今回はDillingerのアルバム

dillinger_05a

「Cocaine」です。

Dillinger(本名:Lester Bullock)は
70年代のルーツ・レゲエの時代から活躍
するディージェイです。
ディージェイを始めた当初は「ヤング・
アルカポーン」と名乗るほど、当時の人気
ディージェイDenis Alcaponeに憧れて
いた彼でしたが、プロデューサーの
Lee Perryに「お前はヤング・アルカポーン
じゃない!Dillingerだ!」と言われ、
この名前に改名しています。
75年にSutudio Oneレーベルから
「Ready Natty Dreadie」というアルバム
でアルバム・デビューし、その後も
「Cocaine In My Brain」などの数々の
ヒットを飛ばし、独自のステッパーズ・
スタイルのトースティングで人気を博した
のが、このDillingerというディージェイ
です。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て23枚ぐらいのアルバムと、234枚
ぐらいのシングル盤をリリースしているの
が、このDillingerという人です。

アーティスト特集 Dillinger (ディリンジャー)

Dillinger (musician) - Wikipedia

dillinger_04a
Dillinger ‎– Ready Natty Dreadie:Ten To One (1975)

今回のアルバムは1983年にUKの
New Cross Recordsというレーベルから
リリースされた、Dillingerがそれまでに
リリースしたヒット曲「Cocaine In My
Brain」や「Jah Love」、「Marijuana
In My Brain」などを集めたコンピュ
レーション・アルバムです。

全9曲とコンピとしては曲数は少ないです
が、5分や4分を超えるロング・
ヴァージョンの曲が多く、特に2曲目
「Jah Love」は前半がディージェイ、後半
がダブの7分51秒にも及ぶ大曲で、
Dillingerというディージェイの魅力を
うまく引き出したアルバムとなっていま
す。

手に入れたのはCharly Recordsという
レーベルからリリースされたCDの中古盤
でした。

ちなみに今回のアルバムはタイトルが
「コカイン」で、他にもマリファナに
ついて歌った曲などもありますが、私は
そうした薬物に手を出す事は非常に危険
だと考えています。
マリファナは安全だと考える意見もある
ようですが、幻覚を見るようなものが安全
なはずは無いんですね。
一度快楽を覚えてしまって脳が壊れると、
人間は弱く、元に戻れなくなる可能性が
高いんですね。
薬物にはけっして手を出さないでくだ
さい。

全9曲で収録時間は約42分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Larry Sevitt and Webster Shrowder for Valdene
Productions

Drums: Sly Dunbar, Santa, Benbow
Bass: Robbie Shakespeare, Lloyd Parks, Family Man, Ranchie
Guitar: Earl Chinna, Bowpee, Tony Chin, B. Calfat
Keyboards: Ancell Collins, Winston Wright, Keith Sterling,
Touter, O. Hibbert, Ken Elliot
Horns: Tommy McCook, Vin Gordon, Bobby Ellis
Percussion: Mike, Skully, Gene, Sticky
Backing Vocals: Trinity, Sugar Minott, Clint Eastwood

Recorded at Channel One, Dynamic, King Tubby's, Joe Gibbs
and Harry J in Jamaica
T.P.A, T.M.C. and Chalk Farm in London

となっています。

プロデュースはLarry SevittとWebster
Shrowder。

ミュージシャンはドラムにSly Dunbarと
Crlton 'Santa' Davis、Benbow Creary、
ベースにRobbie ShakespeareとLloyd
Parks、Aston 'Family Man' Barrett、
Bertram 'Ranchie' McLean、ギターに
Earl 'Chinna' SmithとWinston 'Bowpee'
Bowen、Tony Chin、B. Calfat、
キーボードにAncell CollinsとWinston
Wright、Keith Sterling、
Bernard 'Touter' Harvey、Ossie Hibbert、
Ken Elliot、ホーンにTommy McCookと
Vin Gordon、Bobby Ellis、
パーカッションにMikeとNoel 'Scully'
Simms、Gene、Uziah 'Sticky' Thompson
という布陣です。

ギターに名前のあるB. Calfatは
Phil Prattのアルバムなどでよく
メロディカを吹いているBobby Kalphatの
ようです。

レコーディングはジャマイカのChannel One
やDynamic、King Tubby's、Joe Gibbs、
Harry J、ロンドンのT.P.AやT.M.C.、Chalk
Farmなどのスタジオで行われています。

ジャケット・デザインなどに対する記載は
ありません。
ジャケットの写真はマリファナの煙を連想
させる、煙の中にたたずむ若いDillinger
の写真が使われています。

さて今回のアルバムですが、これが単なる
コンピュレーションとは思えないほど、
内容の良いアルバムなんですね。

このDillingerはこの時代のルーツ・
ディージェイの中でもヤバい空気感が一番
強い人で、その危険な香りがすごく魅力的
な人です。
特に今回のアルバムに収められた
「Cocaine In My Brain」は、セカンドと
思われる76年のアルバム「CB 200」に
収められた当時の彼の代表曲で、ヤバい
香りムンムンの曲です。

dillinger_01a
Dillinger ‎– CB 200 (1976)

ディリンジャー(Dillinger) - Cocaine In My Brain - リリック - 1978

コカインでラリった状態で友人のジムに
語りかける内容で、ニューヨークのスペル
はと問いかけて、「ナイフにフォーク、
ボトルにコーク」と答えるその内容は、
…完全に薬物中毒者…かなりかなりヤバい
です…(苦笑)。

この「Cocaine In My Brain」は当時の
ルーツ・レゲエの時代の中でもかなり
「縦ノリ」の曲で、そのピョンピョンと
飛び跳ねるような縦ノリのステッパー・
スタイルが、このDillingerの
ディージェイ・スタイルにすごく合って
いたんですね。

面白いのはその縦ノリのスタイルの1曲目
「Cocaine In My Brain」から、9曲目
「Marijuana In My Brain」へと移って
行く過程で、曲が徐々にユッタリとした
「横ノリ」へと変化して行くんですね。
このあたりの選曲が見事で、私はこの
アルバムを調べるまで、このアルバムの曲
が一度に録られたアルバムだと思っていま
した。
勢いのあるスッテパーズ・スタイルの
縦ノリから、徐々にユッタリとしたレゲエ
らしい横ノリに変化して行く構成は見事
で、まるでトータル・アルバムのように
感じられるほど、うまく練られた選曲なん
ですね(笑)。

レゲエではオリジナル・アルバムでも
雑な構成のものもあるのですが、この
トータル感のある構成は高く評価したい
ところです。

また1曲1曲もとても選び抜かれた曲が
揃っているのも魅力。
2曲目は「Jah Love」は彼の77年の
アルバム「Talkin' Blues」に入っている
曲で、前半がトースティング後半が
Tommy McCookのフルートなどによる
インストに近いダブのディスコ・
ミックス・スタイルの曲で、このアルバム
の中でも一番長い7分51秒にも及ぶ力作
です。
さらにはファンク色の強い3曲目「Funkey
Punk」や、Leroy Smartの代表曲
「Happiness Is My Desire (Mr. Smart)」
を使った4曲目「Mickey Mouse Crab
Louse」、Slim Smith & The Uniquesの
ロックステディのヒット曲
「My Conversation」リディムの5曲目
「I Thirst」、Dobby Dobsonのロック
ステディの同名ヒット曲リディムの6曲目
「Loving Pauper」、Dennis Brownの
「Have No Fear」リディムの7曲目
「Flat Foot Hustlin」、最後はユッタリ
とした横揺れのリズムに乗せた9曲目
「Marijuana In My Brain」と、徐々に
リズムが変化して行く、捨て曲無しの
魅力的なアルバムに仕上がっています。

1曲目は「Cocaine In My Brain」です。
Dillingerの代表曲ともいえる曲で、
ベースとギター、ピアノのメロディに、
Dillingerのヤバイ匂いプンプンのトース
ティングが見事な曲です。
縦ノリのステッパーズ・スタイルがとても
カッコいいです。

Dillinger - Cocaine In My Brain


2曲目は「Jah Love」です。
リディムはジャズのDave Brubeckの名曲
「Take Five」です。
ここの曲は77年のアルバム「Talkin'
Blues」に入っています。
リズミカルなドラミングにズシっとした
ベース、Dillingerの流れるようなトース
ティングがすごくカッコいいです。
後半はダブのディスコ・ミックス・
スタイルで、Tommy McCookのフルートなど
が入った演奏もかなりシビれます。

Dillinger - Jah Love


3曲目は「Funkey Punk」です。
こちらはキーボードなどを使った、かなり
ファンク色の強い楽曲です。

Dillinger - Funky Punk


4曲目は「Mickey Mouse Crab Louse」
です。
Leroy Smartの代表曲「Happiness Is My
Desire (Mr. Smart)」を使った曲のよう
です。
華やかなホーンにLeroy Smartの
ヴォーカル、Dillingerの弾けたトース
ティングが魅力。

Ranking Dillinger - Mickey Mouse Crab Louse


5曲目は「I Thirst」です。
リディムはSlim Smith & The Uniquesの
ロックステディのヒット曲
「My Conversation」。
キーボードの浮遊感にあるサウンドに
不思議な唸り声(?)、リリカルなピアノ
にズシっとしたベースとギター、表情豊か
な様々な叫び声、Dillingerののユッタリ
としたトースティング。

リズム特集 My Conversation (マイ・カンバセーション)

6曲目は「Loving Pauper」です。
リディムはロックステディの時代の
Dobby Dobsonの同名ヒット曲です。
ズシっとしたベースにキーボードの
メロディ、コーラス、ヴォーカルに
コーラス・ワーク、かなり遅れて入って
来るDillingerの味のあるトース
ティング。

Dillinger - Loving Pauper


7曲目は「Flat Foot Hustlin」です。
リディムはDennis Brownの「Have No
Fear」。
ホーンのメロディに途切れ途切れに入って
来るDennis Brownのヴォーカル、味わい
深いDillingerのトースティング、ズシっ
としたベースが効いた曲です。

Dillinger - Flat Foot Hustling (Reggae)


8曲目は「Crabs In My Pants」です。
ベースとピアノ、キーボードを中心とした
メロディに、ノビノビとしたDillingerの
トースティングが魅力の曲です。

9曲目は「Marijuana In My Brain」
です。
キーボードの浮遊感のあるメロディに、
ヨロヨロと頼りない感じのDillingerの
トースティング。

Dillinger ♬ Marijuana In My Brain (1983)


ざっと追いかけてきましたが、いかにも
Dillingerらしいルーディーな危険な空気
感が魅力的なアルバムで、単なる
コンピュレーションとは思えない充実した
魅力的なアルバムに仕上がっています。

ルーツ・レゲエの時代に独特の縦ノリの
ステッパーズ・スタイルで人気を博した
このDillingerは、やはりこのルーツの
時代の音楽を聴く上では外せない
ディージェイなんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Dillinger
○アルバム: Cocaine
○レーベル: Charly Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1983

○Dillinger「Cocaine」曲目
1. Cocaine In My Brain
2. Jah Love
3. Funkey Punk
4. Mickey Mouse Crab Louse
5. I Thirst
6. Loving Pauper
7. Flat Foot Hustlin
8. Crabs In My Pants
9. Marijuana In My Brain