今回はAugustus Pabloのアルバム

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「Eastman Dub」です。

Augustus Pablo(本名:Horace Swaby)は
70年代のルーツ・レゲエの時代から活躍
したメロディカ奏者、キーボード奏者、
プロデューサーとして知られている人
です。
それまで練習用の楽器ぐらいにしか思われ
ていなかったメロディカを駆使して、
レゲエにそれまでに無い新しい音楽という
イメージをプラスしたのがこの人なんです
ね。
数々のセッションに参加し、多くの
インストやダブ・アルバムを残し、自身の
レーベルRockersを運営して、Hugh Mundell
やYami Boloなど多くの若手のミュージシャン
を育てたのがこのAugustus Pabloという人
です。

90年代に入ると筋無力症に苦しみ、
化学療法を拒否して自然治癒を目指した
彼でしたが、1999年に亡くなって
います。

ネットのDiscogsによると、生涯で共演盤
を含めて36枚ぐらいのアルバムと、
239枚ぐらいのシングル盤をリリース
しています。

オーガスタス・パブロ - Wikipedia

アーティスト特集 Augustus Pablo (オーガスタス・パブロ)

今回のアルバムは1988年にUSの
RAS RecordsからリリースされたAgustus
Pabloのダブ・アルバムです。

元になったアルバムは1978年に
Agustus Pabloがプロデュースした、3人組
ヴォーカル・グループTetrackの「Let's
Get Started」というアルバムです。
その70年代のルーツ期の音源から起こし
たダブが今回のアルバムで、イイ具合に
ルーツ期の匂いのするアルバムに
仕上がっています。

手に入れたのはRAS Recordsからリリース
されたCDの中古盤でした。

ちなみにこのアルバムと元のアルバム
Tetrackの「Let's Get Started」がCD
1枚にまとめられた2 in 1のアルバム
が、1990年にUKのGreensleeve
Recordsからリリースされています。

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Tetrack, Augustus Pablo ‎– Let's Get Started / Eastman Dub (1990)

全9曲で収録時間は約30分。
1978年の3人組ヴォーカル・グループ
Tetrackのアルバム「Let's Get Started」
から7曲が使われたアルバムです。
(最後の2曲は違うようです。)

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Vocals: Tetrack
Bass: Jah Bunny, Michael Taylor, Robbie Shakespeare, Junior Dan
Drums: Leroy Wallace, Benbow Creary, Albert Malawi
Rhythm Guitars: Fazal Prendergrass, Clive Jeffery
Xylophone, Organ, Piano, Clavinet, Melodica: Augustus Pablo
Percussion: Teo Benjamin, Garth Swaby

Recorded and Mixed at Harry J & Channel One Studios by Sylvan Morris
Produced by H. Swaby for Pablo Records Ltd
Arranged by H. Swaby & C. Hines
Published by Pablo Music Ltd
Cover Design and Illustration by Marcia Byfield
Package Design by Jeanne Keskinen

となっています。

表ジャケにあるバンド名はRockers
International Bandとなっています。
ミュージシャンはヴォーカルにTetrack、
ベースにLeroy WallaceとBenbow Creary、
Albert Malawi、ドラムにLeroy Wallace
とBenbow Creary、Albert Malawi、
リズム・ギターにFazal Prendergrassと
Clive Jeffery、ザイロフォンとオルガン、
ピアノ、クラヴィネット、メロディカに
Augustus Pablo、パーカッションに
Teo BenjaminとGarth Swabyという布陣
です。
ミュージシャンの多さは元のアルバム
Tetrackの「Let's Get Started」が一度
の録音でなく、たびたび録音をした事を
示しています。
おそらく元のアルバムはシングル盤を
集めたアルバムではなかったかと思われ
ます。

レコーディングとミックスはHarry Jと
Channel One Studiosでおこなれ、
エンジニアはSylvan Morrisが担当して
います。
プロデュースはH. Swaby(Augustus
Pablo)で、アレンジはH. Swabyと
C. Hinesとなっています。

ジャケット・デザインとイラストは
Marcia Byfield、パッケージ・デザイン
はJeanne Keskinenとなっています。

さて今回のアルバムですが、70年代後半
のルーツ・レゲエの時代の音源が使われた
ダブ・アルバムで、内容は悪くないと思い
ます。

ルーツ期後半の78年のアルバムが、それ
から10年経ってダブが作られるというの
はちょっと遅いかなと思ったのですが、
それ以前の記録は見つかりませんでした。
ただ元の音源をリリースした78年は、
Agustus Pabloが彼の代表作のひとつで
ある「East Of The River Nile」を
リリースした年で、Agustus Pabloが
もっとも充実して活躍していた時期だった
んですね。

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Augustus Pablo ‎– East Of The River Nile (1978)

そうしたAgustus Pabloがもっとも元気
だった時代の音源という事もあって、彼は
ザイロフォンにオルガン、ピアノ、
クラヴィネット、メロディカと多彩な楽器
を操って、このアルバムを作成していま
す。

シロフォン - Wikipedia

クラビネット - Wikipedia

そのルーツ期の匂いのする勢いのある
サウンドと、後から作られたと思われる
Sylvan Morrisのちょっと落ち着いた
内省的なミックスのダブで、なかなか
面白いアルバムに仕上がっています。

1~7曲目までは78年のTetrackの
アルバム「Let's Get Started」の曲の
ダブが収められています。

1曲目は「Only Jah Jah Dub」です。
リディムはTetrackの「Only Jah Jah
Know」。
歯切れの良いドラミングに、Augustus
Pabloらしいキーボードのメロディの
ダブです。

Augustus Pablo - Only Jah Jah Dub


2曲目は表題曲の「Eastman Dub」
です。
リディムはTetrackの「Let's Get
Started」。
Leroy 'Horsemouse' Wallaceかと思われる
ちょっとイナタいドラミングに、渋い
ベース、ちょっと懐かしいキーボードの
メロディ…。
イイ感じで入って来るコーラスもグッド。

Augustus pablo Eastman Dub 1988


3曲目は「Look Within Dub」です。
リディムはTetrackの「Look Within
Yourself」。
元気のあるホーン・セクションと
クラヴィネットンのメロディに
パーカッション、滲んで行くような
ダブワイズ…。

augustus pablo - Look within Dub


4曲目は「Isn't It Time Dub」です。
リディムはTetrackの「Isn't It
Time」。
ユッタリとしたAugustus Pabloらしい
メロディカが楽しめる曲です。

5曲目は「It Up To Jah Dub」です。
リディムはTetrackの「It's Up To
You」。
浮遊感のあるギターにドスの効いた
ベース、表情のあるキーボード…。

6曲目は「Big Yard Connection」です。
リディムはTetrackの「We Don't Get
Along」。
リリカルなピアノにズシっとしたベース、
刻むようなギターを中心としたダブ
です。

7曲目は「African Step」です。
リディムはTetrackの「Simple Things」。
表情のあるピアノのメロディに、重い
ベース、とギター…。

Augustus Pablo - African Step


最後の2曲はTetrackのアルバム以外の曲
が使われているようです。

8曲目は「Original Scientist」です。
陰影のあるギターとベースのメロディに、
Pabloの哀愁のあるキーボード、ダブ
ワイズもキマった1曲です。

9曲目は「Corner Stone (Chapter 3)」
です。
Augustus Pabloらしい哀愁のある
メロディカに、ズシっと来るベースという
組み合わせ。

Augustus pablo - Corner stone chapter 3 1988


ざっと追いかけてきましたが、元の
Tetrackの音源がちょっと地味目なせいか
あまり派手さはありませんが、シッカリ
とした聴き応えのあるダブ・アルバムに
仕上がっていると思いました。

この後Augustus Pabloは90年代に入ると
筋無力症に苦しみ、そのサウンドはより
内省的で優しいサウンドへと変化して行き
ます。
今回のダブはルーツ期の音源を使用した
ダブですが、Augustus Pabloのその後期に
繋がるようなシットリとした味わいが
あり、そのあたりもとても興味深く面白い
ところです。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Augustus Pablo
○アルバム: Eastman Dub
○レーベル: RAS Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1988

○Augustus Pablo「Eastman Dub」曲目
1. Only Jah Jah Dub
2. Eastman Dub
3. Look Within Dub
4. Isn't It Time Dub
5. It Up To Jah Dub
6. Big Yard Connection
7. African Step
8. Original Scientist
9. Corner Stone (Chapter 3)