今回はJimmy Radway & The Fe Me Time All Starsのアルバム

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「Dub I」です。

Jimmy Radway(本名:Ivan Lloyd Radway)
はジャマイカで活躍したプロデューサー
で、70年代のルーツ・レゲエの時代に
自身のレーベル「Fe Me Time」より主に
シングル盤を中心にリリースを行っていた
マイナーなプロデューサーです。
彼のプロデュースした楽曲としてはErrol
Dunkleyの「Black Cinderella」や、
Leroy Smartの「Mirror Mirror」や
「Mother Liza」、Desmond Youngの
「Warning」などが知られているよう
です。

レーベル特集 Fe Me Time (フェ・ミ・タイム)

今回のアルバムは1975年にジャマイカ
のMicron Music Limitedというレーベル
からリリースされたダブ・アルバムです。

プロデュースはJimmy Radwayで、バックは
The Fe Me Time All Starsですが、この
バンドはドラムのCarlton 'Carlie'
BarrettとベースのAston 'Family Man'
BarrettのBarrett兄弟を中心とした、ほぼ
当時Bob Marley & The Wailersとして活躍
していたBob Marleyのバック・バンドの
The Wailers Bandと言えるメンバーが参加
したダブ・アルバムです。

ダブのミックスはErrol Thompsonで、この
アルバムについて書かれたネット上にある
文章などを読むと、ミックスはわずか1日
で行われたそうで、アルバム自体も僅か
300枚程度が当時のジャマイカで
リリースされただけのアルバムだったそう
です。
ところがそのダブ自体の出来は素晴らしく
ダブのマニアの間で評判を呼び、高額で
取引されるアルバムとなったんだそう
です。

そのアルバムが2008年にUKの
レゲエ・リイシュー・レーベルPressure
Soundsからリイシューされたのが、今回
のアルバムなんですね。

ちなみにこのアルバムはPressure Sounds
彼リイシューされる以前に、UKの
Vista SoundsからRoots Rockers名義の
「Reggae Masterpieces In Dub Volume 2」
というダブ・アルバムとして、一度
再リリースされているようです。
なおVista SoundsからRoots Rockers名義
の「Reggae Masterpieces In Dub」という
アルバムもリリースされています(制作年
不詳)が、こちらは76年にUKの
Grounationというレーベルからリリース
されたオムニバスもののアルバム
「Rass Claat Dub」の再リリースで、
The Fe Me Time All Starsとは関係のない
音源のようです。

ちなみに今回のアルバムの元になった曲
などが多く収められたオムニバスものの
アルバム「Keep The Pressure Down」が、
2000年にUKのFe-Me-Timeより
リリースされています。

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Various ‎– Keep The Pressure Down: Essential Roots Reggae Rarities (2000)

Leroy Smartの「Mother Liza」やErrol
Dunkleyの「Black Cinderella」、
Desmond Youngの「Warning」など、今回
のアルバムに関係ある曲やこのレーベルを
代表するような曲が収められているので、
こちらもおススメです。

手に入れたのはPressure Soundsから
リリースされたCDの中古盤でした。

なおこの「Dub I」というレコードは当時
僅か300枚しかプレスされず、アルバム
のジャケットが大量に余ってしまったんだ
そうです。
その大量に余ったジャケットを逆さまに
して、「Tommy McCook Dub」という
スタンプを押してリリースされたのが、
Glen Brownプロデュースのダブ・アルバム
「Sannic Sounds(通称:Horny Dub)」
なんですね。
このアルバムは2015年に日本の
Dub Store Recordsからリイシューされて
います。

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Tommy McCook ‎– The Sannic Sounds Of Tommy McCook (2015)

Dub Store Recordsが新アルバム「Tommy McCook - Sannic Sounds」

全15曲で収録時間は約41分。
オリジナルは10曲で、曲順もオリジナル
とはだいぶ変更されています。
6曲目「The Best Big Youth Version」
と7曲目「This Child Of Mine
Version」、9曲目Vin Gordonの「Tina
May」、10曲目「Dub Is My Desire」、
13曲目Tommy McCookの「The Great
Tommy McCook」の5曲は、オリジナルには
ないCDボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced and Arranged by Jimmy Radway for Fe Me Time Records

Musicians:
Drums: Carlton 'Carlie' Barrett
Bass: Aston 'Family Man' Barrett
Guitar: Alva 'Reggie' Lewis
Organ: Tyrone 'Organ D' Downie
Trumpet: Bobby Ellis
Tenor Saxophone: Cedric 'Im' Brooks, Richard 'Dirty Harry' Hall, 'The Great' Tommy McCook
Trombone: Vincent 'Don D. Junior' Gordon

Recorded at:
Studio B, Dynamic Sounds Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineers: Sid Bucknor, Carlton Lee, Karl Pitterson
Randy's Studio 17, Kingston, Jamaica
Engineers: Clive Chin, Errol Thompson
Remixed at: Joe Gibbs Recording Studio, Kingston, Jamaica
Engineer: Errol Thompson

Project Co-ordination: Pete Holdsworth
Artwork & Design: Ben Bailey
Photography: Paul Coote, Peter Simon

となっています。

プロデュースとアレンジはFe Me Time
RecordsのJimmy Radway。

ミュージシャンはドラムにCarlton 'Carlie'
Barrett、ベースに、Aston 'Family Man'
Barrett、ギターにAlva 'Reggie' Lewis、
オルガンにTyrone 'Organ D' Downie、
トランペットにBobby Ellis、テナー・
サックスにCedric 'Im' BrooksとRichard
'Dirty Harry' Hall、'The Great' Tommy
McCook、トロンボーンにVincent 'Don D.
Junior' Gordonという布陣です。
これはBob Marleyのバック・バンドの
The Wailers Bandと、Tommy McCookなど
のホーン隊が一緒になったような布陣
です。

レコーディングはジャマイカのキング
ストンにあるDynamic Sounds Recording
StudioのStudio Bと、Randy's Studio 17
で行われ、レコーディング・エンジニアは
Dynamic SoundsがSid Bucknorと
Carlton Lee、Karl Pitterson、Randy's
がClive ChinとErrol Thompsonが担当して
います。
リミックスはジャマイカのキングストンに
あるJoe Gibbs Recording Studioで行わ
れ、ミックス・エンジニアはErrol
Thompsonが担当しています。

プロジェクト・コーディネイターは
Pressure SoundsのPete Holdsworth、
アート・ワークとデザインはBen Bailey、
写真はPaul CooteとPeter Simonとなって
います。

さて今回のアルバムですが、Barrett兄弟
を中心としたリズム隊のシッカリした
リズムに、Tommy McCookを中心とした
ホーン陣の華やかなホーンがとても素晴ら
しいアルバムで、内容はとても良いと思い
ます。

Carlton 'Carlie' Barrettのガシッと硬い
ドラミングに、Aston 'Family Man'
Barrettのズシっとドスの効いたベースの
リズム隊の演奏に、'The Great'と形容
されているTommy McCookを中心とした
ホーン隊のJazzyな演奏は、いかにもこの
70年代のホーン・ダブといった演奏で
とても魅力的です。

このJimmy Radwayというプロデューサー
は、このアルバムのネットの販売サイト
などの記述を読むと商売下手だったよう
で、必ずしもレゲエという音楽の世界で
成功を収めた人ではありませんが、その
当時のジャマイカの人々の心を反映した、
もっともレゲエらしい素晴らしい音楽を
残した人だったんですね。
今の時代に聴いてもその音楽は、充分に
魅力的です。

ちなみにこの70年代には彼やGlen Brown
のような、スタジオを持たない弱小の
プロデューサーがたくさん居たんですね。
そうしたプロデューサーはStudio Oneなど
のスタジオをレンタルし、ミュージシャン
を集め、シングル盤を中心にレコードを
プレスして、レコードを販売していたん
ですね。
そうしたプロデューサーの中にはあの
Bunny Leeのように成功した人もいます
が、たいていの人は何枚かシングルを
出したぐらいで力尽きて消えて行っている
んですね。
ただそうしたプロデューサーや歌手、
ミュージシャンなどが、時にはレゲエの
歴史に忘れられない名曲やアルバムなどを
残している事もまた事実です。
このJimmy Radwayもレゲエの歴史に、
忘れられないアルバムと曲を残した
プロデューサーなんですね。

またたった1日でミキシングを行ったとは
思えないほど、Errol Thompsonのミックス
も素晴らしいです。
この70年代のジャマイカは、明らかに
世界の最先端の音楽が日々誕生する場所
だったんですね。
秋田県ほどの小さな島国で、こうした最先端
のミックスが日々行われていたというのは、
本当に驚くべき凄い事だったんですね。
レゲエの歴史の中でもこの70年代の
ルーツ・レゲエの時代は、もっとも最先端の
音楽を作っていた時代なんですね。

1曲目は「Black Rights」です。
リディムはDesmond Youngの「Warning」。
華やかなホーン・セクションに、ズシっと
重たいドスの効いたベース、ガシっと硬い
ドラミングにダブワイズ…。
ちなみにこの「Warning」は、この
レーベルの最大のヒット曲なんですね。

Jimmy Radway & The Fe Me Time All Stars - Black Rights


2曲目は「Back To Africa」です。
リディムはThe African Brothersの
「Lead Us Father」。
華やかなホーンのイントロから、ズシっと
重いベースを軸としたダブです。

3曲目は「Hell And Sorrow」です。
リディムはHortense Ellisの同名曲
「Hell And Sorrow」です。
ガシっと硬いCarlton 'Carlie' Barrett
らしいドラミングに、明るく入って来る
ホーン、刻むようなギターにズシリと重い
ベース…。

Jimmy Radway & The Fe Me Time All Stars - Hell and Sorrow


4曲目は「Mother Liza」です。
リディムはLeroy Smartの「Mother
Liza」。
エコーの効いたホーン・セクションに、
ズシリと腹に響くベースとギターの
メロディ…。

5曲目は「Cinderella」です。
リディムはErrol Dunkleyのヒット曲
「Black Cinderella」。
外資っと硬いドラミングにホーンの味わい
あるメロディ、腹にズンと来るベース、
合いの手のように入るブギのリズムの
ホーン…。

6曲目は「The Best Big Youth Version」
です。
こちらはオリジナルのアルバムには無い、
Big Youthの「Black Cinderella」の
ディージェイ・ヴァージョン「The Best
Big Youth」のヴァージョン(ダブ)
です。
(Big Youthのトースティングは入って
いません。)

7曲目は「This Child Of Mine Version」
です。
こちらもオリジナル・アルバムには無い曲
です。
ギターとホーン・セクションの華やかな
メロディのダブです。

8曲目は「Micron Way」です。
リディムは9曲目のVin Gordonの
「Tina May」です。
Vin Gordonのトロンボーンを中心に、
刻むようなギターと重いベースが脇を
固めたダブです。

Micron Way - Jimmy Radway & The Fe Me Time All Stars


9曲目はVin Gordonの「Tina May」です。
こちらもオリジナル・アルバムには無い曲
です。
8曲目の「Micron Way」と較べると、
よりVin Gordonのトロンボーンが際立って
いる印象です。
イイ火事で入って来るキーボードも
グッド。

Vin Gordon - Tina May - Rerecorded


10曲目は「Dub Is My Desire」です。
リディムはLeroy Smartの「Happiness
Is My Desire(Mr. Smart)」。
こちらもオリジナル・アルバムには無い曲
です。
ギターとピアノホーンのメロディに、
Leroy Smartのヴォーカルに、ダブワイズ
していくホーン、ピアノのメロディ…。

Jimmy Radway & The Fe Me Time All Stars - Dub is my desire


11曲目は「Awn Yah!」です。
リディムはLeroy Smartの「Mirror
Mirror」。
華やかなホーンのイントロから、ズシっと
したベースを中心としたダブです。

12曲目は「Black I Am」です。
ホーンのブギなメロディと重いベースが
中心のダブ。

Fe Me Time All Stars - Black I Am


13曲目はTommy McCookの「The Great
Tommy McCook」です。
こちらもオリジナル・アルバムには無い曲
です。
Tommy McCookらしい味わい深いテナー・
サックスを中心とした曲です。
「The Great」の称号がよく解る、見事な
サックス・プレイが堪能できる1曲。
彼の持ち込んだジャズ的な要素が、この
レゲエという音楽をより魅力的にしたのは
間違いのないところです。

Tommy McCook - The Great Tommy McCook


14曲目は「She's Mine」です。
ベースとホーンを中心とした演奏のダブ
です。

15曲目は「Wicked Have To Feel It」
です。
リディムはLloyd Parksの名曲
「Slaving」。
漂うようなキーボードのメロディに、
ギターとベースのダブ。

Jimmy Radway & The Fe Me Time All Stars - Wicked Have To Feel It


ざっと追いかけてきましたが、とかく
レア盤というとレアだけれどその中身は
イマイチといったアルバムもありますが、
このアルバムに関してはその内容も文句の
付けようのないほど素晴らしいと思い
ます。
特にTommy McCookを中心としたホーン隊の
活躍は素晴らしく、この70年代のダブ・
アルバムでホーンの果たした役割の大きさ
が、あらためてよく解るアルバムとなって
います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Jimmy Radway & The Fe Me Time All Stars
○アルバム: Dub I
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1975

○Jimmy Radway & The Fe Me Time All Stars「Dub I」曲目
1. Black Rights - Fe Me Time All Stars
2. Back To Africa - Fe Me Time All Stars
3. Hell And Sorrow - Fe Me Time All Stars
4. Mother Liza - Fe Me Time All Stars
5. Cinderella - Fe Me Time All Stars
6. The Best Big Youth Version - Fe Me Time All Stars *
7. This Child Of Mine Version - Fe Me Time All Stars *
8. Micron Way - Fe Me Time All Stars
9. Tina May - Vin Gordon *
10. Dub Is My Desire - Fe Me Time All Stars *
11. Awn Yah! - Fe Me Time All Stars
12. Black I Am - Fe Me Time All Stars
13. The Great Tommy McCook - Tommy McCook *
14. She's Mine - Fe Me Time All Stars
15. Wicked Have To Feel It - Fe Me Time All Stars
* CD Bonus Tracks

(オリジナル・アルバム収録曲)
Side 1
1. Black Rights
2. Cinderella
3. Micron Way
4. Hell And Sorrow
5. Awn Yah!
Side 2
1. Mother Liza
2. Black I Am
3. She's Mine
4. Wicked Have To Feel It
5. Back To Africa