今回はThe Revolutionariesのアルバム

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「Revolutionary Sounds」です。

The RevolutionariesはHookim兄弟の
レーベルChannel Oneで活躍した、
ドラムのSly Dunbarをリーダーとする
バック・バンドです。

この時代のジャマイカのバック・バンド
は、その時集まれるミュージシャンが
集まって録るという「プラスティック・
バンド」の形式が一般的だったんですね。
その為The Revolutionariesや
The Aggrovators、The Professionalsなど
と名前が違っても、けっこう同じ
アーティストがいろいろなバンドで演奏
しているんですね。
メンバーが固定ではないので、バンド名
というのはどのレーベルか?どの
プロデューサーか?という事で色分け
されているんですね。
例えばChannel OneのHookim兄弟の元で
演奏すればThe Revolutionariesで、
プロデューサーのBunny Leeの元で演奏
すればThe Aggrovatorsで、Joe Gibbsの
Joe Gibbs Studioで演奏すれば
The Professionalsと名乗っていたり
するんですね。

このThe Revolutionariesもドラマーの
Sly Dunbarを実質的なリーダーとし、
攻撃的なミリタント・ビートをウリにした
バック・バンドという事は決まっていて
も、メンバーはある程度流動的だったん
で、多くのChannel Oneのアーティストの
バックを務め、そのダブを残したバンドと
して知られています。
ネットのDiscogsによると、45枚ぐらい
の彼ら名義のダブ・アルバムと、218枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

70年代半ば以降セッション・バンドと
して大活躍したThe Revolutionaries
でしたが、Joseph Hookimがニューヨーク
に移住した事や、バンドの中心メンバーの
Sly & RobbieがBlack UhuruやPeter Tosh
などの海外公演でジャマイカを空ける事が
多くなった為に、80年以降は活動をほぼ
停止しています。

The Revolutionaries - Wikipedia

レーベル特集 Channel One (チャンネル・ワン)

今回のアルバムは1976年にジャマイカ
のChannel One参加のレーベルWell Charge
からリリースされたThe Revolutionaries
のダブ・アルバムです。

通称「白ゲバラ」と呼ばれる彼らの代表作
のひとつで、プロデュースはJoseph Hoo
Kimで、ミックスはErnest Hoo KimとOssie
Hibertが担当したアルバムで、華やかな
ホーンに乗せた攻撃的なミリタント・
ビートが楽しめるインストに近いダブ・
アルバムとなっています。

手に入れたのはChannel Oneからリリース
されたCDの中古盤でした。

なおこのアルバムの続編ともいえる
「Revolutionaries Sounds Vol.2」が、
79年にリリースされています。

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The Revolutionaries ‎– Revolutionaries Sounds Vol.2 (1979)

こちらは通称「赤ゲバラ」という名前で、
人気のアルバムなんですね。

全14曲で収録時間は約49分。
オリジナルは10曲で、残りの4曲は
CDボーナス・トラックのようです。
ただしネットのDiscogsを調べると、
いくつかの曲がオリジナルとタイトルが
変わっているんですね。
それがタイトルが変わっただけなのか、
入れ替えたのかはハッキリとは解りま
せん。
(最後にオリジナルの曲目も表記して
おきました。)

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Tenor Sax: Tommy McCook
Alto Sax: Marques
Trombone: Don D. Junior
Drums: Sly
Bass: Ranchie, Robbie
Lead Guitar: Rad Bryan (Duggie), Tony
Keyboards: Ansel Collins, Tarzan, Ossie
Percussion: Sticky

Recorded at Channel One Recording Studio
Remixed at Channel One Recording Studio
Engineers: Ernest Hoo Kim, Ossie Hibert
Produced by Joseph Hoo Kim

となっています。

The Revolutionariesのメンバーは、
テナー・サックスにTommy McCook、アルト・
サックスにHerman Marques、トロンボーン
にDon D. JuniorことVin Gordon、ドラム
にSly Dunbar、ベースにBertram 'Ranchie'
McLeanとRobbie Shakespeare、リード・
ギターにRadcliffe 'Dougie' Bryanと
Tony Chin、キーボードにAnsel Collins
とTarzan NelsonとOssie Hibert、
パーカッションにUziah 'Sticky' Thompson
という布陣です。

レコーディングとミックスはChannel One
Recording Studioで行われ、エンジニアは
Ernest Hoo KimとOssie Hibertが担当し、
プロデュースはJoseph Hoo Kimとなって
います。

さて今回のアルバムですが、数ある
The Revolutionariesのダブ・アルバムの
中でも特に彼ららしい禁欲性の強い
ミックスのインストに近いダブで、その分
攻撃的なミリタント・ビートの魅力が
際立っており、内容はとても良いと思い
ます。

今回のアルバムは同じ76年にリリース
されたThe Mighty Diamondsのアルバム
「When The Right Time Come: I Need A
Roof」や、Tapper Zukieのアルバム
「MPLA」などの、The Revolutionaries
がバックを務めた音源が使われたダブ
なんですね。

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The Mighty Diamonds ‎– When The Right Time Come: I Need A Roof (1976)

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Tapper Zukie ‎– MPLA (1976)

この70年代後半はこの
The Revolutionariesの叩き出す攻撃的な
ミリタント・ビートが一世を風靡した時代
で、それによってChannel Oneという
レーベルは老舗のStudio Oneなどを凌駕
するレゲエのトップ・ブランドへと登り
詰めた時代だったんですね。

ただこのThe Revolutionariesという
バンドは当時から人気バンドだったせいか
驚くほど多くのダブ・アルバムが作られて
いるバンドなんですね。
その中でも時にThe Revolutionariesの
アルバムと言えるのは、プロデュースが
Joseph Hoo Kimで、ミックスがErnest
Hoo Kimが担当しているアルバムなんです
ね。

その特徴はErnest Hoo Kimのあまりに
禁欲的なほどの、ほとんどエフェクトを
使用しないインストに近いダブ・ミックス
です。
余計なエフェクトが入っていない分、
Sly Dunbarを中心とした攻撃的な
ミリタント・ビートがより際立つんです
ね。

ただこうしたストイック過ぎるミックス
は、ほとんどインストに聴こえる為、当時
はあまり高く評価されなかったようです。
ダブというとエコーやリバーヴをかけて、
派手なエフェクトを入れるものという考え
が、当時は今以上に強かったんですね。
その為Lee PerryやErrol Thompsonと
いった派手で楽しい音作りをするミキサー
の方が、当時は高く評価されていたよう
です。

ただ中国系のジャマイカ人だったErnest
Hoo Kimの東洋的な感性なのか、彼はその
真逆のなるべく原曲を生かしたインストに
近いダブを作り上げているんですね。
今回のアルバムなどを聴くと、その
ストイックな美しさはちょっと別次元の
素晴らしさです。
彼のミックスは他に無い異彩を放って
おり、おそらく当時でも際立ったもので
あったと思われます。

その才能は多くの音楽関係者が認めて
いて、あのBunny Leeも「Ernest Hoo Kim
は素晴らしいミキサーなのに、今まで正当
な評価を受けた事がない」と語っている
のを何かで読んだ記憶があります。

ちなみにこの話を書いていて思い出し
ましたが、日本料理なども当時は「ただ
魚を切って並べただけ」とか言われて、
西洋料理に比べて評価が低かったんです
ね(笑)。
そうした「素材を生かす」という事が解る
のも、文化の成熟というものが必要なの
かもしれませんね。

話を戻しますが今回のアルバムはインスト
に近いダブですが、華やかなホーン・
セクションがイイ具合に効いていて、
過不足を感じさせないキビキビとした
仕上がりのダブ・アルバムとなっていま
す。
またエンジニアにErnest Hoo Kimだけで
なく、Ossie Hibertも参加している事も
あるかもしれません。
ダブというのはミキサーの音の好みがよく
出るので、何人かのミキサーが入ると音が
よりカラフルになるんですね。
ストイック過ぎるほどのErnest Hoo Kim
と、Errol Thompsonの影響を受けて楽しい
ミックスが好みのOssie Hibertという組み
合わせも、このアルバムをより良くして
いるのかも。

今回のアルバムはダブ好きとしては、ぜひ
押さえておきたいアルバムのひとつだと
思います。
こうしたアルバムが現在あまり市場に
出回っていない現状は、ちょっと残念に
思います。

1曲目は「M.P.L.A.」です。
リディムはRoy Richardsの「Freedom
Blues」。
華やかなホーンとキーボードのメロディに
乗せた、Slyのミリタント・ビートの
ドラミングがとても心地良い曲です。
Tapper Zukieのアルバム「MPLA」の表題曲
になっている曲ですが、「M.P.L.A.」とは
「アンゴラ解放人民運動」の事で、
アフリカのアンゴラの人民解放運動を
テーマにしているんですね。

Revolutionaries - MPLA


リズム特集 Freedom Blues (フリーダム・ブルース)

アンゴラ解放人民運動 - Wikipedia

2曲目は「Earthquake」です。
リディムはMighty Diamondsの「Shame
And Pride」です。
ホーン・セクションのユッタリとした
メロディに、まるで飛び出して来るような
勢いのあるミリタント・ビートの
ドラミング…。

The Revolutionaries - Earthquake


3曲目は「Why War ?」です。
リディムはJackie Mittoo & Sound
Dimensionの「Full Up」。
表情のあるキーボードとピアノの
メロディに、遅れて入って来るホーン・
セクション…。

リズム特集 Full Up (フル・アップ)

4曲目は「Leftist」です。
リディムはThe Heptonesの「Love Won't
Come Easy」。
ズシっとしたベースにピアノのリリカルな
メロディ、重厚なホーン・セクション、
心地良いドラミング…。

The Revolutionaries - Leftist / Version - 7"


5曲目は「Sudden Attack」です。
陰影のあるベースとキーボードのメロディ
から心地良いホーン・セクションの
メロディ…。

The Revolutionaries - Sudden Attack


6曲目は「Angola」です。
リディムはJackie Mittoo & Soul Vendors
の「Darker Shade Of Black」。
ズシっとしたベースとキーボードとピアノ
のメロディ、漂うような浮遊感のある
ホーン…。

THE REVOLUTIONARIES - Angola + version (1976 Well charge)


リズム特集 Darker Shade Of Black (ダーカー・シェイド・オブ・ブラック)

7曲目は「P.L.A.」です。
重いベースとホーン・セクションの奏でる
メロディを中心とした曲です。
なお「P.L.A.」とは「アフリカ民族会議」
の事なんだそうです。

8曲目は「I Need A Roof」です。
リディムはMighty Diamondsの同名曲です。
重いベースとピアノのメロディから、心地
良いホーン・セクションのメロディ。
何か明るい空気を感じる曲です。

REVOLUTIONARIES ~ I NEED A ROOF ~ VERSION (WELL CHARGE)


9曲目は「A.N.C.」です。
リディムはThe Abyssiniansの
「Declaration Of Rights」。
漂うようなキーボードのメロディから、
ホーン・セクションの奏でる陰影の濃い
メロディ…。

10曲目は「Right In Ah It」です。
漂うような心地良いホーンとキーボードの
メロディを中心としたダブです。
心地良いミリタント・ビートのドラミング
と、タイミング良い入るピアノのメロディ
がうまく曲を引き締めています。

おそらくこの以降の曲は元のアルバムに
無いCDボーナス・トラックと思われ
ます。
それまでの曲と聴き較べると、いく分
華やかな印象の曲が揃っています。

11曲目は「Death In The Arena」です。
リディムはRoland Alphonso & Soul
Vendorsの同名曲。
リリカルなピアノとキーボードから、重厚
なホーン・セクションのメロディ…。

リズム特集 Arena (アリーナ)

12曲目は「Death Trap」です。
リディムはDennis Walksの
「The Drifter」。
ホイッスルと爆発音のエフェクト、ホーン
にギターとベースのメロディ…。

リズム特集 Drifter (ドリフター)

13曲目は「Headache」です。
ブザー音からホーン・セクションを中心
としたメロディのダブ。

14曲目は「Toothache」です。
赤ちゃんの泣き声のエフェクトから、
ホーン・セクションのメロディ…。

ざっと追いかけてきましたが、やはりこの
時代のThe Revolutionariesの演奏には
華やかで勢いがあり、そのサウンドだけで
充分に魅力的なものがあります。
またそれを殺さないErnest Hoo Kimの
ミックスはとても素晴らしく、一見仕事を
していないようでこの演奏の魅力をうまく
引き出した、素晴らしいミックスなんです
ね。
ダブが全盛だった70年代のダブの中
でも、特に聴いておくべきダブ・アルバム
のひとつだと思います。

このThe Revolutionariesはバック・
バンドとして知名度が高かったせいか、
他のミキサーのアルバムでも多くのダブ・
アルバムが存在します。
例えば今ではOssie All Starsのアルバム
とされているプロデュースとミックスが
Ossie Hibertの「Leggo Dub」も、当時は
The Revolutionariesのアルバムとして
扱われていましたし、ダンスホール・
レゲエの先駆けとなったプロデュースが
Linval Thompson で、ミックスがKing
Tubby'sの「Negrea Love Dub」なども
The Revolutionariesのアルバムと認識
されているんですね。

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Ossie All Stars ‎– Leggo Dub (1978)

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Linval Thompson, The Revolutionaries ‎– Negrea Love Dub (1978)

ただダブという音楽はミックスをする人の
感性に影響されるので、純粋なChannel
OneのプロデュースがJoseph Hoo Kimで
ミックスがErnest Hoo Kimというダブ
とは、同じようなメンバーが演奏していて
もだいぶ趣きが違うんですね。
ある意味そういうところもダブという音楽
の面白さなので、出来ればこれらのダブ
とも聴き較べてみると、より面白さが解る
と思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Revolutionaries
○アルバム: Revolutionary Sounds
○レーベル: Channel One
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1976

○The Revolutionaries「Revolutionary Sounds」曲目
1. M.P.L.A.
2. Earthquake
3. Why War ?
4. Leftist
5. Sudden Attack
6. Angola
7. P.L.A.
8. I Need A Roof
9. A.N.C.
10. Right In Ah It
11. Death In The Arena
12. Death Trap
13. Headache
14. Toothache

(オリジナル・アルバムに表記されている曲目)
Side 1
1. M.P.L.A. Revolutionaries
2. Earthquake
3. Why War?
4. Leftists
5. Victory
Side 2
1. Angola
2. P.L.A.
3. Assassin
4. Desertion
5. "Che"