今回はLittle HarryとBilly Boyo、
Nicodemusのアルバム

little_harry_01a

「DJ Clash: 3 The Hard Way」です。

Little Harryは80年代前半に活躍した、
子供ディージェイのようです。
ネットのDiscogsによると、83年に今回
の元になったBilly Boyoとのクラッシュ・
アルバム「DJ Clash Volume 2」を
リリースしているほか、17枚ぐらいの
シングル盤を残しています。

Billy Boyo(本名:Billy Theophilus
Rowe)は80年代前半に子供ディージェイ
として活躍した事で知られるレゲエ・
アーティストです。
英語のWikipediaの彼のページなどを見る
と、「One Spliff A Day」が彼のヒット曲
として知られているアーティストのよう
です。
ネットのDiscogsによると、83年に今回
の元になったLittle Harryとのクラッシュ・
アルバム「DJ Clash Volume 2」をリリース
しているほか、後にその80年代前半の
音源から作られた2枚ぐらいのアルバムが
あり、31枚ぐらいのシングル盤も残して
いるディージェイです。

Billy Boyo - Wikipedia

Nicodemus(本名:Cecil Wellington)は
80年代のから90年代にかけてダンス
ホール・レゲエのディージェイとして活躍
した人です。
レゲエレコード・コムの彼のアーティスト
紹介ページによると、「チャカ・デマスや
ジュニア・デマス等を率いたデマス一門の
ボス」として活躍した人なんだそうです。
ネットのDiscogsによると、共演盤を
含めて14枚ぐらいのアルバムと、80枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

96年に糖尿病で亡くなっています。

アーティスト特集 Nicodemus (ニコデマス)

今回のアルバムは1983年にUKの
Greensleeves Recordsレーベルから
リリースされたLittle HarryとBilly Boyo
のクラッシュ・アルバム(対決盤)
「DJ Clash Volume 2」と、その前年の
82年に同じくGreensleeves Records
レーベルからリリースされたNicodemusと
Toyanのクラッシュ・アルバム
「DJ Clash」の2枚のアルバムのうち、
Toyanの音源を除いた3人の音源を集めた
コンピュレーション・アルバムで、
2008年にGreensleeves Recordsから
リリースされています。

プロデュースはHenry 'Junjo' Lawesで、
バックはLittle HarryとBilly Boyoの
音源がHi-Times Band、Nicodemusの音源
がRoots Radicsが務めたアルバムで、
アーリー・ダンスホールらしいスローな
ワン・ドロップのサウンドに乗せた子供
ディージェイ2人とNicodemusのトース
ティングが楽しめるアルバムになって
います。

手に入れたのはGreensleeves Recordsから
リリースされたCDの中古盤でした。

全15曲で収録時間は約51分。
Little Harry→Billy Boyo→Nicodemusの
順で各5曲、全15曲が並んでいます。
ちなみに最後にオリジナル・アルバムの
曲順を表記しておきましたが、ほぼ同じ
曲順で曲が並んでいるようです。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Henry 'Junjo' Lawes

Little Harry & Billy Boyo Tracks:
Recorded & Mixed at Channel One & Joe Gibbs
Mixed by Barnabas, Errol 'E.T.' Thompson
Backed by Hi-Times Band

Nicodemus Tracks:
Recorded & Mixed at Channel One
Mixed by Soldgie Hamilton
Backed by Roots Radics Band

Re-Mastered by: Pete Norman at Heathmans Mastering, London
Photos: George Williams
Design: Tony McDermott

となっています。

プロデュースはHenry 'Junjo' Lawes。

Little HarryとBilly Boyoのトラックは、
レコーディングとミックスはChannel Oneと
Joe Gibbsで行われ、ミックスはBarnabasと
Errol 'E.T.' Thompsonが担当し、バックは
Hi-Times Bandが務めています。

Nicodemusのトラックは、レコーディングと
ミックスはChannel Oneで行われ、ミックス
はSoldgie Hamiltonが担当し、バックは
Roots Radics Bandが務めています。

写真はGeorge Williams、ジャケット・
デザインはTony McDermottが担当していま
す。

さて今回のアルバムですが、この80年代
前半のアーリー・ダンスホールの時代
らしいスローなワン・ドロップの演奏に
乗せた3人のトースティングが楽しめる
アルバムで、この時代の音楽が好きな人
にはまさにツボのアルバムだと思います。

出来ればToyanのトースティングも聴き
たかったと思いますが、CD1枚に収める
となると入りきらず、仕方がなかったの
かもしれません。
むしろ一番リリースが少なくカットされ
やすいLittle Harryの曲が聴けるのは
とても貴重で、そこは評価したいところ
です。
まあこの時代らしいクラッシュ・アルバム
(対決盤)という意図は削がれた感はあり
ますが、ヤボは言いっこ無し。
この時代らしいHi-Times BandやRoots
Radicsのズシっと重いベースを軸とした
ワン・ドロップのメロディはやはりとても
魅力的で、この時代ならではのちょっと
湿った空気感があります。

レゲエを聴くうえでぜひ押さえておいて
欲しい時代が、この80年代前半の
アーリー・ダンスホールの時代なんです
ね。

曲はすべてLittle Harry→Billy Boyo→
Nicodemusの順で並んでいて、それが5回
繰り返す感じです。

1曲目はLittle Harryの「Jessat
Promotion」です。
リディムはDennis Brownの
「Silhouettes」。
浮遊感のあるシンセのメロディから、重い
ベースとギターのメロディの心地良い
ワン・ドロップに、Little Harryの子供
ディージェイらしいちょっと幼いトース
ティングが魅力的。

Little Harry - Jessat Promotion


2曲目はBilly Boyoの「Jah Jah Made
Me To Be A M.C.」です。
リディムはCornell Campbellの
「Boxing」。
リリカルなピアノのメロディに、Billy
Boyoのちょっと幼い印象のトース
ティング。
ズシっとしたベースがイイ感じに効いた
1曲。

Billy Boyo - Jah Jah Made Me To Be a MC


3曲目はNicodemusの「Hail Nico Dread」
です。
ズシっとしたベースとワン・ドロップの
ドラミング、スローなリズムに乗せた
Nicodemusの緊張感のあるエコーの効いた
トースティング。

4曲目はLittle Harryの「Harry On
The Go」です。
リディムはKeith & Texのロックステディ
のヒット曲「Stop That Train」です。
ズシっとしたベースを軸とした演奏に、
Little Harryの若い声のトースティング
が魅力。

Little Harry - Harry On The Go 1983


リズム特集 Stop That Train (ストップ・ザット・トレイン)

5曲目はBilly Boyoの「Billy Boyo In
The Area」です。
リディムはTommy McCook & Richard Hall
の「Dirty Harry」。
味わい深いキーボードのメロディに、
ズシっとしたベースとワン・ドロップの
ドラミング、ちょっとお経のような
Billy Boyoのトースティング…。

Billy Boyo - Billy Boyo in the area - 1982 - Dirty Harry


6曲目はNicodemusの「Birdman Hunting」
です。
エコーのかかったNicodemusのアカペラの
トースティングから、徐々にドラミング、
ピアノと入って来る曲です。
こちらもベースに強烈なグルーヴ感があり
ます。

Nicodemus - Birdman Hunting 1982


7曲目はLittle Harryの「Leggo Mi
Queen」です。
リリカルなピアノのメロディに、ズシっと
したベースと心地良いワン・ドロップの
ドラミング、子供声ならLittle Harryの
滑らかなトースティング…。

8曲目はBilly Boyoの「Going Back To
School」です。
リディムはYellowmanの「Operation
Radication」。
浮遊感のあるキーボードにズシっとした
ベースとギター、Billy Boyoのちょっと
拙い幼い声のトースティング…。

9曲目はNicodemusの「Shaolin Plat」
です。
リディムはDennis Walksの「Drifter」。
工場のようなトースティングから重い
ベースにピアノのメロディ、滑らかに流れ
出すようなNicodemusのトースティング…。

Nicodemus - Shaolin Pat


リズム特集 Drifter (ドリフター)

10曲目はLittle Harryの「Wicked &
Wild」です。
ワン・ドロップに乗せた印象的なギターの
メロディに、Little Harryの拙いながら
滑らかなトースティング…。

11曲目はBilly Boyoの「Check In」
です。
リディムはKen Parkerの「I Can't
Hide」。
重いベースにキーボードのメロディ、幼さ
の残るBilly Boyoのトースティング…。

12曲目はNicodemusの「Bubble
Nicodemus Bubble」です。
リディムはDon Carlosの「I'm Not
Getting Crazy」。
リリカルなピアノと浮遊感のある
キーボード、ズシっとした重みのある
ベースとガシっと硬いワン・ドロップの
ドラミング、素晴らしいバックに
Nicodemusの滑らかなトースティングが
冴えます。

Nicodemus - Bubble Nicodemus [1982]


13曲目はLittle Harryの「Rougher
Then Rough」です。
グルーヴ感のある重いベースを中心と
したメロディに、Little Harryの滑らか
なトースティング…。

14曲目はBilly Boyoの「Look How She
Fat」です。
リディムはRay Iの「Weatherman
Skank」。
ギターと思いベースを中心としたメロディ
に、幼さの残るBilly Boyoのトース
ティング…。

Billy Boyo Look How She Fat


15曲目はNicodemusの「Tubby's Daddy」
です。
グルーヴ感のある重いベースを中心とした
ワン・ドロップのメロディに、ジックリと
歌い込むようなNicodemusらしいトース
ティング。

ざっと追いかけてきましたが、いかにも
このアーリー・ダンスホールの時代らしい
ズシっとしたベースを中心としたワン・
ドロップはとても魅力的です。
それに乗せているのが実力派のNicodemus
とちょっとイロモノ的な子供ディージェイ
のトースティングですが、意外なほど
これがシックリとかみ合っているんです
ね(笑)。
子供でも侮れない実力を持っていたのが、
この時代のジャマイカです。

このスローなワン・ドロップはちょっと
学習が必要なリズムですが、そのノリが
解るとすごくハマるリズムなんですね。
レゲエの面白さを深く知りたいなら、この
80年代前半のワン・ドロップはぜひ
聴いてもらいたい音楽です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Little Harry, Billy Boyo, Nicodemus
○アルバム: DJ Clash: 3 The Hard Way
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2008(1983,1982)

○Little Harry, Billy Boyo, Nicodemus「DJ Clash: 3 The Hard Way」(2008)曲目
1. Jessat Promotion - Little Harry
2. Jah Jah Made Me To Be A M.C. - Billy Boyo
3. Hail Nico Dread - Nicodemus
4. Harry On The Go - Little Harry
5. Billy Boyo In The Area - Billy Boyo
6. Birdman Hunting - Nicodemus
7. Leggo Mi Queen - Little Harry
8. Going Back To School - Billy Boyo
9. Shaolin Plat - Nicodemus
10. Wicked & Wild - Little Harry
11. Check In - Billy Boyo
12. Bubble Nicodemus Bubble - Nicodemus
13. Rougher Then Rough - Little Harry
14. Look How She Fat - Billy Boyo
15. Tubby's Daddy - Nicodemus

(参考資料)
○Little Harry, Billy Boyo「DJ Clash Volume 2」(1983)曲目
Side 1
1. Jessat Promotion - Little Harry
2. Jah Jah Made Me To Be A M.C. - Billy Boyo
3. Harry On The Go - Little Harry
4. Billy Boyo In The Area - Billy Boyo
5. Leggo Mi Queen - Little Harry
Side 2
1. Going Back To School - Billy Boyo
2. Wicked And Wild - Little Harry
3. Check In - Billy Boyo
4. Rougher Then Rough - Little Harry
5. Look How She Fat - Billy Boyo

○Nicodemus, Toyan「DJ Clash」(1982)曲目
Side 1
1. Overseas Posse - Toyan
2. Hail Nico Dread - Nicodemus
3. Bully Dread - Toyan
4. Shaolin Plat - Nicodemus
5. Tell Me Your Occupation - Toyan
Side 2
1. Birdman Hunting - Nicodemus
2. Wife And Sweetheart - Toyan
3. Bubble Nicodemus Bubble - Nicodemus
4. Jah Love In We Heart - Toyan
5. Tubby's Daddy - Nicodemus

●今までアップしたBilly Boyo関連の記事
〇Billy Boyo「The Very Best Of Me」
●今までアップしたNicodemus関連の記事
〇Nicodemus「Mr. Fabulous」
〇Nicodemus「Serious Nicodemus: Nicodemus Meets Roots Radics At Channel One Volume One」
〇Nicodemus「Serious Nicodemus: Nicodemus Meets Roots Radics At Channel One Volume Two」
〇Nicodimus「She Love It In The Morning」