今回はBlack Uhuruのアルバム

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「Tear It Up - Live」です。

Black Uhuruは70年代中頃から80年代
にかけて世界的にも活躍したヴォーカル・
グループです。
1974年にGarth DennisとDucky
Simpson、Don Carlosで結成されました
が、Garth DennisとDon Carlosが抜け
代わりにMichael RoseとErrol Nelsonが
加入し、77年にファースト・アルバム
「Love Crisis」を発表。
その後Errol Nelsonが脱退し、代わりに
女性ヴォーカリストのPuma Jonesが加入。
Sly & Robbieのバック・アップを受けて、
80年に彼らのメジャー・デビュー・
アルバムとなる「Sinsemilla」(通算
3枚目)を発表し、世界的にも人気の
グループとなります。

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Black Uhuru - Sinsemilla (1980)

その後Michael Roseが脱退しJunior Reid
が加入したり、Puma Jonesが亡くなったり
という事などがあり、90年のアルバム
「Now」を最後に活動を停止しています。

ネットのDiscogsによると、33枚ぐらい
のアルバムと、93枚ぐらいのシングル盤
を残しています。

アーティスト特集 Black Uhuru(ブラック・ユフル)

ブラック・ウフル - Wikipedia

今回のアルバムは1982年にUKの
Island Recordsからリリースされた、
彼らの通算6枚目ぐらいにあたるライヴ・
アルバムです。

81年に行われたヨーロッパ・ツアーを
収めたライブ・アルバムで、Sly & Robbie
を中心とした強力なバック陣を従えた、
「Shine Eye Gal」や「I Love King
Selassie」、「Sinsemilla」などのヒット
曲を交えた、彼らのライブの模様が収め
られたアルバムになっています。

手に入れたのはIsland Recordsから
リリースされたLPでした。
このアルバムは私が初めにレゲエを聴いて
いた、まだ20代の頃に購入しています。
なのでおそらく82年あたりに購入したの
ではないかと思います。

Side 1が4曲、Side 2が4曲の全8曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Lead Vocals: Michael Rose
Harmonies: Duckie Simpson, Puma Jones

Bass: Robbie Shakespeare
Drums: Sly Dunbar

Rhythm Guitar: Mikey Chung
Lead Guitar: Darryl Thompson
Keyboards: Keith Sterling
Percussion: Skyjuice

Recorded on Tour in Europe 1981
Mobile Recording Engineer: Alex Sadkin
Live Sound: Godwin Logie
Mixed at Fallout Shelter, London
by Godwin Logie

Sleeve Design: Bruno Tilley
Photos: Peter Murphy, Adrian Boot

となっています。

Black Uhuruのメンバーはリード・
ヴォーカルにMichael Rose、ハーモニー・
ヴォーカルにDuckie SimpsonとPuma Jones、
バックのミュージシャンはベースに
Robbie Shakespeare、ドラムにSly Dunbar、
リズム・ギターにMikey Chung、リード・
ギターにDarryl Thompson、キーボードに
Keith Sterling、パーカッションに
Skyjuiceという布陣です。
おそらくこのメンバーでヨーロッパ・
ツアーを回っていたものと思われます。

録音は1981年のヨーロッパ・ツアーの
もので、レコーディング・エンジニアは
Alex Sadkin、ミックスはロンドンの
Fallout Shelterで行われ、ミックス・
エンジニアはGodwin Logieが担当していま
す。

ジャケット・デザインはBruno Tilley、
写真はPeter MurphyとAdrian Bootと
なっています。

さて今回のアルバムですが、この80年代
前半に活躍したBlack Uhuruのライヴの
模様が記録されたアルバムで、内容は悪く
ないと思います。

このBlack Uhuruですが、80年に
「Sinsemilla」で順調にメジャー・
デビューを飾って期待されたものの、
どこか不遇なイメージが付きまとう
グループなんですね。
80年にアルバム「Sinsemilla」で
メジャー・デビューしたBlack Uhuruです
が、その翌年にレゲエの巨星Bob Marley
が亡くなっています。
レゲエのシンボル的なアイコンであった
彼が亡くなった事で、レゲエの象徴的な
存在が求められ、その期待を一身に集めた
のがSly & Robbieがプロデュースし、当時
人気を博していた彼らBlack Uhuruだった
んですね。
その期待に応えるべく彼らは、Sly &
Robbieとともに数多くの海外公演を
こなし、ジャマイカを空ける事が多くなる
んですね。

ただその間にジャマイカではルーツ・
レゲエの時代が終わり、代わってダンス
ホール・レゲエが大流行するようになるん
ですね。
ジャマイカを空けているうちに、彼らの
ルーツ色の強いサウンドは時代遅れなもの
になってしまうんですね。
さらにリード・ヴォーカルのMichael Rose
が脱退してJunior Reidが加入したり、
女性ヴォーカルのPuma Jonesが亡くなる
などグループ内もゴタゴタが続き、
Black Uhuru自体も徐々に失速して行って
しまうんですね。

そうした不遇なイメージが付きまとって
しまうBlack Uhuruですが、けっして
すべてが悪かった訳でもなく、むしろ
メジャー・デビューした直後は期待を
一身に集めていたヴォーカル・グループ
だったんですね。
むしろ当時はジャマイカでもっとも勢いの
あったグループと言えるかもしれません。

その勢いのあった時代のBlack Uhuruの
今回のライヴ・アルバムですが、バックの
Sly & Robbieが叩き出すサウンドは、
ヘビメタばりのどこまでもタイトでヘヴィ
なサウンドで、これが当時のヨーロッパ
などワールド・ワイドに評価された
サウンドなんですね。
そのノリは当時ジャマイカで流行した、
アーリー・ダンスホール・レゲエの
ちょっと湿ったスローなワン・ドロップ
とはかなり対照的です。

今聴くともう少しユトリのある、レゲエ
らしいグルーヴ感重視のサウンドでも
良かったんじゃないかとも思いますが、
こうしたロック色の強いポピュラリティの
あるサウンドが当時は求められたのかも
しれません。
そうした故郷ジャマイカと世界で活躍する
事のギャップが、このグループの失速を
招いた事は想像に難くありません。

ただこの時代の彼らはこのタイト過ぎる
ほどのサウンドで世界と向き合い、レゲエ
という音楽の戦士として世界と戦っていた
事は、やはり評価すべきことだと思い
ます。
なんだかんだといっても、やはりこの時代
の彼らは輝いているんですね(笑)。

良くも悪くもここまで振り切ったサウンド
は、レゲエの歴史の中でもそうそうは無い
かもしれません。
まあその分「鬱になるくらい暗い」とか
後々言われてしまうのが、このグループ
の残念なところではありますが…(笑)。
レゲエの歴史の中でも珍しいくらい、
あくまでヘヴィなサウンドに振り切った
のがこのBlack Uhuruなんですね。

Side 1の1曲目は「Shine Eye Gal」
です。
タイトなベースとドラミングに浮遊感の
あるキーボード、Michael Roseの感情を
乗せたヴォーカルにコーラス・ワーク…。
全体にヘヴィで重い演奏です。

Black Uhuru - Shine Eye Gal [Live]


2曲目は「Plastic Smile」です。
1曲目から続く感じで2曲目に入ります。
ヘヴィなベースとドラムのリズムにピアノ
のメロディ、Michael Roseのヴォーカルと
心地良い男女混成のコーラス・ワーク。

3曲目は「Abortion」です。
ガツンと硬いドラミングにピアノの
メロディ、ライヴのせいかちょっと
こもったMichael Roseのヴォーカルと
コーラス・ワーク。
ライヴらしい臨場感を感じる曲です。

Black Uhuru - Abortion [Live]


4曲目は「General Penitentiary」です。
「一般的な刑務所」と題された曲です。
リリカルなピアノのメロディから混成
コーラス、Michael Roseの表情豊かな
ヴォーカル…。

Black Uhuru : General Penitentiary - CD Tear It Up Live Recorded On Tour In Europe 1981


ブラック・ユフル(Black Uhuru) - General Penitentiary - 1979 - リリック

Side 2の1曲目は「Guess Who's Coming
To Dinner」です。
ギターとピアノを中心としたメロディに、
ライヴらしい声援に後押しされたMichael
Roseのヴォーカルとコーラス・ワーク。

2曲目は「I Love King Selassie」です。
Black Uhuruの中でも特に有名な曲です
が、このメンバーになる以前の77年の
ファースト・アルバム「Love Crisis」に
収められた曲です。
ギターとキーボードのメロディに、
コーラス・ワークに乗せたMichael Rose
の力強いヴォーカルがとても印象的な曲
です。

3曲目は「Sinsemilla」です。
こちらもメジャー・デビュー盤のピュン
ピュン飛ぶシンセ・ドラムが目茶目茶
カッコ良かった1曲。
キーボードの浮遊感のあるメロディに、
力強いドラミングとベースが味わい深い
1曲。

4曲目は「Leaving For Zion」です。
ギターのメロディにコーラス、Michael
Roseの表情豊かなヴォーカル。
終盤の激しいドラム・ソロが圧巻な1曲。

Black Uhuru - Leaving For Zion [Live]


ざっと追いかけてきましたが、今の時代に
なるとヘヴィヘヴィとベタに押し切って
いるのはちょっと微妙な感じがしますが、
当時としてはある程度ロック色を強めた
演奏をするのは、ポピュラリティの観点
からすると仕方の無かった手法だと思われ
ます。
ただ今の時点から見るとこれほどヘヴィ
過ぎるほどヘヴィなバンドは、この
Black Uhuruしか居なかったのではないか
と思うほどヘヴィで、良くも悪くも軽く
ヘビメタなんかを超えているグループなん
ですね、このBlack Uhuruは(笑)。
そんな「スーパー・ドライなグループ」が
このBlack Uhuruです。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Black Uhuru - I Love King Selassie (Live At Rockpalast, 1981)


Black Uhuru - Sinsemilla (Live in London)



○アーティスト: Black Uhuru
○アルバム: Tear It Up - Live
○レーベル: Island Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Black Uhuru「Tear It Up - Live」曲目
Side 1
1. Shine Eye Gal
2. Plastic Smile
3. Abortion
4. General Penitentiary
Side 1
1. Guess Who's Coming To Dinner
2. I Love King Selassie
3. Sinsemilla
4. Leaving For Zion

●今までアップしたBlack Uhuru関連の記事
〇Black Uhuru「Black Sounds Of Freedom (Deluxe Edition)」
〇Black Uhuru「Chill Out」
〇Black Uhuru「Red」
〇Black Uhuru「Sinsemilla」
〇Black Uhuru「The Dub Factor」
〇Ranking Joe With Black Uhuru, Dennis Brown「Zion High」
〇Various「King Jammy Presents New Sounds Of Freedom」