今回はVarious(オムニバス)ものの
アルバム

africa_iron_gate_showcase_01a

「Africa Iron Gate Showcase」です。

今回のアルバムはいろいろなアーティスト
を集めたコンピュレーションアルバムなの
で、まずはその中の何人かを紹介しておき
ます。

Prince Hammer(本名:Beris Simpson)は
70年代の半ばから活躍するディージェイ、
シンガー、プロデューサーとして知られて
いる人です。
ネットのDiscogsによると、現在までに
7枚ぐらいのアルバムと49枚ぐらいの
シングル盤をリリースしています。

Prince Hammer - Wikipedia

Trinity(本名Wade Brammer)は、70年代
のルーツ・レゲエの時代に活躍したディー
ジェイです。
Joe Gibbsの元で制作した「Three Piece
Suit」のほか、数多くの作品を70年代に
残しています。
また80年代には歌手Junior Brammerと
しても活動していたことある、とても器用
な人なんですね。
また彼の弟はディージェイのClint Eastwood
で、Gneral Saintのコンビなどで活躍した
名ディージェイとして知られています。
ネットのDiscogsによると、Trinityとして
共演盤を含めて26枚ぐらいのアルバム
と、301枚ぐらいのシングル盤を残して
います。
またJunior Brammerとして、2枚ぐらいの
アルバムと73枚ぐらいのシングル盤を
残しています。

アーティスト特集 Trinity (トリニティー)

Enos McLeodは60年代後半から活躍する
レゲエ・シンガーで、ネットのDiscogsに
よると、共演盤を含めて4枚ぐらいの
アルバムと58枚ぐらいのシングル盤を
現在までに残しています。

Enos McLeod - Wikipedia

George Nooksは70年代後半からディー
ジェイのPrince Mohammedとシンガーの
George Nooksの二つの顔を持って活躍する
アーティストです。
ネットのDiscogsによると、ディージェイ
Prince Mohammedとして共演盤を含めて
7枚ぐらいのアルバムと35枚ぐらいの
シングル盤、シンガーGeorge Nooksとして
共演盤を含めて17枚ぐらいのアルバムと
389枚ぐらいのシングル盤を残していま
す。

アーティスト特集 George Nooks (ジョージ・ヌークス)

今回のアルバムは1982年にUKの
Berrisというレーベルからリリースされた
コンピュレーション・アルバムです。

プロデュースはPrince Hammerこと
Beris Simpsonで、バックはこの時代に
活躍したバック・バンドRoots Radicsと
思われるメンバーが務めていて、当時は
まだ若手だったと思われるディージェイ
などの楽曲を集めたアルバムです。

手に入れたのは2018年に日本の
Dub Store Recordsからリイシューされた
CD(新盤)でした。
CDには帯が付いていて、そこには次の
ようなアルバムの紹介文が書かれていま
した。

「1982年、ルーツレゲエからダンス
ホールへの架け橋的な傑作アルバム!
ルーツ・ラディックス全盛期、多くの若手
ダンスホールDJが登場した時代の異色
ルーツ作」

全10曲で収録時間は約34分。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by B. Simpson Alias P. Hammer
Recorded at Channel One by Crucial Bunny
Voiced at Joe Gibbs by Field Marshall Chummy
Mixed at Pathway by Suoer Bubblers
Tks.1,10 - voiced and mixed at King Tubby's by "Professor"

Bass: Errol Holt
Drums: Barnabus, Horsemouth
Organ: Ansell Collins
Rhythm Guitar: Bingy Bunny, Voctor
Lead Guitar: Bo Pee
Percussion: Sticky, Scully
Piano: Winston Wright
Electric Percussion: Style Scott

となっています。

プロデュースはPrince HammerことBeris
Simpsonで、レコーディングはChannel One
で、エンジニアはCrucial Bunnyが担当し、
声入れはJoe Gibbsで、エンジニアは
Field Marshall Chummyが担当し、ミックス
はPathwayで、エンジニアはSuoer Bubblers
が担当しています。
ただし1曲目「King In A The Ring」と
10曲目「King Salassie M.16」は、声
入れとミックスがKing Tubby'sで行われ、
エンジニアは"Professor"が担当していま
す。

ミュージシャンはほぼRoots Radicsと思わ
れるメンバーで、ベースにErrol Holt、
ドラムにBarnabusとHorsemouth、オルガン
にAnsell Collins、リズム・ギターに
Bingy BunnyとVoctor、リード・ギター
にBo Pee、パーカッションにStickyと
Scully、ピアノにWinston Wright、
エレクトリック・パーカッションに
Style Scottという布陣です。

アルバムに収められているアーティスト
はPrince Hammer(4曲)、Echo Minott、
Trinity(2曲)、Lee Van Cliff、
Enos McLoud、George Nooksといった人達
です。

さて今回のアルバムですが、アルバムの
帯にも書かれているように70年代の
ルーツ・レゲエと80年代に起こった
ダンスホール・レゲエの「架け橋的な」
アルバムで、内容は悪くないと思います。

やはり素晴らしいのはバックのほぼ
Roots Radicsと思われるメンバーの演奏
で、Errol 'Flabba' Holtのズシっとした
ベースを中心とした陰影のある演奏は
とても魅力的で、心をガシッと鷲掴みに
されるようです。
「ほぼRoots Radics」と書いたのはこの
バンドが完全にRoots Radicsのスタイル
で演奏をしていないためで、あの
Henry 'Junjo' LawesのVolcanoレーベル
の時の演奏と較べると、Style Scottを
中心とした独特のワン・ドロップの
スタイルではなく、ドラムがBarnabusと
Horsemouthで、どこかルーツの香りを
残した演奏だからなんですね。
おそらくは雇い主のプロデューサーである
Prince Hammerの好みに合わせた演奏
スタイルで、そういう意味ではメンバーは
Roots Radicsであっても、Prince Hammer
Allstarsとかそういう名前の方が合って
いるのかもしれません。
ただルーツ・レゲエを感じさせる影のある
メロディと、アーリー・ダンスホールを
感じさせる湿った空気感を併せ持った演奏
はとても素晴らしく、この変わり目の時代
ならではの魅力があります。

また当時若手だったアーティストも多いの
ですが、ビッグ・ネームというほどでは
なくてもよく知られたアーティストも
多く、そのあたりも高ポイントのアルバム
なんですね。
この時代の空気を知るには、とてもよく
出来たアルバムだと思います。

1曲目はPrince Hammerの「King In A The
Ring」です。
ズシっとしたErrol 'Flabba' Holtの重い
ベースを中心とした演奏に、Prince
Hammerの流れるようなトースティングが
魅力的。

Prince Hammer King In A The Ring


2曲目はEcho Minottの「Emilo Bimbo」
です。
漂うようなキーボードのメロディに、
ちょっと脱力したEcho Minottのトース
ティングが魅力的な曲です。
こちらもイイ感じに'Flabba'のベースが
効いています。

ECHO MINOTT - Emilo Bimbo


3曲目はTrinityの「Quiete Horse」
です。
心地良いドラミングに、キーボードと
ベースのメロディ、Trinityの流れるよう
に流ちょうなトースティング…。

4曲目はLee Van Cliffの「Chalice And
Spliff」です。
3曲目と同じリディムです。
おこちよいドラミングに華やかなシンセ
のエフェクト、キーボードのメロディ、
Lee Van Cliffのの滑らかなトース
ティング…。

Lee Van Cliff - Chalice And Spliff


5曲目はPrince Hammerの「Africa Iron
Gate」です。
陰影の濃いホーンとキーボードのメロディ
に、Prince Hammerの表情豊かなトース
ティング…。

6曲目はEnos McLoudの「Words Sound And
Power」です。
漂うようなキーボードのメロディに、
よく通るEnos McLoudのシング・ジェイ・
スタイルのヴォーカルがすごく魅力的。

Enos McLoud - Words Sound And Power


7曲目はGeorge Nooksの「Moses」です。
リディムはSound Dimensionの「Real
Rock」。
ズシっとしたベースと浮遊感のある
キーボード、George Nooksのよく通る
ヴォーカルが心地良い曲です。

リズム特集 Real Rock (リアル・ロック)

8曲目はPrince Hammerの「Press Along
Dreadlocks」です。
こちらも7曲目と同じ「Real Rock」の
リディムが使われているようです。
浮遊感のあるキーボードにダブワイズ、
Prince Hammerの流ちょうなトース
ティング…。

Africa Iron Gate Showcase B3 Prince Hammer Press along dreadlocks


9曲目はTrinityの「She Is Mine」
です。
浮遊感のあるキーボードに、アクセントに
入るパーカッション、Trinityの表情豊か
なトースティング…。

10曲目はPrince Hammerの「King
Salassie M.16」です。
リディムはLeroy Smartの「Wreck Up My
Life」。
勢いのあるキーボードのメロディに、
Prince Hammerの流れるようなトース
ティングが魅力。

Prince Hammer 'King Sewassie M. 16'


ざっと追いかけてきましたが、1曲1曲が
この時代の空気を吸い込んだような楽曲
で、とても魅力的な内容のアルバムだと
思います。
こうしたアルバムは単なる普通の
コンピュレーションとしてついつい見過ご
されてしまいがちですが、よくリイシュー
したものだと感心してしまうところがある
アルバムです。
本当にこのアルバムのサウンドを聴いて、
その良さを理解していないと出来ない
リイシューなんですね。
その意味ではこのアルバムをリイシュー
した、日本のDub Store Recordsを誉め
たいと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Various
○アルバム: Africa Iron Gate Showcase
○レーベル: Dub Store Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Various「Africa Iron Gate Showcase」曲目
1. King In A The Ring - Prince Hammer
2. Emilo Bimbo - Echo Minott
3. Quiete Horse - Trinity
4. Chalice And Spliff - Lee Van Cliff
5. Africa Iron Gate - Prince Hammer
6. Words Sound And Power - Enos McLoud
7. Moses - George Nooks
8. Press Along Dreadlocks - Prince Hammer
9. She Is Mine - Trinity
10. King Salassie M.16 - Prince Hammer