今回はThe Revolutionariesのアルバム

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「Earthquake Dub」です。

The RevolutionariesはHookim兄弟の
レーベルChannel Oneで活躍した、
ドラムのSly Dunbarをリーダーとする
バック・バンドです。

この時代のジャマイカのバック・バンド
は、その時集まれるミュージシャンが
集まって録るという「プラスティック・
バンド」の形式が一般的だったんですね。
その為The Revolutionariesや
The Aggrovators、The Professionalsなど
と名前が違っても、けっこう同じ
アーティストがいろいろなバンドで演奏
しているんですね。
メンバーが固定ではないので、バンド名
というのはどのレーベルか?どの
プロデューサーか?という事で色分け
されているんですね。
例えばChannel OneのHookim兄弟の元で
演奏すればThe Revolutionariesで、
プロデューサーのBunny Leeの元で演奏
すればThe Aggrovatorsで、Joe Gibbsの
Joe Gibbs Studioで演奏すれば
The Professionalsと名乗っていたり
するんですね。

このThe Revolutionariesもドラマーの
Sly Dunbarを実質的なリーダーとし、
攻撃的なミリタント・ビートをウリにした
バック・バンドという事は決まっていて
も、メンバーはある程度流動的だったん
ですね。
ただそのグループによって音の使い分けは
多少あったようで、このバンド
The Revolutionariesの場合は攻撃的な
ミリタント・ビートをウリに、この
70年代後半に最も人気のあったバック・
バンドだったようです。

70年代半ば以降セッション・バンドと
して大活躍したThe Revolutionaries
でしたが、Joseph Hookimがニューヨーク
に移住した事や、バンドの中心メンバーの
Sly & RobbieがBlack UhuruやPeter Tosh
などの海外公演でジャマイカを空ける事が
多くなった為に、80年以降は活動をほぼ
停止しています。

The Revolutionaries - Wikipedia

このアルバムのもう一人の重要人物
Ossie Hibbertについても説明しておき
ます。

Ossie Hibbert(本名:Oswald Hibbert)
は70年代のルーツ・レゲエの時代に
キーボード奏者やエンジニア、
プロデューサーとして活躍した人です。
キーボード奏者として当時のバック・
バンドThe RevolutionariesやSoul
Syndicateなどで多くのセッションに参加
しています。
また70年代後半にはChannel Oneで
エンジニアとしても活躍を始め、
エンジニアとして多くのミックスも残して
います。
ネットのDiscogsによると、個人名義の
アルバムはありませんが、78年の
The Revolutionariesがバックを務めた
「Leggo Dub」など、Ossie All Stars名義
のアルバムを2枚と数枚のシングル盤を
残しています。

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Ossie All Stars ‎– Leggo Dub (1978)

2012年に心臓発作で亡くなって
います。

アーティスト特集 Ossie Hibbert (オジー・ヒバート)


今回のアルバムは1976年にジャマイカ
のOssie HibbertのレーベルEarthquake
からリリースされた、The Revolutionaries
名義のダブ・アルバムです。

The Revolutionariesとなっていますが
完全にはThe Revolutionariesのアルバム
とは言い難く、手に入れた日本盤の
アルバムでは「オシー・ヒバート・
アンド・ザ・レボリューショナリーズ」と
なっているように、実質的にはChannnel
Oneのバック・バンドThe Revolutionaries
というよりはOssie Hibbertのレーベル
Earthquakeのダブを集めたアルバムで、
Ossie All Starsといった名義の方が
正しいようなアルバムです。
ベースを軸とした渋目のダブが多く集め
られたアルバムとなっています。

手に入れたのは2005年にUSの
Steve Barrow氏のレーベルHot Potから
リリースされたCDの日本盤(新盤)
でした。

付いていた帯には、次のような言葉が書か
れていました。

「〈ホット・ポット〉第2弾は
プロデューサー/ミュージシャン/
エンジニアとして名を馳せるオシー・
ヒバート。自身のレーベルからリリース
され、相当なレア・アイテムとなって
いる初期ダブ・アルバムが遂に奇跡の
初CD化!」

そう書かれているようにこのアルバムは
かなりレア化していたアルバムだったよう
で、マニアの間で高額で取引されるような
アルバムだったんだとか。
そうした入手困難なダブでしたが、
2005年にSteve Barrow氏のレーベル
Hot Potからリリースされた事で、手に
入れやすいダブとなったんですね。

全18曲で収録時間は約56分。
オリジナルは10曲で、残りの8曲はCD
ボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced,arranged, recorded and mixed by Ossie Hibbert
at Channel One Studio, Kingston, 1975-1977.

The Revolutionaries:
Drums: Sly Dunbar
Bass: Bertram 'Ranchie' McClean
Guitars: Radford 'Duggie' Bryan, Earl 'Chinna' Smith
Keyboards: Ossie Hibbert, Ansel Collins
Alto Sax: Headley Bennett, Herman Marquis, Dean Fraser
Tenor Sax, Flute: Tommy McCook
Trombone: Vin Gordon
Trumpet: Bobby Ellis
Percussion: Uziah 'Sticky' Thompson, Noel 'Scully' Simms

Design: Smith & Smith

となっています。

プロデュースとアレンジ、レコーディング
とミックスのエンジニアはChannel Oneの
Ossie Hibbertが務めており、音源は
1975年から77年までに録音された
ものです。

バックを務めるThe Revolutionariesの
メンバーは、ドラムにSly Dunbar、
ベースにBertram 'Ranchie' McClean、
ギターにRadford 'Duggie' Bryanと
Earl 'Chinna' Smith、キーボードに
Ossie HibbertとAnsel Collins、アルト・
サックスにHeadley BennettとHerman
Marquis、Dean Fraser、テナー・
サックスとフルートにTommy McCook、
トロンボーンにVin Gordon、トランペット
にBobby Ellis、パーカッションにUziah
'Sticky' ThompsonとNoel 'Scully' Simms
という布陣です。

ジャケット・デザインはSmith & Smith
となっています。

さて今回のアルバムですが、ベースを中心
とした心地良いサウンドのダブで、内容は
悪くないと思います。

書いたように名義上は
The Revolutionariesのアルバムとなって
いますが、実際にはミックスのOssie
Hibbertの色彩が強く出たアルバムで、
純粋にThe Revolutionariesのダブと言い
切れない部分があります。
やはりThe Revolutionariesというと
あの「白ゲバラ」と呼ばれた、
プロデュースはJoseph Hookimで、
ミックスはErnest Hookimの禁欲的なダブ
「Revolutionary Sounds」のイメージが
強くあるんですね。

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The Revolutionaries ‎– Revolutionary Sounds (1976)

この70年代のダブのミックスの中でも
このJoseph Hookimのミックスは特に異色
で、余分なものをあまり付け足さないその
ミックス・サウンドは、このChannel One
のバック・バンドThe Revolutionariesの
攻撃的なイメージを強く印象付けていた
側面があります。
当時は過小評価されていたようですが、
このErnest Hookimのミックスしたダブ
こそやはりThe Revolutionariesのダブだ
と、今では思われているんじゃないで
しょうか。

ただThe Revolutionariesのダブは、この
Ossie Hibbertのダブの他にも、例えば
Linval Thompsonのプロデュースした
「Negrea Love Dub」(ミックスはKing
Tubby's)など、いろいろなダブがあるん
ですね。

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Linval Thompson, The Revolutionaries ‎– Negrea Love Dub (1978)

これらのダブは演奏がThe Revolutionaries
のメンバーで、録音がChannel Oneでも、
厳密にいえばThe Revolutionariesのダブ
とは言い切れない部分があります。
ただThe Revolutionariesという名前が、
当時もうすでに有名だったためか、すべて
The Revolutionariesの名前でアルバムが
出されているんですね(笑)。

ただ完全にThe Revolutionariesかどうか
は別にしても、内容的には素晴らしい
アルバムが多い事もまた事実です。
この70年代後半から80年代前半に
かけては、ダブという実験的な音楽が
もっとも充実した時代だったんですね。

今回のアルバムもレゲエ博士Steve Barrow
氏のレーベルHot Potからリイシューする
だけあって、内容的にもまたそのレア度
からもとても素晴らしいリイシューなん
ですね。
CDに付いていたSteve Barrowの解説文
の和訳などを読むと、このOssie Hibbert
という人はJoe Gibbs & The Professionals
の「African Dub All-Mighty」のErrol
Thompsonの華やかなミックスがとても好き
なんだそうです。

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Joe Gibbs & The Professionals ‎– African Dub All-Mighty (1975)

今回のアルバムはそうしたOssie Hibbert
の音楽のし好性がうかがえるダブ・
アルバムで、全体にはベースを中心とした
シンプルな演奏ながら、Ernest Hookimの
禁欲的なミックスとはひと味違う、音に
華やかさのある楽しいサウンドのミックス
となっています。

1曲目は表題曲の「Earthquake Dub」
です。
ギターとキーボードのイントロから、
ズシっとしたベースとパーカッションの
ダブです。

2曲目は「Rasta Foundation」です。
リディムはLittle Royの「Tribal War」。
ピアノとシンセ、ギターのメロディに、
こちらもズシっとした重量感のある
ベースを中心としたダブです。

3曲目は「Fletchers Land」です。
ギターとフルート、ベースを中心とした
ダブ。
こちらもズシっとしたベースに
パーカッションが際立つ、リズミカルな
ダブです。

4曲目は「Ital Menu」です。
こちらもフルートとピアノ、ズシっと
したベースに、ホーンといったダブです。

The Revolutionaries - Ital menu


5曲目は「Secret Agent」です。
リリカルなピアノにキーボードにギター、
ベースのズシっとしたメロディに、鳴く
ギター…。

The Revolutionaries - Secret agent


6曲目は「Heavy Rock」です。
ピアノのリリカルなメロディに
ヴォーカル…、ズシっと来るベースに
パーカッション、ダブワイズ…。

7曲目は「An Event」です。
漂うようなキーボードのメロディに、
ズシっと来るベースと歯切れの良い
ミリタント・ビート、鳴きのギターも
グッと来る1曲です。

Ossie Hibbert & the Revolutionaries - An Event Dub


8曲目は「Black Diamond Rock」です。
華やかなホーン・セクションに、ギターと
ベースのメロディ…。
合間良く入って来るホーンもイイ感じの曲
です。

9曲目は「Collie In Dub」です。
リディムはJunior Rossの「Judgement
Time」。
ホーンとキーボードの華やかなメロディ
から、ドスの効いたベースを中心とした
ダブへとなる曲です。
陰影のあるメロディが良い味わいの曲
です。

10曲目は「Pain Land Dub」です。
ギターの刻むようなメロディにドスの効い
たベース、味のあるパーカッション…。

11曲目以降はオリジナルにないCD
ボーナス・トラックが収められています。

11曲目は「Whip Them In Dub」です。
キーボードのメロディにドスの効いた
ベース、滲んで行くようなヴォーカルの
ダブワイズ…。

12曲目は「River Bank」です。
「featuring Deadly Headley Bennett」
となっているように、テナー・サックス
奏者のDeadly Headley Bennettのホーンが
全面的にフューチャーされた曲です。
キーボードのメロディに、Deadly Headley
の表情豊かなホーンがとても良い味を
出しているインスト曲です。

Headley Bennett - River Bank and Version


13曲目は「Bank Version」です。
12曲目「River Bank」のダブ・
ヴァージョンです。
エコーの効いたダブワイズがイイ感じの曲
です。

14曲目は「Kissinger」です。
リディムはThe Abyssiniansの代表曲
「Declaration Of Rights」。
キーボードとホーン・セクションに乗せた
陰影のあるメロディが魅力的な1曲。

Revolutionaries - Kissinger [Flames] 7 inch


15曲目は「Death Sentence」です。
こちらも「Declaration Of Rights」の
リディムを使ったダブです。
ホーンとキーボードのダブですが、14曲
目と較べるとよりキーボードが強調されて
いる印象です。

The Revolutionaries - Death Sentence


16曲目は「Heavier Than Lead Version」
です。
刻むようなギターとホーンのメロディ、
心地良いドラミングが印象的なダブ。

17曲目は「Hog Head」です。
ダブワイズして行くホーンが印象的なダブ
です。
間に入るダブワイズして行くトース
ティングはTrinityのようです。

18曲目は「Conscience Version」です。
ディージェイClint Eastwoodの曲
「Conscience A Beat Them」の
ヴァージョン(ダブ)です。
華やかなホーンにClint Eastwoodのダブ
ワイズして行くトースティング…。
華やかさのあるダブです。

ざっと追いかけてきましたが、さすがに
Steve Barrow氏のレーベルHot Potからの
リイシューだけあって、オマケの曲まで
含めてかなり充実した内容のアルバム
です。
Ossie Hibbertのミックスを追いかけて
いくと、明らかにErrol Thompsonの
華やかで楽しいダブ・ミックスの影響が
垣間見えるんですね。

ダブというのは面白い音楽で、同じ
The Revolutionariesの音源を使っていて
も、Ernest Hookimのようになるべく手を
加えない禁欲的なミックスにする事も
出来るし、このOssie Hibbertのように
華やかで楽しいミックスにも出来るんです
ね。
そうしたミキサーのし好で幾通りの音も
生み出せるのが、ダブという音楽の面白さ
なんですね。

そのあたりの違いは、ぜひ自分の耳で
確かめてもらいたいと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Revolutionaries
○アルバム: Earthquake Dub
○レーベル: Hot Pot
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1976

○The Revolutionaries「Earthquake Dub」曲目
1. Earthquake Dub
2. Rasta Foundation
3. Fletchers Land
4. Ital Menu
5. Secret Agent
6. Heavy Rock
7. An Event
8. Black Diamond Rock
9. Collie In Dub
10. Pain Land Dub
(Bonus Tracks: CD Only)
11. Whip Them In Dub
12. River Bank - featuring Deadly Headley Bennett
13. Bank Version
14. Kissinger
15. Death Sentence
16. Heavier Than Lead Version
17. Hog Head
18. Conscience Version