今回はPrince Hammerのアルバム

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「World War Dub Part 1」です。

Prince Hammer(本名:Beris Simpson)は
70年代の半ばから活躍するディージェイ、
シンガー、プロデューサーとして知られて
いる人です。
ネットのDiscogsによると、現在までに
7枚ぐらいのアルバムと49枚ぐらいの
シングル盤をリリースしています。

Prince Hammer - Wikipedia

今回のアルバムは1979年に、UKの
Adrian SherwoodがOn-U Sound以前に運営
していたレーベルHitrunからリリース
されたPrince Hammerのダブ・アルバム
です。

プロデュースはB. Simpson(Prince
Hammer本人)で、バックはHammer All
Starsとなっていますが、実質的に
The RevolutionariesやRoots Radicsの
メンバーが担当したアルバムで、Errol
'Flabba' HoltやRobbie Shakespeareの
ベースを中心とした激渋のダブ・アルバム
に仕上がっています。

手に入れたのは2013年にUKの
Horus Recordsというレーベルから
リイシューされたCD(新盤)でした。

全10曲で収録時間は約34分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Composed by B. Simpson
Arranged by Prince Hammer
Produced by B. Simpson

Hammer All Stars - featuring:
Drums: Sly Dunbar, Horsemouth, Barnabas
Bass: Errol Holt, Robbie Shakespeare
Rhythm Guitar: Bingy Bunny
Lead Guitar: Chinna Melchezinick
Piano: Bobby Kalphat
Organ: Ansell Collins
Percussion: Sticky, Skully

Recorded at Channel One by Crucial Bunny
Mixed at King Tubby's
Remastered by Kevin Metcalfe at The Soundmasters, London

Original Graphic Design & Layout by Orville
Graphic Design & Modification by Paddy Fernandez

となっています。

作曲とアレンジ、プロデュースは
B. Simpson(Prince Hammer本人)で、
バックはHammer All Starsが担当して
います。
メンバーはドラムにSly DunbarとLeroy
'Horsemouth' Wallace、Barnabas、
ベースにErrol 'Flabba' HoltとRobbie
Shakespeare、リズム・ギターにEric
'Bingy Bunny' Lamont、リード・ギター
にChinna Melchezinick(Earl 'Chinna'
Smith)、ピアノにBobby Kalphat、
オルガンにAnsell Collins、パーカッ
ションにStickyとSkullyという布陣
です。

レコーディングはChannel Oneで行われ、
エンジニアはCrucial Bunny、ミックス
はKing Tubby'sで行われています。
ミックス・エンジニアの記述がありません
が、多くの販売サイトにミックスは
ScientistとPrince Jammyと書かれて
おり、またネットのDiscogsにも2人の
名前があるので、今回のアルバムには名前
がありませんが、書かれているアルバムも
あるようです。

オリジナルのアルバム・ジャケットの
デザインは、Orvilleという人が担当して
います。

さて今回のアルバムですが、Errol
'Flabba' HoltとRobbie Shakespeareの
野太いベースを中心とした曲が多く、
ホーンもなく、シンプルだけれどド渋な
ダブという印象です。

ネットの販売サイトのアルバム評を見る
と、かなりレア化して高額取引をされて
いたダブなんだそうです。
そういうアルバムの中にはレアである事に
価値を見出している「レア盤マニア」の
コレクションの対象であまり内容的には…
というアルバムもありますが、今回の
アルバムはKing Tubby'sのScientistと
Prince Jammyという当時旬だったミキサー
がミックスしているだけに、ツボを心得た
ミックスで内容的にもなかなか悪くありま
せん。

タイトルが「World War Dub Part 1」
となっているように第1次世界大戦(第2
次?)をタイトルに付けたアルバムで、
「Mussolini(ムッソリーニ)」や
「Churchill(チャーチル)」、「Hitler
(ヒットラー)」、「Rooseveld(ルーズ
ベルト)」、「Kamikaze(カミカゼ)」
などの、戦争で有名になった名前が並んで
いるダブです。
そのあたりはのちのScientistの「漫画
ジャケ」シリーズなどを彷彿とさせる部分
があり、時代の変わり目を強く感じさせ
ます。

やはりダブが好きな人なら、押さえて
おきたいダブ・アルバムなんですね。

1曲目は「King Selassie In Dub」です。
リディムはSound Dimensionの「Real
Rock」か?
高音のシンセとドスの効いたベースを中心
としたダブです。

Prince Hammer - King Selassie In Dub


リズム特集 Real Rock (リアル・ロック)

2曲目は「Mussolini」です。
心地良いドラミングに重いベース、浮遊感
のあるキーボードのメロディ、心地良い
パーカッション…。

3曲目は「Desert Rat Dub」です。
浮遊感のあるキーボードと心地良い
ドラミングに重いベース…。

4曲目は「Churchill」です。
汽笛のエフェクトから心地良いドラミング
とキーボードのメロディ、刻むような
ギターに重いベース…。

Prince Hammer - Churchill Dub


5曲目は「Hitler」です。
重いメースと浮遊感のあるシンセの
メロディ、汽笛のエフェクトとピアノの
メロディ…にダブワイズ…。

Hitler


6曲目は「Rooseveld」です。
漂うようなシンセのメロディに、ユッタリ
としたワン・ドロップのドラミングと重い
ベースのメロディ…。

7曲目は「Kamikaze Dub」です。
ピアノとベース、キーボードを中心とした
ダブです。
こちらもズシっとしたベースがイイ感じ。

Prince Hammer - Kamikaze Dub


8曲目は「Field Marshall Montgomery」
です。
キーボードのメロディから、重いベースと
ギターのメロディを軸とした演奏のダブ
です。

9曲目は「'D' Day Dub」です。
キーボードにギター、ベースの演奏を中心
とした、エコーの効いたダブです。
ズシっと食い込んでくるようなベースが
魅力。

DUB LP- WORLD WAR DUB PART 1 - PRINCE HAMMER - 'D' Day Dub


10曲目は「Dreadlocks Rebel Force」
です。
ガシっとした勢いのあるドラミングに、
浮遊感のあるキーボード、重いベースの
メロディ…。

Dreadlocks Rebel Force


ざっと追いかけてきましたが、ベースが
中心のダブなのでいく分地味目のダブです
が、King Tubby'sらしい曲のメリハリの
付け方のウマさが光るダブで、聴いていて
とても心地の良い好内容のダブだと思い
ます。

この後時代は一気にRoots Radicsのスロー
なワン・ドロップを中心としたアーリー・
ダンスホールへと変わって行く訳ですが、
このアルバムにはそうした時代の変わり目
の予兆のようなものが感じられる内容で、
そこもこのアルバムの魅力です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Prince Hammer
○アルバム: World War Dub Part 1
○レーベル: Horus Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1979

○Prince Hammer「World War Dub Part 1」曲目
1. King Selassie In Dub
2. Mussolini
3. Desert Rat Dub
4. Churchill
5. Hitler
6. Rooseveld
7. Kamikaze Dub
8. Field Marshall Montgomery
9. 'D' Day Dub
10. Dreadlocks Rebel Force

〈2018年4月5日追記〉
Prince Hammerのアルバム「Vengance」
の日本語の解説文(筆者:西原幸雄)に
このアルバムの事が書かれていて、それに
よるとこのアルバムはPrince Hammerが
1979年にプロデュースしたRod Taylor
のアルバム「If Jah Should Come Now」の
ダブ・アルバムなんだそうです。