改名)によるデジタルのダンスホールの
時代が来て、ルーツ・レゲエとの狭間の
時代のように思われていますが、この
アーリー・ダンスホールの時代は、この
ジャマイカならではの独特の美意識のある
かなり面白い音楽を作っていた時代だった
んですね。

その時代に大活躍していたシンガーの
ひとりが今回のMichael Palmerなんです
ね。
今回のアルバムでは'Chinna' Smithを中心
としたHigh Times Bandのスローなワン・
ドロップの演奏に乗せて、魅力的な歌声を
聴かせています。
さらに歌+ダブというのもショーケース・
スタイル、あるいはディスコ・ミックス・
スタイルと呼ばれる、この時代に流行した
構成なんですね。

ちょっとリリース時期は遅いですが、
アーリー・ダンスホールの持つちょっと
湿った空気感が、堪能出来るアルバムと
なっています。

Side 1の1曲目は表題曲の「I'm So
Attractive」です。
キーボードのユッタリとしたメロディに、
Michael Palmerのよく通るソフトな
ヴォーカルが魅力的。

2曲目は「Attractive Dub」です。
1曲目「I'm So Attractive」のダブ
(ヴァージョン)です。
キーボードのメロディに、この時代らしい
ドスンドスンと落とすワン・ドロップの
ドラミングがとても心地良い曲です。

3曲目は「Hold Me」です。
ネットのRiddimguideではこの曲は
The Abyssiniansの「Satta Massagana」
となっていますが、聴いた感じはちょっと
微妙です。
そうも聴こえるし…といった感じです。
ピアノのユッタリとしたメロディに、
Michael Palmerの伸びやかな心地良い
ヴォーカル。
ダンスホールらしい空気感が魅力。

Michael Palmer - Hold Me


リズム特集 Satta Massa Ganna (サタ・マサ・ガナ)

4曲目は「Holding Dub」です。
3曲目「Hold Me」のダブ
(ヴァージョン)です。
ピアノとギターのスローなワン・ドロップ
が、とても心地良いダブです。

5曲目は「Better She Gwaan」です。
キーボードとギターのメロディに、Michael
Palmerのソフトなヴォーカルがイイ感じの
曲です。

Michael Palmer Better She Gwan


6曲目は「Better Dub」です。
5曲目「Better She Gwaan」のダブ
(ヴァージョン)です。
キーボードとギターのメロディが、とても
心地の良いダブです。

Side 2の1曲目は「Juby Rock」です。
刻むようなギターにピアノのメロディ、
心地良いドラミング、ノリの良い
Michael Palmerのソフトなヴォーカルが
とても魅力的。

Michael Palmer - Jubie Rock


2曲目は「Rocking Dub」です。
1曲目「Juby Rock」のダブ
(ヴァージョン)です。
ピアノとギターを中心としたインストに
近いダブです。

3曲目は「Ready She No Ready」です。
華やかなホーンとピアノのメロディに、
心地良いワン・ドロップのドラミング、
Michael Palmerのハリのある歌声が魅力
的。

4曲目は「Ready Dub」です。
3曲目「Ready She No Ready」のダブ
(ヴァージョン)です。
こちらはヴォーカルのところにギター・
ソロを入れたり、元のリズムを生かし
ながらうまく音を作り変えています。

5曲目は「Chances Are Gone」です。
ピアノとキーボード、ギターのメロディ
に、心地良いワン・ドロップの
ドラミング、Michael Palmerの感情を
乗せたソフトなヴォーカル…。

6曲目は「Chances Dub」です。
5曲目「Chances Are Gone」のダブ
(ヴァージョン)です。
こちらはベースとドラムを中心とした
かなり渋めのダブです。

ざっと追いかけてきましたが、この時代に
まだ残るアーリー・ダンスホールの空気感
を伝えるアルバムで、内容はとても良いと
思います。
Michael Palmerのソフトなヴォーカルも
とてもクウォリティが高く魅力的です。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Michael Palmer (Dancehall 85)



○アーティスト: Michael Palmer
○アルバム: I'm So Attractive
○レーベル: Jammy's Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1986

○Michael Palmer「I'm So Attractive」曲目
Side 1
1. I'm So Attractive
2. Attractive Dub
3. Hold Me
4. Holding Dub
5. Better She Gwaan
6. Better Dub
Side 2
1. Juby Rock
2. Rocking Dub
3. Ready She No Ready
4. Ready Dub
5. Chances Are Gone
6. Chances Dub