今回はThe Revolutionaries (G.G.'s
All Stars)のアルバム

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「Macca Rootsman Dub」です。

今回のアルバムはThe Revolutionaries
の名義となっていますが、 実際には
Alvin Ranglinが主催するG.G. Records
のダブを集めたアルバムで、G.G.'s All
Starsという名義の方が正しいのかと思い
ます。

ただ念のために書いておくと、
The Revolutionariesという記述も
まったく間違いとは言い切れないんです
ね。
実際にこのアルバムに参加している
ミュージシャンを見ると、
The Revolutionariesとほとんど変わら
ないメンバーなんですね。

それにこの70年代のレゲエを作っていた
頃のジャマイカの音楽事情があって、当時
は同じミュージシャンがいろいろな
バック・バンドで演奏していたんですね。
例えば同じミュージシャンが演奏していて
も、Channel OneのHookim兄弟の元で演奏
する時はThe Revolutionariesという名義
になり、プロデュサーのBunny Leeの元で
演奏する時にはThe Aggrovatorsという
名義になるという具合で、依頼する
プロデューサーによってバンド名を使い
分けていたんですね。
そういう70年代のジャマイカの音楽事情
があるので、今回はG.G. Recordsの
Alvin Ranglinのダブなので、本来の
バンド名はG.G.'s All Starsというのが
一番正しいように思います。

ただ今回のアルバムのリリースが70年代
をだいぶ過ぎた95年なので、ルーツ期の
バック・バンドとして知名度のある
The Revolutionaries名義にあえてして
いるのでしょう。
まあレコーディングがChannel Oneだし、
エンジニアでErnest Hookimが参加して
いるので必ずしも間違いではないのです
が…。

こうしたルーツ期を過ぎてから出た
アルバムでは、あえてルーツ期のバンド
として知名度の高いThe Revolutionaries
の名義にしたものがけっこうあります。
おそらくこのあたりの音源を集めている
人はよく解ると思いますが、
The Revolutionaries名義のアルバムは
純粋にThe Revolutionariesのものと
そうでないものが混ざっていて、履歴が
混とんとしているんですね。

The Revolutionaries - Wikipedia

Alvin Ranglinについても書いておくと、
70年代のルーツ・レゲエの時代に自身の
レーベルG.G. Recordsで活躍したプロデュー
サーです。
このG.G. Recordsのトップ・スターは
ヴォーカル・デュオのThe Maytonesで、
他にBig YouthやFreddy McKay、Starlights
など多くのミュージシャンをプロデュース
しています。

Alvin Ranglin - Wikipedia

今回のアルバムは1995年にオランダの
Dr. Buster Dynamiteというレーベルから
「Genesis 1-50 Dub」というタイトルで
リリースされた、Alvin Ranglinの
G.G. Recordsの70年代のダブを集めた
コンピュレーション・アルバムです。
それが1999年にポルトガルのJamaican
Goldというレーベルから再リリースされる
際に、今回の「Macca Rootsman Dub」と
いうタイトルに改題されたんですね。

プロデュースはAlvin Ranglinで、選曲は
Aad Van Der Hoekが行ったアルバムで、
金属音やヤギの鳴き声、サルの鳴き声など
のエフェクトが多用されたアルバムで、
Gregory Isaacsの「My Nunber One」を元
にした「Seventh Day Of Creation Dub」
など、明るく楽しいダブが数多く収め
られたアルバムとなっています。

手に入れたのはJamaican Goldから
リリースされたCDの中古盤でした。

ちなみに今回のアルバムは「Willow Tree」
や「My Nunber One」、「Special Guest」
など、Gregory Isaacsが70年代に
G.G. Recordsに残した音源が多く使われて
います。
彼のG.G. Recordsに残した音源は78年に
「The Best Of Gregory Isaacs」(92年
に「Willow Tree」と改題されて再発)、
90年に「My Number One 」など、ベスト
盤がいくつか作られています。

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Gregory Isaacs ‎– Willow Tree (1992)

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Gregory Isaacs ‎– My Number One (1990)

Gregory Isaacsは非常に人気のある
シンガーだったので、ベスト盤だけでも
100種類以上あるシンガーだったんです
ね。

全16曲で収録時間は約58分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Alvin Ranglin
Recorded and mixed at Channel One Studio, Kingston, Jamaica
Recording engineers: Ernest Hookim, Lancelot McKenzie,
Stanley Bryan, Anthony Hamilton, Anthony Graham
Song selection by: Aad Van Der Hoek
Concept front cover CD: Aad Van Der Hoek

Musicians:
Drums: Lowell 'Sly' Dunbar, Mikey 'Boo' Richerds,
Stanley 'Barnabas' Bryan, Carlton 'Santa' Davis
Bass: Robert 'Robbie' Shakespeare, Errol 'Flabba' Holt,
Bertram 'Ranchie' McLean
Guitar: Rad 'Dougie' Bryan, Winston 'Bo-Peep' Bowen,
Mikey 'Mao' Chung
Organ: Ansel 'Pinkie' Collins, Errol 'Tarzan' Nelson,
Winston Wright
Piano: Gladstone 'Gladdie' Anderson, Theophilius 'Snappin' Beckford
Percussion: Uzziah 'Sticky' Thompson, Christpher 'Sky Juice' Burtt,
Noel 'Skully' Simms
Horns: Bobby Ellis, Tommy McCook, Herman Marquis,
Dean 'Youth Sax' Fraser, Headley 'Deadly' Bennett,
Vincent 'Trommie' Gordon

となっています。

プロデュースはAlvin Ranglinで、
レコーディングはジャマイカのキング
ストンにあるChannel One Studioで行わ
れ、レコーディング・エンジニアは
Ernest HookimとLancelot McKenzie、
Stanley Bryan、Anthony Hamilton、
Anthony Graham、選曲はAad Van Der
Hoekで、CDのジャケット・コンセプト
もAad Van Der Hoekとなっています。

おそらくこのAad Van Der Hoekという人
が、元のアルバムを作ったオランダの
Dr. Buster Dynamiteというレーベルの人
なのかなと思います。

ミュージシャンはThe Revolutionaries
というよりも、G.G. Recordsのバックの
録音の為に集められたので、G.G.'s All
Starsの方が正しいのかなと思われます。
ドラムにLowell 'Sly' DunbarとMikey
'Boo' Richerds、Stanley 'Barnabas'
Bryan、Carlton 'Santa' Davis、ベース
にRobert 'Robbie' ShakespeareとErrol
'Flabba' Holt、Bertram 'Ranchie'
McLean、ギターにRad 'Dougie' Bryanと
Winston 'Bo-Peep' Bowen、Mikey 'Mao'
Chung、オルガンにAnsel 'Pinkie'
CollinsとErrol 'Tarzan' Nelson、
Winston Wright、ピアノにGladstone
'Gladdie' AndersonとTheophilius
'Snappin' Beckford、パーカッションに
Uzziah 'Sticky' ThompsonとChristpher
'Sky Juice' Burtt、Noel 'Skully'
Simms、ホーンにBobby EllisとTommy
McCook、Herman Marquis、Dean 'Youth
Sax' Fraser、Headley 'Deadly' Bennett、
Vincent 'Trommie' Gordonという布陣
です。
ミュージシャンの数がかなり多いですが、
いろいろな音源からセレクトしたダブだ
という事が解ります。

ジャケットはアフリカ大陸の形の中に
ライオンの写真とモノクロで2人の人物
が描かれていて、上に
「The Revolutionaries」の文字、左下に
「Macca Rootsman Dub」の
文字が入っています。
注目はモノクロで描かれた2人の人物で、
この人物は78年にジャマイカの
GG's Recordsからリリースされた
The Revolutionaries & GG's All Stars
名義のアルバム「The Three Dreads From
Zion Dub」のジャケットに描かれた3人
のドレッド(賢者?)の絵柄から2人を
取り出したものなんですね。
こちらもAlvin Ranglinがプロデュース
で、Channel Oneで録音されたダブ・
アルバムなんですね。

ちなみにこの78年にはAlvin Ranglinが
プロデュースで、Channel Oneで録音され
たダブ・アルバム「Roots Man Dub」も
GG's Records傘下のHitというレーベル
からリリースされています。

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The Revolutionaries ‎– Roots Man Dub (1978)

こちらはジャケットには名義が表記されて
いないのですが、ネットで見ると
The Revolutionaries名義になっていた
り、G.G.'s All Stars名義になっていたり
します。
おそらくこの78年当時で
The Revolutionariesはかなりの有名
バンドで、G.G.'s All Starsよりは通り
が良いので、そちらの名義でアルバムが
リリースされていたのかもしれません。

この78年には他にもLinval Thompsonが
プロデュースしたThe Revolutionaries
名義のアルバム「Negrea Love Dub」など
も作られています。

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Linval Thompson, The Revolutionaries - Negrea Love Dub (1978)

さて今回のアルバムですが、金属音や
ヤギの鳴き声、サルの鳴き声などの特徴的
なエフェクトが多用されたダブで、非常に
快楽性の高い楽しいダブ・アルバムに
仕上がっていると思います。

The Revolutionariesというと、Joseph
Hookimがプロデュースし、Ernest Hookim
がミックスした76年のダブ・アルバム
「Revolutionary Sounds」(通称
白ゲバラ)などが有名ですが、あまり
エフェクトなどは使用せずにインストに
近い禁欲的なダブがこの
The Revolutionariesのダブの特徴だった
んですね。

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The Revolutionaries ‎– Revolutionary Sounds (1976)

ただこの78年ぐらいになると、それとは
違ったエフェクトなどを多用した
The Revolutionaries名義のダブが登場
して来るようになります。
そうしたアルバムを細かく調べてみると、
プロデュースがAlvin Ranglinであったり
とか、Linval Thompsonであったりとか
しているんですね。
それのアルバムはJoseph Hookimが
プロデュースし、Ernest Hookimが
ミックスした禁欲的なダブとは、音の方向
性が明らかに違うんですね。
ダブという音楽はプロデューサーや
ミキサーのし好などでかなりサウンドが
変わる音楽ですが、同じように
The Revolutionariesという名前が付いて
いてもどれだけサウンドが違うのか?聴き
較べてみるのも、このダブという音楽の
楽しみのひとつなんですね。
そういう意味では、純粋に
The Revolutionariesのダブではなくても、
こういうアルバムを聴いてみる方が、より
The Revolutionariesのダブというものが
解って面白いんですね。

ちなみにあのプロデューサーのBunny Lee
が「Ernest Hookimは今まで一度の正当な
評価を受けた事が無い」と語っている
ほど、Ernest Hookimのミックスは単なる
インストと見られがちで、あまり評価
されていなかったんですね。
ダブというとやはりあのLee Perryの
「Super Ape」のように派手なエフェクト
やエコーやリバーヴなどをかけたものが
人気で、Ernest Hookimのような禁欲的な
ダブが評価されるようになったのは、
ずっと後年になってからの事だったんです
ね。

ダブ - Wikipedia

話を戻しますが、今回のアルバムは
プロデュースがAlvin Ranglinで、選者の
Aad Van Der Hoekという人の好みも反映
してか、金属音やヤギの鳴き声、サルの
鳴き声などかなり派手目のエフェクトの
効いた、華やかで楽しいダブ・アルバムに
仕上がっています。
おそらくこうしたダブが作られたのは
70年代後半ぐらいではないかと思われ
ますが、その頃はこうしたエフェクトを
多用したダブが人気だったんですね。
Ernest Hookimの作る禁欲的なダブとは
だいぶ趣きが違いますが、ある意味多くの
人がイメージするエフェクトを多用した
ダブらしいダブで、内容的にはかなり楽し
めるアルバムとなっています。

1曲目は「Dub Under The Mamre Tree」
です。
Gregory Isaacsの「Philistines」という
曲のダブです。
ギターとベースを中心としたリズミカルな
メロディに、飛び道義的な金属音や
「ピュ~~」というエフェクトが入った曲
です。

2曲目は「Eve Dub Adam」です。
Gregory Isaacsの「Willow Tree」という
曲のダブです。
ホーンとベース、キーボードを軸とした
演奏に、人の口マネか「メ・エ・エ・ェ」
というヤギの鳴き声のようなエフェクトが
入った明るい曲です。

The Revolutionaries - Eve dub Adam


3曲目は「Abram And Sarah Dub」です。
明るいホーンのメロディに歯切れの良い
ドラミング、ベースとギターのメロディを
中心としたダブ。

4曲目は「The Valley Of Sjawe Dub」
です。
Gregory Isaacsの「I Will Cool You」と
いう曲のダブです。
ギターとベースを中心としたメロディの
ダブです。

The Revolutionaries - Valley Of Sjawe Dub


5曲目は「Evil Dub In Soddom」です。
Gregory Isaacsの「Special Guest」と
いう曲のダブです。
ホーン・セクションと浮遊感のある
キーボード、ズシっとしたベースに、
ダブワイズするGregory Isaacsの歌声…。

the revolutionaries - evil dub in sodom.wmv


6曲目は「Joseph And Jacob Farewell
Dub」です。
浮遊感のあるキーボード、ベースとギター
のメロディを中心としたダブ。

7曲目は「Seventh Day Of Creation
Dub」です。
Gregory Isaacsのヒット曲「My Number
One」のダブです。
心地良いドラミングにキーボード、ホーン
のメロディ、Gregory Isaacsのソフトな
ヴォーカルも入ったダブ。

the revolutionaries - seventh day of creation dub.wmv


8曲目は「Tower Of Babel Destruction
Dub」です。
ベースを軸とした演奏に、「ハイア~」と
いう掛け声などが入ったダブです。

9曲目は「The Flood Of Dub」です。
ギターとホーン、ベースなどを中心とした
ダブです。

10曲目は「Melkisedek King Of Dub」
です。
Gregory Isaacsの「Lonely Teardrops 」
という曲のダブです。
明るいホーンとベース、キーボードの
メロディに、パーカッションや鳥の鳴き声
のエフェクトなどで味付けされたダブ
です。

the revolutionaries - melkisedek king of dub.wmv


11曲目は「Dub In The Garden Of
Eden」です。
ベースとシリアスなピアノのメロディ、
心地良いドラミングなどで構成された
ダブ。

the revolutionaries - dub in the garden of eden.wmv


12曲目は「Jah Dub Pharaoland」です。
ホーンと鳴くギターのメロディに、
ヴォーカルのダブワイズなどが入った曲
です。

13曲目は「Archangel Lucifer Dub」
です。
ホーンとベース、ギター、キーボードなど
を中心としたダブです。

14曲目は「Mountain Arafat Dub」です。
浮遊感のあるキーボードと、ズシっとした
ベースを中心としたダブ。

15曲目は「Cain Kills Abel Dub」
です。
ギターとベースを中心としたリズミカルな
メロディに、「キッキッ…」という猿の
鳴き声のようなエフェクトが強く印象に
残るダブです。

the revolutionaries - cain kills abel dub.wmv


16曲目は「Genesis 1-50 Dub」です。
元のアルバムの表題曲にもなっていた曲
です。
心地良いドラミングにギター、ベース、
キーボードなどの演奏を中心としたダブ。

the revolutionaries - genesis 1-50 dub.wmv


ざっと追いかけてきましたが、同じ
The Revolutionariesになっていても
Ernest Hookimの作るストイックなダブ
とは一線を画した、エフェクトなどを多用
した快楽志向のダブで、その辺が演奏者は
ほぼ同じでもミキサーやプロデューサーの
好みによって出来上がるサウンドが変わる
ダブという音楽の面白さかもしれません。

純粋な意味でのThe Revolutionariesの
作品ではありませんが、Ernest Hookimの
作ったダブと聴き較べてみると、その違い
がかなり面白いのではないかと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Revolutionaries (G.G.'s All Stars)
○アルバム: Macca Rootsman Dub
○レーベル: Jamaican Gold
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1995

○The Revolutionaries (G.G.'s All Stars)
「Macca Rootsman Dub」曲目
1. Dub Under The Mamre Tree
2. Eve Dub Adam
3. Abram And Sarah Dub
4. The Valley Of Sjawe Dub
5. Evil Dub In Soddom
6. Joseph And Jacob Farewell Dub
7. Seventh Day Of Creation Dub
8. Tower Of Babel Destruction Dub
9. The Flood Of Dub
10. Melkisedek King Of Dub
11. Dub In The Garden Of Eden
12. Jah Dub Pharaoland
13. Archangel Lucifer Dub
14. Mountain Arafat Dub
15. Cain Kills Abel Dub
16. Genesis 1-50 Dub