今回はAlborosie Meets The Wailers
Unitedのアルバム

alborosie_01a

「Unbreakable」です。

Alborosie(本名:Alberto D'Ascola)は
イタリア・シチリア等出身のシンガーで
あり、プロデューサーである人です。
もともとはイタリアでレゲエ・バンド
Reggae National Ticketsの一員として
活躍していた彼ですが、その情熱から
ジャマイカに移住することを決意し、
すべてを捨ててジャマイカでシンガーや
プロデューサーとして活動を始めるんです
ね。
その努力がジャマイカの人々にも認め
られ、彼はジャマイカでも人気シンガー、
プロデューサーとして今も精力的に活動を
続けています。

ネットのDiscogsによると、12枚ぐらい
のアルバムと、54枚ぐらいのシングル盤
をリリースしているのが、このAlborosie
という人です。

アーティスト特集 Alborosie (アルボロジー)

The Wailers United(The Wailers Band)
は、元々はBob Marleyのバック・バンドと
してベースのAston 'Family Man' Barrett
とドラムのCarlton Barrettのリズム隊を
中心に、The Wailersとして活動していた
バンドです。
ところが81年にBob Marleyがガンで死去
してしまいます。
残された彼らはAston 'Family Man'
Barrettを中心にThe Wailers Bandとして
Glen DacostaやAlpha Blondyなどさまざま
なアーティストのバックを務めたり、
バンドのアルバムを作ったりして地道に
活動を続けているんですね。

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Alpha Blondy And The Wailers ‎– Jérusalem (1986)

珍しいところでは、あのジョー山中さん
の82年のアルバム「Reggae Vibration」
でバックを務めています。
さらにネットのWikipediaの記述を見る
と、83年に「Reggae Vibration 2」、
84年に「Reggae Vibration 3」と、
このシリーズは3作作られているよう
です。
(ただしネットのDiscogsには、残りの
2作についてはバックのメンバーが書かれ
ていないので、本当にThe Wailersだった
かは多少怪しいです。)

Joe Yamanaka and The Wailers - Reggae Vibrations


今回のアルバムではオリジナル・メンバー
はAston 'Family Man' Barrettのみで、
彼の息子のAston Barrett Jr.やTyrone
Downie、Junior Marvinがメンバーとして
参加しています。

ネットのDiscogsによると、26枚ぐらい
のアルバムと、27枚ぐらいのシングル盤
をリリースしているのが、この
The Wailers Bandです。

The Wailers Band - Wikipedia

今回のアルバムは2018年にUKの
Greensleeves Recordsからリリースされた
Alborosie Meets The Wailers Unitedの
アルバムです。

プロデュースとアレンジはAlborosie本人
で、バックはAlborosieとThe Wailers
Unitedが担当したアルバムで、Raging
FyahやJah Cure、Chronixx、Beres
Hammond、J Boogなど、最近のルーツ・
リヴァイヴァルのアーティストから
ヴェテランまで多彩なゲストも参加した
アルバムで、ヘヴィ・メタ・グループ
Metallicaのカヴァー曲1曲目
「The Unforgiven」のような遊び心ある曲
も含まれた、グルーヴ感溢れるルーツ・
サウンドが堪能出来るアルバムに
仕上がっています。

手に入れたのはGreensleeves Recordsから
リリースされたCD(新盤)でした。

ちなみにタイトルの「Unbreakable」の
意味をネットの翻訳機能などで調べると、
「破られない」や「壊れない」などの意味
のようです。

全14曲で収録時間は約50分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced & Arranged by Alborosie
- except track 12 produced by Aston Barrett Jr
Recorded by Alborosie at Shengen Studio, Kingston, Jamaica
Additional recordings by Aston Barrett Jr at Bad Lion Studio, Miami, Florida
Assistant engineer: Charles Kennedy
All tracks mixed by Alborosie
- except tracks 12 by Greg Morris
Additional mixes: Greg Morris
Mastered by Chris Athens

Musicians:
Drums: Aston Barrett Jr
Bass: Aston Barrett Jr, Aston 'Family Man' Barrett, Alborosie
Keyboards: Tyrone Downie, Alborosie
Guitars: Junior Marvin, Alborosie

Additional Musicians:
Accoustic guitars, Metal guitars (track 1): Valter Vincenti
Percussion: Ector 'Roots Percussionist' Lewis, Sidney 'Congo Billy' Watson
Saxophone: Dean Fraser, Kemroy Bonfield
Trumpet: Hopeton Williams
Trombone: Mark Robinson
Background Vocals: Nicole 'Nikky' Burt, Carol Dexter, Sandy Smith
'Wailing Dub' speech: Benzly Hype

Executive-Producer: Christopher Chin, Ryan Dillon
Project assistant: Robert Fisher
Project Supervisor: Frenchie for Maximum Sound
Project Coordinators: Chris O'Brien, Aaron Talbert
Cover concept & Design: Fabio Berton for Yo Clas
Additional design: Tony McDermott
Alborosie Photographs by William Twort

となっています。

プロデュースとアレンジはAlborosieで、
12曲目「One Chord」のみプロデュース
がAston Barrett Jrとなっています。
Alborosieのレコーディングはジャマイカ
のキングストンにあるAlborosieの
スタジオShengen Studioで行われ、追加
録音のAston Barrett Jrのレコーディング
はフロリダのマイアミにあるBad Lion
Studioで行われています。
アシスタント・エンジニアはCharles
Kennedy。
すべてのミックスはAlborosieが担当して
いますが、12曲目「One Chord」のみ
ミックスがGreg Morrisとなっています。
また追加のミックスもGreg Morrisが担当
しています。
マスターはChris Athens。

ミュージシャンはドラムにAston Barrett
Jr、ベースにAston Barrett JrとAston
'Family Man' Barrett、Alborosie、
キーボードにTyrone DownieとAlborosie、
ギターにJunior MarvinとAlborosieという
布陣です。
Alborosieはシンガーとプロデューサーと
してよく知られていますが、いろいろな
楽器を演奏出来るマルチ・プレイヤーと
しても知られている人なんですね。

気になったのはギターのJunior Marvin
(本名:Donald Hanson Marvin Kerr
Richards Jr.)という人で、この人は
あの「Police & Thieves」などで知られる
Junior Murvin(本名:Murvin Junior
Smith)とは別の人のようです。
よく見れば「a」と「u」の違いがあるの
ですが、私は長い事この2人が同一人物
だと混同していました。
このJunior MarvinはBob Marley & The
Wailersの後期のアルバム「Kaya」などに
も参加しています。

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Bob Marley & The Wailers ‎– Kaya

ゲスト・ミュージシャンは
アコースティック・ギターと1曲目
「The Unforgiven」のメタル・ギターに
Valter Vincenti、パーカッションに
Ector 'Roots Percussionist' Lewisと
Sidney 'Congo Billy' Watson、サックス
にDean FraserとKemroy Bonfield、
トランペットにHopeton Williams、
トロンボーンにMark Robinson、バック
グラウンド・ヴォーカルにNicole 'Nikky'
BurtとCarol Dexter、Sandy Smith、
8曲目「Wailing Dub」のスピーチに
Benzly Hypeというメンバーです。

エグゼクティブ・プロデューサーに
Christopher ChinとRyan Dillon、
プロジェクト・アシスタントにRobert
Fisher、プロジェクト・スーパー
ヴァイザーにMaximum SoundのFrenchie、
プロジェクト・コーディネイターに
Chris O'BrienとAaron Talbert、
カヴァー・コンセプトとデザインは
Yo ClasのFabio Berton、追加のデザイン
はTony McDermott、Alborosieの写真は
William Twortが担当しています。

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裏ジャケ

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小冊子表紙

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小冊子中写真

またアルバムに付いていた小冊子には、
Alborosieの次のような言葉が書かれて
いました。

This album is dedicated to the memory of:
Ale 'the Original Drummer' Soresini and
Cleveland Smith - gone but not forgotten
- "We are the UNBREAKABLE"

《このアルバムはAle 'the Original
Drummer' SoresiniとCleveland Smithの
想い出に捧げられます: 彼らは亡く
なったが決して忘れない - 「我々は、
けっして壊れないものである」》

調べてみるとAle 'the Original
Drummer' SoresiniはAlessandro Soresini
という人のようで、イタリアのドラマーで
シンガーだった人のようです。
ネットのDiscogsで調べると、Alborosie
とはSmokeというグループの2008年の
アルバム「Routes」で共演しているん
ですね。
2017年の8月14日に亡くなっている
ようです。
おそらくAlborosieのイタリア時代からの
友人であったのではないかと思われます。

もうひとりのCleveland Smithについては
解りませんでしたが、おそらく亡くなった
友人なのではないかと思われます。
そうした友人に対して、我々は
「Unbreakable」であると、タイトルに
して捧げたのが今回のアルバムなんです
ね。
そこにこのAlborosieという人の、男気
溢れる熱い心情がうかがえます。

さて今回のアルバムですが、この
The Wailers Unitedというバンドはある
意味Bob Marleyが70年代に行っていた
ルーツ・レゲエのサウンドを現代まで継承
しているバンドで、そのグルーヴ感溢れる
サウンドはなかなか魅力的です。
このAlborosieという人の力もあって、
ルーツ・レゲエを現代に蘇らせたサンドは
すごく聴き応えがあり、内容はとても良い
と思います。

このThe Wailers Bandですが、正直Bob
Marleyの死後はほぼ表舞台からは消えた
バンドで、私自身もこのバンドの事は高く
評価していませんでした。
ところが今回のアルバムなどを聴くと、
そのユッタリとうねるようなルーツ・
サウンドはなかなか魅力的。
これにはルーツ・レゲエを愛する
Alborosieのプロデューサーとしての功績
は、無視できないところだと思います。
彼らThe Wailers Unitedの演奏する
ルーツ・サウンドに、Alborosieは
プロデューサーとして背骨を1本通して
いるんですね。
それによって往年のBob Marley &
The Wailersのあのグルーヴ感のある
ルーツ・サウンドが、見事なほどに蘇って
います。

またヘヴィー・メタル・バンドMetallica
のカヴァー曲1曲目「The Unforgiven」
が入っているのも注目点で、そうした
ところにAlborosieの遊び心を感じます。
この曲を入れたのは、何か亡き友への
想い出と関係があるのでしょうか?
このRaging Fyahとの共演曲は、
ヘヴィー・メタルの感覚を残しながらも
見事なレゲエ・カヴァーとなっています。

この1曲目をはじめ、多くのアーティスト
をゲストに招いているのもこのアルバムの
特徴で、それがこのアルバムのサウンドを
より豊かなものにしています。
2曲目「Mystical Reggae」はJah Cureと
の共演曲で、ユッタリしたレゲエのリズム
にAlborosieとJah Cureが絡み合う魅力的
な曲。
5曲目「Contradiction」はルーツ・
リヴァイヴァルの中心人物の一人と目され
るChronixxとの共演曲です。
こちらもゆったりとしたワン・ドロップ
に、Chronixxの特徴的なヴォーカルと
Alborosieのしゃがれたヴォーカルとの
絡みが面白い曲です。
7曲目「Too Rock」はベテランのBeres
Hammondとの共演です。
こちらは往年のThe Wailersを彷彿とさせ
るようなちょっとロックがかったバックと
女性コーラスに、Beres Hammondと合間
良く入れ替わるヴォーカルが素晴らしい曲
です。
そして11曲目タイトル曲の
「Unbreakable」は、アイランド・レゲエ
の雄J Boogとの共演曲です。
こちらはドラマチックなピアノとギターの
メロディに、イイ感じに絡み合う息の
合ったヴォーカルが魅力の1曲。

こうして共演曲だけを追いかけてみても、
ルーツ期から活躍するベテランのBeres
Hammondから、200年代のから活躍する
Jah Cure、2010年代のルーツ・
リヴァイヴァルの時代に登場して来た
Raging FyahやChronixx、さらには
アイランド・レゲエとして登場した
サモア人のJ Boogと、Alborosieの幅広い
人脈が垣間見える人選となっています。
そこにはすでに「レゲエの顔」となった彼
の、ルーツを愛する人々に対する深い想い
が垣間見えます。

亡き友への想い、永くルーツ・バンドと
して活躍し続けている人達への想い、
そして同じルーツ・ミュージックを愛する
人達への想いが結実したアルバムで、
聴けば聴くほど味わい深い、好内容の
アルバムとなっています。

1曲目はRaging Fyahとの共演曲「The
Unforgiven」です。
書いたようにヘヴィー・メタル・バンド
Metallicaのカヴァー曲です。
ちょっと不穏な空気を感じさせるような
アコースティック・ギターからメタル・
ギターへと切り替わるイントロ、ちょっと
しゃがれたAlborosieのヴォーカルに、
もう少し通りの良いRaging Fyahの
リード・ヴォーカルKumar Bentの
ヴォーカル…。
ヘヴィ・メタのバラード曲の香りを残し
ながらも、見事なほどにレゲエ・バラード
に昇華しています。

Alborosie ft. Raging Fyah - The Unforgiven (Metallica Cover) | Official Audio


2曲目はJah Cureとの共演曲「Mystical
Reggae」です。
バックのThe Wailers Unitedのロック色
のある鳴きのギターの演奏に、感情を
うまく乗せたJah CureとAlborosieの
ヴォーカルが、とてもこちよいグルーヴ感
を作り上げています。
最近のレゲエはこうしたアーティスト同士
のコラボのウマさが、ひとつの大きな魅力
になっているんですね。
この包み込まれるようなグルーヴ感は、
確実にヤラレます(笑)。

3曲目は「Lie」です。
キーボードとズシっとしたべ巣を中心と
したワンドロップのメロディ、滑らかに
歌うAlborosieのヴォーカル。

4曲目は「Live Conscious」です。
心地良いドラミングからキーボードの
メロディ、Alborosieらしい男臭い
ヴォーカルに優しい女性コーラス。
やはりバックがThe Wailers Unitedの
せいか、女性コーラスが入るとBobの
居た時代のThe Wailersを彷彿とさせる
ものがあります。

5曲目はChronixxとの共演曲
「Contradiction」です。
ギターとベースを中心としたユッタリと
したワン・ドロップのリズムに、Chronixx
の軽快なヴォーカルとAlborosieの
しゃがれた歌声とのコラボが、すごく
気持ちの良い曲です。
Chronixxのヴォーカルが入ると、一気に
ルーツ・リヴァイヴァルの匂いがするのが
面白いところ。
後半のホーン・セクションも、なかなか
良いです。

Alborosie - Contradiction (Feat. Chronixx)


6曲目は「Mission」です。
特徴的なキーボードに、Alborosieの男
臭いしゃがれたヴォーカルが魅力的。

7曲目はBeres Hammondとの共演曲
「Too Rock」です。
明るいギターを中心としたメロディに、
女性コーラスに乗せたAlborosieと
Beres Hammondの文字通りにロックな
ヴォーカルがとても心地良い曲です。
実に気持ちの良いヴァイブを持った1曲。

8曲目は「Wailing Dub」です。
心地良いパーカッションにキーボードの
メロディ、大きく吸い込む息に語り
(スピーチ)…。
語りはBenzly Hypeという人か?
息抜き的な遊び心のある、1分42秒の曲
です。

9曲目は「Table Has Turned」です。
ギターとホーン・セクション、ピアノの
メロディに、語るようにユッタリとした
Alborosieのヴォーカルに女性コーラス。
とても心地良いグルーヴ感のある曲です。

10曲目は「Youth Like Me」です。
心地良いギターのメロディに、ノビノビ
と歌うAlborosieのヴォーカルに女性
コーラス。

Youth Like Me


11曲目はJ Boogとの共演の表題曲
「Unbreakable」です。
キーボードとギターのメロディに、
Alborosieのダミ声とJ Boogのよく通る
ヴォーカルが絡み合う曲です。
遅れて入って来るホーンも、良い味を
出しています。

12曲目は「One Chord」です。
キーボードにギター、ホーンのイントロ
から、ドスの効いたベースを軸とした演奏
に乗せたAlborosieのヴォーカル。
ちょっと遊び心の効いた1曲。

13曲目は「Under Control」です。
心地良いドラミングにギターのメロディ、
Alborosieの男らしいヴォーカルに
コーラス・ワーク…。
イイ感じのアコースティック・ギターも
効いた1曲。

Under Control


14曲目は「Famsdub (Outro)」です。
刻むようなギターとキーボードのメロディ
に心地良いパーカッションの、1分37秒
と短めなインスト曲です。

ざっと追いかけてきましたが、今回の
The Wailers Unitedとの共演はまるであの
Bob Marley & The Wailersの70年代の
活躍が現代に蘇ったような気にさせて
くれる、Bob Marleyがやっていたレゲエと
ロックが融合したような「ルーツ・
ロック・レゲエ」サウンドで、そこに完全
にヤラレてしまいます。

そこにChronixxのような若い才能のある
アーティストやBeres Hammondのような
ベテランも加えて、さらにそのサウンドに
コクのある奥深さをプラスした、聴けば
聴くほど味わいが出て来る素晴らしい
アルバムに仕上がっています。

ルーツ・レゲエを心から愛するAlborosie
ならではのアルバムで、こうしたレゲエを
愛する人が居る以上はレゲエという音楽は
けっして壊れる事はない、それを指し
示したアルバムではないかと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Alborosie Lie



○アーティスト: Alborosie Meets The Wailers United
○アルバム: Unbreakable
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2018

○Alborosie Meets The Wailers United「Unbreakable」曲目
1. The Unforgiven - feat. Raging Fyah
2. Mystical Reggae - feat. Jah Cure
3. Lie
4. Live Conscious
5. Contradiction - feat. Chronixx
6. Mission
7. Too Rock - feat. Beres Hammond
8. Wailing Dub
9. Table Has Turned
10. Youth Like Me
11. Unbreakable - feat. J Boog
12. One Chord
13. Under Control
14. Famsdub (Outro)