今回はKeith Hudsonのアルバム

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「Rasta Communication」です。

Keith Hudson(本名同じ)はレゲエの歴史
に名を刻むプロデューサーであり、
シンガーである人として知られています。
1974年に発表された彼のアルバム
「Flesh Of My Skin Blood Of My Blood」
は、「レゲエ初のコンセプト・アルバム」
という高い評価を受けているアルバムで、
まるでライブのような水の音のエフェクト
など、彼独特の世界が描かれています。
それに続く74年の「Pick A Dub」は
初期ダブの傑作と呼ばれるアルバムで、
それによって彼はLee PerryやKing Tubby、
Errol Thompsonと並ぶ「創世記ダブ
四天王」という言い方をされる事があり
ます。

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Keith Hudson - Flesh Of My Skin Blood Of My Blood (1974)

独特の世界観を持った音楽を作り続け
「レゲエ界の異端児」などと呼ばれた
Keith Hudsonですが、84年末に42歳
という若さでガンで亡くなっています。

ネットのDiscogsを見ると16枚ぐらいの
アルバムと、72枚ぐらいのシングル盤を
残しているのがこのKeith Hudsonという人
です。

アーティスト特集 Keith Hudson (キース・ハドソン)

今回のアルバムは1978年にUSの
Joint Internationalというレーベルから
リリースされた、彼のソロ・アルバム
です。

プロデュースとアレンジはKeith Hudson
本人で、バックはSoul Syndicateと思われ
る布陣のアルバムで、表題曲の「Rasta
Communication」や「Rasta Country」
など、Keith Hudsonらしい独特のダークな
レゲエ世界が展開するアルバムとなって
います。

手に入れたのはGreensleeves Recordsから
リリースされたCDの中古盤でした。

全11曲で収録時間は約43分。
オリジナルは10曲で、最後の1曲は
CDボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced & arranged by: Keith Hudson
All tracks written by: Keith Hudson
Published by: IMBI Music Publishing

Lead Vocals: Keith Hudson
Drums: Lowell 'Sly' Dunbar, Eric 'Fish' Clarke
Rhythm Guitar: Robbie Shakespeare, Earl 'Chinna' Smith, Ranchie McClean, Gitsie
Bass: Ranchie McClean, Fuller
Piano: Theo 'Snappin' Beckford, 'Tarzan' Nelson
Organ: Theo 'Snappin' Beckford, 'Tarzan' Nelson, Keith Stirling, Ken Elliott
Hawaiian Guitar: Willy Barratt
Synthesizer: Ken Elliott
Keyboards: Paget King
Backing Vocals: Paget King, Stickman, Lisa Strike, Keith Hudson
Congos, Percussion: Tony Brother

Recorded in Jamaica at: Randy's
Engineer: Clive Chin
& Channel One Studios
Engineer: L. McKenzie
Also recorded in London at; Chalk Farm Studios
Engineer: Sid Bucknor
Remixed at: King Tabby's Studio
Engineer: Prince Jammy
Front photograph: Pat Griffith
Mastered at: The Music House by Kevin Metcalfe 1978
Re-Mastered at: The Soundmasters, London, by Kevin Metcalfe 2002

となっています。

プロデュースとアレンジ、すべての曲の
作曲はKeith Hudson。

バックはEarl 'Chinna' Smithをリーダー
とするSoul Syndicateと思われ、
リード・ヴォーカルにKeith Hudson、
ドラムにLowell 'Sly' DunbarとEric
'Fish' Clarke、リズム・ギターにRobbie
ShakespeareとEarl 'Chinna' Smith、
Ranchie McClean、Gitsie(Lloyd 'Gitsy'
Willis)、ベースにRanchie McCleanと
Fuller(George Fullwood)、ピアノに
Theo 'Snappin' Beckfordと'Tarzan'
Nelson、オルガンにTheo 'Snappin'
Beckfordと'Tarzan' Nelson、Keith
Stirling、Ken Elliott、ハワイアン・
ギターにWilly Barratt、シンセにKen
Elliott、キーボードにPaget King、
バック・ヴォーカルにPaget Kingと
Stickman、Lisa Strike、Keith Hudson、
コンゴとパーカッションにTony Brother
という布陣です。

レコーディングはジャマイカのRandy'sと
Channel One Studios、ロンドンのChalk
Farm Studiosで行われ、エンジニアは
Randy'sがClive Chin、Channel Oneが
L. McKenzie、Chalk FarmがSid Bucknor
が担当しています。
リミックスはKing Tabby's Studioで行わ
れ、エンジニアはPrince Jammyが担当
しています。

ジャケット写真はPat Griffith。

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裏ジャケ

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表ジャケ(裏側)

さて今回のアルバムですが、「レゲエ界の
ダーク・プリンス」と呼ばれたKeith
Hudsonらしいユラユラとしてダークな音楽
世界が楽しめるアルバムで、内容は悪く
ないと思います。

このKeith Hudsonですが、当時レゲエと
言えばルーツ・レゲエしかなかったような
時代に、この音楽をレゲエと呼んで良いの
か?ちょっと迷うほどの、独特の音楽世界
を作り上げた人なんですね。
音楽のジャンルに「Keith Hudson」という
ジャンルを作りたくなるほど独特の世界を
作り上げた彼ですが、一度その世界に
ハマると忘れられなくなるほど強烈な
印象を残す音楽を作った人なんですね。

実は私自身も初めは彼の音楽が、よく解ら
なかったんですね。
「Pick A Dub」はとてもよく出来たダブ・
アルバムだと思ったけれど、他のアルバム
はイマイチピンと来ない印象だったんです
ね。
ただその印象はアルバム「Flesh Of My
Skin Blood Of My Blood」を聴いてから、
ガラッと180度ぐらい変わりました。
「レゲエ初のコンセプト・アルバム」と
いう高い評価を受けているこのアルバム
ですが、そこには繊細で傷つき易い黒人と
して生まれた彼の生々しい姿が描かれて
います。
英語があまり解らない私でも、なぜか
心打たれてしまう、素晴らしい音世界が
そこにはあるんですね。

不思議なもので一度彼の魅力が解ると、
他のアルバムも全てよく聴こえて来るん
ですね。
彼がメジャー・デビューしたアルバムで、
残念ながら失敗作と言われている「Too
Expensive」なども、うまく行かなかった
部分も解るけれど、これはこれで彼の
貴重なアルバムへと変わってしまうんです
ね(笑)。

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Keith Hudson - Too Expensive (1976)

なので、彼Keith Hudsonについて書く時
には、まずは「Flesh Of My Skin Blood
Of My Blood」を聴く事をおススメして
います。
なんだかんだ言っても彼のアルバムの中
ではこの「Flesh Of My Skin…」が
もっとも完成度が高く、彼の音楽を理解
するには最適のアルバムなんですね。

話を戻しますが、このアルバム「Rasta
Communication」は、76年のメジャー・
デビューの失敗作と呼ばれた「Too
Expensive」などを経て、78年に作られ
たアルバムです。
メジャー・デビューの「Too Expensive」
が失敗作と呼ばれた割には、この人は意外
とコンスタントにアルバムをリリースし
続けているんですね。
72~82年の11年ぐらいの間に、
ダブ・アルバムも含めて13枚ぐらいの
アルバムをリリースしているんですね。
これは彼の残したアルバムのほとんどで、
いわばこの70年代のルーツ・レゲエを
時代を駆け抜けたのがこのKeith Hudson
だったと言えるのかもしれません。
いろいろな困難にぶち当たりながらも、
彼はひたすら自分の音楽を作リ続けている
んですね。

このKeith Hudsonの音楽を語る時に、
必ずと言っていいほど彼の独特なフラフラ
としたドラッギーなヴォーカルについて
言われます。
曰く「ヴォーカルが聴くに堪えないほど
ヘタ」とか「やる気のないヴォーカル」
とか、酷評される事が多いんですね。
ただ彼の音楽が好きな人間から言わせる
と、けっして聴くに堪えないというほどの
事はなく、むしろ酔っ払いが歌っている
ようなそのヴォーカルは、この「Keith
Hudsonの音楽」の大事な要素のひとつで
すらあるんですね。
彼のヴォーカルなくして彼の音楽は、成り
立ちません。

正直なところこのあたりのアルバムに
なって来ると、Keith Hudsonがその初期に
持っていた独創性はいく分後退した印象は
あります。
ただそれでもこの人が作り上げた、それ
までにないレゲエ・サウンドの魅力は引き
継がれていて、そのあたりはこの人の
マニアなら聴き逃せないところがあり
ます。
表題曲の1曲目「Rasta Communication」
をはじめとして、3曲目「Bloody Eyes」
や4曲目「Rasta Country」、6曲目
「I'm Not Satisfied」、8曲目「Jonah」
など、彼独自の世界が展開する今回の
アルバムは、やはりとても魅力的なものが
あります。

1曲目は表題曲の「Rasta Communication」
です。
漂うようなギターのメロディに、Keith
Hudsonの独特なフラフラとしたヴォーカル
に男性コーラス…。
妖しげな雰囲気がいっぱいの曲です。

Keith Hudson - Rasta Communication


2曲目は「Felt We Felt The Strain」
です。
リズミカルなドラムに漂うような
キーボード、ギターとベースを中心とした
演奏に、Keith Hudsonらしい何とも言い
難いヴォーカル…。

Keith Hudson - Felt We Felt The Strain


3曲目は「Bloody Eyes」です。
ギターとピアノ、キーボードの浮遊感の
あるメロディに女性コーラス、独特な個性
のKeith Hudsonのソフトなヴォーカルが
魅力的な曲です。

Keith Hudson - Bloody Eyes


4曲目は「Rasta Country」です。
勢いのあるステッパーズなビートに浮遊感
のあるギター・ワーク、エコーの効いた
Keith Hudsonのヴォーカルが良い空気感を
作っています。

Keith Hudson - Rasta Country


5曲目は「I Broke The Comb」です。
ギターの奏でるメロディに、表情豊かな
Keith Hudsonのヴォーカルに男性コーラス
が魅力的。

6曲目は「I'm Not Satisfied」です。
漂うようなシンセのメロディにギター・
ワーク、「Keith Hudsonのヴォーカル」と
タイトルを繰り返すKeith Hudsonの
ヴォーカルも魅力。
バック・コーラスもKeith Hudson本人の
ようです。

Keith Hudson - I'm Not Satisfied


7曲目は「I'm No Fool」です。
心地良いドラミングにシンセ、ズシっと
したベースに漂うようなギター、Keith
Hudsonのちょっとフラフラとした独特な
ヴォーカル…。
彼らしいドラッギーな感覚満載の曲です。

8曲目は「Jonah」です。
キーボードのメロディに心地良い
パーカッション、ズシっとしたベース、
「Jonah」を繰り返すKeith Hudsonの
エコーの効いたヴォーカル…。

KEITH HUDSON - JONAH


9曲目は「Musicology」です。
ピアノのメロディから浮遊感のある
キーボード、女性コーラスに乗せたKeith
Hudsonのヴォーカル。

10曲目は「I Won't Compromise」
です。
ギターの心地良いメロディに乗せた、
Keith Hudsonのソフトなヴォーカルが
魅力的。

ここまでがオリジナルで、最後の11曲目
は「Nah Skin Up (12" Mix)」は、79年
のアルバム「Nah Skin Up」から表題曲の
12インチシングル・ヴァージョンが収め
られています。
ここでは説明は割愛します。

ざっと追いかけてきましたが、やはりこの
Keith Hudsonのもつダークでドラッギーな
世界観は、マニアにはたまらないものが
あります。

書いたように彼を知らない、あるいは彼の
良さが解らないという人は、まずは
「Flesh Of My Skin…」を聴く事を
おススメしますが、彼の音楽を知っている
人にはこのアルバムもぜひ聴いておくべき
1枚ではないかと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Keith Hudson
○アルバム: Rasta Communication
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1978

○Keith Hudson「Rasta Communication」曲目
1. Rasta Communication
2. Felt We Felt The Strain
3. Bloody Eyes
4. Rasta Country
5. I Broke The Comb
6. I'm Not Satisfied
7. I'm No Fool
8. Jonah
9. Musicology
10. I Won't Compromise
(CD Bonus Track)
11. Nah Skin Up (12" Mix)