今回はOssie All Starsのアルバム

ossie_allstars_01a

「Leggo Dub」です。

Ossie All Starsはキーボード奏者の
Ossie Hibbertを中心としたオール
スター・メンバーという意味です。

という事でOssie Hibbertについて説明
しておくと、Ossie Hibbert(本名:
Oswald Hibbert)は70年代のルーツ・
レゲエの時代にキーボード奏者や
エンジニア、プロデューサーとして活躍
した人です。
キーボード奏者として当時のバック・
バンドThe RevolutionariesやSoul
Syndicateなどで多くのセッションに参加
しています。
また70年代後半にはChannel Oneで
エンジニアとしても活躍を始め、
エンジニアとして多くのミックスも残して
います。
ネットのDiscogsによると、個人名義の
アルバムはありませんが、今回のアルバム
を含めてOssie All Stars名義のアルバム
を2枚と数枚のシングル盤を残していま
す。

2012年に心臓発作で亡くなって
います。

アーティスト特集 Ossie Hibbert (オジー・ヒバート)

今回のアルバムは1978年にジャマイカ
のCash & Carry Recordsからリリースされ
たOssie All Stars名義のダブ・アルバム
です。

前年の77年にOssie Hibbertのレーベル
Earthquakeからリリースされた、Gregory
Isaacsのソロ・アルバム「Mr. Isaacs」の
曲を使ったダブ・アルバムで、名義は
Ossie All Starsですが、ほぼChannel One
のバック・バンドThe Revolutionariesと
思われる布陣で録音されたアルバムに
なっています。

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Gregory Isaacs ‎– Mr. Isaacs (1977)

ちなみに持っている「Mr. Isaacs」の
Shanachieレーベルからリリースされた
CDでは、バックがThe Revolutionaries
と記載されています。

手に入れたのはレゲエ博士Steve Barrow
氏が立ち上げたレゲエ・リイシュー・
レーベルHot Potから、2005年に
リイシューされたCD(日本盤)の中古盤
でした。
中には山名昇さんという方の書いた、3つ
折りの解説文が付いていました。

全16曲で収録時間は約61分。
オリジナルは10曲で、残りの6曲は
CDボーナス・トラックです。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Ossie Hibbert
Musicians: The Revolutionaires, The Soul Syndicate, The Aggrovators

となっています。

プロデュースはOssie Hibbertで、
バックはThe Revolutionairesと
The Soul Syndicate、The Aggrovators
が担当しています。
おそらくオリジナル曲は
The Revolutionairesで、残りのCD
ボーナス・トラックがThe Soul
SyndicateとThe Aggrovatorsの曲では
ないかと思われます。

また表ジャケが2つ折りの小冊子になって
いて、そこにはボーナス・トラックに
ついても書かれています。
それによるとボーナス・トラックは
Ossie HibbertのレーベルOssie Soundと
Earthquakeの7インチ・シングルのB面
に収められたダブのようです。
それを要約すると、11曲目「Lion
Fence Version」はRanking Trevorの
「Lion Fence」、12曲目「Zion I」は
Frankie Jonesの「Rasta Children」、
13曲目「Special Version」はU Brown
の「Special Request」、14曲目
「Loving Version」はU Brownの「Love
Is All I Have」、15曲目「Version
Dress Back」はEarth And Stoneの
「Wicked A Fi Dress Back」、16曲目
「Take A Dub」はDillingerの「Take A
Dip」のダブなんだそうです。
ちなみに16曲めのDillingerの「Take
A Dip」のオリジナルはGregory Isaacs
のアルバム「Mr. Isaacs」に入っている
「Slavemaster」なんだそうです。

さて今回のアルバムですが、70年代後半
はダブという音楽が全盛期を迎えた時代
ですが、その中でも今回のアルバムは特に
評価の高いダブ・アルバムのひとつで、
しかもこのアルバムが出るまではかなり
レアなダブだったようで、ダブが好きな人
ならぜひ聴いておきたいダブ・アルバム
だと思います。

確かずいぶん前にこのアルバムのアルバム
評を見た事あるなぁと思って探してみた
ところ、私が初めにレゲエを集めていた
20代の頃に買った本にアルバム評が
載っていました。
それが79年に「ザ・ブルース」の臨時
増刊号として6月に販売されていた
「Reggae Book: レゲエ・ブック」です。

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Reggae Book: レゲエ・ブック

その本の「レゲエ・アルバム88撰」と
いうアルバム評を集めたページの「Dub」
の部門のこのアルバムはRevolutionaires
の「Leggo Dub」として選ばれています。
アルバム評を書いているのは「E」と
なっていて、選者の名前から見て遠藤
斗志也さんという方ではないかと思われ
ます。
その方はかなり絶賛していて、「これほど
衝撃的かつ革新的なダブというのも、そう
ザラには無い筈である。強いて他に挙げる
ならば『アフリカン・ダブ・チャプター
3』位のものだろう。」という文章から
始まって、「心臓の弱いムキには御薦め
出来ない、今一番突出したレゲエ・
アルバム。」という文章で〆ています。

私自身もこのアルバムを
The Revolutionairesのアルバムという
ふうに覚えていたのですが、どうやら
その記憶はこの文章によるものだったよう
です。
実際に当時発売されたLPでは、今の
アルバムではHot Potと4隅に印字されて
いる部分に、Cash & Carry Recordsの文字
とロゴ・マークが印字されていて、
The Revolutionairesなどのバンド名は
何処にも書かれていないんですね。
それでも当時はThe Revolutionairesの
アルバムという認識だったんじゃないかと
思います。

ちょっと推論も入りますが、おそらく
2005年にリイシューされた際に、
Steve Barrow氏がErnest Hookimの禁欲的
なミックスと差別化するために、あえて
The RevolutionairesではなくOssie All
Starsという名義に変えたのではないかと
思われます。
The Revolutionaires名義のアルバムは
とても多く出回っていますが、純粋に
The Revolutionairesのアルバムと言える
のは、Channel Oneでレコーディングされ、
Ernest Hookimがミックスし、Channel One
か傘下のレーベルがリリースした音源なん
ですね。
その点今回のアルバムや元になった
Gregory Isaacsのアルバムは、Channel
Oneでレコーディングをしているものの、
おそらくミックスもOssie Hibbertで、
Ossie HibbertのレーベルEarthquakeや
Cash & Carry Recordsからリリースされて
いるので、純粋にThe Revolutionaires
とは言い難いものがあります。

ちなみにたびたび書いていますが、当時
のバック・バンドはメンバーが固定では
なく、集まれる人が集まって録る
プラスティック・バンドの形式が一般的
で、The Revolutionairesや
The Aggrovatorsと名前が違っても
けっこう同じメンバーがいろいろなバンド
で演奏していたんですね。
スタジオ・ミュージシャンの彼らは、雇い
主の好みによってサウンドを使い分けて
いたんですね。
そのため今回のアルバムもChannel Oneの
録音なので、ほぼThe Revolutionaires
と言っても問題の無いメンバーが揃って
いたと思われます。
ただOssie Hibbertの好みに合わせた、
もう少し華やかな演奏をしているという
違いなんですね。

ちなみに「Reggae Book」では8枚の
ダブ・アルバムが選ばれていて、他に選ば
れたダブ・アルバムを順番に記すと以下の
ようになります。

burning_spear_23b
Burning Spear ‎– Garvey's Ghost (1976)
joe_gibbs_14a
Joe Gibbs & The Professionals ‎– African Dub All-Mighty Chapter 3 (1978)
augustus_pablo_23a
Augustus Pablo ‎– This Is Augustus Pablo (1974)
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Augustus Pablo ‎– King Tubbys Meets Rockers Uptown (1976)
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The Revolutionaries ‎– Negrea Love Dub (1978)
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The Upsetters ‎– Super Ape (1976)
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Bunny Wailer ‎– Dubd'sco Vol. 1 (1978)

今回のアルバムはAugustus Pabloの
「King Tubbys Meets Rockers Uptown」
と、The Revolutionariesの「Negrea Love
Dub」との間に掲載されています。
ダブ・アルバムが作られるようになったの
は73年頃なので、73~79年までの中
から選ばれたレゲエの代表的なダブ・
アルバムが並んでいます。
どのダブも皆魅力的なダブで、その中に
選ばれたこのアルバムの評価の高さが
うかがえます。

面白いのはThe Revolutionariesで選ばれ
た2枚のアルバムが、ミックスがOssie
HibbertとLinval Thompsonで、
Ernest Hookimのミックスした純粋な
The Revolutionariesのサウンドでない
ところです。
今だったらErnest Hookimのミックスした
通称「白ゲバラ」と呼ばれる
「Revolutionary Sounds」あたりが入り
そうに思うのですが…。

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Revolutionaries ‎– Revolutionary Sounds (1976)

やはりこの79年当時はエフェクトを多用
した華やかなミックスが、日本でも好まれ
ていたんじゃないかと思います。
インストに近い禁欲的なErnest Hookimの
ミックスはジャマイカでも過小評価されて
いたようで、あのBunny Leeも「彼は過小
評価され過ぎている」と語っているほど
です。

ちなみにこのアルバムはあのレゲエ本
「Roots Rock Reggae」にも、
The Revolutionariesのアルバムとして
山名昇さんという方の文章で紹介されて
いるアルバムです。

ただそれだけ評価の高いアルバムであり
ながらかなりレア化していたアルバムの
ようで、CDに付いていた帯によると
2005年のHot Potのリイシューで
初めてCD化されたアルバムなんですね。

さて今回のアルバムの特徴ですが、鳥の
さえずりや犬の鳴き声、赤ん坊の泣き声
などエフェクトを多用したダブで、全体に
華やかな雰囲気を持ったOssie Hibbertの
ミックスの手腕が冴えるダブ・アルバム
です。
前述の「Reggae Book」のアルバム評でも
Joe Gibbs & The Professionalsの
「African Dub Chapter 3」と較べられて
いますが、そうした華やかなエフェクトの
使い方がこの2枚のアルバムはすごく似て
いるんですね。
Ernest Hookimの作るThe Revolutionaries
のサウンドが疾走感を重視したすごく禁欲
的なサウンドだとすると、Ossie Hibbert
のミックスした同じThe Revolutionaries
の演奏のダブでも、今回のアルバムは
まるで打ち上げ花火が次々と打ちあがる
ようなすごく快楽的なサウンドのアルバム
と言えると思います。
そうしたミックスをする人間のコンセプト
でガラッと音が変わってしまうところも、
ダブという音楽の面白さなんですね。
ある意味すごく聴き易い、内容の良いダブ
だと思います。

1曲目は「Dubby Dubby」です。
リディムはGregory Isaacsのアルバム
「Mr. Isaacs」に収められた「Smile」。
オリジナルはSilvertonesの同名曲です。
華やかなホーン・セクションのメロディ
から、ズシっと重いベースを中心とした
キビキビとした演奏に、小鳥のさえずり
や猿?の鳴き声のエフェクトにダブ
ワイズ…。

Ossie All Stars - Dubby Dubby


リズム特集 Smile (スマイル)

2曲目は「Leggo Dub」です。
リディムはGregory Isaacsのアルバム
「Mr. Isaacs」に収められた「Storm」。
ホーンの華やかなメロディに、ズシっと
したベース、列車の汽笛のエフェクトに
ダブワイズ…。

Leggo Dub


リズム特集 Storm (ストーム)

3曲目は「Doberman Skank」です。
リディムはGregory Isaacsのアルバム
「Mr. Isaacs」に収められた
「Sacrifice」。
ベースとホーン・セクションのメロディに
ダブワイズ…、タイトル通り犬(ドーベル
マン)の唸り声や鳴き声のエフェクト…。

Doberman Skank - Ossie All Stars Leggo Dub


4曲目は「Winners Dub」です。
リディムはGregory Isaacsのアルバム
「Mr. Isaacs」に収められた
「The Winners」。
グルーヴ感のあるホーンとギター、ベース
のメロディのダブ。
終りの方に電話の呼び出し音やサイレン
音、獣の鳴き声などの賑やかなエフェクト
が入ります。

5曲目は「Dub Down Babylon」です。
リディムはGregory Isaacsのアルバム
「Mr. Isaacs」に収められた
「Handcuff」。
ホーンのイントロから重いベースとギター
を中心としたダブ。
赤ちゃんの鳴き声や鳩時計などの
エフェクト。

Dub Down Babylon


6曲目は「Brooklyn Style」です。
リディムはDennis Brownの「Funny
Feeling」。
ギターとベース、パーカッション、ピアノ
などを中心としたダブです。
音使いがすごくカッコいいダブです。

Ossie All Stars - Brooklyn Style


7曲目は「Ready Dub」です。
リディムはGregory Isaacsのアルバム
「Mr. Isaacs」に収められた「Get
Ready」。
オリジナルはThe Temptationsの「Get
Ready」です。
ボヨヨ~ンといったエフェクトから、
ベースを中心にしたド渋なダブ。

Ready Dub - Ossie All Stars


8曲目は「Ghetto Dub」です。
こちらは似たタイルの曲が多く、リディム
が特定出来ませんでした。
ギターとベースを中心とした渋めのダブ
です。

9曲目は「Bubble Up Style」です。
リディムはThe Madladsの「Losing You」
です。
一度ブレイクからホーンとピアノの
メロディ、ギターも入って来るグルーヴ感
のある曲です。

Ossie All Stars - Bubble Up Style [Cash & Carry Records 1978]


10曲目は「Better Choice」です。
リディムはThe Heptonesの「Choice Of
Color」です。
心地良いミリタント・ビートのドラミング
から、浮遊感のあるキーボードとピアノ、
ベースのメロディ、アクセントに入る電話
の呼び出し音のエフェクトもグッドな1曲
です。

Ossie All Stars - Better Choice [Cash & Carry Records 1978]


11~16曲目まではOssie Hibbertの
レーベルOssie SoundとEarthquakeの
シングル盤のB面に収められたダブが
収められていますが、ここでは割愛しま
す。

ざっと追いかけてきましたが、やはり
効果的に使われたエフェクトがうまく
効いた、いかにも70年代後半のダブと
いう華やかな内容で、出来は悪くないと
思います。

出来ればあの「白ゲバラ」あたりと聴き
較べてもらうと、ミックスによって
同じバンドでもサウンドのイメージが
変わる事がよりよく解って、面白いのでは
ないでしょうか。

こうしたエフェクト遣いは、80年代前半
のScientistやPrince Jammyのダブ・
アルバムにも影響を与えているのではない
かと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Ossie All Stars
○アルバム: Leggo Dub
○レーベル: Hot Pot
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年:

○Ossie All Stars「Leggo Dub」曲目
1. Dubby Dubby
2. Leggo Dub
3. Doberman Skank
4. Winners Dub
5. Dub Down Babylon
6. Brooklyn Style
7. Ready Dub
8. Ghetto Dub
9. Bubble Up Style
10. Better Choice
(Bonus Cuts for CD)
11. Lion Fence Version
12. Zion I
13. Special Version
14. Loving Version
15. Version Dress Back
16. Take A Dub