今回はTetrackとAugustus Pabloの
アルバム

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「Let's Get Started / Eastman Dub」
です。

TetrackはCarlton HinesとPaul Mangaroo、
Dave Harveyの3人からなるコーラス・
グループです。
おもに70年代後半から80年代に、
Augustus PabloのレーベルMessageや
Rockersなどで活躍したグループで、
ネットのDiscogsによると78年に
今回の「Let's Get Started」と83年に
「Trouble 」という2枚のアルバムを
残しているほか、32枚ぐらいのシングル
盤を残しています。

Augustus Pablo(本名:Horace Swaby)は
70年代のルーツ・レゲエの時代から活躍
したメロディカ奏者、キーボード奏者、
プロデューサーとして知られている人
です。
それまで練習用の楽器ぐらいにしか思われ
ていなかったメロディカを駆使して、
レゲエにそれまでに無い新しい音楽という
イメージをプラスしたのがこの人なんです
ね。
数々のセッションに参加し、多くの
インストやダブ・アルバムを残し、自身の
レーベルRockersを運営して、Hugh Mundell
やYami Boloなど多くの若手のミュージシャン
を育てたのがこのAugustus Pabloという人
です。

90年代に入ると筋無力症に苦しみ、
化学療法を拒否して自然治癒を目指した
彼でしたが、1999年に亡くなって
います。

ネットのDiscogsによると、生涯で共演盤
を含めて36枚ぐらいのアルバムと、
239枚ぐらいのシングル盤をリリース
しています。

オーガスタス・パブロ - Wikipedia

アーティスト特集 Augustus Pablo (オーガスタス・パブロ)

今回のアルバムは1990年にUKの
Greensleeves Recordsからリリース
されたコンピュレーション・アルバムで、
78年にAugustus Pabloのレーベル
MessageからリリースされたTetrackの
ファースト・アルバム「Let's Get
Started」と、88年にUSのRAS
Recordsからリリースされた、その
「Let's Get Started」の音源を多く
使ったAugustus Pabloのダブ・アルバム
「Eastman Dub」を1枚にまとめた2in1
仕様のアルバムです。

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Augustus Pablo ‎– Eastman Dub (1988)

ルーツ期らしい陰影のあるメロディに
乗せた、3人がそれぞれリードをとれる
Tetrackのソウルフルなヴォーカル・
ワークはなかなか魅力的で、さらにその
アルバムのダブも付いているというのは
なかなか好ポイントのアルバムです。

手に入れたのはGreensleeves Recordsから
リリースされたCDの中古盤でした。

全19曲で収録時間は約61分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Augustus Pablo for Rockers Production
All Tracks Written by Carlton Hines
Arrangements: Horace Swaby, Carlton Hines
Vocal Arrangements: Tetrack
Recorded at Channel One & Harry J's
Engineer: Sylvan Morris

Tetrack: Carlton Hines, Paul Mangaroo, Dave Harvey
Bass: Jah Bunny, Robbie Shakespeare, Juinior Dan, Michael Taylor
Drums: Albert Malawi, Cleveland Brownie, Leroy 'Horsemouth' Wallace, Benbow Creary
Guitars: Frazal Prendergrass, Clive Jeffrey
Lead Guitar: Dalton Brownie
Keyboards: Augustus Pablo, Steel, Lindon
Xylophone, Melodica: Pablo
Sax: Deadly Headley
Percussion: Teo Benjamin, Garth Swaby, Hugh Mundell, Ras McNilik
Backing Vocals: Tetrack, Pat Kelly, Ricky Grant

となっています。

プロデュースはAugustus Pabloで、作曲
はTetrackのメンバーCarlton Hinesが
担当し、アレンジはHorace Swaby
(Augustus Pablo)とCarlton Hines、
ヴォーカル・アレンジはTetrack、
レコーディングはChannel OneとHarry J's
で行われ、エンジニアはSylvan Morrisが
担当しています。

TetrackのメンバーはCarlton Hinesと
Paul Mangaroo、Dave Harveyの3人で、
曲によってそれぞれのメンバーがリード・
ヴォーカルを取るスタイルのようです。
バックはRockers International Bandで、
ベースにJah BunnyとRobbie Shakespeare、
Juinior Dan、Michael Taylor、ドラムに
Albert MalawiとCleveland Brownie、
Leroy 'Horsemouth' Wallace、Benbow
Creary、ギターにFrazal Prendergrass
とClive Jeffrey、リード・ギターに
Dalton Brownie、キーボードにAugustus
PabloとSteel、Lindon、ザイロフォン
(シロフォン)とメロディカにAugustus
Pablo、サックスにDeadly Headley、
パーカッションにTeo BenjaminとGarth
Swaby、Hugh Mundell、Ras McNilik、
バック・ヴォーカルにTetrackとPat Kelly、
Ricky Grantという布陣です。

シロフォン - Wikipedia

さて今回のアルバムですが、やはり注目は
ルーツ期からダンスホール期にかけて2枚
のアルバムをリリースしたヴォーカル・
グループTetrackのヴォーカルという事に
なると思うのですが、これがなかなか
ソウルフルなヴォーカルで、ちょっと地味
ながらとても魅力的なんですね。
また10年という歳月を経て作られたダブ
ですが、こちらもエンジニアのSylvan
Morrisの神経が細部まで行き届いたダブ
で、ちょっと内省的で地味目なダブです
が、内容は悪くないと思います。

今聴くとそのソウルフルな歌声と
コーラス・ワークで魅了するTetrackです
が、なぜこれほどのグループがたった2枚
のアルバムで終わってしまったんでしょう
か?
その理由は解りませんが、この70年代
後半でも他のコーラス・グループに引けを
取らないソフトでソウルフルな見事な歌声
とコーラス・ワークを披露しています。
またバックのRockers International Band
も見事な演奏を披露していて、Augustus
Pabloのメロディカをはじめとする
キーボードと、Deadly Headleyの印象的な
ホーンのメロディが見事なアクセントと
なっていて、とても質の高い演奏をして
います。
ちょっと地味目な印象はありますが、
とても聴きどころが多く、この70年代
後半のアルバムの中でもとても良い出来の
アルバムではないかと思います。

またなぜか10年後に作られたAugustus
Pablo名義のダブ・アルバムですが、
こちらは時間が経った事もあるのかSylvan
Morrisのミックスはとても落ち着いた
ミックスで、どこか80年代も感じさせる
内省的なダブを作り上げています。

1~10曲目までは、78年のTetrackの
ファースト・アルバム「Let's Get
Started」の曲が収められています。

1曲目は「Only Jah Jah Know」です。
Horsemouthか?と思われるちょっと
イナタいドラミングに、陰影のある
リリカルなピアノのメロディ、ソフトな
ヴォーカルがグッと来る曲です。

Tetrack Let's Get Started 1980 01 Only Jah Jah Know


2曲目は「Let's Get Started」です。
ちょっと陰のある優しいキーボードの
メロディに、ソフトでソウルフルな高音
を生かしたヴォーカルにコーラス・
ワーク…。

Tetrack Let's Get Started 1980 02 Let's Get Started


3曲目は「Look Within Yourself」です。
元気のあるホーンのメロディに、厚みの
あるコーラス・ワーク、心地良い
パーカッション…。

4曲目は「Isn't It Time」です。
Augustus Pabloらしい陰影のある
メロディカのメロディに、ちょっと
Hugh Mundellを思わせるリード・
ヴォーカルの歌声にコーラス・ワークが
魅力的な曲です。

5曲目は「Couldn't Walk Away」です。
重いベースとキーボードのメロディに
乗せた、厚みのあるコーラス・ワークを
中心とした曲です。

6曲目は「Judge And Jury」です。
アーバンなホーンのメロディにコーラス、
優しく歌うファルセットなヴォーカルに、
寄り添うようなホーンがグッと来る曲
です。

Tetrack - Judge And Jury


7曲目は「It's Up To You」です。
漂うようなシンセのメロディに、語る
ようなソフトなヴォーカルが魅力的。

8曲目は「Let's Get Together」です。
Augustus Pabloらしい浮遊感のある
メロディカに、息の合った切ない印象の
コーラス・ワークに乗せたヴォーカル…。

Tetrack ~ "Let's Get Together"


9曲目は「We Don't Get Along」です。
表情豊かなホーンのメロディに、ソフト
なコーラス・ワークに乗せた優しい
ヴォーカル…。

10曲目は「Simple Things」です。
ギターと漂うようなシンセのメロディに、
高音を生かしたヴォーカルに優しい
コーラス・ワーク…。
後から入って来るリリカルなピアノも
グッド。

Tetrack Let's Get Started 1980 10 Simple Things


11~19曲目はでは88年のAugustus
Pabloのダブ・アルバム「Eastman Dub」の
曲が収められています。

11~17曲目まではTetrackの
ファースト・アルバム「Let's Get
Started」の音源が使われたダブが収められ
ています。

11曲目は「Only Jah Jah Dub」です。
リディムはTetrackの「Only Jah Jah
Know」。
歯切れの良いドラミングに、Augustus
Pabloらしいキーボードのメロディの
ダブです。

12曲目は表題曲の「Eastman Dub」
です。
リディムはTetrackの「Let's Get
Started」。
Leroy 'Horsemouse' Wallaceかと思われる
ちょっとイナタいドラミングに、渋い
ベース、ちょっと懐かしいキーボードの
メロディ…。
イイ感じで入って来るコーラスもグッド。

13曲目は「Look Within Dub」です。
リディムはTetrackの「Look Within
Yourself」。
元気のあるホーン・セクションと
クラヴィネットンのメロディに
パーカッション、滲んで行くような
ダブワイズ…。

14曲目は「Isn't It Time Dub」です。
リディムはTetrackの「Isn't It
Time」。
ユッタリとしたAugustus Pabloらしい
メロディカが楽しめる曲です。

augustus pablo - Isn't It Time Dub


15曲目は「It Up To Jah Dub」です。
リディムはTetrackの「It's Up To
You」。
浮遊感のあるギターにドスの効いた
ベース、表情のあるキーボード…。

16曲目は「Big Yard Connection」です。
リディムはTetrackの「We Don't Get
Along」。
リリカルなピアノにズシっとしたベース、
刻むようなギターを中心としたダブ
です。

Augustus pablo - Big yard connection 1988


17曲目は「African Step」です。
リディムはTetrackの「Simple Things」。
表情のあるピアノのメロディに、重い
ベース、とギター…。

最後の2曲はTetrackのアルバム以外の曲
が使われているようです。

18曲目は「Original Scientist」です。
陰影のあるギターとベースのメロディに、
Pabloの哀愁のあるキーボード、ダブ
ワイズもキマった1曲です。

Augustus Pablo - Original Scientist


19曲目は「Corner Stone (Chapter 3)」
です。
Augustus Pabloらしい哀愁のある
メロディカに、ズシっと来るベースという
組み合わせ。

ざっと追いかけてきましたが、さすがに
2in1のアルバムという事もあってガッツリ
とした内容で、聴き応え充分なアルバムに
仕上がっています。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Tetrack, Augustus Pablo
○アルバム: Let's Get Started / Eastman Dub
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1978, 1988

○Tetrack, Augustus Pablo「Let's Get Started / Eastman Dub」曲目
(Tetrack - Let's Get Started)
1. Only Jah Jah Know
2. Let's Get Started
3. Look Within Yourself
4. Isn't It Time
5. Couldn't Walk Away
6. Judge And Jury
7. It's Up To You
8. Let's Get Together
9. We Don't Get Along
10. Simple Things
(Augustus Pablo - Eastman Dub)
11. Only Jah Jah Dub
12. Eastman Dub
13. Look Within Dub
14. Isn't It Time Dub
15. It Up To Jah Dub
16. Big Yard Connection
17. African Dub
18. Original Scientist
19. Cornerstone (Chapter 3)