今回はThe Pioneersのアルバム

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「Long Shot」です。

The Pioneersはジャマイカの音楽がスカ
だった60年代半ばに結成された
Sydney Crooks、Jackie Robinson、
George Agardから成る3人組コーラス・
グループで、その後のロックステディから
レゲエの時代も活躍し、80年代半ば頃
まで国際的にも活躍したコーラス・
グループとして知られています。
ネットのDiscogsによると22枚ぐらいの
アルバムと、128枚ぐらいのシングル盤
を残しています。

The Pioneers (band) - Wikipedia

また70年代のレゲエの時代に入ってから
は、The Slickersという名前でレゲエの
カヴァー曲を歌うグループとしても活動
しています。
ネットのDiscogsによるとこのThe Slickers
という名前で、2枚のアルバムと46枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

The Slickers - Wikipedia

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The Slickers ‎– Breakthrough (1979)

今回のアルバムは1969年にUKの
Trojan Recordsからリリースされた彼ら
のセカンド・アルバムです。

ネットの販売サイトなどの情報によると、
表題曲の「Long Shot Kick De Bucket」
はUKチャートでも大ヒットした曲だそう
で、その曲を中心にロックステディから
まだ誕生したばかりの初期レゲエ(スキン
ヘッド・レゲエ)の楽曲が並んだアルバム
になっています。

手に入れたのはTrojan Recordsから
リリースされたCDの中古盤でした。

全12曲で収録時間は約29分。

詳細なミュージシャンの表記はありま
せん。

All recordings written by Roy Crooks, George Agard and Jackie Robinson
All recordings produced by Leslie Kong 1969

という記述があります。

すべての曲の作曲はRoy CrooksとGeorge
Agard、Jackie RobinsonのThe Pioneers
の3人で、プロデュースはLeslie Kongと
なっています。

さて今回のアルバムですが、69年という
とロックステディの時代が終わり初期の
レゲエが始まったばかりの時代ですが、
この時代らしい勢いのある楽曲に
The Pioneersのコーラスが絡む楽曲が収め
られたアルバムで、内容は悪くないと思い
ます。

クレジットでは作曲はすべてThe Pioneers
の3人が行っていると書かれていますが、
ネットの販売サイトの記述ではヒット曲の
「Long Shot Kick De Bucket」は、あの
Lee 'Scratch' Perryの作曲と
プロデュースと書かれているところがあり
ました。
そのあたりの真偽のほどは解りませんが、
この時代のLee 'Scratch' Perryは自身の
バンドThe Upsettersを率いて、軽快な
インスト・ナンバーを中心とした「スキン
ヘッド・レゲエ」で当時のUKの若者に
大人気だった頃なんですね。
The PioneersがそのLee 'Scratch' Perry
の力を借りた事は充分に考えられます。

今回のアルバムではそうしたまだ誕生した
ばかりの初期レゲエの匂いがするアルバム
で、ギターのフレーズなどはまたロック
ステディの香りが残っているものの、
リズムはもう完全にロックステディの
スローなリズムではなく、レゲエらしい
キビキビとしたリズムに変わっています。
その時代の変わり目の初期レゲエ特有の
ちょっと弾けたイケイケのノリが、この
アルバムの面白いところで、バックの
ノリノリのリズムとThe Pioneersの
楽し気な歌いぶりが魅力的なアルバムなん
ですね。

全体に曲は短めで、短い曲で2分を切り、
長い曲でも3分ちょっとという長さで、
そうした短い曲を軽快なリズムに乗せて
サクサクと歌って行ってるんですね。
そのあたりの弾けっぷりも面白いところ。

1曲目は表題曲の「Long Shot Kick De
Bucket」です。
競馬のファンファーレのエフェクトから、
騎士っとしたドラミングに乗せた心地良い
ギターのメロディ、コーラス・ワークに
乗せた楽し気なヴォーカル…。

The Pioneers 'Long Shot Kick De Bucket' (Official Video)


2曲目は「Caranapo」です。
楽し気なホーンとギターの勢いのある
メロディに、息の合ったコーラス・ワーク
のThe Pioneersのヴォーカル。
どこか弾けたクレイジーなノリがあるのが
面白いところ。

CARANAPO - THE PIONEERS


3曲目は「Black Bud」です。
華やかなホーンと刻むようなギター、
歯切れの良いヴォーカルにコーラスの
明るい曲です。

4曲目は「Long Up Your Mouth」です。
明るいホーンとギターを中心とした
メロディに、ノリノリのコーラスの曲
です。

5曲目は「Bring Him Come」です。
ギターとハモンド・オルガンのノリノリの
メロディに、心地良い歌声とコーラス・
ワークが冴える曲です。

The Pioneers..Bring Him Come


6曲目は「Mother Ritty」です。
ギターのノリの良いリズムに、心地良い
歌声にコーラスがタマラない曲です。

7曲目は「Poor Rameses」です。
こちらも競馬を思わせるホーンのイントロ
から、刻むようなギターとピアノの
メロディ、丁寧なヴォーカルにコーラス・
ワーク…。

THE PIONEERS...POOR RAMESES


8曲目は「Samfie Man」です。
ギターとキーボードのメロディに、
根性を乗せた歌声にコーラス・ワーク。

The Pioneers - Samfie Man (1969) Trojan 7710 A


9曲目は「Belly Gut」です。
心地良いギターのメロディに、高音を生か
したヴォーカルにコーラスが楽しい曲
です。

10曲目は「Lucky Side」です。
叩き込むようなドラミングにギターと
キーボードのメロディ、勢いのある
イケイケの曲に乗せたヴォーカルに
コーラス…。

11曲目は「Trouble Deh A Bush」です。
ギターとリリカルなピアノのメロディ、
心地良く伸びる声のヴォーカルに
ファルセットのコーラス。
楽しくノリノリの曲です。

THE PIONEERS TROUBLE DEH A BUSH


12曲目は「Boss Festival」です。
ギターの心地良いメロディに乗せた歌声と
コーラス…。

ざっと追いかけてきましたが、やはりこの
初期レゲエ特有のイケイケの匂いはこの
時代でなければ味わえないものがあり、
そこがとても魅力的です。
そうした時代の音楽をバックに
The Pioneersのメンバーも、この時代
らしい楽し気な歌声を披露しています。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Pioneers
○アルバム: Long Shot
○レーベル: Trojan Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1969

○The Pioneers「Long Shot」曲目
1. Long Shot Kick De Bucket
2. Caranapo
3. Black Bud
4. Long Up Your Mouth
5. Bring Him Come
6. Mother Ritty
7. Poor Rameses
8. Samfie Man
9. Belly Gut
10. Lucky Side
11. Trouble Deh A Bush
12. Boss Festival